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12店目「異世界のデザートは食感が特徴的!?中編」
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「ねぇ、ミツル!」
街へ出かけようとした僕の腕に、後ろからミトラに引っ張られた。
「ミツル、ちょっと付き合ってくれない?」
甘えるような目で、ミトラは僕の目を見つめる。
「別にいいけど、どこに行くの?」
「職業訓練場よ。ギルド長は私に狩人の才能があるって言ってたじゃない?だから確かめに行くのよ」
職業訓練場とは与えられた職業のスキルを高めたり、与えられた職業に能力が見合っていなければ訓練して補う施設である。
また、別の職業に転職する際にその転職する資格があるかを鑑定してくれたり、転職するために必要な技能や経験を訓練してくれる施設だ。
また、16歳未満の冒険者を希望する人が、必要な技能を知識を学ぶ施設としても用いられる。
この国独自の施設で、冒険者ギルド長が考案して設立させたという。
本当に何者なんだ、あの男。
「分かった。ついて行くよ」
「やったー。ミツルならそう言ってくれると思ってたわ」
ミトラは前回のクエストで、自信が役に立たなかったという念が捨てきれないらしい。
そのため、少しでも役に立ちそうな手段を模索しているように感じる。
「私ね、私のすばしっこさを活かせる職業として盗賊を選んだの。だからそこまで強い思い入れがあるわけじゃないの。私に狩人の適正があるなら、そっちの方がいいと思うのよ」
「うん、確かにミトラの弓矢は凄かった。あんなに正確な射撃は僕には到底無理だ」
職業訓練場は冒険者ギルドの隣にある。
一見普通の建物だが、地下に広い訓練室があるという。
僕らは扉を開け中に入る。
職業訓練場も冒険者ギルドとよく似た造りのようだ。
カウンターに受付嬢たちが立っており、その前に冒険者や見習いたちが並ぶ。
カウンターの種類は4種類。
「技能・スキル訓練」「冒険者見習い受付」「転職相談」「転職受付」とカウンターに書かれている。
僕らは「転職相談」の列に並ぶ。
幸いこのカウンターにはほとんど並んでおらず、ほどなくして僕らの順番が回ってきた。
「こんにちは、こちらは転職について相談を承っております。あっ、ミトラさん。今日はどうしたの?」
ミトラは冒険者見習の時から、職業訓練場に通っているらしい。
そのため、ミトラのことはよく知られているようだ。
「こんにちはサリー。私ある人に『狩人』の才能があるって言われたの。それで本当に才能があるか審査してもらおうと思って」
「ある人ってギルド長でしょ?あの人私たちの仕事を増やしてくれるので困っちゃうわ」
どうやらギルド長は転職について、ミトラだけじゃなく他の者にも言っているようだ。
急にうさん臭く感じ始めたのは気のせいだろうか。
「でもギルド長の指摘って、意外と合っているのよね。私も何人かの冒険者の転職をおすすめしたわ」
「ねぇ、早く私も審査してよ、もう待ちきれないわ」
ミトラはサリーの話をさえぎって、体を前に乗り出す。
「ええ、分かったわ。どの職業の適性を見たいの?」
「狩人!私に狩人の適性があるかみて欲しいの!」
「そう、ならこの石に『狩人』と念じて手をかざして頂戴」
サリーは青光りする手のひらサイズの石を取り出し、カウンターの上にゴトッと置いた。
「これにてをかざせばいいのね?」
「ええ、石が赤色に変わったら適正ありね。何も変わらなかったらあきらめてね」
ミトラは『狩人』と繰り返しながら手を石にかざす。
すると、すぐに石の色が変化し始める。
まるで夜明けの海が朝日に照らされて赤く染まるように、ゆっくりと変化していった。
「きれい」
思わずミトラが感嘆の声をあげる。
もちろん、色の変化に感動したのでは無いだろう。
ミトラ自身の新たな可能性を感じ、安堵の声が漏れたのだろう。
やがて石は真っ赤に染まった。
「はいミトラ、『狩人』の適性は間違いなさそうね。私の方で推薦状を書いておくから、後で転職受付で手続きをしてね」
