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第十話 悪魔様は人間生活がヘタすぎる
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しおりを挟む◇ ◇ ◇
「つまり、ナスの育てたゲームのデータを、勝手にスマホ取ったビルティがうっかり消しかけたってことか?」
「うっかりじゃねぇス。悪意しかなかったス。引き継ぎコード控えてなかったらアンインストールでさよならバイバイだったんスよ俺のヤスアキたんがッ!」
「あ、あ~……ナスの最推しのヤスアキたんはなぁ……」
三杯めのおまんまをかき込む澄央の説明に、お望みの朝ご飯を与えた九蔵は口角をヒクリと引きつらせた。
澄央の話はこうだ。
朝から今までゲームにいそしんでいた澄央のスマホをちょっとトイレに行っている間に、なんと機械が苦手じゃなかったトカゲさんが確保。
そしてそのまま一直線にアンインストールしたらしい。
淀みない手さばき。
どう考えても計画的な犯行だと確信した澄央は、怒りの戦士となりビルティを追い回したということだった。
ちなみにビルティが消したヤバ恋こと〝ヤバめのオトコと恋するJK〟は、澄央が一番やりこんでいるソーシャルゲームだ。
ヤバげな彼らを確定ヤバイ女子高生でヤバイほどヤバイ恋に堕とす! というコンセプトにより、際どいスチルや際どいストーリーが多い。
それらがフルボイス美麗イラストで繰り広げられるのだから、性的にイケメンが好きな澄央の妄想欲を大いに掻き立てるのだ。
エロゲーとはまた違う栄養素があった。
中でもヤスアキは最推しである。
黒髪、メガネ、スーツの三拍子揃ったクールビューティー高飛車男。
酒に弱くヒロインに寝込みを襲われてなすすべのない隠れマゾにオールバックの髪下ろしや、オレ様のくせに世話焼きママでなぜか下着の趣味が際どいところなどなど、なかなか愉快な属性を持っていた。
要するに、澄央の股間にドストライクなイケイケ野郎らしい。
なお九蔵の推しではない。
ヤバ恋のキャラはみんなヤバいのだ。野菜に興奮するエリートリーマンはちょっと。
閑話休題。
「んじゃ今のとこビルティが多めに悪そうなんだけど、なんか言い分あるか?」
「十ゼロス。俺はココさんほどイケメンに甘くねース」
澄央の趣味をよく知る九蔵は、自分の後ろに隠れて出てこないビルティの末路にそっと合掌しつつも一応意見を尋ねた。
と言っても、これはちょっと擁護できそうにないかもしれないのだが。
なんせいつも眠たげな澄央の目もギンギラギンと血走っている。
百九十センチの薄マユ三白眼ヤンキー顔な澄央のガチキレ顔。
慣れた九蔵でなければ裸足で逃げ出す殺人鬼フェイスだろう。
しかしビルティは知ってか知らずかひょこりと顔を覗かせ、母に縋る幼児のような目でじっと九蔵を見つめた。
「アリス、アリス」
「はいよ」
「オレ悪気ない。ヤスアキ消えてもヘーキ思っただけ。ナス怒るおかしい」
「ほう。そりゃなぜですかね」
「だってオレ髪あるぜ? イカスミもある。メガネっ子なれる。服着れる。高飛車オレ様できる。ちゃんとナス踏むするよ? トカゲ足あるし──ほら跪けよウジ虫。手足もいでオマエに似合いの姿にしてやろうか? あ? つか踏んでほしいならそう言えやまだるっこしいなグズが。あーあーやっぱやーめた。気分悪ィからしばらく勝手に這いつくばってろ。踏んでくださいっておねだりして無様に平伏したらいつでも踏んでもらえると思ってるならその勘違いごとドブに捨ててオマエも沈め。──ね? できるよ?」
「ン見下しゲス顔ガチ攻めボイス付きメンがイケてる罪好ッきィ……ッッ!!」
「アリス壊れた」
「はぁんポテンシャル高ぁい現行犯逮捕ぉ……ゴホン。やればできる子が過ぎて高飛車オレ様みが完凸してんだけどそういう問題じゃねんだよな、トカゲさんや」
「そ? マシマシできるぜ」
「いや足りねぇってことでもなく」
「じゃあ問題ない。な?」
「な? と言われましても」
「あと黒ウサギ半ベソ」
「はいはい涙目スチル尊。ニューイさんは俺界の殿堂入りイケメンにつき終身刑でアズカベンに投獄されておいてください」
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