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初チュー!なのに?
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しおりを挟む思っていたよりも派手な音がして、貴也の顔が横を向いた。
唇の端が少し切れて血が滲むのを見てゆうみはあっと口を掌で押さえる。
「ご……ごめんっ……
貴也……大丈……あっ」
貴也の頬に触れようと手を出すと、乱暴に掴まれ唇を奪われた。
苦い鉄みたいな味がする。
ゆうみは、貴也の胸を叩いて必死に抵抗したが、貴也の腕の力は強まるばかりだ。
貴也の舌が、ゆうみの唇に割って入って行こうとするが、ゆうみはガンとしてそれを拒む。
貴也は一度唇を離すと苦く笑った。
その唇は血のせいか紅く染まり、貴也を異様に色っぽく見せていた。
「全く……
どうしようもねえ強情女だな!」
「そ……っそれ以上何かしたら、許さないから――っ」
ゆうみは、毛布で身体を隠して怒鳴ろうとするが、震えてしまい掠れ声しか出ない。
いつの間にか、涙も流していた。
貴也は悲しそうな顔をしてゆうみの涙を指で拭うが、ゆうみは内心
(あんたが悲しい顔をしてんじゃないわよ――!
王子の為に取っておいた……このピュアなっピュアなマイリップを穢しやがってえええっ)
と呪いの絶叫を浴びせたかったが、如何にせん、今の状況はゆうみに圧倒的に不利だ。
貴也が本気になれば、ゆうみの純潔は簡単に奪われてしまう。
もしもそんな事になれば、ゆうみと貴也の親達は大喜びして、二人を直ぐに結婚させようとするに違いない。
「……うっ……ふえっ……ぐひんっ」
「泣くなよ……ゆうみ……」
貴也が、二歳児の様にしゃくりあげるゆうみをそっと抱き締めるが、ゆうみはその腕に噛みついた。
「で――――っ」
貴也は腕を押さえてベッドから転がり落ちた。
ゆうみは、ベッドから抜け出そうとするが、力が入らずに毛布が脚に縺れ、立ち上がる事が出来ない。
貴也が腕を押さえながらまたベッドに這い上がって来て、ゆうみは絶叫した。
「だからっ……
おま……とこと……ん……ありえねぇっ」
貴也は呻くと、ゆうみを再び押し倒した。
「や……やだってばあ!
何で、何で私を手籠めにしようとするのよ――!
あんたに、何のメリットがあるのさ――!」
「……本当に有り得ねぇ、お前……
何で、わかんないんだよ……」
貴也は、焦れた様にゆうみの唇を指で摘まみ、真っ赤になって言った。
「お前が、好きだからに決まってるだろ!」
「――!?」
ゆうみは目を真ん丸にして、貴也を見つめた。
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