悪魔様は人間生活がヘタすぎる

木樫

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第五話 クリスマス・ボンバイエ

37※微

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 根負けしたニューイが壁を這うランプやシャンデリアに灯りを淡くするよう命じると、室内は温かいオレンジに染まった。

 ベッドへ膝立ちに下ろされる。

 背後から忍び寄るニューイは背中にあるエプロンドレスのチャックをジジ、と下げ、あらわになった九蔵のうなじにチュ、とキスをした。

 ピクン、と肌が跳ねる。
 ニューイの口付けはくすぐったい。

 唇は肩甲骨の谷間までをなぞり、手はドレスをたくしあげて簡単に取り払う。
 残されたのは黒の薄いインナーと、色気の欠片もない下着。ボーダーソックス。

 ニューイは九蔵を仰向けにベッドへ押し倒すと、贈り物のネックレスのバラごと、九蔵の胸をベロ、と舐めた。


「ンッ……」

「うぅむ……クリスマスパーティーはあと一時間は終わらないが、問題は私が一時間で止められる悪魔になれるか否かである。なんせ既にまずいからね」

「は、……ん、……っ」


 インナーを胸元まで押し上げて胸の突起をまさぐりつつ、ニューイは大真面目に自分の理性に自信がないらしい。

 言っている今でさえ首筋を責めながら乳首の先っぽを指の腹で弾いているのだから、確かに手遅れだろう。


「むぅ……手遅れにしたのは誰だい?」

「あ、っ」


 拗ねたニューイの唇が下腹部へと下がり、ヘソを舐め、下着のゴムすれすれにぢゅくっとキスマークを刻んだ。

 ニューイの好きな行為だ。
 九蔵も、所有されることは嫌いじゃない。腰が無意識に浮き上がり、下着の布地を膨らませる。


「はっ……俺のせい、って? それはちと言いがかりだろ。っん、そもそもニューイがいろいろ俺にするから、だよ」

「いーや、九蔵がやらしいせいである」

「やら、っいやそれは冤罪……!」


 九蔵の両足を持ち上げてソックスの縁に歯をひっかけたニューイは、そのままスルスルとソックスを脱がせた。

 顕になった生足を甘噛みし、足の甲、指先にチュプ、と舌を絡めて九蔵を見下ろす。


「うっ……そこ汚ぇ、って」

「たった一時間でも〝好きなことをしてもいい〟だなんて、悪魔に言うと酷いぞ? 人間相手じゃ満足できないことをされてしまったって文句は言えない……!」

「ン、っく……それと足舐め、どう関係あるんですかねっ……」

「? 足舐めは私の趣味だよ」


 チュ、と唾液まみれの足先にキスをしながら視線を流して笑うニューイに、真っ赤な九蔵は「そうですか」と納得した。

 チョロいと言うことなかれ。
 こちとらメロメロである。

 クソチョロメロメロ丸だからこそ、遠くで音楽と笑い声が聞こえる悪魔城で股を開いているのだ。

 舐めるなよ、推しと交際中のオタクを。
 もう片方のソックスもサクッと脱がされ下着も奪われた九蔵は、胸中で自分の理性に言い訳をする。


「まぁ好きにしていいと言われても、私は酷いことをしないのだ。九蔵がいろいろ解禁してくれたので、一時間でしっかり気持ちいい・・・・・・・・・プランを考えたぞ」

「ぅくっ……」


 ニューイはむふふ、と笑った。
 不思議なポケットからツボに入ったジェル状の潤滑油を取り出し、指に絡めて九蔵の秘部に塗り込める。

 滑りを得た指は二本、ヌルン、と難なく侵入を果たした。

 挿れられることに慣れたここは、開き方も覚えている。器用で覚えがいいのは体も同じらしい。


「ん、プランってどういう、ことだよ……っ、あっ……」


 腰を持ち上げられ、むき出しの窄まりをチュコチュコと探られる光景から、フイと目をそらす。

 ニューイはフフフと笑みを深めた。
 紳士ぶっていたくせにやっぱりウキウキなんじゃないか。


「はっ……どんな変態プレイがお望みなんですかね、っん」

「変態プレイなんてとんでもない。まず、九蔵の苦手な焦らしプレイは勘弁する!」

「お、おう」


 それは嬉しいがやたらいい笑顔だ。
 嫌な予感しかしない。

 クルクルと入口を解す二本の指を咥え込みつつ、九蔵は頭の下のクッションに、腕を伸ばしてしがみついておく。

 やたらいい笑顔のニューイは九蔵の両足を肩に引っ掛けて、両手の親指を左右から突っ込みグパ、と拡げた。


「ぐ、っ……」

「次に、九蔵のここをいつものお遊びはなしにしっかり拡げるだろう?」

「ぐ、っ……こ、この体勢は恥ずかしいんですけども……っ、はっ……」

(中、スースーする……っ)


 ニューイはグニグニと余った手のひらで尻肉をマッサージしながら、抱えている足の内ももにキスマークを散らせる。

 ジェルを塗り込められながら縁を拡げられると、柔らかさの残る陰茎がひとりでにピクン、と頭をもたげた。

 ニューイに見られることはもう気持ちがいいと、体が覚えているのだ。
 物覚えがいいのも考えものである。


「それが終わると、左手を外す」

「ほらもうなんか違う!」


 きっちりと解しきったあとにカポッ、と自分の左手を手首からもいだニューイを見て、九蔵は頭が痛くなった。





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