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獲物は反撃を開始する
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フードの下から現れた長い銀髪に、彼は露骨に侮蔑の視線を送る。早苗にローブを被せると、改めてニ人組に向き直った。
「……黒いの、連れて行くのは片方だけでもいいよな?」
「…………いやいや、何言ってんだ?」
「ま、マスターどうしたの? 落ち着いてよ」
アルのオーラがどす黒く感じる。睨まれたニ人組、特に銀髪の少女は恐怖に後ずさろうとする。視線だけで射殺いころされそうなのだ。だが足が震えて上手く動かない。
「……アル君。気持ちは分かるけど、その辺にしておいてね」
その声が聞こえた瞬間、黒い空気が一瞬で拡散して消えた。
パッと振り向くと、そこに居たのは亜麻色の長い髪をハーフアップにした……多分、男性。多分と言うのは、髪型が女性的で顔立ちも声も中性的だからである。
背丈はアルより高く、アウインより低い。180cm前後だろう。この世界では180cmを超える女性も居なくはないが、骨格を見ると女性では無さそうなのだ。なので、多分男性だ。
「……ミリウス様」
「じーさん! 来たのか!」
じーさん……早苗の頭に疑問符が浮かぶ。この人が隣国に居ると言っていたアウインの師なのだろうか?その人を本当に『お爺さん』と想像していたのだが、その姿はどう見ても二十代前半にしか見えない。
「昨日になって怖い顔のアル君が見えたからね、慌てて飛んできちゃった」
ミリウスはニコッと笑う。慌てているようには全く見えない。
「その子達ね、まだ大分先だけど、僕の大事な人の大事な人になるかもしれないんだ。だから、止めてね?」
「……大事な人? そんなのじーさんに居たか?」
「ふふ、実はね? 居るんだよ」
大事な人とやらを思い浮かべているのか、ミリウスは愛しげな表情でアウインの方を見た。
そしてアルと早苗に顔を向けると、ニ人を交互に見て微笑んだ。
「アル君、良かったね、とっても可愛い」
「は……? 何が、でしょう?」
「ねぇ、君の名前は?」
アルの質問には答えず、ミリウスは早苗に話しかけて来る。
「え? 私? えーと……早苗、です」
「サナエ……もしかして、日本人かな?」
彼の言葉に、早苗の目と口がパカリと開く。
「僕はアメリカ生まれだよ」
「…………う、あ、あめ?!」
衝撃過ぎて言葉が出て来ない。そんな早苗の手首を隣から誰かにギュッと掴まれる。アルだ。どうしたのかと思っていると、ミリウスが笑った。
「ま、積もる話はまた後にしようね。じきにもう一つ事が起こるから」
「え?」
「居たぞ!! かかれえ!!!!」
ミリウスの言葉の意味が分からず、問い返そうとした時だ。
太い男の怒号が聞こえる。そう思った時には、アルが早苗に覆い被さっていた。
「わああっ!!」
「ぐっ……!!」
一体何が起きたのか。アルはそのまま早苗にのし掛かって来る。
「ま、マスター? どうし……」
最後まで言葉を紡ぐ前に、彼はバタリと地面に倒れた。幾つもの光の矢が早苗の頬や腕を掠める。
彼女は無意識に、背に掛けていた猟銃を素早く構えると躊躇無く引き金を引いた。
バンッ!! バンッ!!
