アニヲタ異世界Firstlife

津野田ノL

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【第一章・アニヲタ、異世界ライフ開幕】

【第1話】《夢落ち》

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 俺の名前は大西カナメ。異世界召喚を本気で夢見るアニメオタクだ。俺の歳でこのような妄想を抱くのは自分で言うのも何だが恥ずかしい事だろう。でも賃金は高くないがちゃんと仕事に就いているので、無職のクソニートと言われては間違いである。
 今日もいつもと変わらない日々。いつも通り会社が終わり夕暮れの街を1人で歩く。今日も帰ったら徹夜でアニメ見よ。あーあ、マジで異世界ライフしてみてェなぁ…。例えば近所の自販機の受け取り口から魔界に召喚されるとか、突然風が吹いてきて王都まで飛ばされるとか。誰かに気絶させられて気付けば異世界とか…。こんな漫画みたいなこと起こるわけないよな。
 はぁ…。一体俺はいい歳こいてなんてくだらない妄想をしてるんだろうか。なんかすげー虚しくなってきたんですけど。大人になれよ、俺。
「あの夕日の向こうに、もう一つ世界が広がっていたら…」
 思わず口に出してしまった。どうせ誰も聞いていないだろう。てか今だいぶ痛いこと言った自覚あるから聞かれたらまずいぞ…。

―その通りだ。若き青年よ―
 
 は?聞かれた?恥っずかし。

―貴様の言うようにあの先には、我らの国メルソフィティアが存在する―
 
 振り返るとそこには白い布を着た老人がいた。布に隠れて顔は見えない。しかし、訳あり爺さんにメルソフィティアとかいう聞いたこともない国名、このシチュエーションはまさか…
「我が国には今、とんでもない脅威が迫っているのだ。」
 いやいや、正気に戻れよ。そんなことあり得るか?あれだ。多分この爺さんは俺の恥ずかしすぎる台詞に便乗してくれてるだけだ。それか頭がおかしいかの二択だ!
「悪いな爺さん。言ってみただけさ。忘れてくれ」
「貴様何を言う。まさかとは思うが信用してないのか?」
 おいおい嘘だろ、まさかこの爺さん二番目の方だったの!?
「おいおい爺さん、イカれちまったのか?言い出しっぺの俺が言えた口じゃねェけどさ、あんまり適当なことは言わんほうがい」
 すると爺さんは、俺に近づいてきやがった。
「そうか、なら連れてってやるわい」
 爺さんが手をかざした瞬間、辺が暗くなった。
「うわっ!?真っ暗!?どこに連れていかれるんだよ??」
 暗闇を抜けて、気付けば俺はある噴水の広場にいた。中世ヨーロッパ風の建物に、見たこともない文字。街人の衣装だってどこが風変わりで、おまけに何人かは猫の耳をはやしている。
 間違いない、ここは誰がどう見ても異世界だ!ここは異世界だ!アニメの見過ぎである俺は頭の中でケルト音楽が流れっぱなしだ。すっかり気分は高揚!アドレナリン爆発だぜ!
「よっしゃぁぁぁ来たぜぇ!待ってろ世界!あれ、爺さん消えた?」
 すると、突然後頭部に重いものを感じた。
「店前でうるせぇ!買い物しないならとっとと失せろボケ!」
 店前で堅気が怒鳴ってやがる。こいつはこの店の店主だろう。しっかし痛ェなこの野郎。いくらなんでも限度ってやつがあるだろうが。
 俺は立ち上がった。ほとんど理不尽に殴られた俺はイライラしていた。
「てめぇ俺を殴るとはいい度胸してんなコラ」
 俺は初めて親や友人以外に喧嘩を売った。
「おうボケナス、殴られ足りねェか」
 堅気は俺の喧嘩を綺麗に買い取りやがった。
「おいボケナス、俺は今ただでさえイライラしてんだ。商売の邪魔すんな」
「奇遇だな。俺も今イライラしてるんだよどこぞの野郎にぶん殴られてよォ」
「いい加減にしやがれ」
 堅気は俺を殴った。俺はそれを避け…たつもりが、しっかりと食らった。
―あれ。なんか暗いな。またさっきの感覚だ。
 恐る恐る顔を上げてみると、見慣れたカレンダーや給湯ポット。ここは…間違いない。俺の勤める会社の休憩室だ。
っていう事はまさか、休憩室に俺はただ寝落ちしてしまったって事か?おいおいおいおい嘘だろ…オフィスで寝落ちとか有り得ねェ。昨日徹夜でアニメ見すぎたか…てかそんなことより!
「結局夢落ちかよ!!!!!!」
                     (続)          
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