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君と心の奪還戦
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目が覚めると、腰や胸の辺りに違和感があった。視線を落とすと胸の辺りに淡い金髪が見える。魔法の効果は切れているようで、髪色などが戻っていた。
アルが早苗の腰に腕を回し、まるですがり付くように抱き着いている。
上体を少し起こし、サラサラな髪を横に除けて覗き込んで見ると、あどけない表情ですやすや眠る彼の顔が見えた。寝顔を見るのは、もしかすると初めてかもしれない。とても可愛い。
「ぅ、ん……」
髪を撫で撫でしていると、寝惚けたアルが胸にスリスリしてくる。開いた胸元に髪の毛が当たり、髪の感触は気持ち良いが少しくすぐったい。
「ふ、や、ちょっとアルっ、ひゃっ」
その内、肌を犬のようにペロペロ舐めたり吸われたりし始める。本当に寝ているのだろうか。
「あんっ、や、あぁっ」
「……ん、サナエ……?」
暫く舐め続けた後のち漸く顔を上げたアルは、早苗の蕩けた表情を見てポカンとしている。
そして視線を落とし、テラテラと光る胸を見て固まった。どうやら本当に寝惚けていただけらしい。
「……ご、ごめん」
早苗の胸を濡らした布で拭きながら、小さくなったアルが謝って来る。
「いや、そんな謝るほどの事じゃないよ……夢でも見てた?」
「うん……犬になって、君に飼われてた……」
「わあお……きっと可愛いわんこだろうなぁ……」
早苗はその後、久し振りにセレーナやサラと再会し昼食を一緒に食べて語り合った。
長く美しい金の巻き毛に紫水晶アメジストのくりくりした瞳が可愛らしいセレーナは、とある国の王子に嫁いだお姫様らしい。
年若い彼女の為に王子は初夜を待ってくれていたのだが、ある日王子の父親である国王に襲われかけ、金的を蹴って失神させ侍女のサラと一緒に逃げて来たのだとか。意外に逞しい女性だ。
「セレーナって幾つなの?」
「十一ですわ」
「ぶっ!!」
予想以上の幼さに思わず飲み物を噴き出してしまう。逞しい女性では無く、逞しい女の子の間違いであった。
身長も早苗とそう変わらないくらいだし十一歳にはとても見えない大人びた外見だが、それなら王子の対応が正常で王様が変態だ。
「多分街中で襲って来た連中は王の手の者でしょう。王子はそのような事をする方では無いように思うので」
そう言うサラは肩までの真っ直ぐな銀の髪に淡い水色の瞳で、垂れ目がちなせいか顔立ちは少し幼く見えるが、ミリウスと同じくらい背の高い美しい女性だ。彼女は何歳なのだろうか。
「ちなみにサラは幾つ?」
「私ですか? もうすぐ十七になります」
十六歳と言う事か。セレーナほどでは無いが、早苗の予想より若い。と言う事はつまり、早苗が最年長と言う事だ。
「そう言うサナエさんはお幾つですの?」
「……二十一です。多分もうすぐ二十二になります」
何故か敬語になってしまった。
「ええ?! 本当ですの?!」
「驚きました、見えませんね」
想定内だ。こちらの世界での性別と年齢に関しての勘違いはもう慣れた。
こうして女の子同士で女子会を開いたり、たまに狩りに出掛けたりと、それなりに楽しい日々を送っていた早苗だが、悩みもあった。それは、アルの事だ。
アムータスに戻って来て、もう何度目かになる夜が来た。
早苗は初日から一度も自分の部屋では眠れていない。毎日アルの部屋のベッドに引き込まれてしまうからだ。
だが抱かれたのはその初日だけで、今日までただキスをして抱き合って寝るだけの日々だった。
毎日同じベッドで寝ているのに何も出来ないなんて辛いと言っていた彼の気持ちが、今なら良く分かる。
やたらと甘い空気を振り撒きながらスキンシップ過多で接して来るのに、何故か手を出して来ないのだ。
痺れを切らして先ほどこちらから誘うと、アルは少し困った顔を赤く染めて応じてくれたので、嫌な訳では無さそうなのだが。
「……入れるね」
アルは脚の間から顔を離し、ニ本の指をにゅるりと引き抜いた。蜜に濡れた唇と指を当たり前のような仕草で舐めるので、恥ずかしさにキッと睨むと、ばつの悪そうな顔をされた。無意識の行動だったらしい。
避妊具を装着した彼は、早苗の濡れた花弁にヒタリと自身を付けると、ゆっくりと押し入って来た。