サリーは隣のカウンターを指さし、ニコッと微笑んだ。
「これ、僕もやってもいいか?」
僕は自分の興味を抑えきれず、サリーに頼む。
「いいわよ。どの職業を試すの?同じく『狩人』それとも『戦士』かしら?」
「取りあえず、一通り試してみる」
僕はミトラと同じように『狩人』を念じ、石に手を伸ばした。
すると、みるみる石が赤色に変化し始める。
驚くサリーだったが、ミトラはさも当然というように驚いた素振りすらない。
僕が手を離すと石は、徐々に青色に戻った。
今度は『戦士』と念じ、石に手をかざす。
『狩人』の時と同じように、石は赤色へと変化する。
やっぱり。
僕にはある種の確信があった。
チートスキルすらもらえなかったものの、僕の存在自体がこの世界ではチートなのだ。
もしくはこのマジックアイテムたちのおかげかもしれない。
僕が危険回避ができるために、チャラ神様なりの保証なのだろう。
『武闘家』『魔法使い』『賢者』『ダンサー』など僕が念じた職業は、全て適正ありと判断された。
それがたとえ『賢者』や『勇者』、『魔王』などのレアクラスであってもだ。
「ミトラ、あんたの連れって何者なの?」
サリーが狼狽気味の表情でミトラに聞くも、「だってミツルだもの」と一蹴された。
転職の資格を得たミトラは、転職受付のカウンターについた。
転職受付の受付嬢は、長身で知的そうなメガネ美女。
腰まで届く青色のストレートヘアーが印象的だ。
「ミトラさん、推薦状を受けとりました。それでは本日転職を行いますか?」
「はい、お願いします」
「承知いたしました。それでは隣の通路を真っすぐ進んで、『転職の間』の前でお待ちください。
メガネ美女は僕らを部屋の前に案内し、しばらく待つようにと伝えた。
転職の間と呼ばれる部屋は、一際異質な真っ黒のドアの向こうにある。
黒い扉には炎の形をした赤いレリーフが彫られている。
するとすぐに扉の向こうから声が聞こえてきた。
「ミトラさん、転職の儀を行います。扉から中へお入りください」
低い声をした年配の女性の声のようだ。
おそらく転職の儀を取り仕切る者だろう。
「じゃあミツル、行ってくるね」
ミトラはそう言うと扉を開け、部屋の中へと入っていった。
街へ出かけようとした僕の腕に、後ろからミトラに引っ張られた。
「ミツル、ちょっと付き合ってくれない?」
甘えるような目で、ミトラは僕の目を見つめる。
「別にいいけど、どこに行くの?」
「職業訓練場よ。ギルド長は私に狩人の才能があるって言ってたじゃない?だから確かめに行くのよ」
職業訓練場とは与えられた職業のスキルを高めたり、与えられた職業に能力が見合っていなければ訓練して補う施設である。
また、別の職業に転職する際にその転職する資格があるかを鑑定してくれたり、転職するために必要な技能や経験を訓練してくれる施設だ。
また、16歳未満の冒険者を希望する人が、必要な技能を知識を学ぶ施設としても用いられる。
この国独自の施設で、冒険者ギルド長が考案して設立させたという。
本当に何者なんだ、あの男。
「分かった。ついて行くよ」
「やったー。ミツルならそう言ってくれると思ってたわ」
ミトラは前回のクエストで、自信が役に立たなかったという念が捨てきれないらしい。
そのため、少しでも役に立ちそうな手段を模索しているように感じる。
「私ね、私のすばしっこさを活かせる職業として盗賊を選んだの。だからそこまで強い思い入れがあるわけじゃないの。私に狩人の適正があるなら、そっちの方がいいと思うのよ」
「うん、確かにミトラの弓矢は凄かった。あんなに正確な射撃は僕には到底無理だ」
職業訓練場は冒険者ギルドの隣にある。
一見普通の建物だが、地下に広い訓練室があるという。
僕らは扉を開け中に入る。
職業訓練場も冒険者ギルドとよく似た造りのようだ。
カウンターに受付嬢たちが立っており、その前に冒険者や見習いたちが並ぶ。
カウンターの種類は4種類。
「技能・スキル訓練」「冒険者見習い受付」「転職相談」「転職受付」とカウンターに書かれている。
僕らは「転職相談」の列に並ぶ。
幸いこのカウンターにはほとんど並んでおらず、ほどなくして僕らの順番が回ってきた。
