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第十章 交錯する狂気
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「なんだか、見ていて恥ずかしいわ……」
駅前のイルミネーションの前で、手をつないだまま、じっとして動かない加奈と英人を見つめ、真実は自分の方が恥ずかしくなってきた。
「じゃあ、俺たちも手、つなぐ?」
嬉々として手を差し出してくる健太の手を、エイっと叩き落し、冷たく拒否する。
「だから、恥ずかしいの! この間は勢いでつないじゃったけど、あの後学校でからかわれて大変だったんだから! せめて私服ならよかったのに」
「今日は私服だから、大丈夫」
「だーから! 今は、手をつなぐことそのものが、恥ずかしいんだって……あんな、美男美女ならまだ絵になるけど! 私程度の女が、あんな少女漫画みたいなシーンを実演していたなんて」
「真実は可愛いよ」
この男は! なんだって、そう……嬉しがらせを言うんだ……。
なんだかんだ言っても、隣の相手にのめり込んでいるのは、真実も同じで。
俊に恋心めいた想いを抱いていた時は、最初はどことなく理想化した男子に当てはめようとしていた。俊の思う相手を察知してからは、意外なほどすんなりその気持ちは治まり、代わりに彼自身の本来の性質、というか、真面目で誠実で、ただ周りの人への好意や思いやりをうまく表現できない不器用さを客観的に理解できるようになった。
まあ、珠美と軽口を叩いてネタにすることもあるけれど、俊への想いはもはや恋というより友情に近い。
最近少しずつ美矢との距離も近づいて来ているが、それも微笑ましく見守れるようになっている。
それは、失恋にもカウントできないくらい、あっさり自分の中を通り過ぎて行った感情で。今考えると、美矢絡みで感情を揺らす俊、という存在に観察対象として心を動かされていた気もする。
もちろん今は俊本人に対する好意が上回っている。
加奈にも言えるが、その動向に目がいってしまうのは、興味本位というより気がかり、という思いの方が大きい。達観しているわけではないが、好意や関心を持つ相手に、心の中でひとりツッコミしてしまうのは、もう自分の性だと諦めている。
そのはずなのに。
健太に対しては、勝手が違う。
そもそも、出会ったその日に付き合いを申し込まれ、勢いとは言えその場で了承して、あろうことか手を繋いで歩き回ってしまうとは!
今思い出しても、顔から火が出るほど恥ずかしい。
てか、チョロすぎない?! ワタシ?!
あれほど加奈のフォーリンラブにツッコんでおきながら、それを上回る早さで健太に落とされてしまった。
一目惚れ、とかではもちろんない。
強いて言えば、「場面」惚れ、というところか。
あるいは、ギャップ萌え?
野暮ったい第一印象に反して、スマートな紳士ぶりと淑女扱いに気分が高揚したところへ、突然の告白とそのあとの押しの一手に、飲み込まれた、というか。
押しが強いわりに決して無理強いしないところとか、不意に見せる甘えた表情とか、真実の言動に一喜一憂する子供っぽさとか……五つも年上のくせして、可愛すぎる!