「ふぁ……ぁ……」
「んっ……あったかい……」
うっとりと言いながら、彼はゆるゆる動き始める。
アルが早苗の腰に腕を回し、まるですがり付くように抱き着いている。
上体を少し起こし、サラサラな髪を横に除けて覗き込んで見ると、あどけない表情ですやすや眠る彼の顔が見えた。寝顔を見るのは、もしかすると初めてかもしれない。とても可愛い。
「ぅ、ん……」
髪を撫で撫でしていると、寝惚けたアルが胸にスリスリしてくる。開いた胸元に髪の毛が当たり、髪の感触は気持ち良いが少しくすぐったい。
「ふ、や、ちょっとアルっ、ひゃっ」
その内、肌を犬のようにペロペロ舐めたり吸われたりし始める。本当に寝ているのだろうか。
「あんっ、や、あぁっ」
「……ん、サナエ……?」
暫く舐め続けた後のち漸く顔を上げたアルは、早苗の蕩けた表情を見てポカンとしている。
そして視線を落とし、テラテラと光る胸を見て固まった。どうやら本当に寝惚けていただけらしい。
「……ご、ごめん」
早苗の胸を濡らした布で拭きながら、小さくなったアルが謝って来る。
「いや、そんな謝るほどの事じゃないよ……夢でも見てた?」
「うん……犬になって、君に飼われてた……」
「わあお……きっと可愛いわんこだろうなぁ……」
早苗はその後、久し振りにセレーナやサラと再会し昼食を一緒に食べて語り合った。
長く美しい金の巻き毛に紫水晶アメジストのくりくりした瞳が可愛らしいセレーナは、とある国の王子に嫁いだお姫様らしい。
年若い彼女の為に王子は初夜を待ってくれていたのだが、ある日王子の父親である国王に襲われかけ、金的を蹴って失神させ侍女のサラと一緒に逃げて来たのだとか。意外に逞しい女性だ。
「セレーナって幾つなの?」
「十一ですわ」
「ぶっ!!」
予想以上の幼さに思わず飲み物を噴き出してしまう。逞しい女性では無く、逞しい女の子の間違いであった。
身長も早苗とそう変わらないくらいだし十一歳にはとても見えない大人びた外見だが、それなら王子の対応が正常で王様が変態だ。
「多分街中で襲って来た連中は王の手の者でしょう。王子はそのような事をする方では無いように思うので」
そう言うサラは肩までの真っ直ぐな銀の髪に淡い水色の瞳で、垂れ目がちなせいか顔立ちは少し幼く見えるが、ミリウスと同じくらい背の高い美しい女性だ。彼女は何歳なのだろうか。
「ちなみにサラは幾つ?」
「私ですか? もうすぐ十七になります」
十六歳と言う事か。セレーナほどでは無いが、早苗の予想より若い。と言う事はつまり、早苗が最年長と言う事だ。
「そう言うサナエさんはお幾つですの?」
「……二十一です。多分もうすぐ二十二になります」
何故か敬語になってしまった。
「ええ?! 本当ですの?!」
「驚きました、見えませんね」
想定内だ。こちらの世界での性別と年齢に関しての勘違いはもう慣れた。
こうして女の子同士で女子会を開いたり、たまに狩りに出掛けたりと、それなりに楽しい日々を送っていた早苗だが、悩みもあった。それは、アルの事だ。
アムータスに戻って来て、もう何度目かになる夜が来た。
早苗は初日から一度も自分の部屋では眠れていない。毎日アルの部屋のベッドに引き込まれてしまうからだ。
だが抱かれたのはその初日だけで、今日までただキスをして抱き合って寝るだけの日々だった。
毎日同じベッドで寝ているのに何も出来ないなんて辛いと言っていた彼の気持ちが、今なら良く分かる。
やたらと甘い空気を振り撒きながらスキンシップ過多で接して来るのに、何故か手を出して来ないのだ。
痺れを切らして先ほどこちらから誘うと、アルは少し困った顔を赤く染めて応じてくれたので、嫌な訳では無さそうなのだが。
「……入れるね」
アルは脚の間から顔を離し、ニ本の指をにゅるりと引き抜いた。蜜に濡れた唇と指を当たり前のような仕草で舐めるので、恥ずかしさにキッと睨むと、ばつの悪そうな顔をされた。無意識の行動だったらしい。
避妊具を装着した彼は、早苗の濡れた花弁にヒタリと自身を付けると、ゆっくりと押し入って来た。
「ふぁ……ぁ……」
「んっ……あったかい……」
うっとりと言いながら、彼はゆるゆる動き始める。
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