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幼少 ―友達を求めて―
第23話 電光石火
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(風よ)
ハッツェンの後ろから風を吹かせて加速させ、孤児院内に突入する。
案内してくれたやつらは領兵たちに任せよう。今はなによりスピードが大事だ。
孤児院の中はというとならず者のたまり場としては結構綺麗だが、子供たちが快適に住める場所というには少し汚い。そんなところ。
(探索《サーチ》)
敵の位置を確認するためにもう一度使う。
全部で11人、武装10人と武装なしの場違いが1人。
そのうちのは4人少し開けたスペースにおり、一人《場違い》の周りに3人が立っている。護衛しているかのようだった。
(院長、そこだな)
そのスペースに着くまでに最低でも4人は倒すことになりそうだ。
他3人はあまり関係ないところにいるが何をしているのだろうか。
存在を悟られないよう慎重にしかし、高速で進む。
少しして、武装した男が2人見えた。
武器を構えている。
一人は槍、もう一人は剣だ。
「―――…!」
目線が合うと同時に戦闘開始。
先手必勝、ハッツェンが槍の男に高速で肉薄する。
槍の方が射程が長い分厄介なんだ。
(火よ)
一瞬タイミングを遅らせるだけの目的で、俺は剣の男に魔法を放つ。
当然避けられたのだが、彼女にとってはこれで十分。
ハッツェンがやや遅れた槍男の突きを紙一重で躱し、懐に飛び込んで顎を蹴り上げる。
(ハッツェンは蹴り上げが得意なのかなぁ?今度パンツが見えないようなスカートをプレゼントしよう)
男は脳震盪を起こしてその場に倒れた。
これで2対1―――。
「…くっ―――っ!」
(水よ)
男が仲間を呼ぼうとしたので俺は寸前、一瞬だけ口付近に水を発現させる。
「ごぼぼぼ――!」
突然口周りに発生した水を飲み喉を抑える剣男。
そんな隙だらけの男にハッツェンが近づき鳩尾を強打、剣の男は泡を吹きながら倒れた。
占領開始《突入》からここまで約5分―――。
かなりの速さだと思う。
再度、探索《サーチ》で状況を把握する。
先ほどまでは開けたスペースに3人の護衛がいたが、今では5人になっている。
外の異変に気付き増やしたらしい。
しかし、中の異変には気づいていないようだった。
(まだこちらには気づいていないと。相手に無属性の魔法を使えるやつはいないのか?)
無属性魔法には身体強化《ストレングス》という第5位階魔法が存在し使用者は身体能力がバケモンみたいに上昇する。
そして身体強化《ストレングス》を使う者はほぼ全員が近接を得意としており、何らかの武術を修めているためかなり強い。
だが、この時点でまだ俺たちに気づいていないのならば無属性魔法第1位階探索《サーチ》を使える者――つまり、無属性魔法が使える者は相手側にいないということになる。
必然的に身体強化《ストレングス》使いが相手にいないことがわかるのだ。
(ラッキー♪)
それなら、難易度がぐっと下がる。
護衛として増えた二人は本来俺たちと遭遇するはずだった残り二人だったようで戦闘後、敵に遭遇することなく簡単に目的の部屋の前に着くことができた。
(やっぱりざるだな)
入口の陰から部屋の中を探索《サーチ》で探る
ラ ル
兵 兵 兵
____窓____窓____窓_____
| 〇 | 〇:護衛
| 〇 〇 | ●:おそらく院長
| | 兵:ヴァンティエール領兵
| 〇 ● 〇 | ラ:ラヨス
| | ル:ルウ
| |
|______| |_______|
(入口)
窓の外に兵が3人とラヨスとルウがいた。
「き、貴様ら、院長である私に逆らってただで済むと思うなよ!―――ラヨス、ルウ!こっちに来なさい!」
「わたしたちを売ろうとした奴の言うことなんて聞かないわっ」
言い争いの声が聞こえてくる
一介の孤児院の院長がいつ領兵に物申せるほど偉くなったのかは知らないがあいつ(●)が院長のザイテで間違いなさそうだ。
