赤いトラロープ〜たぶん、きっと運命の

ようさん

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⭐︎全世界の飲み会幹事とパーティのホスト役の皆様、お疲れ様でございます。

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 そうは言っても、バーテンダー役として入れ替わり立ち替わりやって来る部下をもてなした後、腹を空かせながら手巻き寿司に悪戦苦闘する玄英の様子はチラ見していてなかなか不憫なものがあった。巻いて食わせてやるのはやぶさかでない。

 客は腹が満たされた順にリビングに戻り、談笑したり、ボードゲームやダーツに興じたりしていた。バーカウンターのみならず、ダーツコーナーまであるリビングってどうなのよ?

 バーカウンターには古賀さんが立ち、食後のコーヒーを振る舞っている。この人もそうだな。

 俺はさっき古賀さんと掛けていた椅子を二つ、調理台のそばに持って来た。

「おい。お前の分作ってやるから、ここ座れ」

 好き嫌いの少ない玄英だが、好物と思われるネタをいくつか別に、冷蔵庫に取っておいてあった。
 適当に見つくろっていくつか巻いて出してやる。

「バーテンダー、頑張ってたもんな。腹減ってるだろう」

 横目で見てずっと気になっていた多国籍な持ち寄り料理の残りを回収して戻って来ると、玄英は手巻き寿司に全く手をつけずにじっと皿を眺めていた。

「あれ?どうした。気に入らなかった?」

 俺が隣に座るとすかさず、玄英が長身を折り曲げて肩に頭を乗せて来た。

「……おい……何、雛みたいに口開けて待ってんだよ。可愛くねえぞ」

 いや、可愛い。さっきまでスパダリバーテンダーだった人が、ここまでなりふり構わず甘えるもん?ギャップ萌え効果で超絶可愛い。
 隙あらば(飯粒つけたまま!)べたべたくっついてこようとするから可愛さと鬱陶しさの割合が二対八くらいだけど(ああ、ほっぺの飯粒このまま食いたい)

「お腹空いたよう。シェイカー振りすぎて、腕が動かない」

「二日おきにジムでバーベル上げてる奴が何言ってんだか。ここまでやってやったんだから、食うくらい自分でしろ」

「ご主人様の巻いたお寿司、綺麗だから。潰したり、こぼしちゃうのもったいないから自分で食べられなーい」

「甘ったれんな。人前でその呼び方すんなって何度……」

「食べさせてくれたらちゃんと名前で呼んであげる」

 つき合い始めてわかったんだが、こいつは一旦甘やかすとエベレストの天辺までつけ上がるタイプだ。

「日本男児は人前でベタベタしねえんだよ」とブツクサ言いながらしぶしぶ口まで運んでやると、この上なく至福の笑みを浮かべて頬張る。

「美味しい……恒星って、本当に料理上手だね」

「このくらい、誰にだってできんだよ。次、何食う?」

 何だかんだ、俺はこいつに弱い。

「手先も器用だし、自慢のご主人様」

「どさくさに紛れて人の指をしゃぶるな。食わせてやってんだから、その呼び方やめろ」

「大丈夫。みんなネイティヴじゃないし、日本語の細かいニュアンスまでわかんないよ」

「大丈夫じゃねえよ、古賀さんだっていんのに。俺が食えねえからちょっと離れてろ」

 巻いて玄英に食べさせて、などと行儀よくやっていたら永遠に自分の分の手巻き寿司が口に入らないと気づいたので、どうにかこうにか奴を引っ剥がした。で、片手で玄英に食わせてる隙に片手で自分の分を巻く。ここまで来ると自分の器用さに我ながら感心する。
「何であんたができないのか逆に不思議だわ。器用も何もないだろ、こんなん。ただ海苔を広げて食いたいもんを適当に乗せてこう、クルクルっと……」

「恒星の手さばきが美しいんだよ。縛られてる最中なんて僕、毎回見惚れてーー」

「黙れ馬鹿野郎」

 公衆の面前で何てこと抜かしやがる。

「あ」

「どうした?もう腹一杯か?」 
 
 玄英が耳元に唇を寄せて囁いた。

「ご主人様、どうしよう……興奮して◯っちゃった……」
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