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ガルテン松山、危機一髪!
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「玄英もあなたも公私混同を嫌うのはよく知っていますが、彼は私が説得しますので」
あの。俺の話、聞いてました?
「君が社長秘書なら玄英も満更じゃないと思うんです。もちろん、それなりの待遇でお迎えしますよ」
「野暮は勘弁ですよ。せっかくお洒落なSDGsブランドで売ってる会社なのに、愛人がシャシャり出て社長秘書やってるとか。昭和のドロ沼サスペンスですか」
「え、恒星、玄英の婚約者じゃなくて愛人なの?」
ボケ方!
「違いますけどっ!」
「愛人だろうが私情挟んでようが、報酬並の結果さえ出してくれたら誰も文句は言いませんよ」
これだからアメリカ型企業ってやつは……
いや、日本型企業は先進国でも生産性低いって言われてるし。成果第一主義ってのは真似すべきなのか?
「こんな状況だし、万一あれこれ会社バレしたら転職考えるのかもしれませんが、御社だけは無いですね。とても務まりそうにない(三度目)」
「相変わらず清々しいくらいの潔癖さと謙虚さですね。玄英も恒星のそういうところに惹かれたんでしょうか」
今は離れているからそれすら懐かしい気もするが、玄英とのプライベートは結構な体力勝負だ。その上、仕事でも24時間一緒とか……死ぬわ!18禁的な意味で生産性下がる気しかしない。
ひょっとして玄英の方も、会社に行ったら完全に別なスイッチが入るのかもしれない。が、ご主人様が駄犬のお世話をした上で無能呼ばわり連発されるとか、一体何のプレイだよ!
それはそれでもっと嫌だあああー!
頼むから察してよ!
二日ほど経った。
「ぎゃああああぁ……マジ尊い!」
「ユーラ・チャンと遠山社長って!」
「公式はファンの妄想の上をゆく……古き言い伝えはまことであった」
例の舞踏会写真が巡り巡って課内の女子社員達にも回って来たらしい。課長、課長補佐とも不在なのだが、鬼のいぬ間だと思ってどいつもこいつも自由すぎる。やれやれ。
「死ねる。推しカプのためなら死ねる」
しかも例の「遠山来社Xデー対策シフト」(俺と堀田が数パターン編み出したが最近はリモートのお陰で出番がない)の時に協力してくれた、最後の砦的女子社員までテンションがおかしい。もしかして裏垢で誤爆すんのでも流行ってんのか?
「男が二人で踊ってる写真なんか見て楽しいか?」
俺は疳に触って、つい聞いてみた。
「うふふふふふ……」
「だからいいのよねえ」
「ご飯三杯……ううん、洋モノだけに食パン一斤いける!」
彼女達は意味深に目配せし合った。
「何なら恒星君と堀田君にも毎日三次元ネタ提供してくれてありがとうございますって感じだし?」
「黒髪受けは永遠の定番ですものね!」
「?お、おう?……ま、まかせとけ?」
やっぱり何だかよくわからんが感謝された。
「みんな。大事な話があるの」
あ、課長が戻ってきたーー心なしか息を切らし気味で少し顔色が悪い。
「これから緊急のミーティングをします。みんなちょっと集まって」
慌てて自席に戻っていた女子達も俺も、課員一同水島課長のデスクの周りに集まった。
課長は課内の全員を見渡すとぎゅっと唇を噛むような仕草をし、厳しい表情でこう告げた。
「我が社、ガルテン松山は来年を目処に、カーター・イェン社に吸収合併されるそうよ」
ーーえ?
あの。俺の話、聞いてました?
「君が社長秘書なら玄英も満更じゃないと思うんです。もちろん、それなりの待遇でお迎えしますよ」
「野暮は勘弁ですよ。せっかくお洒落なSDGsブランドで売ってる会社なのに、愛人がシャシャり出て社長秘書やってるとか。昭和のドロ沼サスペンスですか」
「え、恒星、玄英の婚約者じゃなくて愛人なの?」
ボケ方!
「違いますけどっ!」
「愛人だろうが私情挟んでようが、報酬並の結果さえ出してくれたら誰も文句は言いませんよ」
これだからアメリカ型企業ってやつは……
いや、日本型企業は先進国でも生産性低いって言われてるし。成果第一主義ってのは真似すべきなのか?
「こんな状況だし、万一あれこれ会社バレしたら転職考えるのかもしれませんが、御社だけは無いですね。とても務まりそうにない(三度目)」
「相変わらず清々しいくらいの潔癖さと謙虚さですね。玄英も恒星のそういうところに惹かれたんでしょうか」
今は離れているからそれすら懐かしい気もするが、玄英とのプライベートは結構な体力勝負だ。その上、仕事でも24時間一緒とか……死ぬわ!18禁的な意味で生産性下がる気しかしない。
ひょっとして玄英の方も、会社に行ったら完全に別なスイッチが入るのかもしれない。が、ご主人様が駄犬のお世話をした上で無能呼ばわり連発されるとか、一体何のプレイだよ!
それはそれでもっと嫌だあああー!
頼むから察してよ!
二日ほど経った。
「ぎゃああああぁ……マジ尊い!」
「ユーラ・チャンと遠山社長って!」
「公式はファンの妄想の上をゆく……古き言い伝えはまことであった」
例の舞踏会写真が巡り巡って課内の女子社員達にも回って来たらしい。課長、課長補佐とも不在なのだが、鬼のいぬ間だと思ってどいつもこいつも自由すぎる。やれやれ。
「死ねる。推しカプのためなら死ねる」
しかも例の「遠山来社Xデー対策シフト」(俺と堀田が数パターン編み出したが最近はリモートのお陰で出番がない)の時に協力してくれた、最後の砦的女子社員までテンションがおかしい。もしかして裏垢で誤爆すんのでも流行ってんのか?
「男が二人で踊ってる写真なんか見て楽しいか?」
俺は疳に触って、つい聞いてみた。
「うふふふふふ……」
「だからいいのよねえ」
「ご飯三杯……ううん、洋モノだけに食パン一斤いける!」
彼女達は意味深に目配せし合った。
「何なら恒星君と堀田君にも毎日三次元ネタ提供してくれてありがとうございますって感じだし?」
「黒髪受けは永遠の定番ですものね!」
「?お、おう?……ま、まかせとけ?」
やっぱり何だかよくわからんが感謝された。
「みんな。大事な話があるの」
あ、課長が戻ってきたーー心なしか息を切らし気味で少し顔色が悪い。
「これから緊急のミーティングをします。みんなちょっと集まって」
慌てて自席に戻っていた女子達も俺も、課員一同水島課長のデスクの周りに集まった。
課長は課内の全員を見渡すとぎゅっと唇を噛むような仕草をし、厳しい表情でこう告げた。
「我が社、ガルテン松山は来年を目処に、カーター・イェン社に吸収合併されるそうよ」
ーーえ?
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