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起き上がってすぐに、自分の口からため息がこぼれ落ちた。
原因は自分の目の前に広がる実に晴れやかな空と、満開に咲く花達だ。
小さい頃から晴れは自分を小さい醜い存在だと嘲笑っている様に思い、嫌いなのだ。
その考えは今も変わっておらず、現時点でも自分を嘲笑っている様にしか思えない。
こんな方に何事も悪い方向に考えてしまうから、あの可愛い後輩にいつも怒られているのだろう。
朝っぱらから憂鬱な事ばっかり考えているのがなんか嫌で、自分の最大の癒しであり相棒であるノワを腕の中に収める。
すると腕いっぱいに心地のいい高温と、気持ちいい手触りが広がり、気を抜くと眠りの世界に誘われそうだ。
暫くそうやって天国に浸っていると、ノック音が聞こえてきた。
周りから避けられているという自信がある自分の部屋に訪ねてくる人なんて、あの自分とは正反対な世話焼きな少年だけだろう。
その為慣れた手つきで魔法で鍵を解除し扉を開ける。
「おーい、もう準備できた...ってやっぱりまだパジャマじゃん。」
予想通り、入ってきたのはこの学園でペアを組んでいる少年だった。
どうやら自分が朝に弱いことを見越してずいぶん早く早く来た様だ。
「もう、僕がやるよ。ばんざいして。」
一応自分達は高い身分の者なのだが、そんなことはお構いなしに自分の服は脱がされ素肌が晒される。
彼とペアを組んで丸5年。
今更そんなことにいちいち意識なんかしないし、何より勝手に着替えさせてくれるこの環境がとても良いのだ。
そんなことを考えているうちに、手際の良い彼によって着替えが終わっていた。
「よし、あと持ち物は全部持ったね。」
今日は通常とは違う日程な為、持ち物も変わっているのだ。
それがめんどくさいと感じた自分の代わりに、なんと昨日のうちに彼が全部持ち物をまとめていてくれたのだ。
有能すぎて、逆にもし彼がいなくなれば自分は何もできないんじゃ無いかと思う。
そしていつもは被らない魔女帽子を被り、靴を履き、箒を跨り、ノワを右肩に乗せ、彼...マーガ・セレブスと共にホールへ向かう。
少しすれば同じく箒に乗ったここの生徒たちも同じ方向を目指して飛んでいる。
「楽しみだな、なぁマーナ?」
「私はほんと憂鬱なんだけど。」
「そんなこと言うなよ、今日から新しい新入生達が入って来るんだぞ。」
そう、今日は自分達の学園、パテリアム魔道士育成学園の入学式なため、生徒達はみんな入学式が行われるホールを目指しているのだ。
ただ自分もそれだけならこんなに憂鬱な気分になどならない。
自分をここまで憂鬱な気分にさせるのは、入学式の最後にあるとあるイベントだ。
この全寮制の学園には6つの寮がある。
生徒は皆自分の魔法属性を測り、それに則った寮に入らなければならない。
その為に各寮の寮長、副寮長が前に出て話さないといけないのだが...
そう、何を隠そう自分、マーナ・エレジーナは、今日から黒の寮の寮長なのだ。
「まぁまぁ、マーナはそんなに喋らないし、何かあれば僕がカバーするよ。」
「...お願い。」
セレスも自分と同じ黒の寮の副寮長なので、そのことが少し憂鬱な気分を無くした。
そこからは軽く雑談をして、(と言ってもほとんど自分がセレスの話を聞くだけだったが。)入学式へまで向かった。
いくら広いと言えど所詮は学校なので、入学式の会場へはすぐについた。
明らかにこっちを見て悪口が囁かれているが、それは無視して一番上の席に座る。
寮長専用の椅子だ。
「うわっ、めっちゃ座り心地よ!!」
セレスは初めて座る寮長、副寮長専門の椅子に興奮している。
だが自分に言わせれば、こんな豪華な椅子、ただ目立って邪魔なだけだと思うが...