まだ出会って二回目だというのに、すでに翻弄されまくっていることに、そしてそれが心地いいとさえ思ってしまっている。
心の中で白旗を揚げつつも、それを素直に見せるのも何だか悔しい。
そう思って冷たくあしらうと、子犬のようにシュンとするかと思いきや、こそばゆい嬉しがらせを言ったりして、ますます真実を翻弄する。
それが計算でない健太の天然さなのか、計算だとしたら外見とのギャップか著しすぎる、とか色々セルフツッコミしながらも、最終的に真実は折れる。折れるしかない自分の心の有様に……ちょっとにやける。
……だって、好きなっちゃったんだもん。
「……ちょっとだけなら、いいわよ」
仕方ないな、という体を装いながら、スッと手を差し出す。
「やった」
そう言うと、健太は指先を絡めて握ってくる。
「ちょっ! 握り方!」
「うん、恋人握り、っていうんだってさ」
真実の反応を楽しむように、がっちり握りこんで、離そうとしない健太に、諦めて手の力を抜く。
そして改めて加奈たちに目線を送り。
「まあ、生活圏内が同じだから、デートに遭遇しちゃうのは、もはや偶然っていうより、必然に近いんだけど……あの二人は、目立ってしょうがないわよね」
今日は、別に加奈たちを見張りに来たわけではない。健太と週末デートでイルミネーションを見に来たら、かぶってしまっただけなのだ。
「だよね。しかも、本当に見ていて恥ずかしくなるくらい、もどかしいし。たぶん、初めて手をつないだんじゃないかな? 距離感が、まだ遠い」
「……健太はすぐ距離感詰めてきたけどね」
「いや、結構我慢してるけどね」
「お願い、それ以上言わないで!」
「うんうん、とりあえず満足しているから、待つよ」
そう言いながらも、すっと体を寄せてくる。その体温を感じて、恥ずかしいけれど、あったかくて……相反する感情で真実の頭の中はぐちゃぐちゃになる。
「でも、気になるな」
「?」
「あそこの、看板の陰から、ずっと見ている子がいるんだよね。……あんまり、穏やかじゃないなあ」
健太が示した方向にある、大型ショッピングモールの案内板の陰に、ひとりの少女が立っていた。
「うーん、ちょっとよく見えない」
真実の位置からだと、斜め後ろで、顔は見えない。
「ちょっと移動していい?」
一応了解を取っているが、有無言わせず健太を引っ張り、その影に隠れるようにして、少女の顔が見える位置に移動する。
「あ……」
「知り合い?」
「うん……クラスメート」
谷津マリカ。
それは、鬼気迫る、といっていい形相で。
最近は、学校も休みがちで、人づてに夜の繁華街をさまよっている、という噂も耳にしている。ただ、和矢にも美術部にも関心がなくなったらしい様子があったので、いつの間にか思考の片隅に追いやっていた。
けれど。
「俺らが来た時には、もうずっとあそこにいたよ。それで、ずっと、あの二人を見てる」
その形相に、不安がつのる。美術部に、もっと言うと美矢や俊を逆恨みしていた時とは、何かが違う。もっと、純粋な、憎しみ。
それに。
「怪我の功名なのか……同病相憐れむなのか」
マリカの視線に宿る、もう一つの感情。恋情、と言っていいのか、恋の狂気、というべきか。そんな感情に、以前より敏感になっている自分が恨めしい。
その視線の先には、英人がいるのだろう。
和矢に対しての思いは、周りを散々振り回してはいたが、どこかアイドルに熱狂するような、恋すること自体を楽しむような、そんな明るい恋心だったと思う。
けれど、夏休み以後、マリカからはそんな思いは消えていた。
代わりに感じるようになったあの視線が、マリカのマウントであったと、今は分かる。
『私は、もうアンタたちとは違う次元にいるのよ。もう、アンタなんか相手にしてないわ』
あの粘着いた視線を思い出すと、聞こえたはずもないマリカの言葉が、真実の脳内で勝手に補完される。それは、当たらずとも遠からずだと思う。それでマリカの気が納まるなら、どうぞご勝手に、と言いたいところだが。
その相手が、英人だとしたら。
加奈とマリカを二股かけて? ……いや、それは考えられない。
夏休み明けは、おそらく加奈と英人が交際を始めたかどうか、そんなころだと思う。