自分たちが少しでも動けば兵《敵》は雪崩れ込むだろう。そうなったら勝ち目はない。
そう考え、ならず者たちは睨み続けるだけで決して動かない。
逆に、ただ突っ込むだけでは後ろ側の入り口から院長を取り逃がしてしまう。
領兵たちはそう考えているためこちらもまた動けずにいる。
二つの思考がきれいに組み合わさった結果、均衡状態がつくられていた。
その均衡も俺たちが入り口を塞いでしまえば簡単に崩れる。
しかしまだ、孤児院の中には3人の護衛が―――
(あれ?いない……)
院内にいたはずの3つの反応が探索《サーチ》から消えていることに、今更ながら気づく。
(いつの間に?どこから出て行った?逃げたのか・・・それとも―――)
「ええぇいっ、他の奴らは何をやっているのだ、こいつらをさっさと殺せ!」
喚き声で意識を引き戻される。
(このことについては、後回しだ。今はあいつを捕まえよう)
「(ハッツェン)」
「(はい)」
ハッツェンが俺を抱えたまま音や気配を遮断し背後から高速で院長に近づく。
トンッ
院長の首を手刀で叩き、
ドさっ
院長は声をあげることもできずに崩れ落ちた。
(ハッツェンすげぇ……)
流れるようなすご技に俺が感動する中、背後からの物音を聞いたならず者たちが一斉に振り向く。
緊張で満たされた状況下での反応としては正しいかも知れないが、今その行動は悪手でしかない。目の前の領兵から目を放してどうする。
「――突入!」
ならず者たちが自分たちから目を逸らしたため、当然領兵たちは窓をたたき割って室内に雪崩れ込む。
ならず者たちは次々と何もできずに無力化されていった。
占領開始《突入》からここまで約10分。
俺たちの圧勝だった―――。
味方14名
負傷者:なし
死亡者:なし
敵(孤児院側)62名
負傷者(捕縛)43名
死亡者:16名
不明:3名
ハッツェンの後ろから風を吹かせて加速させ、孤児院内に突入する。
案内してくれたやつらは領兵たちに任せよう。今はなによりスピードが大事だ。
孤児院の中はというとならず者のたまり場としては結構綺麗だが、子供たちが快適に住める場所というには少し汚い。そんなところ。
(探索《サーチ》)
敵の位置を確認するためにもう一度使う。
全部で11人、武装10人と武装なしの場違いが1人。
そのうちのは4人少し開けたスペースにおり、一人《場違い》の周りに3人が立っている。護衛しているかのようだった。
(院長、そこだな)
そのスペースに着くまでに最低でも4人は倒すことになりそうだ。
他3人はあまり関係ないところにいるが何をしているのだろうか。
存在を悟られないよう慎重にしかし、高速で進む。
少しして、武装した男が2人見えた。
武器を構えている。
一人は槍、もう一人は剣だ。
「―――…!」
目線が合うと同時に戦闘開始。
先手必勝、ハッツェンが槍の男に高速で肉薄する。
槍の方が射程が長い分厄介なんだ。
(火よ)
一瞬タイミングを遅らせるだけの目的で、俺は剣の男に魔法を放つ。
当然避けられたのだが、彼女にとってはこれで十分。
ハッツェンがやや遅れた槍男の突きを紙一重で躱し、懐に飛び込んで顎を蹴り上げる。
(ハッツェンは蹴り上げが得意なのかなぁ?今度パンツが見えないようなスカートをプレゼントしよう)
男は脳震盪を起こしてその場に倒れた。
これで2対1―――。
「…くっ―――っ!」
(水よ)
男が仲間を呼ぼうとしたので俺は寸前、一瞬だけ口付近に水を発現させる。
「ごぼぼぼ――!」
突然口周りに発生した水を飲み喉を抑える剣男。
そんな隙だらけの男にハッツェンが近づき鳩尾を強打、剣の男は泡を吹きながら倒れた。
占領開始《突入》からここまで約5分―――。
かなりの速さだと思う。
再度、探索《サーチ》で状況を把握する。
先ほどまでは開けたスペースに3人の護衛がいたが、今では5人になっている。
外の異変に気付き増やしたらしい。
しかし、中の異変には気づいていないようだった。
(まだこちらには気づいていないと。相手に無属性の魔法を使えるやつはいないのか?)
