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第二話 彼女の物語
3、遥か彼方の愛になんて興味はない
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それから私は、彼から人類についてのことを少しづつ教えてもらった。
もちろん、こちら側から質問することはできないから、彼が一方的に私に話すだけだけれども、私は彼の声が聴けるだけで充分だった。それに、彼の話すかつての人類の御伽噺は、とても興味深く、面白かった。
彼曰く、人類は二つに分かれたのだという。
愛を見失った人類と、愛を求め続ける人類の二つに。
そしてどうやら、私は愛を求め続ける人類らしい。それを聞かされて、私は全てに納得することができた。私がこれまでに感じていた周りの人たちとの違いはここにあったのか、と。私が周りの人間に興味を示し、触れ合いたいと思うのは愛を求めているからで。私の周りの人たちが他人に興味を示さず、必要最低限の接触しかないのは、愛を見失ったからなのだ。
私にも“愛”というものがなんなのかはよくわからないけれども、昔から、私が自分の中には見出せず、他人になにかを求める感覚があった。自分には足りない部分を補うようななにかを。なんとなくその感覚を指すのだろう、という気がする。
なぜ、愛を見失ったはずの人類から私が生まれ落ちたのかはわからないけれども、突然変異のようなものなのだろう。まあ、愛を見失った人類たちは、愛を求めることを病気か何かだと思っていたらしく、治療までしようとしていたらしいから、彼らにとっては私はなにか欠陥を抱えた人間に見えるのかもしれないけれど。
そしてどうやら、私以外の愛を求める人類たちは、もう宇宙の彼方へと行ってしまっているらしい。
ただ、今さらそれを知ったからといって、どうということもない。だって、そんな彼方の人類に、私はなんの思い入れもないのだから。確かに、彼らは私と近い存在なのだろう。もしも、私がその話を聞かされたのが十日前ならば、自分に近しい存在である彼らに思いを馳せて、なんとしてでも彼らのもとへと行く方法を模索したかもしれない。
けれども、今は目の前に彼がいる。
私に目を向けてくれる彼が。彼は、私が初めて出会った、私に声をかけてくれた人だった。別に、彼を愛しているとか、そういうわけではない。そもそも、私にだって愛がなんなのか、なんてよくわからないんだし。
でも、彼ともっと話したいと思うのだ。彼の声はこちらに届くものの、私の声は彼には届かない、互いに一方通行の会話だ。けれども、それでも今はこうして彼との会話を楽しみたい。もっと彼のことを知りたいと思うのだ。彼のその口から発せられる言葉のひとつひとつ、彼のその動作のその一挙手一投足に、どんな意味が込められているのかを考えることが、私の日々の楽しみとなっていた。
そして、私からの言葉やボディランゲージの意図することを、彼がどれだけ受け取ってくれているのか、というのも興味がある。どうすれば、私の意思をなるべく齟齬の無いように伝えられるのか。まあ、答え合わせのしようもないけれど。それでも、昨日の私よりは、今日の私のほうがうまく自分の意思を彼に伝えることができているのではないか、とは思う。
とにかく、そんなふうにして今は彼との接触をもっと重ねたいと思うのだ。
今は、遥か彼方の愛になんて興味はない。
もちろん、こちら側から質問することはできないから、彼が一方的に私に話すだけだけれども、私は彼の声が聴けるだけで充分だった。それに、彼の話すかつての人類の御伽噺は、とても興味深く、面白かった。
彼曰く、人類は二つに分かれたのだという。
愛を見失った人類と、愛を求め続ける人類の二つに。
そしてどうやら、私は愛を求め続ける人類らしい。それを聞かされて、私は全てに納得することができた。私がこれまでに感じていた周りの人たちとの違いはここにあったのか、と。私が周りの人間に興味を示し、触れ合いたいと思うのは愛を求めているからで。私の周りの人たちが他人に興味を示さず、必要最低限の接触しかないのは、愛を見失ったからなのだ。
私にも“愛”というものがなんなのかはよくわからないけれども、昔から、私が自分の中には見出せず、他人になにかを求める感覚があった。自分には足りない部分を補うようななにかを。なんとなくその感覚を指すのだろう、という気がする。
なぜ、愛を見失ったはずの人類から私が生まれ落ちたのかはわからないけれども、突然変異のようなものなのだろう。まあ、愛を見失った人類たちは、愛を求めることを病気か何かだと思っていたらしく、治療までしようとしていたらしいから、彼らにとっては私はなにか欠陥を抱えた人間に見えるのかもしれないけれど。
そしてどうやら、私以外の愛を求める人類たちは、もう宇宙の彼方へと行ってしまっているらしい。
ただ、今さらそれを知ったからといって、どうということもない。だって、そんな彼方の人類に、私はなんの思い入れもないのだから。確かに、彼らは私と近い存在なのだろう。もしも、私がその話を聞かされたのが十日前ならば、自分に近しい存在である彼らに思いを馳せて、なんとしてでも彼らのもとへと行く方法を模索したかもしれない。
けれども、今は目の前に彼がいる。
私に目を向けてくれる彼が。彼は、私が初めて出会った、私に声をかけてくれた人だった。別に、彼を愛しているとか、そういうわけではない。そもそも、私にだって愛がなんなのか、なんてよくわからないんだし。
でも、彼ともっと話したいと思うのだ。彼の声はこちらに届くものの、私の声は彼には届かない、互いに一方通行の会話だ。けれども、それでも今はこうして彼との会話を楽しみたい。もっと彼のことを知りたいと思うのだ。彼のその口から発せられる言葉のひとつひとつ、彼のその動作のその一挙手一投足に、どんな意味が込められているのかを考えることが、私の日々の楽しみとなっていた。
そして、私からの言葉やボディランゲージの意図することを、彼がどれだけ受け取ってくれているのか、というのも興味がある。どうすれば、私の意思をなるべく齟齬の無いように伝えられるのか。まあ、答え合わせのしようもないけれど。それでも、昨日の私よりは、今日の私のほうがうまく自分の意思を彼に伝えることができているのではないか、とは思う。
とにかく、そんなふうにして今は彼との接触をもっと重ねたいと思うのだ。
今は、遥か彼方の愛になんて興味はない。
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