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9店目「高級料理店で食べるウサギ料理 前編」
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ビービービー
突然僕のスマホのアラームが鳴り響く。
どうやら角ウサギ達がやって来たようだ。
スマホで確認すると、時間は18時。
角ウサギたちの出現時間にほぼ狂いはなかった。
スマホで検知した角ウサギは全部で30体程。
村の側面から一塊となって攻めてくるようだ。
僕たちは顔を見合わせて無言で頷き、作戦通りの配置につく。
僕たちの作戦はこうだ。
まず、タンクのアインツが『鉄壁防御』というスキルを使用し、敵の注意を惹きつける。
このスキルはヘイト(敵対心)を集め、タンクに敵の意識を向けさせる効果があるのだ。
アインツに向かっていくであろう角ウサギの射線上に罠をいくつも仕掛けてある。
これでいくらかの角ウサギを倒すことができるだろう。
罠をくぐり抜けてきた角ウサギを、セリナが側面から攻撃する。
僕たちは屋根の上からミトラは弓矢で、僕はスマホで遠隔攻撃を行う。
この作戦が成功すれば、角ウサギたちに大打撃を与えられるだろう。
僕らは配置場所につき、そのタイミングを図っていた。
ドドドドドドッ……
角ウサギたちの足音が近くなる。
僕らは武器を手にし、静かに自らの闘志を燃やす。
見えた!
角ウサギが先頭集団が肉眼で確認できる距離まで現れたのだ。
「鉄壁防御!」
アインツがそうつぶやくと、アインツの体を青白い光が包む。
その光りに気づいた角ウサギの集団は、向かう方向を微修正してアインツに向かって走ってきた。
ズボッ
角ウサギたちの何匹かが突然姿を消した。
僕らの準備した落とし穴に落ちたのだ。
落とし穴の中には木を削って作った槍が数本設置されている。
落とし穴に落ちれば、絶命はまぬがれないだろう。
落とし穴を警戒し、迂回しながらアインツに向かってくる角ウサギたち。
ズボッ
ここにも落とし穴は仕掛けてある。
さらに角ウサギ達は数を減らしたのだ。
およそ十匹は落とし穴に落ちただろう。
思った以上の成果に僕は小さくガッツポーズをした。
落とし穴を飛び越えた角ウサギたちは、アインツに一直線に向かう。
唯一の武器である角を構え、そのままアインツ目掛けて突進していった。
ギィン。
鈍い金属音をあげて、吹き飛ばされる角ウサギたち。
アインツの盾で攻撃を防がれたのだ。
「やぁぁぁぁっ!」
そこへ側面からセリナが襲いかかる。
一匹、二匹。
セリナの見事な剣さばきで、一撃のもとに角ウサギたちは倒されていく。
そこへミトラの矢が襲い掛かる。
ミトラは弓矢の扱いも得意のようだ。
正確に角ウサギの急所に矢が突き刺さる。
突然の奇襲に慌てる角ウサギに向かって、僕は新しくダウンロードした『バトルフィールド』というアプリを起動させる。
このアプリはスマホの画面に写した相手に照準を合わせ、画面をタップすると鉛玉が発射される。
タタタタタタッ
僕がスマホを連続でタップすると、礫のようにタップした回数分の鉛玉が発射され、角ウサギたちに一直線に向かっていく。
それはまるでマシンガンだ。
鉛玉は次々と角ウサギたちを貫通し、みるみるうちにその数を減らしていく。
「ヒュー、やるじゃん旦那」
セリナはそうつぶやきながら、攻撃の手を加速させる。
セリナの攻撃も見事だ。
角ウサギなど敵ではないかの如く、剣を振るうたびに確実に仕留めていく。
「もういいだろう」
防御役に徹していたアインツも剣を構え、角ウサギに切りかかる。
アインツの攻撃も見事だ。セリナに勝るとも劣らない剣さばきで角ウサギたちを沈めていった。
