1 / 1
パパがくれた箱
しおりを挟む
「これはパパの宝物だよ。君が大きくなった時に、開けてごらん。きっと気に入ってくれると思う」
僕が小さい時、パパはそういって僕にある箱をくれた。
古くて、ボロボロで、小さな箱。
「こんな箱、何が入っているんだろう?」
小さかった僕は、気にもしなかった。
それから2年が経って、僕は5歳の誕生日を迎えた。
「お誕生日おめでとう。こんなに大きくなって…」
5歳の誕生日は、お母さんとおじいちゃん、おばあちゃんの4人で迎えた。お父さんはそこにはいなかった。
お母さんとおばあちゃんは、たくさんのご馳走と大きなケーキを用意してくれた。
「さあ、冷めないうちに食べましょう。」
いただきますの合図と同時に、僕達はご馳走を頬張った。
「ほれ、プレゼントじゃよ。」
おじいちゃんがプレゼントを持ってきてくれた。
僕が欲しかったおしゃべりするロボットのおもちゃと、綺麗な三輪車をくれた。
「ありがとう!」
僕はすごく嬉しかった。
お母さんたちも、喜ぶ僕を見て嬉しそうだったり、安心したりしていた。
ご馳走を食べ終え、貰ったプレゼントを眺めていたら、お母さんが変な箱を持ってきた。
「お母さん、これなあに?」
「これは、お父さんからよ。ずっと前にあなたへって、貰ったでしょう?」
そうだ。これは僕が小さい頃に、お父さんがくれた謎の箱だ。
「それ、何が入ってるの?」
「さあ?開けてご覧なさい」
僕はその箱を丁寧に開けてみた。
「…これ、なあに?」
箱の中には、糸で繋がっている赤い玉が刺さっている変な棒とか、変な絵が書かれたトランプみたいなカードとか、電動ではない小さな車とか、色んなおもちゃが入っていた。
「うわぁ。懐かしいなぁ。」
おじいちゃんとおばあちゃんは、懐かしそうにしていた。目がキラキラしていた。
お母さんは笑っていたけど、少し呆れたような目だった。
「これはね、けん玉だよ。こうやって遊ぶんだ」
おじいちゃんはけん玉を持って、色んな技を見せてくれた。
「これは?」
「これはお手玉だよ。こうやってやるのさ」
おばあちゃんはお手玉を3つ手に持って、ひょいひょいと投げて遊んでみせた。
「すごいすごい!」
お母さんはお手玉が好きなようだ。
「じゃあじゃあ、これは?」
「これはかるただね。どれ、ちょっとみんなでやってみようか」
おじいちゃんはかるたを机の上に広げた。
かるたは子供の僕でも楽しめた。
お母さんも、おばあちゃんも、みんな楽しそうだった。
「懐かしいねぇ…」
「お父さんはどうしてこれを僕にくれたんだろう?」
「さあねぇ…ん?これは?」
おばあちゃんは、箱の中から1枚の紙を取りだした。
「お手紙だ!」
お父さんから、僕宛てに書いてくれたお手紙だった。
「読んでごらん。」
手紙には、こう書かれていた。
「5歳のお誕生日おめでとう。
今日まで無事に成長してくれて、パパも嬉しいよ。大きくなったね。
プレゼントは喜んでくれたかな?
それは、パパが小さい頃によく遊んだおもちゃだよ。
おじいちゃんから貰ったんだ。
昔、みんなでよく遊んだものだよ。
この箱を開いた時、きっとみんな笑顔になるだろう。
おじいちゃんも、おばあちゃんも、お母さんも。
みんなが笑顔になってくれる物を選んだんだ。
みんなが笑っていてくれたらいいな。
最後に、お誕生日の場にパパがいられなくてごめんね。
パパはもう同じ世界には居ないけれど、いつでも君を見守っているよ。ずっと、空の上から見ているよ。
安心して、もっともっと大きくなってね。
これからも、君の健康を祈って。
パパより」
「次はこれで遊びましょう」
「これまたなつかしいねぇ。昔はずっとこれで遊んでいたなぁ」
おじいちゃんも、おばあちゃんも、お母さんも、みんな笑っている。
このおもちゃは、みんなの思い出なんだ。
みんなとお父さんとの、大切な思い出。
「お父さん、みんな笑っているよ。プレゼントをありがとう。」
お父さんは空からみんなを見ていた。
「よかったよかった。みんな楽しそうだ。」
我が家からは、ずっと笑い声が聞こえていた。
みんな笑っていた。
おじいちゃん、おばあちゃん、お母さん、僕。
そしてお父さんも、笑っていた。
僕が小さい時、パパはそういって僕にある箱をくれた。
古くて、ボロボロで、小さな箱。
「こんな箱、何が入っているんだろう?」
小さかった僕は、気にもしなかった。
それから2年が経って、僕は5歳の誕生日を迎えた。
「お誕生日おめでとう。こんなに大きくなって…」
5歳の誕生日は、お母さんとおじいちゃん、おばあちゃんの4人で迎えた。お父さんはそこにはいなかった。
お母さんとおばあちゃんは、たくさんのご馳走と大きなケーキを用意してくれた。
「さあ、冷めないうちに食べましょう。」
いただきますの合図と同時に、僕達はご馳走を頬張った。
「ほれ、プレゼントじゃよ。」
おじいちゃんがプレゼントを持ってきてくれた。
僕が欲しかったおしゃべりするロボットのおもちゃと、綺麗な三輪車をくれた。
「ありがとう!」
僕はすごく嬉しかった。
お母さんたちも、喜ぶ僕を見て嬉しそうだったり、安心したりしていた。
ご馳走を食べ終え、貰ったプレゼントを眺めていたら、お母さんが変な箱を持ってきた。
「お母さん、これなあに?」
「これは、お父さんからよ。ずっと前にあなたへって、貰ったでしょう?」
そうだ。これは僕が小さい頃に、お父さんがくれた謎の箱だ。
「それ、何が入ってるの?」
「さあ?開けてご覧なさい」
僕はその箱を丁寧に開けてみた。
「…これ、なあに?」
箱の中には、糸で繋がっている赤い玉が刺さっている変な棒とか、変な絵が書かれたトランプみたいなカードとか、電動ではない小さな車とか、色んなおもちゃが入っていた。
「うわぁ。懐かしいなぁ。」
おじいちゃんとおばあちゃんは、懐かしそうにしていた。目がキラキラしていた。
お母さんは笑っていたけど、少し呆れたような目だった。
「これはね、けん玉だよ。こうやって遊ぶんだ」
おじいちゃんはけん玉を持って、色んな技を見せてくれた。
「これは?」
「これはお手玉だよ。こうやってやるのさ」
おばあちゃんはお手玉を3つ手に持って、ひょいひょいと投げて遊んでみせた。
「すごいすごい!」
お母さんはお手玉が好きなようだ。
「じゃあじゃあ、これは?」
「これはかるただね。どれ、ちょっとみんなでやってみようか」
おじいちゃんはかるたを机の上に広げた。
かるたは子供の僕でも楽しめた。
お母さんも、おばあちゃんも、みんな楽しそうだった。
「懐かしいねぇ…」
「お父さんはどうしてこれを僕にくれたんだろう?」
「さあねぇ…ん?これは?」
おばあちゃんは、箱の中から1枚の紙を取りだした。
「お手紙だ!」
お父さんから、僕宛てに書いてくれたお手紙だった。
「読んでごらん。」
手紙には、こう書かれていた。
「5歳のお誕生日おめでとう。
今日まで無事に成長してくれて、パパも嬉しいよ。大きくなったね。
プレゼントは喜んでくれたかな?
それは、パパが小さい頃によく遊んだおもちゃだよ。
おじいちゃんから貰ったんだ。
昔、みんなでよく遊んだものだよ。
この箱を開いた時、きっとみんな笑顔になるだろう。
おじいちゃんも、おばあちゃんも、お母さんも。
みんなが笑顔になってくれる物を選んだんだ。
みんなが笑っていてくれたらいいな。
最後に、お誕生日の場にパパがいられなくてごめんね。
パパはもう同じ世界には居ないけれど、いつでも君を見守っているよ。ずっと、空の上から見ているよ。
安心して、もっともっと大きくなってね。
これからも、君の健康を祈って。
パパより」
「次はこれで遊びましょう」
「これまたなつかしいねぇ。昔はずっとこれで遊んでいたなぁ」
おじいちゃんも、おばあちゃんも、お母さんも、みんな笑っている。
このおもちゃは、みんなの思い出なんだ。
みんなとお父さんとの、大切な思い出。
「お父さん、みんな笑っているよ。プレゼントをありがとう。」
お父さんは空からみんなを見ていた。
「よかったよかった。みんな楽しそうだ。」
我が家からは、ずっと笑い声が聞こえていた。
みんな笑っていた。
おじいちゃん、おばあちゃん、お母さん、僕。
そしてお父さんも、笑っていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる