NBAを目指す日本人

らんしゅすてるべんしょん

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高校生編

6.反省会

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 剛は正座をしていた。誰に?もちろんエレナだ。

 「もう!なんであんな危ないことするの!もし怪我したらどうするのよ!あたし心配で心配で…」

 剛を正座させて説教していた少女は目元に涙を溜めていて、泣いてるのか怒っているのかとくわからない顔をしていた。

 あのポスタライズダンクは正直言って結構危険なものだった。もしオリニクが剛を抱えて転ばなかったらもしかしたら剛の足首は着地した時、足のつき方が悪いと折れていたかもしれない。もう二度とバスケができない怪我を負う可能性があったのだ。

 もっとも本人は怪我のリスクより自分がやってみたいプレイのリストの一つをクリアしてとても嬉しそうな顔をしていてまるでエレナの説教を聞いていない様子とみれる。

 「もうっ!話を聞いているの?!」

 エレナは全く話を聞いていなかった剛の耳を掴んで耳元で大声で叫んだ。

 「いたたた…やめてっ、聞いてるからっ、はい、ちゃんと聞いてます!」

 剛はそういうがエレナは全く信じてなかった。

 エレナは手を腰に当てて聞いた。

 「じゃあ、私がさっきなんて言ったのか覚えているかしら?」

 もちろん聞いていなかったため剛は答えられない、そこで剛は嘘をつくという選択をした。

 「えっと、ポテトフライ美味しいねーでしょ?うん、知ってるポテトフライは美味しい、だけど食べすぎると身体に良く無いし太るからt…」

 剛は声は遮られた。

 「全くきいてないじゃないの!」

 エレナは未だにプンスカ怒っていた。そこに誰かが割り込んだ。

 「取り込み中すまないね、さっきのあのダンクは行けると思ったのかい?」

 グレン・グリーン部長だ。身体ががっしりしている。一目見て思った感想が、強そうと小学生並みの感想を持った剛だった。

 「はい、なんか自分のこの後の動きが目の前に出てそれが成功すると言うビジョンが見えました。」

 グレン部長は驚いた顔をした。他にも付き添いで来た先輩部員も驚いていた。

 「君は、今までそのビジョンが見えたことはあるかね?それとも初めてなのかな?」

 グレン部長はそんな事を聞いてきた。

 「ええ、これで二度目だった筈です。」

 何人かの部員(部長を含める)人達は息を呑んだ。

 「これはゾーンという奴だよな。」

 「あぁ、だがそれには並外れた集中力と日々の鍛錬による成果が必要。つまりあいつはそれだけのことを…」

 「一体今までどの様な生活をしてきたんだ…?」

 何か内緒話をしている。ボソボソと声は聞こえるが、何を言ってるのかは剛には聞き取れなかった。

 「二度目と言っていたが、一度目はいつのことなんだ?」

 「えぇと、確か僕が中学一年生の全国大会の決勝戦だった筈です。」

 部長は固唾を呑んで言った。

 「結局勝ったのかね…?」

 「はい、勝ちました。」

 「その時の記録とかないかね?なんでもいいから…」

 「はいありますよ。動画ですけど必要ですか?」

 「あぁ!お願いするよ!」

 「家に帰って探しときますから、見つかったら動画ファイル送りますよ。部長のメールアドレスはありますか?」

 「ああ。」

 グレン部長は自分のメアドを書いて剛に渡した。


 急にエレナが剛の頬をつねった。

 「いたたたたたっ、やめてっエレナ!痛いからやめて!」

 エレナは手を離してくれたが、剛の頬はまだひりひりして痛い。文句の一つでも言ってやろうと思ってエレナの方を見たが。俯いていた。

 「ばか…」

 エレナは肩を震わせていた。

 「もうバカ!着地した時に怪我でもしたらどうするつもりだったのよ!私もう…心配で心配でッ…」

 「ご、ごめん。次は気をつけるよ。」

 目にたまった涙を拭いてエレナは小指を突き出した。

 「約束して!もうあんな危ないことをしないって!そもそもあなた“チビ”なんだからダンクなんてそもそも向いてないし、接触しながらのダンクは危なさすぎるでしょ!」

 “チビ”という言葉は剛にとって言ってはならない言葉の一つだった。

 「チビじゃねぇし!俺はこれからも身長がちょっと大きいからって人を見下す奴らの考えを改めさせるように辞めるつもりはない!」

 「は?!そんなこと言ってもし怪我したらどうするのよ!」

 「その時はその時だ。」

 そのあとエレナは剛への説得を続けていたが、最終的にエレナが折れた形で妥協となった。

 それはなるべくダンクしようとはしないことだ。

 そもそも元からそんな頻繁にダンクするつもりはないし、ダンクしまくるのも剛の身長からするとすごく体力を使う。ここぞという時以外ダンクするつもりはなかったのだ。


 それからはと言うと、軽く今後の部活動のある曜日、それともし部活動終了後に自主練や朝練はないがそれも自主練で使いたい人は事前に連絡するようにと、使い終わったとき帰る前にチェックしておかなくてはいけない事を説明しその日は終わった。



 剛は着替え終わった後にザイオンと一緒に帰ろうとしたら更衣室の外にエレナが待っていた。

 「剛っ、一緒に帰ろ!」

 家の鍵はエレナが持っていたので断れなかった。人質ならぬ鍵質だ。


***

 剛は驚きのあまり言葉を失った。

 何故か?それは自宅リビングの机に置かれた書き置きの内容のせいだった。


  親愛なる剛へ

  お父さんとお母さんはしばらく仕事で出張する日数が伸びました♡。

 しばらく家を開けます。大体1ヶ月ほどの出張でニューヨークへ行きます。お土産は期待しといてね♡

  だけど、家はあなた一人になるわけではありません。あなたの身の回りの世話はエレナちゃんがしてくれます。くれぐれも迷惑を掛けないように。

  何故?かと思うかもしれませんが、詳しい説明はめんどくさいので省きます。簡潔に説明すると、お父さんが怪我してからお世話になったお父さんと私の先輩であり、そのグリーンさんはあなたの“夢”を支えてくれる数少ない【支援者】の一人で、ある条件を元に、あなたの手綱を握っておくために婚約させる事になりました。エレナちゃんを大事にするのよ、もし彼女に何かあったら私はともかくお父さんもエレナちゃんの両親もあなたを殺すわ、社会的にね。

  というかエレナちゃん見た目可愛いから誘拐されかけたこともあるらしいから本当にちゃんと見張るのよ?!お願い!私達の仕事が無くなる可能性もあるから!?ね?


  追伸


  そうそう、家に二人っきりだからってエレナちゃんにエッチな事はしちゃダメよ♡

                  愛する母より
                          』






















 「なっ…なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!?!?!?」
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