弾を装填し直し、また撃つ。放った弾は敵の足や腕に当たり、次々に倒れて行く。
分かる訳が無いのに、弾が人の肉にめり込む嫌な感触が伝わって来るような気がする。
攻撃してくる兵士のような格好をした敵達は数十人に及ぶだろう。
それとは別に鎌鼬かまいたちのような鋭い風も敵達を切り裂いていた。アウインも応戦しているようだ。
早苗が狙われている訳では無いせいなのか、光の矢は身体のあちこちを掠めるだけで当たらない。
「ひ、退けぇ!! 全員撤退だ!!」
リーダーらしき人物が叫ぶ。彼等は手負いの者達を背負いながら、わらわらと逃げ去って行った。
追う気は無い。それよりも重要な事があるからだ。
「ま、ますたあっ!!!!」
早苗がアルを呼ぶ声は、悲鳴のようだった。地面に横たわる彼は身体のあちこちが赤く染まっている。
その姿をみると、先ほど自分が人間を撃った時の感覚が蘇って来るようだ。指先が震え始める。だが自分に構っている暇は無い。
「病院はどこっ?!! どこに行けば治せる?!!」
早苗はアウイン達に向かって叫ぶ。
「病院では無理だ、教会に行くしかない、だが」
「じゃあ教会はどこ?! 連れて行く!!」
アルの腕を掴み、背中に背負おうとする早苗をアウインが慌てて止めた。
「待て! 分かった俺が運ぶ、その方が早いっ」
汚れるのが嫌いなはずのアウインは、血塗れのアルを抱き上げて走り出す。早苗も必死で彼等の後を追った。
「……黒いの、連れて行くのは片方だけでもいいよな?」
「…………いやいや、何言ってんだ?」
「ま、マスターどうしたの? 落ち着いてよ」
アルのオーラがどす黒く感じる。睨まれたニ人組、特に銀髪の少女は恐怖に後ずさろうとする。視線だけで射殺いころされそうなのだ。だが足が震えて上手く動かない。
「……アル君。気持ちは分かるけど、その辺にしておいてね」
その声が聞こえた瞬間、黒い空気が一瞬で拡散して消えた。
パッと振り向くと、そこに居たのは亜麻色の長い髪をハーフアップにした……多分、男性。多分と言うのは、髪型が女性的で顔立ちも声も中性的だからである。
背丈はアルより高く、アウインより低い。180cm前後だろう。この世界では180cmを超える女性も居なくはないが、骨格を見ると女性では無さそうなのだ。なので、多分男性だ。
「……ミリウス様」
「じーさん! 来たのか!」
じーさん……早苗の頭に疑問符が浮かぶ。この人が隣国に居ると言っていたアウインの師なのだろうか?その人を本当に『お爺さん』と想像していたのだが、その姿はどう見ても二十代前半にしか見えない。
「昨日になって怖い顔のアル君が見えたからね、慌てて飛んできちゃった」
ミリウスはニコッと笑う。慌てているようには全く見えない。
「その子達ね、まだ大分先だけど、僕の大事な人の大事な人になるかもしれないんだ。だから、止めてね?」
「……大事な人? そんなのじーさんに居たか?」
「ふふ、実はね? 居るんだよ」
大事な人とやらを思い浮かべているのか、ミリウスは愛しげな表情でアウインの方を見た。
そしてアルと早苗に顔を向けると、ニ人を交互に見て微笑んだ。
「アル君、良かったね、とっても可愛い」
「は……? 何が、でしょう?」
「ねぇ、君の名前は?」
アルの質問には答えず、ミリウスは早苗に話しかけて来る。
「え? 私? えーと……早苗、です」
「サナエ……もしかして、日本人かな?」
彼の言葉に、早苗の目と口がパカリと開く。
「僕はアメリカ生まれだよ」
「…………う、あ、あめ?!」
衝撃過ぎて言葉が出て来ない。そんな早苗の手首を隣から誰かにギュッと掴まれる。アルだ。どうしたのかと思っていると、ミリウスが笑った。
「ま、積もる話はまた後にしようね。じきにもう一つ事が起こるから」
「え?」
「居たぞ!! かかれえ!!!!」
ミリウスの言葉の意味が分からず、問い返そうとした時だ。
太い男の怒号が聞こえる。そう思った時には、アルが早苗に覆い被さっていた。
「わああっ!!」
「ぐっ……!!」
一体何が起きたのか。アルはそのまま早苗にのし掛かって来る。
「ま、マスター? どうし……」
最後まで言葉を紡ぐ前に、彼はバタリと地面に倒れた。幾つもの光の矢が早苗の頬や腕を掠める。
彼女は無意識に、背に掛けていた猟銃を素早く構えると躊躇無く引き金を引いた。
バンッ!! バンッ!!
弾を装填し直し、また撃つ。放った弾は敵の足や腕に当たり、次々に倒れて行く。
分かる訳が無いのに、弾が人の肉にめり込む嫌な感触が伝わって来るような気がする。
攻撃してくる兵士のような格好をした敵達は数十人に及ぶだろう。
それとは別に鎌鼬かまいたちのような鋭い風も敵達を切り裂いていた。アウインも応戦しているようだ。
早苗が狙われている訳では無いせいなのか、光の矢は身体のあちこちを掠めるだけで当たらない。
「ひ、退けぇ!! 全員撤退だ!!」
リーダーらしき人物が叫ぶ。彼等は手負いの者達を背負いながら、わらわらと逃げ去って行った。
追う気は無い。それよりも重要な事があるからだ。
「ま、ますたあっ!!!!」
早苗がアルを呼ぶ声は、悲鳴のようだった。地面に横たわる彼は身体のあちこちが赤く染まっている。
その姿をみると、先ほど自分が人間を撃った時の感覚が蘇って来るようだ。指先が震え始める。だが自分に構っている暇は無い。
「病院はどこっ?!! どこに行けば治せる?!!」
早苗はアウイン達に向かって叫ぶ。
「病院では無理だ、教会に行くしかない、だが」
「じゃあ教会はどこ?! 連れて行く!!」
アルの腕を掴み、背中に背負おうとする早苗をアウインが慌てて止めた。
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