130 / 144
10
求む男子。至難の旅。報酬未定。船の中。生還の保証だけはあり(たぶん) 自由参加。
しおりを挟む
現在、玄英はユーラの策略によりエンプレス・ソフィア号に軟禁、または監禁されている可能性が高いーー俺はどうあっても玄英を救出したい。
が、現場はセレブ御用達の貸し切り豪華客船である。俺一人の力では船に潜り込むのすら至難の業だ。古賀さんが全面的協力を宣言してくれ、D's Theoryの社員も休暇を返上して情報収集に的に協力してくれている。
エンプレス・ソフィア号は大晦日に横浜港に入港する事、そこでカウントダウンパーティが行われる事がわかった。
が、何せ一つの町内くらいにはだだっ広い船内で玄英の居場所も状況も皆目わからない。引き戻すには説得も必要かもしれない。となると、捜索部隊の頭数が要るーーいざという時にカチコミかけられて修羅場をくぐれる実動部隊が。
そうして運良く救出に成功したとしても相手が相手だけに不法侵入で訴えられたり下手すると逮捕される可能性もある。
最初に考えついたのは、バイク屋を筆頭にしたヤンチャ時代の悪友達だ。仲間思いで、理由を話せば面白がって乗ってくれそうな連中ではあるのだが、現在、全員が真面目に社会人をやっていて親になってる奴もいる。
訴訟や警察沙汰になる可能性を考えるとやはり巻き込めない。悩んでいるうちに日にちはどんどん迫ってくる。
青葉造園、仕事納めの日。
俺は思い切って実家で飲んでいた(元ヤンチャだった)面々に話せる範囲で事情を話し、頭を下げた。
「するってえと何ですかい?遠山社長が坊ちゃんの会社を救うためにその、何とかっていうSM王にとっ捕まっている、とーーこういう事ですかい?」
敏さんが聞き返した。
「……SNS王、な」
ある意味当たってるけど。くそ。
「ユーラ・チャン。世界屈指の富豪で超有名人。かなりの難敵だ。下手打つとこっちがD社ごと潰される可能性もある」
「富豪だかフゴー!だか知らねえが、坊ちゃんの恩人の一大事とあっちゃあ、俺らも黙っていられませんや」
「俺達にとっても今や大事な取引先の社長さんです。義を見てせざるは勇なきなり、でさ」
敏さんと達さんは、義憤に駆られて一も二もなく快諾してくれた。
「え、えっ?いいの?そんなあっさり……頼んどいて何だけど、捕まったり訴えられたり、色々面倒なことになるかもしれないんだよ?」
「なぁに。カミさん亡くして気楽な独り身でさ。坊ちゃんのためにひとつ、死に花を咲かせるのも悪かねえや」
「そうそう。コレでも若い時ぁ成田闘争やら反基地運動やら色々やりました。警察が怖くて刃物が持てるかってんだ」
「……刃傷沙汰起こす気はないし、できれば寿命まで長生きして欲しいんだけど……」
「若。地獄の果てまでお供します」
ダイまでそんなこと言い出すし。ダイに日本語の勉強で任侠映画見せるの、やめろって言ってんのに……もう。
「ダイ。悪い事言わないからお前はやめとけ」
「坊ちゃんも兄さん達も、私の家族と同じ。家族が戦う時、一緒に戦うのは当たり前の事です」
「いやいや、マジでやめとけって。下手すると日本で何にもできないまま、国に帰されるんだぞ」
「その時はその時。坊ちゃんに脅されて、やらされましたって言ってもいい?」
ダイは白い歯を見せてにっこり笑った。
……ちゃっかりしてんのな。こいつ、意外とどこ行っても大丈夫なんじゃねえかな。
が、現場はセレブ御用達の貸し切り豪華客船である。俺一人の力では船に潜り込むのすら至難の業だ。古賀さんが全面的協力を宣言してくれ、D's Theoryの社員も休暇を返上して情報収集に的に協力してくれている。
エンプレス・ソフィア号は大晦日に横浜港に入港する事、そこでカウントダウンパーティが行われる事がわかった。
が、何せ一つの町内くらいにはだだっ広い船内で玄英の居場所も状況も皆目わからない。引き戻すには説得も必要かもしれない。となると、捜索部隊の頭数が要るーーいざという時にカチコミかけられて修羅場をくぐれる実動部隊が。
そうして運良く救出に成功したとしても相手が相手だけに不法侵入で訴えられたり下手すると逮捕される可能性もある。
