異世界に行きたいと願ったら、世界異変が起きていた。

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第0話

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俺は、佐藤 透さとう とおる
平凡な高校2年生だ。これと言った特技は無い。趣味はと言うと、強いて言うならラノベを読むことだ。特に、最近の流行は異世界転移・転生ものだ。

平凡な日々を過ごしていた主人公がある日、異界の魔法陣等によって異世界へと飛ばされ様々な冒険をし、数多の戦いを経て強くなるという何ともまぁ男心をくすぐる題材だ。

無論、この俺もこのジャンルにハマってしまった1人なのだが、俺は2年前の7月7日から願い続けていることがある。そう、それこそが異世界転移だ。

何故危険な異世界にわざわざ行きたいのかと聞かれれば答えは簡単、男ならば憧れる明確な強さが欲しいからだ。勿論、平凡な日々も捨てがたいが何をするにも力がいる。それは、絶対的な暴力であったり、人力であったり、財力であったり、権力であったり。

このどれもが今の俺にはない、決して努力していない訳では無いが足りないのだ。全てにおいて。ならば、願う他ない、神様とヤラに。そう思って毎日寝る前に願っているんだが、叶えられたことは1度もない。

「今日も無理か…、起きたら何か変わっているといいが…」

布団を被り、そのまま眠りについた。

━━━━━━━━━━次の日。

朝目覚めると、窓の外から騒音が聞こえてきた。悲鳴や怒声、更には聞いたことの無いような生き物の声。慌てて起き上がり窓へと慎重に近づき外の様子を見ると辺りは壮絶な惨状へと変貌していた。

緑の、それも尖った耳が生えている子ども程度の身長の生き物が大人と子どもを無差別に殺していた。さらに言えば豚みたいなやつが二足歩行で走りながら女性を追っていたり、それと対峙して戦っているやつなんかもいた。俺は、始めてみるその光景に酷く吐き気を催したが何故か冷静に物事を考え始めていた。

(あれは、ゴブリンとオークっぽいな…リアルだとあんなに気持ち悪いのかよ…。戦っていた女の子、明らかに騎士って感じだったがあれはこの世界の人間ではないのでは…。だとすれば何か知っている可能性が高いな、一先ずあの子を追うか)

因みに俺の両親は、基本的に家には居らず海外で仕事をしている為安否確認は出来ていない。むしろこんな状況だ、電話回線自体混みあってまともに掛けれないだろうしな。

ハンガーにかけてあった制服に着替え、1階へと降り、武器になりそうな包丁や箒の棒の部分に2つ目の包丁をガムテープでグルグルに巻き付けた武器を作り外へ出る。慎重に家の前まで出るとさっきの女騎士がオークを殺し終えたらしくこちらに向かってきていた。

「君!どうやら間に合ったようでよかったよ、私はフィーラ。この状況を説明したいから1度君の家にお邪魔させてもらってもいいかな?」

近くで見ると尚のこと、すごい美人だ。金髪碧眼って言うのを初めて見たせいなのもあるだろうがそれだけじゃなくて軽装の上からでも分かる抜群のプロポーション。当然俺は、この状況を理解しておきたい半分、下心半分で家へと上げた。

「さて、先ずは事の発端から説明しようかな。今回の件は私たちの世界…つまり君からすると異世界の女神様がヘマやらかしてくれたお陰でこんな大惨事になってしまったの」

つらつらと丁寧に説明してくれた内容を纏めるとこうだ。

・異世界の女神様が管理していた世界の善悪の調整を誤り滅ぼした挙句、証拠隠滅の為に異世界の法則をこの地球に合成させたらしい。

・地球の神も勝手に合成させた女神にキレ、元々異世界の住人であるフィーラ達を地球に生き返らせ魔物との戦闘に対抗出来るようにしたかったらしいが、思った以上に女神が邪魔してきたらしく蘇生に時間がかかり、結果としてかなりの犠牲が出てしまった。

「まぁ、この知識も地球の神様に貰ったものなんだけどさ。さて、大事な事をもう1つ、さっき異世界の法則そのものを合成されたって言ったよね?つまりそれは、ここ地球には本来ない魔力やスキルの類が発生したんだ。実際にそれは見た方が早いんじゃないかな?"ステータス"と言ってみて」

俺は、この状況でワクワクしてしまっている自分に苛立ちを覚えながらもステータスと唱えた。すると目の前に薄い板が出現した。

━━━━━━━━━━━━━━━
名前:佐藤 透
年齢:17歳
性別:男
職業:観測者Lv1

Lv1
HP(生命力)30/30
MP(魔力) 18/18

STR(力)          :7
DEX(器用)      :50
VIT(物理防御):3
AGI(敏捷)       :4
INT(知力)       :14
MND(精神力) :47
LUK(運)          :3

パッシブスキル
・料理Lv2
・掃除Lv2

アクティブスキル
・恐怖耐性Lv1
・装備作成Lv1

ユニークスキル
・祈り
・疑似体験

称号
・器用貧乏
・祈る者
・秘めたる意思
・偽善者
・願望達成者
━━━━━━━━━━━━━━━

「見た所、強いとは思えませんが…」

「んー、どれどれ…。いや、ユニークスキルが2つもあるじゃないか!ステータスの弱さに目がいくのも分かるがまずはその2つのスキルの項目を選択して詳しく見てみたまえ。ユニークスキルの詳細については本人しか見れないものだから、他人に話してはダメだよ」

そう言われ、選択してみることに。

━━━━━━━━━━━━━━━

・祈り
  大いなる力によってあらゆる因果を捻じ曲げ、使用者の願いを叶える。但し、悪用しようとした場合自信に不幸が降り掛かる。

・疑似体験
  武器や道具を手にした時に、前の所持者の経験を無理矢理、体験させられる。実際何かをする訳では無いが脳内ではその経験を自分でやったかのように置き換えられる。

━━━━━━━━━━━━━━━

ユニークスキルである片方の能力について、興味をもった俺は早速実行してみることにした。

「すいません、フィーラさんその剣ってどのくらい使われてます?」

「いきなりだな…えーっと私が騎士団に着任してからだから、約13年くらいだったハズだが。それがどうしたんだ?」

「いえ、急なんですけど少しその剣に触れて見ても良いですか?」

「構わないが…この剣は特別製だから迂闊に触れると弾かれるぞ」

俺はそっと、なぞるように触れてみると様々な情報が凝縮して入ってきた。入団式、訓練、魔物との遭遇戦、他国との戦争、騎士団長への任命式、ダンジョンへの挑戦、強者との技の競い合い、それら全てをまるで"俺が行ってきたか"のような感覚に襲われる。人を殺す感触、仲間が死んでいく瞬間、傷を負う痛み、最後は兵を逃がす為に1人残って魔物の大群を前に命を散らし、乾いた笑顔で一生が終わる。

垣間見える記憶から何とか理性を保ちつつ、頭を右手で抑えながら、身体中から嫌な汗が流れる。

「どうした!?様子が変だぞ!」

「だ…大丈夫…です、ちょっと目眩が…ぐっ…あぁぁぁぁぁぁ!!!」

駆け寄ってきたフィーラさんに、心配をかけない様に笑ってみせたが身体中が燃えるように暑い。情けなく蹲りながら、ブチブチと体の内部構造が破壊されていく音が聞こえ、遂には意識を失った。


    
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