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Chapter #3
サーファーズパラダイス①
しおりを挟む小一時間ほど電車に揺られた後、路面電車に乗り換え、そこからさらに三十分ほどかけて、ついに目的の場所へと辿り着く。
「やってきました、サーファーズパラダイスビーチ!!」
出発したときと同様、舞恋は両手を振り上げて叫んだ。
ゴールドコースト、サーファーズパラダイスビーチ。
オーストラリアの東海岸、ブリスベンの南に位置するゴールドコーストの最大の魅力は、何といってもこの広大なロングビーチだ。
見渡す限りに広がる真っ白な砂浜。
その全長は六十キロ近くもあり、人気のビーチがいくつも点在している。
中でも特に有名なのが、このサーファーズパラダイスビーチだった。
「すごい……。砂浜がずーっと続いてて、果てが見えない……」
「海の色もめちゃくちゃ綺麗だねー。エメラルドグリーンってやつ?」
まるで宝石のような緑の海に、青く澄み渡る空。
波打ち際では水着姿の観光客たちがビーチバレーなどをして楽しんでいる。
「ねえねえ、みんなで写真撮ろうよ! Let's take a picture!」
舞恋が言って、私たちは白い砂浜を進んでいく。
靴を脱いで裸足になると、サラサラとしたキメの細かい砂の感触が気持ちいい。
「せっかくだから水着も持って来れば良かったねー。そしたら私の身体でゴルフもカヒンも悩殺できたのに。そういえばみさきちも結構胸あるよね」
「もう、そういうのやめてよ舞恋……」
こういった話題は苦手なので、私はそそくさと逃げるように足を早めた。
みんなのカバンを一箇所に固め、それを台にしてスマホのカメラを設置する。
カヒンがカメラのタイマーを仕掛け、私たちの待つ波打ち際の方へ走ってくる。
海をバックにした撮影。
四人で肩を並べ、シャッター音が聞こえるのを待つ。
すると、あと一秒というところで、一際大きな波が私たちの足元を濡らした。
「ぎゃっ!!」
「Oh.」
「えっ」
「Haha.」
四人がそれぞれ反応をとった瞬間、カシャッとカメラの音が響く。
一枚の写真に収められたのは、誰よりも早く逃げ出そうとした舞恋と、片足を上げて下を向いているゴルフ、一拍遅れて驚いている私と、そんな私を見て穏やかに笑うカヒンの姿だった。
「いいじゃんこれ。なんか青春の一ページっぽい!」
ご満悦の舞恋は、すぐにそれをスマホのホーム画面に設定した。
ビーチを堪能した後はショッピングだった。
海岸沿いには高層ビルや宿泊施設が建ち並び、お洒落なカフェやブランドショップなどがたくさん集まっている。
「見て見て、みさきち! すんごいセクシーな服!」
舞恋は大胆に胸元が開いている服を手に取って、それを買うかどうかでうんうんと唸っていた。
オーストラリアで着る分にはそれほど人目が気にならないだろうけれど、日本に帰ったらそうはいかない。
私もせっかくだからと服を見て回り、カヒンに意見を求めながら、最終的に一点だけ上着を買った。
お昼は良さげなカフェでランチを済ませ、午後もひたすら街を練り歩く。
やがて、そろそろ帰ろうかという段になって、舞恋は最後にアイスクリームが食べたいと言った。
「じゃーん! 二段のアイス買っちゃった! マンゴーとミントチョコレート!」
「舞恋、ダイエットしてたんじゃなかったっけ?」
今日は特別! と吹っ切れた様子でアイスを頬張る彼女は、心の底から幸せそうな顔をする。
隣からゴルフが何かを言ってからかっていたが、軽口を言い合う二人は楽しそうだった。
なんだかんだで相性は良いのかも、なんて微笑ましく思っていると、道の先で一台のバスが停車場に入ってきたのが見えた。
「あっ、あのバス! あれって私たちが乗るやつじゃない?」
急げ! と舞恋は真っ先に走り出す。
「あっ、舞恋。アイスは食べ終わってからの方がいいんじゃない?」
へーきへーき! と彼女がバスに乗り込もうとすると、案の定、運転手の男性に引き留められた。
アイスを食べ終わってから乗れ、と明らかに不機嫌な顔で注意される。
「We should take the next bus.」
次のバスに乗ろうか、とカヒンは提案するが、
「大丈夫! No problem! すぐ食べ終わるからみんな先に乗ってて!」
言うなり舞恋は私をバスに押し込んで、必死にアイスを頬張る。
せっかくダイエットも中断して食べているのに、ちゃんと味わえているのだろうかと心配になる。
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