最初に考えついたのは、バイク屋を筆頭にしたヤンチャ時代の悪友達だ。仲間思いで、理由を話せば面白がって乗ってくれそうな連中ではあるのだが、現在、全員が真面目に社会人をやっていて親になってる奴もいる。
訴訟や警察沙汰になる可能性を考えるとやはり巻き込めない。悩んでいるうちに日にちはどんどん迫ってくる。
青葉造園、仕事納めの日。
俺は思い切って実家で飲んでいた(元ヤンチャだった)面々に話せる範囲で事情を話し、頭を下げた。
「するってえと何ですかい?遠山社長が坊ちゃんの会社を救うためにその、何とかっていうSM王にとっ捕まっている、とーーこういう事ですかい?」
敏さんが聞き返した。
「……SNS王、な」
ある意味当たってるけど。くそ。
「ユーラ・チャン。世界屈指の富豪で超有名人。かなりの難敵だ。下手打つとこっちがD社ごと潰される可能性もある」
「富豪だかフゴー!だか知らねえが、坊ちゃんの恩人の一大事とあっちゃあ、俺らも黙っていられませんや」
「俺達にとっても今や大事な取引先の社長さんです。義を見てせざるは勇なきなり、でさ」
敏さんと達さんは、義憤に駆られて一も二もなく快諾してくれた。
「え、えっ?いいの?そんなあっさり……頼んどいて何だけど、捕まったり訴えられたり、色々面倒なことになるかもしれないんだよ?」
「なぁに。カミさん亡くして気楽な独り身でさ。坊ちゃんのためにひとつ、死に花を咲かせるのも悪かねえや」
「そうそう。コレでも若い時ぁ成田闘争やら反基地運動やら色々やりました。警察が怖くて刃物が持てるかってんだ」
「……刃傷沙汰起こす気はないし、できれば寿命まで長生きして欲しいんだけど……」
「若。地獄の果てまでお供します」
ダイまでそんなこと言い出すし。ダイに日本語の勉強で任侠映画見せるの、やめろって言ってんのに……もう。
「ダイ。悪い事言わないからお前はやめとけ」
「坊ちゃんも兄さん達も、私の家族と同じ。家族が戦う時、一緒に戦うのは当たり前の事です」
「いやいや、マジでやめとけって。下手すると日本で何にもできないまま、国に帰されるんだぞ」
「その時はその時。坊ちゃんに脅されて、やらされましたって言ってもいい?」
ダイは白い歯を見せてにっこり笑った。
……ちゃっかりしてんのな。こいつ、意外とどこ行っても大丈夫なんじゃねえかな。
0
あなたにおすすめの小説
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
あの部屋でまだ待ってる
名雪
BL
アパートの一室。
どんなに遅くなっても、帰りを待つ習慣だけが残っている。
始まりは、ほんの気まぐれ。
終わる理由もないまま、十年が過ぎた。
与え続けることも、受け取るだけでいることも、いつしか当たり前になっていく。
――あの部屋で、まだ待ってる。
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
【完結】取り柄は顔が良い事だけです
pino
BL
昔から顔だけは良い夏川伊吹は、高級デートクラブでバイトをするフリーター。25歳で美しい顔だけを頼りに様々な女性と仕事でデートを繰り返して何とか生計を立てている伊吹はたまに同性からもデートを申し込まれていた。お小遣い欲しさにいつも年上だけを相手にしていたけど、たまには若い子と触れ合って、ターゲット層を広げようと20歳の大学生とデートをする事に。
そこで出会った男に気に入られ、高額なプレゼントをされていい気になる伊吹だったが、相手は年下だしまだ学生だしと罪悪感を抱く。
そんな中もう一人の20歳の大学生の男からもデートを申し込まれ、更に同業でただの同僚だと思っていた23歳の男からも言い寄られて?
ノンケの伊吹と伊吹を落とそうと奮闘する三人の若者が巻き起こすラブコメディ!
BLです。
性的表現有り。
伊吹視点のお話になります。
題名に※が付いてるお話は他の登場人物の視点になります。
表紙は伊吹です。
宵にまぎれて兎は回る
宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる