わたしは何になるの?

るいのいろ

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わたしはどこへ行くの?

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わたしは小さな女の子のまやちゃん。

年は6歳で、来年から小学生になります。



「まやちゃんは将来、何になりたいの?」



保育園の先生が、私に聞きました。


私は将来なんてまだまだ考えたことありません。

だってまだ子供だもの。


だけど、みんなはもう決まってるのかな…?







「ねえねえ、小鳥さん。あなたは将来何になるの?」


「チュンチュン、私は大きな翼を持ってる大きな鳥になりたいわ。そしたら、あの空をいつまでも、いつまでも飛び続けるの。」


「どうしてお空を飛びたいの?」


「私は小鳥よ。翼を持って生まれたの。あんなに綺麗なお空を飛ばなきゃ損でしょ?」


「損かぁ…」


「あなたは何になりたいの?」


「う~んと…」











「ねえねえ、大きな木さん。あなたは将来何になるの?」


「サラサラサラ。私はもっと大きく育って、ずっとここにいたいなぁ。この大きな背丈を活かして、ずっとずぅーっとみんなを見守るんだよ。」


「それって、退屈じゃない?」


「そんなことないさ。この地でみんなが大きく成長していくのをこの目で見たいのさ」


「ふ~ん…」


「君は何になりたいのかね?」


「私は…」










「ねえねえ、子猫ちゃん。あなたは将来何になるの?」


「ニャンニャン。そんなことまだ分からないわよ。だって私はまだ子猫だもの。」


「でも子猫ちゃん。そんなにのんびりしてて大丈夫?」


「大丈夫よ。だって私は子猫なのよ。」


「でもでも、子猫ちゃんはすぐに大人になっちゃうよ。私だってそう…。」


「まあ、そんなこと、どうでもいいじゃない。」


「よくないのよ。大人になったらね、何になりたいか決めなきゃいけないのよ」


「何か?」


「そう。この世界の、何かにならなきゃいけないの。」


「ふわぁ~あ。何言ってるのよ」


「子猫ちゃん、あくびしないで。私は真剣なのよ?」


「いい?何者かにならなきゃいけないことなんてないの。あなたはあなた。それで十分なのよ。」


「でもでもでも、みんな何かになりたがってるよ。大きな鳥や、大きな大きな木に。私には、なりたいものが何も無い。」


「人は人、あなたはあなたよ。そんなに焦らなくたっていいじゃない。あなたはまだ子供なんだもの。将来なんて、色々経験してから決めればいいことよ。」


「そうなのかなぁ?」


「そうよ。あなたのパパやママも色々経験して、そうやって今の自分を作ったと思うわ。そしてあなたがいるの。あなたもこれから色々経験して成長していけばいいのよ。だから、今のあなたがすることは将来のことを考えることじゃなくて、色々なものを見て、いっぱい勉強して、そして遊ぶことよ。」


「……」


「ちょっと、どうしたの?」


「そうよね。だって私、まだ子供だもの!」


「分かってくれたかしら?じゃあ私はもう一眠りするわね。」


「ねちゃだめよ!今から遊びに行くんだから!」


「え!?ちょっと!しっぽを引っ張らないでちょうだい!」


「ほら!いくよ!子猫ちゃん!」


「ニャーーーー!!!」





そうしてまやちゃんは、色々なものを見て、色々経験して、すくすくと大人になっていきました。


大人のまやちゃんは元気に笑顔で過ごしていました。
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