およそ20分で、角ウサギたちは全滅した。
ビービービー
僕のスマホのアラームが鳴り響く。
増援だ。
角ウサギたちの第2陣が現れたのだ。
その数は同じく30体ほど。
前回と同じく村の側面から一丸となって、向かっている。
「角ウサギたちが来る!みんな元の配置に戻って!」
僕は大声を張り上げ、仲間たちに伝える。
即座に配置に戻り、構えるアインツたち。
「鉄壁防御!」
アインツはスキルを使用し、自ら角ウサギたちのヘイトを集めた。
さきほどと全く同じ展開だ。
ただ、妙に胸騒ぎがするのはなぜだろう。
少しずつ辺りは暗くなってきている。
これ以上暗くなると、角ウサギたちを視認するのは困難になるだろう。
迅速にやつらを倒してしまければならない。
ドドドドド
足音が値がづいてきた。
……妙だ。
足音が先ほどとどこか違うのだ。
同じような足音の中に、一際大きく聞こえる足音がある。
言葉で説明することは難しい。
例えるならクラッシックコンサートで使用される楽器の中に、一つだけのエレキギターが紛れているかのようだ。
僕のその危惧は的中した。
迫りくる角ウサギたちの群れの中で、一体だけ先行して突進してくるのだ。
体長は他の角ウサギの10倍はあろう巨体で、角も体調に比例して太く長い。
おそらくこいつが角ウサギを指揮していたのだろう。
仲間が倒されて逆上したのか。
なんにせよ、単体突撃は無謀だ。
仲間が追い付いてくる前に倒してしまわなければ。
巨大なボスウサギはグングンとその距離を詰めてくる。
罠ゾーンを難なく駆け抜け、一直線にアインツ目がけて突っ込んできた。
アインツもしっかりと盾を構えて完全防御態勢だ。
腰をしっかりと落とし、衝撃に耐える準備をしている。
グワッシャーン
激しい金属音が静かな村に響き渡る。
アインツとボスウサギが真正面からぶつかった。
しかし、吹き飛ばされたのはアインツの方だった……!
数メートルほど後方に弾き飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がる。
幸い大きなダメージは受けていないようだ。
すぐに立ち上がり、盾を構える。
追撃をかけるボスウサギ。
地面を強く蹴り、勢いをつけながら突進した。
サシュッ
側面から飛び出したセリナが、深々とその剣をボスウサギの背中に突き刺したのだ。
赤い血をまき散らしながら、悶えるボスウサギ。
セリナは剣を引き抜き、とどめを刺そうと剣を振り上げた。
しかし、ボスウサギの攻撃の方が早かった。
急に反転したかと思えば、がら空きのセリナの銅を角で薙いだのだ。
咄嗟にかわすセリナだったが、完全にはよけきれなかった。
胴から血を吹き出し、その場にうずくまってしまった。
僕とミトラは屋根の上から弓矢と鉛玉で応戦。
1発、2発、3発。
僕らの攻撃がボスウサギに命中するも、一向に動きを止める様子はない。
そのままの勢いのままアインツと激突、
アインツは吹き飛ばされて壁に激突し、そのまま動かなくなった。
そこへ遅れて追走していた角ウサギたちの群れも合流した。
このままではアインツやセリナが殺される……
幸いアインツが意識を失ったためか、アインツに対するヘイトは解除されているようだ。
やつらの注意を引きつけないと。
僕とミトラは角ウサギの集団に向かって、ありったけの矢や鉛玉を放出した。
しかし、暗くなったためか照準が定まらない。
奇襲攻撃をかけたのにも関わらず、2体の角ウサギしかしとめることができなかった。
「ブッ、ブー」
ボスウサギが鳴き声に似た音を出すと、角ウサギたちはみな僕らの方を振り返った。
次の瞬間角ウサギたちは、僕らがいる家屋に向かって一斉に突進を始めたのだ。
ズシン!ズシン!