無属性魔法には身体強化《ストレングス》という第5位階魔法が存在し使用者は身体能力がバケモンみたいに上昇する。
そして身体強化《ストレングス》を使う者はほぼ全員が近接を得意としており、何らかの武術を修めているためかなり強い。
だが、この時点でまだ俺たちに気づいていないのならば無属性魔法第1位階探索《サーチ》を使える者――つまり、無属性魔法が使える者は相手側にいないということになる。
必然的に身体強化《ストレングス》使いが相手にいないことがわかるのだ。
(ラッキー♪)
それなら、難易度がぐっと下がる。
護衛として増えた二人は本来俺たちと遭遇するはずだった残り二人だったようで戦闘後、敵に遭遇することなく簡単に目的の部屋の前に着くことができた。
(やっぱりざるだな)
入口の陰から部屋の中を探索《サーチ》で探る
ラ ル
兵 兵 兵
____窓____窓____窓_____
| 〇 | 〇:護衛
| 〇 〇 | ●:おそらく院長
| | 兵:ヴァンティエール領兵
| 〇 ● 〇 | ラ:ラヨス
| | ル:ルウ
| |
|______| |_______|
(入口)
窓の外に兵が3人とラヨスとルウがいた。
「き、貴様ら、院長である私に逆らってただで済むと思うなよ!―――ラヨス、ルウ!こっちに来なさい!」
「わたしたちを売ろうとした奴の言うことなんて聞かないわっ」
言い争いの声が聞こえてくる
一介の孤児院の院長がいつ領兵に物申せるほど偉くなったのかは知らないがあいつ(●)が院長のザイテで間違いなさそうだ。
自分たちが少しでも動けば兵《敵》は雪崩れ込むだろう。そうなったら勝ち目はない。
そう考え、ならず者たちは睨み続けるだけで決して動かない。
逆に、ただ突っ込むだけでは後ろ側の入り口から院長を取り逃がしてしまう。
領兵たちはそう考えているためこちらもまた動けずにいる。
二つの思考がきれいに組み合わさった結果、均衡状態がつくられていた。
その均衡も俺たちが入り口を塞いでしまえば簡単に崩れる。
しかしまだ、孤児院の中には3人の護衛が―――
(あれ?いない……)
院内にいたはずの3つの反応が探索《サーチ》から消えていることに、今更ながら気づく。
(いつの間に?どこから出て行った?逃げたのか・・・それとも―――)
「ええぇいっ、他の奴らは何をやっているのだ、こいつらをさっさと殺せ!」
喚き声で意識を引き戻される。
(このことについては、後回しだ。今はあいつを捕まえよう)
「(ハッツェン)」
「(はい)」
ハッツェンが俺を抱えたまま音や気配を遮断し背後から高速で院長に近づく。
トンッ
院長の首を手刀で叩き、
ドさっ
院長は声をあげることもできずに崩れ落ちた。
(ハッツェンすげぇ……)
流れるようなすご技に俺が感動する中、背後からの物音を聞いたならず者たちが一斉に振り向く。
緊張で満たされた状況下での反応としては正しいかも知れないが、今その行動は悪手でしかない。目の前の領兵から目を放してどうする。
「――突入!」
ならず者たちが自分たちから目を逸らしたため、当然領兵たちは窓をたたき割って室内に雪崩れ込む。
ならず者たちは次々と何もできずに無力化されていった。
占領開始《突入》からここまで約10分。
俺たちの圧勝だった―――。
味方14名
負傷者:なし
死亡者:なし
敵(孤児院側)62名
負傷者(捕縛)43名
死亡者:16名
不明:3名
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