余裕を持って部屋を出たと思ったが、結構早くに入学式のブザーがなった。
いよいよと緊張しながら、幕が上がっていくのを見た。
こうして入学式は始まっていった。
原因は自分の目の前に広がる実に晴れやかな空と、満開に咲く花達だ。
小さい頃から晴れは自分を小さい醜い存在だと嘲笑っている様に思い、嫌いなのだ。
その考えは今も変わっておらず、現時点でも自分を嘲笑っている様にしか思えない。
こんな方に何事も悪い方向に考えてしまうから、あの可愛い後輩にいつも怒られているのだろう。
朝っぱらから憂鬱な事ばっかり考えているのがなんか嫌で、自分の最大の癒しであり相棒であるノワを腕の中に収める。
すると腕いっぱいに心地のいい高温と、気持ちいい手触りが広がり、気を抜くと眠りの世界に誘われそうだ。
暫くそうやって天国に浸っていると、ノック音が聞こえてきた。
周りから避けられているという自信がある自分の部屋に訪ねてくる人なんて、あの自分とは正反対な世話焼きな少年だけだろう。
その為慣れた手つきで魔法で鍵を解除し扉を開ける。
「おーい、もう準備できた...ってやっぱりまだパジャマじゃん。」
予想通り、入ってきたのはこの学園でペアを組んでいる少年だった。
どうやら自分が朝に弱いことを見越してずいぶん早く早く来た様だ。
「もう、僕がやるよ。ばんざいして。」
一応自分達は高い身分の者なのだが、そんなことはお構いなしに自分の服は脱がされ素肌が晒される。
彼とペアを組んで丸5年。
今更そんなことにいちいち意識なんかしないし、何より勝手に着替えさせてくれるこの環境がとても良いのだ。
そんなことを考えているうちに、手際の良い彼によって着替えが終わっていた。
「よし、あと持ち物は全部持ったね。」
今日は通常とは違う日程な為、持ち物も変わっているのだ。
それがめんどくさいと感じた自分の代わりに、なんと昨日のうちに彼が全部持ち物をまとめていてくれたのだ。
有能すぎて、逆にもし彼がいなくなれば自分は何もできないんじゃ無いかと思う。
そしていつもは被らない魔女帽子を被り、靴を履き、箒を跨り、ノワを右肩に乗せ、彼...マーガ・セレブスと共にホールへ向かう。
少しすれば同じく箒に乗ったここの生徒たちも同じ方向を目指して飛んでいる。
「楽しみだな、なぁマーナ?」
「私はほんと憂鬱なんだけど。」
「そんなこと言うなよ、今日から新しい新入生達が入って来るんだぞ。」
そう、今日は自分達の学園、パテリアム魔道士育成学園の入学式なため、生徒達はみんな入学式が行われるホールを目指しているのだ。
ただ自分もそれだけならこんなに憂鬱な気分になどならない。
自分をここまで憂鬱な気分にさせるのは、入学式の最後にあるとあるイベントだ。
この全寮制の学園には6つの寮がある。
生徒は皆自分の魔法属性を測り、それに則った寮に入らなければならない。
その為に各寮の寮長、副寮長が前に出て話さないといけないのだが...
そう、何を隠そう自分、マーナ・エレジーナは、今日から黒の寮の寮長なのだ。
「まぁまぁ、マーナはそんなに喋らないし、何かあれば僕がカバーするよ。」
「...お願い。」
セレスも自分と同じ黒の寮の副寮長なので、そのことが少し憂鬱な気分を無くした。
そこからは軽く雑談をして、(と言ってもほとんど自分がセレスの話を聞くだけだったが。)入学式へまで向かった。
いくら広いと言えど所詮は学校なので、入学式の会場へはすぐについた。
明らかにこっちを見て悪口が囁かれているが、それは無視して一番上の席に座る。
寮長専用の椅子だ。
「うわっ、めっちゃ座り心地よ!!」
セレスは初めて座る寮長、副寮長専門の椅子に興奮している。
だが自分に言わせれば、こんな豪華な椅子、ただ目立って邪魔なだけだと思うが...
余裕を持って部屋を出たと思ったが、結構早くに入学式のブザーがなった。
いよいよと緊張しながら、幕が上がっていくのを見た。
こうして入学式は始まっていった。
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