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黎明 ―はじまりのパーティ―
第11話 オーラの正体
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わしはマクシム・エドワード・ヴァンティエール=スレクトゥという。歳は56だ。
少し前まで、ヴァンティエール辺境伯家の当主であった。
すでに息子であるベルトランに家督は譲っておる。
現在はアルトアイゼン王国とアマネセル国の国境地帯であるアティラン平原、それを望むシアンドギャルド要塞の最高指揮官として要塞内で生活しておるのだ。
息子が政務をしている中、家で何もせずにいるのは、ちと気まずい。親の贔屓目なしに見てもやつは優秀だ、心配する必要などない。子煩悩すぎることが玉に瑕だが、人間に完璧なものなどおらん。玉に瑕くらいが丁度良いであろう、そちらの方が面白い。
さて、
わしは今久方ぶりにわが家へと帰ってきておる。少し前までは孫のオレリアに会うべく、数か月に1度は帰っておった。しかし、最近はアマネセルとかいうハエが飛び回っとるせいでなかなか家に帰れなんだ。この前突っ込んできおったもんで、叩き潰してやったわ。
ちなみにだが、要塞の方はクレマンに全部放り投げた。あやつなら心配ない。ここに来る前に散々嫌味を言われたがの・・・
今日一番の目的は約1年前に生まれた辺境伯家の跡取りである孫に会うためだ。
勝手知ったる我が家を突き進む、わしにとって2番目の孫アルテュールの部屋に着くのはすぐだった。
(またあれをやるかのぉ)
そう思いながら息を吐くように体内に存在する魔力を身に纏う。使用人にアルテュールとの初顔合わせを邪魔されぬようにするためよ。戦いに身を置いていない者を遠ざけるのにはこれが一番だ、なかなかにいい考えであろう?
前にも一度やったことがある。
オレリアはきゃっきゃと喜んでおったがアルテュールはどうだろう。
ベルトランやクレマンには注意されたがわしゃ知らん。孫が喜んでおったのならそれでよい。
(ふっ、執務室あたりで1つ魔力がぴくっと揺らいでおるわ)
部屋の前に着く。
癖になっとるのじゃろう、無意識に室内の魔力を探る。
部屋の中に魔力が4つ―――うち3つはおそらく侍女のものだろう、一般的な平民のものだのぉ。
しかし残りの1つは貴族だとしてもかなり大きい。
(アルテュールのものか?だとしたら面白い)
扉を開ける、
バンッ!
いかん・・・強すぎたわ
侍女たちが身構える。
(いい心がけだが今は邪魔にしかならん、退け)
身に纏う魔力を強くすると魔力の波に吞まれたのだろう、侍女たちはすぐに元の位置へと戻りおった。その間にわしは寝台へ近づき、そこで目を見開いているアルテュールを丁寧に抱き上げる。
(愛いのぉ、心が洗われるようだ)
そのアルテュールはというと、わしの顔を見た後目線を下に落としておる。
(ほぉ)
心の中で感嘆する。初対面の相手に驚くのではなく、観察とな。なかなかに聡い子のようだ。
次にアルテュールは何度も目をこすっては見開いて不思議そうな顔をする。わしはその行動の意味を悟り思わず唸る。
「ほぉ」
こやつ、わしの魔力が見えておるな?
魔力というものは生まれをとわず誰しもが持っているもの、そしてこれは個人差があるのだが魔力を感じることも可能だ。
しかし、魔力自体が見えるというのはあまり聞かぬことよ。
(面白い、こやつなかなかに面白い)
おっと、今はそれどころではない。そう思い魔力を霧散させる。
自己紹介をせねば・・・
(なるべく優しい声で、そう優しく―――)
「ばぁ~、おぬしのじーちゃんじゃぞ~♪」
これで良し。なかなか良いのではなかろうか。
むっ、アルテュールよ、なんじゃその顔は。
少し前まで、ヴァンティエール辺境伯家の当主であった。
すでに息子であるベルトランに家督は譲っておる。
現在はアルトアイゼン王国とアマネセル国の国境地帯であるアティラン平原、それを望むシアンドギャルド要塞の最高指揮官として要塞内で生活しておるのだ。
息子が政務をしている中、家で何もせずにいるのは、ちと気まずい。親の贔屓目なしに見てもやつは優秀だ、心配する必要などない。子煩悩すぎることが玉に瑕だが、人間に完璧なものなどおらん。玉に瑕くらいが丁度良いであろう、そちらの方が面白い。
さて、
わしは今久方ぶりにわが家へと帰ってきておる。少し前までは孫のオレリアに会うべく、数か月に1度は帰っておった。しかし、最近はアマネセルとかいうハエが飛び回っとるせいでなかなか家に帰れなんだ。この前突っ込んできおったもんで、叩き潰してやったわ。
ちなみにだが、要塞の方はクレマンに全部放り投げた。あやつなら心配ない。ここに来る前に散々嫌味を言われたがの・・・
今日一番の目的は約1年前に生まれた辺境伯家の跡取りである孫に会うためだ。
勝手知ったる我が家を突き進む、わしにとって2番目の孫アルテュールの部屋に着くのはすぐだった。
(またあれをやるかのぉ)
そう思いながら息を吐くように体内に存在する魔力を身に纏う。使用人にアルテュールとの初顔合わせを邪魔されぬようにするためよ。戦いに身を置いていない者を遠ざけるのにはこれが一番だ、なかなかにいい考えであろう?
前にも一度やったことがある。
オレリアはきゃっきゃと喜んでおったがアルテュールはどうだろう。
ベルトランやクレマンには注意されたがわしゃ知らん。孫が喜んでおったのならそれでよい。
(ふっ、執務室あたりで1つ魔力がぴくっと揺らいでおるわ)
部屋の前に着く。
癖になっとるのじゃろう、無意識に室内の魔力を探る。
部屋の中に魔力が4つ―――うち3つはおそらく侍女のものだろう、一般的な平民のものだのぉ。
しかし残りの1つは貴族だとしてもかなり大きい。
(アルテュールのものか?だとしたら面白い)
扉を開ける、
バンッ!
いかん・・・強すぎたわ
侍女たちが身構える。
(いい心がけだが今は邪魔にしかならん、退け)
身に纏う魔力を強くすると魔力の波に吞まれたのだろう、侍女たちはすぐに元の位置へと戻りおった。その間にわしは寝台へ近づき、そこで目を見開いているアルテュールを丁寧に抱き上げる。
(愛いのぉ、心が洗われるようだ)
そのアルテュールはというと、わしの顔を見た後目線を下に落としておる。
(ほぉ)
心の中で感嘆する。初対面の相手に驚くのではなく、観察とな。なかなかに聡い子のようだ。
次にアルテュールは何度も目をこすっては見開いて不思議そうな顔をする。わしはその行動の意味を悟り思わず唸る。
「ほぉ」
こやつ、わしの魔力が見えておるな?
魔力というものは生まれをとわず誰しもが持っているもの、そしてこれは個人差があるのだが魔力を感じることも可能だ。
しかし、魔力自体が見えるというのはあまり聞かぬことよ。
(面白い、こやつなかなかに面白い)
おっと、今はそれどころではない。そう思い魔力を霧散させる。
自己紹介をせねば・・・
(なるべく優しい声で、そう優しく―――)
「ばぁ~、おぬしのじーちゃんじゃぞ~♪」
これで良し。なかなか良いのではなかろうか。
むっ、アルテュールよ、なんじゃその顔は。
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