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カイマ襲来
その2
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手首から蔓を伸ばし、柵の外にある錠前に挿し込み開ける努力をするが、なかなか開かない。丈夫な錠前だな。
仕方なくオレは諦めて、全力で扉をぶち壊した。
「大丈夫、クッキー」
「今のでひと粒分使っちゃったな。錠前だけでなく牢屋まで丈夫だったか」
ポケットから残りの[世界樹の実]を確認する。あと3つか。
「ユーリ、ひと粒持っててくれ」
「いいのか」
「ああ。それがあればユーリが何処にいるか分かるから。こちらの用が済み次第すぐに向かう」
「わかった」
「ちょっと、あたしは? あたしの分は?」
「アディは同じ素材の躯体同士だから、無くても分かるだろ」
「ユーリばっかりずるい、あたしも欲しい」
説得する時間が惜しい、オレはアディにもひと粒渡した。
「よし、じゃあ予定通りユーリ達は、カイマの状況を東の衛兵達に伝えに行ってくれ。オレ達は女王陛下かゾフィ隊長に伝えに行く」
「そのあとは」
「訓練された衛兵達に混ざっての行動は、ジャマになるだけだろう。防衛には参加せずイレギュラー的な事が起きたら、オレ達で対処しようと思う」
ユーリも同意する。
「わかった。私達はなるだけ東の城壁にいることにしよう」
打ち合わせが終わるとオレ達は走り出した。
※ ※ ※ ※ ※
移動する時、目隠しされていなかったのが幸いしたのと、アディが外まで案内してくれたから、王宮の玄関まではすんなり来れた。
外の景色を見て、オレはカイマ達が東城壁にいるのを理解した。
「そうか、影だ。日が西に傾いているから城壁の影が伸びて、おそらく川向こうの地下道出口まで届いたんだ」
太陽は西城壁に隠れはじめている。日没まで時間が無い。
オレ達は二手に分かれ、それぞれの目的地を目指す。モーリとオレは、おそらく王宮の上の方にいるだろう女王陛下を目指すことにした。が、途中王宮の衛兵に見つかった。
「貴様ら、何をしている。怪しい奴らめ」
ヤバい、彼らに捕まるわけにはいかない、逃げねば。
「クッキーさん、彼らに事情を話した方がいいんじゃないですか」
「それだと、女王の耳に入るのに確実性が無い。直で話したい」
「しかしこのままでは間に合いませんよ」
モーリの言う通りなんだが、さてどうしようか。
……少々みっともないが、この手でいくか。
「女王陛下ー、ゾフィ隊長ー、お話がありまーす」
オレは同じ言葉を叫びながら上の階に行ったり下の階に行ったりして走り回った。
追いかける衛兵が増えてくる。だいぶ走り回ったな、そろそろいいか。モーリも息絶え絶えだし。
「モーリ、わざと捕まってくれ。これだけ叫びまわったから、たぶんゾフィ隊長が来るはずだ。そしたら事情を説明してくれ」
「はぁはぁ、わ、わかりました。もう走れませんし、そのくらいしかできませんしね。で、クッキーさんは……」
「東の城壁に行く。あとは頼む」
わかりましたと言いながら、その場でへたり込むモーリをおいて、オレは三階の王宮の回廊から外に出ると、ひとつだけ残った[世界樹の実]を口にする。
そして手首から蔓を伸ばし、アメコミの蜘蛛男の如く、東の城壁に向かった。
仕方なくオレは諦めて、全力で扉をぶち壊した。
「大丈夫、クッキー」
「今のでひと粒分使っちゃったな。錠前だけでなく牢屋まで丈夫だったか」
ポケットから残りの[世界樹の実]を確認する。あと3つか。
「ユーリ、ひと粒持っててくれ」
「いいのか」
「ああ。それがあればユーリが何処にいるか分かるから。こちらの用が済み次第すぐに向かう」
「わかった」
「ちょっと、あたしは? あたしの分は?」
「アディは同じ素材の躯体同士だから、無くても分かるだろ」
「ユーリばっかりずるい、あたしも欲しい」
説得する時間が惜しい、オレはアディにもひと粒渡した。
「よし、じゃあ予定通りユーリ達は、カイマの状況を東の衛兵達に伝えに行ってくれ。オレ達は女王陛下かゾフィ隊長に伝えに行く」
「そのあとは」
「訓練された衛兵達に混ざっての行動は、ジャマになるだけだろう。防衛には参加せずイレギュラー的な事が起きたら、オレ達で対処しようと思う」
ユーリも同意する。
「わかった。私達はなるだけ東の城壁にいることにしよう」
打ち合わせが終わるとオレ達は走り出した。
※ ※ ※ ※ ※
移動する時、目隠しされていなかったのが幸いしたのと、アディが外まで案内してくれたから、王宮の玄関まではすんなり来れた。
外の景色を見て、オレはカイマ達が東城壁にいるのを理解した。
「そうか、影だ。日が西に傾いているから城壁の影が伸びて、おそらく川向こうの地下道出口まで届いたんだ」
太陽は西城壁に隠れはじめている。日没まで時間が無い。
オレ達は二手に分かれ、それぞれの目的地を目指す。モーリとオレは、おそらく王宮の上の方にいるだろう女王陛下を目指すことにした。が、途中王宮の衛兵に見つかった。
「貴様ら、何をしている。怪しい奴らめ」
ヤバい、彼らに捕まるわけにはいかない、逃げねば。
「クッキーさん、彼らに事情を話した方がいいんじゃないですか」
「それだと、女王の耳に入るのに確実性が無い。直で話したい」
「しかしこのままでは間に合いませんよ」
モーリの言う通りなんだが、さてどうしようか。
……少々みっともないが、この手でいくか。
「女王陛下ー、ゾフィ隊長ー、お話がありまーす」
オレは同じ言葉を叫びながら上の階に行ったり下の階に行ったりして走り回った。
追いかける衛兵が増えてくる。だいぶ走り回ったな、そろそろいいか。モーリも息絶え絶えだし。
「モーリ、わざと捕まってくれ。これだけ叫びまわったから、たぶんゾフィ隊長が来るはずだ。そしたら事情を説明してくれ」
「はぁはぁ、わ、わかりました。もう走れませんし、そのくらいしかできませんしね。で、クッキーさんは……」
「東の城壁に行く。あとは頼む」
わかりましたと言いながら、その場でへたり込むモーリをおいて、オレは三階の王宮の回廊から外に出ると、ひとつだけ残った[世界樹の実]を口にする。
そして手首から蔓を伸ばし、アメコミの蜘蛛男の如く、東の城壁に向かった。
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