角ウサギが突進するたびに、家屋が揺れる。
もはや立っていることは出来ない。少しでも気を抜くと振り落とされそうだ。
ミトラは弓を置き、しゃがみ込んでしっかりと屋根にしがみついている。
この状態では戦闘どころではない。
角ウサギの攻撃が病むまで、ただ耐えるしかないのだ。
しかし、それを許すほど角ウサギたちも甘くはない。
家屋の段になっているところに飛び移り、屋根に登ってこようとしている。
僕はその度にスマホで角ウサギをフリックして地面に落とすのだが、このままではジリ貧だ。
どうすればいい?
その時、傍観していたボスウサギが態勢を低くして、突進の構えをとった。
や、やばい。
ボスウサギは、勢いをつけてミトラのいる家屋へと突進したのだ。
ドーン、ガラガラガラ……
村中に響き渡るような轟音をあげて、ミトラのいた家屋は崩れ去ってしまった。
ミトラは空中に舞い上がり、そのまま勢いをつけて地面に落下した。
激しく地面に激突したミトラは、地面をバウンドした後にそのまま倒れて動かなくなった。
「ミトラッ!」
僕は屋根から飛び降り、ミトラを抱き起こす。
ミトラの意識はないものの、苦しそうなうめき声が聞こえる。
よかった、息がある。
でも、それがどうした?
今立っているのは僕一人で、周りを敵に囲まれている。
まさに絶体絶命なのだ。
今度はボスウサギが僕に向かって突進してきた。
もう逃げられない。
僕はミトラをかばうように角ウサギに背を向け、ギューッとミトラを抱きしめた。
ボスウサギは僕を突き刺すべく、角を向けて突進してきた。
突き刺さったかと思った瞬間、ボスウサギの角は僕の背中でピタッと止まった。
まるで運動量保存の法則を無視するかの如く、僕に衝突したはずのボスウサギの力が僕に当たった瞬間に無になったのだ。
必死で僕を押そうとするボスウサギだったが、僕の体は一ミリたりともその場から動かない。
痛みも衝撃も感じない。
まったくボスウサギの攻撃は僕には通じないのだ。
まさか僕が着ているスーツによるマジックアイテムの力だろうか?
だとしたら圧倒的だ。
物理攻撃をぶつかった衝撃も含めて無効にできるとは、チート以外の何ものではない。
「吠えてください」
僕の耳にチャットGOTの声が聞こえてきた。
どうやら自動的に起動したようだ。
でも、吠えるって……?
「どんな形でも良いです。吠えてください」
これでいいの、ぐわぁぁ。
「グォオオオオン」
ぼくが鳴き声を出そうとすると、トラの仮面の奥底から低く、力強い音が発せられた。
ビリビリと空気が震え、静かな村中におぞましい声が響き渡る。
その声に恐れを抱いた角ウサギたちは、震えながらその場にうずくまってしまった。
ボスウサギも例外ではない。
ブルブルと震えながら動きを停止する。
必死で動こうとするも、ピクリとも体を動かすことができないようだ。
怒りとも恐れとも取れる目で、しゃがみこんだまま僕を見ている。
ザシュッ
ボスウサギの脳天から顎にかけて、深々と剣が突き刺さる。
セリナだ。
セリナが動きを止めたボスウサギの頭を、後ろから突き刺したのだ。
「ピッ、ピィィィ……」
小さくうめき声をあげたボスウサギだったが、そのまま地面に倒れ、ピクピクと痙攣の後全く動かなくなった。
「へへっ、やったぜ」
セリナはそう呟くと、地面に倒れ込み意識を失った。
「キューィ、キューィ」
ボスウサギを失った角ウサギたちへの【威嚇】の効果が切れたらしい。
動けるようになった瞬間に、散り散りになりながら村から逃げ出したのだ。
こうして角ウサギたちを討伐した。
僕もその場に倒れ込みたいほど消耗していたが、この場で傷を回復できる【ヒールライト】を持つのは僕だけだ。
