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貴也参上!
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しおりを挟む「まあ……その坪は、社長がインドで買ってきた魔除けの壺らしいよね……
何でも、かなり値を張る代物だったとか……
でも何故にそんな高価な大切な物を此処に置くのか理解出来ないんだけど……」
茂野は何処から取り出したのか、虫眼鏡で坪の表面に描かれている曼荼羅模様に見いる。
インドも曼荼羅模も社長もどうでも良く、頭の中ではゆうみとのラブラブ鍋ナイト――ラブラブになるかどうかは置いといて――の妄想で一杯の貴也は、背伸びをして開発課の中を窺う。
「あの……ゆうみは」
「ああ――そうだった!
玉子君を探しに出ていってから戻って来ないんだよね……
どうしたんだろう、て今皆で話してた処だよ」
「――な、何イっ……?
玉子だって――!?」
貴也は目の色を変えた。
ウイリアム・アレキサンダー・玉子。
この無敵感漂う名前からして気に入らないが、きゃつはどういう訳かゆうみに狙いを付けていて、毎日の様に口説いているらしい。
いや、奴の場合は口も手も早いらしいから、なお危険だ。デンジャラス!
まあ、貴也も今までにゆうみには色々としているので人の事は言えないが……そこは……いわゆるひとつの
「自分の事は棚に上げる☆」ってやつだ。
(帰国子女だか女子だか王子だかウイル様だか何だか知らないが、俺はずっとゆうみの側にいたんだ。
それをいきなり現れてかっさらう様な真似をするなんて、許しがたい。
貴也様のスーパーキックをお見舞いしてやっつけるのもいいが、幼馴染みで隣同士という有利な立場に居る俺は、奴にハンデをくれてやってもいいのかも知れん。
いくら金髪で青い目でゆうみの好みのルックスだからって、貴也様に勝てるとも限らないぞ!
いや、俺はお前よりも先に今夜バシッと決めて、ゆうみをゲットしてみせるぜ――!
ふふふ、ふはははははは)
「は――っはっはっはっは……は――っはははは」
本当に声を出して高笑いする貴也を、茂野は一歩引いて顔をひきつらせて見ていた。
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