「こんにちは、こちらは転職について相談を承っております。あっ、ミトラさん。今日はどうしたの?」
ミトラは冒険者見習の時から、職業訓練場に通っているらしい。
そのため、ミトラのことはよく知られているようだ。
「こんにちはサリー。私ある人に『狩人』の才能があるって言われたの。それで本当に才能があるか審査してもらおうと思って」
「ある人ってギルド長でしょ?あの人私たちの仕事を増やしてくれるので困っちゃうわ」
どうやらギルド長は転職について、ミトラだけじゃなく他の者にも言っているようだ。
急にうさん臭く感じ始めたのは気のせいだろうか。
「でもギルド長の指摘って、意外と合っているのよね。私も何人かの冒険者の転職をおすすめしたわ」
「ねぇ、早く私も審査してよ、もう待ちきれないわ」
ミトラはサリーの話をさえぎって、体を前に乗り出す。
「ええ、分かったわ。どの職業の適性を見たいの?」
「狩人!私に狩人の適性があるかみて欲しいの!」
「そう、ならこの石に『狩人』と念じて手をかざして頂戴」
サリーは青光りする手のひらサイズの石を取り出し、カウンターの上にゴトッと置いた。
「これにてをかざせばいいのね?」
「ええ、石が赤色に変わったら適正ありね。何も変わらなかったらあきらめてね」
ミトラは『狩人』と繰り返しながら手を石にかざす。
すると、すぐに石の色が変化し始める。
まるで夜明けの海が朝日に照らされて赤く染まるように、ゆっくりと変化していった。
「きれい」
思わずミトラが感嘆の声をあげる。
もちろん、色の変化に感動したのでは無いだろう。
ミトラ自身の新たな可能性を感じ、安堵の声が漏れたのだろう。
やがて石は真っ赤に染まった。
「はいミトラ、『狩人』の適性は間違いなさそうね。私の方で推薦状を書いておくから、後で転職受付で手続きをしてね」
サリーは隣のカウンターを指さし、ニコッと微笑んだ。
「これ、僕もやってもいいか?」
僕は自分の興味を抑えきれず、サリーに頼む。
「いいわよ。どの職業を試すの?同じく『狩人』それとも『戦士』かしら?」
「取りあえず、一通り試してみる」
僕はミトラと同じように『狩人』を念じ、石に手を伸ばした。
すると、みるみる石が赤色に変化し始める。
驚くサリーだったが、ミトラはさも当然というように驚いた素振りすらない。
僕が手を離すと石は、徐々に青色に戻った。
今度は『戦士』と念じ、石に手をかざす。
『狩人』の時と同じように、石は赤色へと変化する。
やっぱり。
僕にはある種の確信があった。
チートスキルすらもらえなかったものの、僕の存在自体がこの世界ではチートなのだ。
もしくはこのマジックアイテムたちのおかげかもしれない。
僕が危険回避ができるために、チャラ神様なりの保証なのだろう。
『武闘家』『魔法使い』『賢者』『ダンサー』など僕が念じた職業は、全て適正ありと判断された。
それがたとえ『賢者』や『勇者』、『魔王』などのレアクラスであってもだ。
「ミトラ、あんたの連れって何者なの?」
サリーが狼狽気味の表情でミトラに聞くも、「だってミツルだもの」と一蹴された。
転職の資格を得たミトラは、転職受付のカウンターについた。
転職受付の受付嬢は、長身で知的そうなメガネ美女。
腰まで届く青色のストレートヘアーが印象的だ。
「ミトラさん、推薦状を受けとりました。それでは本日転職を行いますか?」
「はい、お願いします」
「承知いたしました。それでは隣の通路を真っすぐ進んで、『転職の間』の前でお待ちください。
メガネ美女は僕らを部屋の前に案内し、しばらく待つようにと伝えた。
転職の間と呼ばれる部屋は、一際異質な真っ黒のドアの向こうにある。
黒い扉には炎の形をした赤いレリーフが彫られている。
するとすぐに扉の向こうから声が聞こえてきた。
「ミトラさん、転職の儀を行います。扉から中へお入りください」
低い声をした年配の女性の声のようだ。
おそらく転職の儀を取り仕切る者だろう。
「じゃあミツル、行ってくるね」
ミトラはそう言うと扉を開け、部屋の中へと入っていった。
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