僕はスマホを持ちながら立ち上がり、傷ついた仲間の方に向かって歩いて行った。
突然僕のスマホのアラームが鳴り響く。
どうやら角ウサギ達がやって来たようだ。
スマホで確認すると、時間は18時。
角ウサギたちの出現時間にほぼ狂いはなかった。
スマホで検知した角ウサギは全部で30体程。
村の側面から一塊となって攻めてくるようだ。
僕たちは顔を見合わせて無言で頷き、作戦通りの配置につく。
僕たちの作戦はこうだ。
まず、タンクのアインツが『鉄壁防御』というスキルを使用し、敵の注意を惹きつける。
このスキルはヘイト(敵対心)を集め、タンクに敵の意識を向けさせる効果があるのだ。
アインツに向かっていくであろう角ウサギの射線上に罠をいくつも仕掛けてある。
これでいくらかの角ウサギを倒すことができるだろう。
罠をくぐり抜けてきた角ウサギを、セリナが側面から攻撃する。
僕たちは屋根の上からミトラは弓矢で、僕はスマホで遠隔攻撃を行う。
この作戦が成功すれば、角ウサギたちに大打撃を与えられるだろう。
僕らは配置場所につき、そのタイミングを図っていた。
ドドドドドドッ……
角ウサギたちの足音が近くなる。
僕らは武器を手にし、静かに自らの闘志を燃やす。
見えた!
角ウサギが先頭集団が肉眼で確認できる距離まで現れたのだ。
「鉄壁防御!」
アインツがそうつぶやくと、アインツの体を青白い光が包む。
その光りに気づいた角ウサギの集団は、向かう方向を微修正してアインツに向かって走ってきた。
ズボッ
角ウサギたちの何匹かが突然姿を消した。
僕らの準備した落とし穴に落ちたのだ。
落とし穴の中には木を削って作った槍が数本設置されている。
落とし穴に落ちれば、絶命はまぬがれないだろう。
落とし穴を警戒し、迂回しながらアインツに向かってくる角ウサギたち。
ズボッ
ここにも落とし穴は仕掛けてある。
さらに角ウサギ達は数を減らしたのだ。
およそ十匹は落とし穴に落ちただろう。
思った以上の成果に僕は小さくガッツポーズをした。
落とし穴を飛び越えた角ウサギたちは、アインツに一直線に向かう。
唯一の武器である角を構え、そのままアインツ目掛けて突進していった。
ギィン。
鈍い金属音をあげて、吹き飛ばされる角ウサギたち。
アインツの盾で攻撃を防がれたのだ。
「やぁぁぁぁっ!」
そこへ側面からセリナが襲いかかる。
一匹、二匹。
セリナの見事な剣さばきで、一撃のもとに角ウサギたちは倒されていく。
そこへミトラの矢が襲い掛かる。
ミトラは弓矢の扱いも得意のようだ。
正確に角ウサギの急所に矢が突き刺さる。
突然の奇襲に慌てる角ウサギに向かって、僕は新しくダウンロードした『バトルフィールド』というアプリを起動させる。
このアプリはスマホの画面に写した相手に照準を合わせ、画面をタップすると鉛玉が発射される。
タタタタタタッ
僕がスマホを連続でタップすると、礫のようにタップした回数分の鉛玉が発射され、角ウサギたちに一直線に向かっていく。
それはまるでマシンガンだ。
鉛玉は次々と角ウサギたちを貫通し、みるみるうちにその数を減らしていく。
「ヒュー、やるじゃん旦那」
セリナはそうつぶやきながら、攻撃の手を加速させる。
セリナの攻撃も見事だ。
角ウサギなど敵ではないかの如く、剣を振るうたびに確実に仕留めていく。
「もういいだろう」
防御役に徹していたアインツも剣を構え、角ウサギに切りかかる。
アインツの攻撃も見事だ。セリナに勝るとも劣らない剣さばきで角ウサギたちを沈めていった。
およそ20分で、角ウサギたちは全滅した。
ビービービー