何かあったとすれば、夏休み中だと思うが、その頃には英人の心の中にはすでに加奈がいたはずだ。
ただ。
あの美貌だ。マリカが一方的にのぼせ上っている可能性は、否定できない。
「ちょっとまずいかもしれない」
とにかく思い込んだら一直線である上、自分中心に世界が回っている、と認識している節があるから、ねえ。
かと言って、見ているだけでは、どうにもできない。身辺の注意喚起くらいしかできないが、なんて言えばいいんだろう。
「とりあえず、英人の方は気にかけておくから、真実は加奈さんの近辺で気になることがあったら、相談して。くれぐれも、危ないことはしないようにね」
真剣な目で、健太は真実に念押しする。
こんな時ばかり、大人みたいな物言いするんだから。心の中でへそを曲げつつも、もっともな健太の忠告に、真実は素直にうなづいた。
そのままイルミネーション会場をあとにして、時間だからと、改札口で健太に手を振って別れ。
心配事はあるものの、それを共有してくれる恋人の存在に、満足感と高揚感をかみしめる。
やっぱり、頼りになるよね。健太がいてくれてよかった。
そんな全幅の信頼と、恋心に覆われた目の前のヴェールに、真実は気付いていなかった。だから。
健太のまなざしの奥に隠された、苦悩にも、気付くことはなかった。
駅前のイルミネーションの前で、手をつないだまま、じっとして動かない加奈と英人を見つめ、真実は自分の方が恥ずかしくなってきた。
「じゃあ、俺たちも手、つなぐ?」
嬉々として手を差し出してくる健太の手を、エイっと叩き落し、冷たく拒否する。
「だから、恥ずかしいの! この間は勢いでつないじゃったけど、あの後学校でからかわれて大変だったんだから! せめて私服ならよかったのに」
「今日は私服だから、大丈夫」
「だーから! 今は、手をつなぐことそのものが、恥ずかしいんだって……あんな、美男美女ならまだ絵になるけど! 私程度の女が、あんな少女漫画みたいなシーンを実演していたなんて」
「真実は可愛いよ」
この男は! なんだって、そう……嬉しがらせを言うんだ……。
なんだかんだ言っても、隣の相手にのめり込んでいるのは、真実も同じで。
俊に恋心めいた想いを抱いていた時は、最初はどことなく理想化した男子に当てはめようとしていた。俊の思う相手を察知してからは、意外なほどすんなりその気持ちは治まり、代わりに彼自身の本来の性質、というか、真面目で誠実で、ただ周りの人への好意や思いやりをうまく表現できない不器用さを客観的に理解できるようになった。
まあ、珠美と軽口を叩いてネタにすることもあるけれど、俊への想いはもはや恋というより友情に近い。
最近少しずつ美矢との距離も近づいて来ているが、それも微笑ましく見守れるようになっている。
それは、失恋にもカウントできないくらい、あっさり自分の中を通り過ぎて行った感情で。今考えると、美矢絡みで感情を揺らす俊、という存在に観察対象として心を動かされていた気もする。
もちろん今は俊本人に対する好意が上回っている。
加奈にも言えるが、その動向に目がいってしまうのは、興味本位というより気がかり、という思いの方が大きい。達観しているわけではないが、好意や関心を持つ相手に、心の中でひとりツッコミしてしまうのは、もう自分の性だと諦めている。
そのはずなのに。
健太に対しては、勝手が違う。
そもそも、出会ったその日に付き合いを申し込まれ、勢いとは言えその場で了承して、あろうことか手を繋いで歩き回ってしまうとは!
今思い出しても、顔から火が出るほど恥ずかしい。
てか、チョロすぎない?! ワタシ?!
あれほど加奈のフォーリンラブにツッコんでおきながら、それを上回る早さで健太に落とされてしまった。
一目惚れ、とかではもちろんない。
強いて言えば、「場面」惚れ、というところか。
あるいは、ギャップ萌え?
野暮ったい第一印象に反して、スマートな紳士ぶりと淑女扱いに気分が高揚したところへ、突然の告白とそのあとの押しの一手に、飲み込まれた、というか。
押しが強いわりに決して無理強いしないところとか、不意に見せる甘えた表情とか、真実の言動に一喜一憂する子供っぽさとか……五つも年上のくせして、可愛すぎる!
