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ヒロインを助けるのは、ダレ?

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「たかぴー……全部声に出てるし」



 鈴が転がるような笑いと共に美しい声で囁くように額と額をくっ付けたまま玉子に言われ、貴也は目を真ん丸に開いたまま固まった。



(てか、呑気なお喋りをしてる場合じゃないんだよね)



 玉子は眠るゆうみをチラリと見、内心焦れていたが、ドウルドウル低く呟いて二人を凝視する昌美をどうしたものか、と考えあぐねていた。

 玉子が何かを言う前に、昌美が再び絶叫した。



「ぴっへえええええーーーー!何なの何なのこれええーー!どういう状況なのかしらーー!ゆうみを巡って萩原貴也VS玉子君の大立ちまわりーー?で、死闘を繰り広げる二人の中に割って入ったゆうみが運悪く萩原君と頭ゴチーンしてえーー!で二人とも気絶しちゃって?でっ!ついでに男達の間には憎しみを越えた愛が芽生えちゃったーーっていう所かしらーーっ!素敵……素敵だわあーーっドウルドウルドウル」







「ひいい」


 貴也は、昌美の大音量の叫び声に戦きながら耳を塞ぐ。


「まあ……うん……そんな所かなあ」



 玉子は目をしばたかせ、半分呆気に取られながらも好都合とばかりに頷く。

 貴也は目を剥いて抗議の意味でおっ立てた中指を玉子に向けるが、玉子は魅惑的な流し目を彼に送り、言った。




「たかぴー……なあに?ファック?……いいよ?お望みならね」

「ーー!ばーー違ーーっ」

「うぴゃあああーーマジだわ!マジほんま物のびーえるよーー!うっほうっほほほほーーっ」




 しょうもない誤解が更にしょうもない誤解を生み、ギャアギャア騒いでいると、資料室に鉄平が血相を変えて走り込んできた。



「あーーっ!やっぱりまだ皆ここにいた!もー丸谷さん!探しに行くとか行っていつまでも戻って来ないから!萩原さんも!」





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