僕のスマホのアラームが鳴り響く。
増援だ。
角ウサギたちの第2陣が現れたのだ。
その数は同じく30体ほど。
前回と同じく村の側面から一丸となって、向かっている。
「角ウサギたちが来る!みんな元の配置に戻って!」
僕は大声を張り上げ、仲間たちに伝える。
即座に配置に戻り、構えるアインツたち。
「鉄壁防御!」
アインツはスキルを使用し、自ら角ウサギたちのヘイトを集めた。
さきほどと全く同じ展開だ。
ただ、妙に胸騒ぎがするのはなぜだろう。
少しずつ辺りは暗くなってきている。
これ以上暗くなると、角ウサギたちを視認するのは困難になるだろう。
迅速にやつらを倒してしまければならない。
ドドドドド
足音が値がづいてきた。
……妙だ。
足音が先ほどとどこか違うのだ。
同じような足音の中に、一際大きく聞こえる足音がある。
言葉で説明することは難しい。
例えるならクラッシックコンサートで使用される楽器の中に、一つだけのエレキギターが紛れているかのようだ。
僕のその危惧は的中した。
迫りくる角ウサギたちの群れの中で、一体だけ先行して突進してくるのだ。
体長は他の角ウサギの10倍はあろう巨体で、角も体調に比例して太く長い。
おそらくこいつが角ウサギを指揮していたのだろう。
仲間が倒されて逆上したのか。
なんにせよ、単体突撃は無謀だ。
仲間が追い付いてくる前に倒してしまわなければ。
巨大なボスウサギはグングンとその距離を詰めてくる。
罠ゾーンを難なく駆け抜け、一直線にアインツ目がけて突っ込んできた。
アインツもしっかりと盾を構えて完全防御態勢だ。
腰をしっかりと落とし、衝撃に耐える準備をしている。
グワッシャーン
激しい金属音が静かな村に響き渡る。
アインツとボスウサギが真正面からぶつかった。
しかし、吹き飛ばされたのはアインツの方だった……!
数メートルほど後方に弾き飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がる。
幸い大きなダメージは受けていないようだ。
すぐに立ち上がり、盾を構える。
追撃をかけるボスウサギ。
地面を強く蹴り、勢いをつけながら突進した。
サシュッ
側面から飛び出したセリナが、深々とその剣をボスウサギの背中に突き刺したのだ。
赤い血をまき散らしながら、悶えるボスウサギ。
セリナは剣を引き抜き、とどめを刺そうと剣を振り上げた。
しかし、ボスウサギの攻撃の方が早かった。
急に反転したかと思えば、がら空きのセリナの銅を角で薙いだのだ。
咄嗟にかわすセリナだったが、完全にはよけきれなかった。
胴から血を吹き出し、その場にうずくまってしまった。
僕とミトラは屋根の上から弓矢と鉛玉で応戦。
1発、2発、3発。
僕らの攻撃がボスウサギに命中するも、一向に動きを止める様子はない。
そのままの勢いのままアインツと激突、
アインツは吹き飛ばされて壁に激突し、そのまま動かなくなった。
そこへ遅れて追走していた角ウサギたちの群れも合流した。
このままではアインツやセリナが殺される……
幸いアインツが意識を失ったためか、アインツに対するヘイトは解除されているようだ。
やつらの注意を引きつけないと。
僕とミトラは角ウサギの集団に向かって、ありったけの矢や鉛玉を放出した。
しかし、暗くなったためか照準が定まらない。
奇襲攻撃をかけたのにも関わらず、2体の角ウサギしかしとめることができなかった。
「ブッ、ブー」
ボスウサギが鳴き声に似た音を出すと、角ウサギたちはみな僕らの方を振り返った。
次の瞬間角ウサギたちは、僕らがいる家屋に向かって一斉に突進を始めたのだ。
ズシン!ズシン!
