シンパシー

あやご

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始まりそして終わり

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ああ今日も雨だ。ただ必要だからという理由で淡々と洗濯物を内干しに切り替える。晴れの日には少しゆったりとiPadで読書をしながらご飯を食べるのだがそれもやめて早目に家を出る事のために家事をこなす。

今日は緑の傘だったか。
玄関に立て掛けられたそれを取って外に出る。ううっ寒い。
開けた瞬間に滑り込んできた風は吸っただけで体内が冷え切る空気を持っていた。

上着のポケットに手を入れて暖をとる。ガサッと何かが当たった感触がした。こりゃいい、心底あったかい気持ちにさせられるね。

ポケットに入っていたそれを取り出し摩擦を起こさせる。この大量の粒が擦り合う音も好きだ。ぶつかり合ってそして熱をあげるんだ。一粒一粒互いとぶつかり合う大仕事だからね、大変と言うものだよ。
そう思う間もひたすら振り続ける。誰に話しかけているのか、はたまた自分にか。

「順!」
「まよい、迎えにきたよ。帰ろう。」
買い物袋を下げて柔和な笑みを浮かべる。
「今日寒いね。そのカイロ、一緒に使おうよ。」
「もちろん。そのために一個入れといてくれたんだろ?」

ふふっと笑ってカイロを持った私の手を下から握りしめる。


「今日は御察しの通り緑の日だからブロッコリーいっぱい買ってきたよ!」
「そこはほうれん草とか数種類買おうよ。」
えー?少し口をとがらせながらも笑う彼女に思わず溢れた言葉。
「いつもありがとう。」
「こちらこそ。」
優しく笑う君の笑顔に私は何度も救われている。

_終_
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