まだ出会って二回目だというのに、すでに翻弄されまくっていることに、そしてそれが心地いいとさえ思ってしまっている。
心の中で白旗を揚げつつも、それを素直に見せるのも何だか悔しい。
そう思って冷たくあしらうと、子犬のようにシュンとするかと思いきや、こそばゆい嬉しがらせを言ったりして、ますます真実を翻弄する。
それが計算でない健太の天然さなのか、計算だとしたら外見とのギャップか著しすぎる、とか色々セルフツッコミしながらも、最終的に真実は折れる。折れるしかない自分の心の有様に……ちょっとにやける。
……だって、好きなっちゃったんだもん。
「……ちょっとだけなら、いいわよ」
仕方ないな、という体を装いながら、スッと手を差し出す。
「やった」
そう言うと、健太は指先を絡めて握ってくる。
「ちょっ! 握り方!」
「うん、恋人握り、っていうんだってさ」
真実の反応を楽しむように、がっちり握りこんで、離そうとしない健太に、諦めて手の力を抜く。
そして改めて加奈たちに目線を送り。
「まあ、生活圏内が同じだから、デートに遭遇しちゃうのは、もはや偶然っていうより、必然に近いんだけど……あの二人は、目立ってしょうがないわよね」
今日は、別に加奈たちを見張りに来たわけではない。健太と週末デートでイルミネーションを見に来たら、かぶってしまっただけなのだ。
「だよね。しかも、本当に見ていて恥ずかしくなるくらい、もどかしいし。たぶん、初めて手をつないだんじゃないかな? 距離感が、まだ遠い」
「……健太はすぐ距離感詰めてきたけどね」
「いや、結構我慢してるけどね」
「お願い、それ以上言わないで!」
「うんうん、とりあえず満足しているから、待つよ」
そう言いながらも、すっと体を寄せてくる。その体温を感じて、恥ずかしいけれど、あったかくて……相反する感情で真実の頭の中はぐちゃぐちゃになる。
「でも、気になるな」
「?」
「あそこの、看板の陰から、ずっと見ている子がいるんだよね。……あんまり、穏やかじゃないなあ」
健太が示した方向にある、大型ショッピングモールの案内板の陰に、ひとりの少女が立っていた。
「うーん、ちょっとよく見えない」
真実の位置からだと、斜め後ろで、顔は見えない。
「ちょっと移動していい?」
一応了解を取っているが、有無言わせず健太を引っ張り、その影に隠れるようにして、少女の顔が見える位置に移動する。
「あ……」
「知り合い?」
「うん……クラスメート」
谷津マリカ。
それは、鬼気迫る、といっていい形相で。
最近は、学校も休みがちで、人づてに夜の繁華街をさまよっている、という噂も耳にしている。ただ、和矢にも美術部にも関心がなくなったらしい様子があったので、いつの間にか思考の片隅に追いやっていた。
けれど。
「俺らが来た時には、もうずっとあそこにいたよ。それで、ずっと、あの二人を見てる」
その形相に、不安がつのる。美術部に、もっと言うと美矢や俊を逆恨みしていた時とは、何かが違う。もっと、純粋な、憎しみ。
それに。
「怪我の功名なのか……同病相憐れむなのか」
マリカの視線に宿る、もう一つの感情。恋情、と言っていいのか、恋の狂気、というべきか。そんな感情に、以前より敏感になっている自分が恨めしい。
その視線の先には、英人がいるのだろう。
和矢に対しての思いは、周りを散々振り回してはいたが、どこかアイドルに熱狂するような、恋すること自体を楽しむような、そんな明るい恋心だったと思う。
けれど、夏休み以後、マリカからはそんな思いは消えていた。
代わりに感じるようになったあの視線が、マリカのマウントであったと、今は分かる。
『私は、もうアンタたちとは違う次元にいるのよ。もう、アンタなんか相手にしてないわ』
あの粘着いた視線を思い出すと、聞こえたはずもないマリカの言葉が、真実の脳内で勝手に補完される。それは、当たらずとも遠からずだと思う。それでマリカの気が納まるなら、どうぞご勝手に、と言いたいところだが。
その相手が、英人だとしたら。
加奈とマリカを二股かけて? ……いや、それは考えられない。
夏休み明けは、おそらく加奈と英人が交際を始めたかどうか、そんなころだと思う。
何かあったとすれば、夏休み中だと思うが、その頃には英人の心の中にはすでに加奈がいたはずだ。
ただ。
あの美貌だ。マリカが一方的にのぼせ上っている可能性は、否定できない。
「ちょっとまずいかもしれない」
とにかく思い込んだら一直線である上、自分中心に世界が回っている、と認識している節があるから、ねえ。
かと言って、見ているだけでは、どうにもできない。身辺の注意喚起くらいしかできないが、なんて言えばいいんだろう。
「とりあえず、英人の方は気にかけておくから、真実は加奈さんの近辺で気になることがあったら、相談して。くれぐれも、危ないことはしないようにね」
真剣な目で、健太は真実に念押しする。
こんな時ばかり、大人みたいな物言いするんだから。心の中でへそを曲げつつも、もっともな健太の忠告に、真実は素直にうなづいた。
そのままイルミネーション会場をあとにして、時間だからと、改札口で健太に手を振って別れ。
心配事はあるものの、それを共有してくれる恋人の存在に、満足感と高揚感をかみしめる。
やっぱり、頼りになるよね。健太がいてくれてよかった。
そんな全幅の信頼と、恋心に覆われた目の前のヴェールに、真実は気付いていなかった。だから。
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