角ウサギが突進するたびに、家屋が揺れる。
もはや立っていることは出来ない。少しでも気を抜くと振り落とされそうだ。
ミトラは弓を置き、しゃがみ込んでしっかりと屋根にしがみついている。
この状態では戦闘どころではない。
角ウサギの攻撃が病むまで、ただ耐えるしかないのだ。
しかし、それを許すほど角ウサギたちも甘くはない。
家屋の段になっているところに飛び移り、屋根に登ってこようとしている。
僕はその度にスマホで角ウサギをフリックして地面に落とすのだが、このままではジリ貧だ。
どうすればいい?
その時、傍観していたボスウサギが態勢を低くして、突進の構えをとった。
や、やばい。
ボスウサギは、勢いをつけてミトラのいる家屋へと突進したのだ。
ドーン、ガラガラガラ……
村中に響き渡るような轟音をあげて、ミトラのいた家屋は崩れ去ってしまった。
ミトラは空中に舞い上がり、そのまま勢いをつけて地面に落下した。
激しく地面に激突したミトラは、地面をバウンドした後にそのまま倒れて動かなくなった。
「ミトラッ!」
僕は屋根から飛び降り、ミトラを抱き起こす。
ミトラの意識はないものの、苦しそうなうめき声が聞こえる。
よかった、息がある。
でも、それがどうした?
今立っているのは僕一人で、周りを敵に囲まれている。
まさに絶体絶命なのだ。
今度はボスウサギが僕に向かって突進してきた。
もう逃げられない。
僕はミトラをかばうように角ウサギに背を向け、ギューッとミトラを抱きしめた。
ボスウサギは僕を突き刺すべく、角を向けて突進してきた。
突き刺さったかと思った瞬間、ボスウサギの角は僕の背中でピタッと止まった。
まるで運動量保存の法則を無視するかの如く、僕に衝突したはずのボスウサギの力が僕に当たった瞬間に無になったのだ。
必死で僕を押そうとするボスウサギだったが、僕の体は一ミリたりともその場から動かない。
痛みも衝撃も感じない。
まったくボスウサギの攻撃は僕には通じないのだ。
まさか僕が着ているスーツによるマジックアイテムの力だろうか?
だとしたら圧倒的だ。
物理攻撃をぶつかった衝撃も含めて無効にできるとは、チート以外の何ものではない。
「吠えてください」
僕の耳にチャットGOTの声が聞こえてきた。
どうやら自動的に起動したようだ。
でも、吠えるって……?
「どんな形でも良いです。吠えてください」
これでいいの、ぐわぁぁ。
「グォオオオオン」
ぼくが鳴き声を出そうとすると、トラの仮面の奥底から低く、力強い音が発せられた。
ビリビリと空気が震え、静かな村中におぞましい声が響き渡る。
その声に恐れを抱いた角ウサギたちは、震えながらその場にうずくまってしまった。
ボスウサギも例外ではない。
ブルブルと震えながら動きを停止する。
必死で動こうとするも、ピクリとも体を動かすことができないようだ。
怒りとも恐れとも取れる目で、しゃがみこんだまま僕を見ている。
ザシュッ
ボスウサギの脳天から顎にかけて、深々と剣が突き刺さる。
セリナだ。
セリナが動きを止めたボスウサギの頭を、後ろから突き刺したのだ。
「ピッ、ピィィィ……」
小さくうめき声をあげたボスウサギだったが、そのまま地面に倒れ、ピクピクと痙攣の後全く動かなくなった。
「へへっ、やったぜ」
セリナはそう呟くと、地面に倒れ込み意識を失った。
「キューィ、キューィ」
ボスウサギを失った角ウサギたちへの【威嚇】の効果が切れたらしい。
動けるようになった瞬間に、散り散りになりながら村から逃げ出したのだ。
こうして角ウサギたちを討伐した。
僕もその場に倒れ込みたいほど消耗していたが、この場で傷を回復できる【ヒールライト】を持つのは僕だけだ。
僕はスマホを持ちながら立ち上がり、傷ついた仲間の方に向かって歩いて行った。
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