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⭐︎バトル・オブ・クロエ1
しおりを挟む「いないわよ」
本物の清掃クルーに紛れて手分けをしながら船内を捜索中、ンドゥールさんと一緒に本丸と思しきVIP用最上級スィートルームに向かったモリーからインカムで連絡が入る。
「いない?」
「そ。どうせDon't Disturbのプレートが下がってるだろうと思って、弟に頼まれたとホテルマネージャーに言い張ってマスターキーで開けさせたの。誰もいない。さっきまで二人がいたのは確かだと思うんだけど」
「何か手がかりが?」
「それがあまりに酷い部屋でーー勝手に清掃頼んじゃっていいかしら」
「酷いーー?」
VIP用最上級スィートが?
「そ。状況が状況なだけに、バスルームかクローゼットに死体が押し込まれてることも覚悟して探してみたんだけど。幸いそれは無いわね」
それに、実の姉が死体発見を覚悟するような部屋って一体……
「ど、どんな状況なんですか?まさか血痕……」
「ううん。10組呼んで乱交パーティでもしてたみたいな事後感満載。実物よりスゴいかも……」
「……はっ……?」
三連続ジャンプばりに対艦ミサイルぶっ飛ばしてくるお姉様。
「赤の他人はともかく、弟のこういうのって生々しくて耐えられないわあー。臭いも空気も最悪だし」
「な、な……なんか……、そんな事頼んじゃってすみません」
って、何で俺が謝んなきゃなんないんだよう(泣)俺だって地味にダメージデカいわ!
「念の為、見に来てみる?」「行きません!」
「あ。(ピー)じゃない方の臭いは、呪術用の香に似てるってダーリンが言ってたわ。シャーマンがよく使うもので、違法な物ではないらしいんだけど判断力や思考力が鈍るんだって」
それって……ギリ脱法なヤツじゃね?
一体、何やらかしといてくれとんじゃああ!あンの野郎ー!
ーーある程度は覚悟してたけど……くっそ、サイコパスめ!
ーーとにかく、早く玄英を探し出さないと……
船内のジムやレストラン、開店前のバー、温室、スタッフルームやパニックルーム、プライベートバルコニーまで探したが、玄英はどこにもいない。時間切れのリミットだけが刻々迫る。
俺は古賀さんが調べてくれた詳細な船の見取り図を見直した。足を運べる全ての場所に無数の「×」がつけられているーー玄英は一体どこへ?
俺は途方に暮れてデッキに立ち尽くした。足元で鈍色の真冬の海が咆哮をあげている。
ーーまさか……
ーー激昂したユーラに……あるいは絶望して自ら海にーー
「恒星!」
インカムから古賀さんの声が聞こえた。
「ユーラがイェン社を出たのですが、交渉を求める座り込みの一団と警備員が小競り合いになり、警察を呼ぶ騒ぎになったそうです」
「何だって!」
「既に騒ぎは落ち着きましたが、パーティには遅れるかもしれません。しかし他のパーティ客達が既に乗船し始めています。人目につかないうちに撤収してください」
「でも……玄英がまだ見つからない!この中にいるはずなのに!」
「これ以上はまずい。後は私が客として潜入し、交渉を試みます」
「坊ちゃん、古賀さんの言う通りです」
バディで行動していた清さんが言った。
「ここは一旦引いて、作戦を考え直しましょう」
「一旦って……!ユーラが説得に応じなかったら?今を逃したら、船が世界一周に出たっきりになっちゃうかもしれないのに?」
そんなの耐えられない。あと一歩のはずなのにーー探してない場所がまだあるはずだ。
「ーー機械室とか……操舵室?」
「待ってください!それはさすがにまずいです!シージャック犯にされてしまう!」
「いくら上客ったって、部外者がそんなところに入れるわきゃないでしょうが!」
「だけど……だったら、玄英はどこにいるんだ?」
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