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第8話
ベルゼブブは眞央の裸体を舐めるように見渡す。
やや肋骨が浮きでた貧弱なカラダ。
――美味しそう
ベルは本能的にそう思った。
「あの老人に逃がしてもらうようお願いしたってのは嘘なのか?」
眞央は問いただす。平静を保っているようで、声は震えていた。
「うん♪ ウソ」とベルは平然と答える。
予想していた答えとはいえ、信じていた彼女に裏切られたことがよっぽどショックだったのだろう。眞央の顔が悲痛に歪む。
「でも、再会できたのが嬉しいってのはホント」
他の七つの大罪に邪魔されず、魔王を好きにできるから。
ベルはこの男の処女など、はなからどうでもよかった。
彼女にとって大事なことは、魔王の魂を宿すこの男を『食す』ことなのだから。
「--俺を、殺すのか?」
「そうなるねぇ」
少女は無機質に返答した。
微塵も罪悪感をもたず、さも当然のように。
ベルは斧で眞央の無防備な裸体を切りつけた。
紙一重の切り傷。
何度も何度も何度も。
無垢なカラダに無数の赤い線が刻まれる。
「やめて――ベルっ……!」
眞央は必死に声を振り絞る。
それでも少女は止めない。
ただ殺すだけではつまらない。
『恐怖』で熟したカラダこそが味わう絶好のタイミング。
だから痛みという名の恐怖を、眞央に刻みつける。
ショロショロショロ……
眞央のペニスから黄色がかった液体が放出される。
とうとう耐えきれず、失禁してしまったのだ。
「いやらしいなぁ、まおー様」
つんと鼻にくるアンモニア臭に、 ベルは全身の毛穴がブワッと逆立つような興奮を覚えた。
それは自分が主導権を握っているという優越感から。
ベルはパックリ開き、血が盛り上がった切り傷を舌で舐めとった。
口内に鉄の味が広がる。
それが少女には懐かしい味だった。
ベルが前世の記憶を思い出したのは、家族旅行で訪れた牧場の豚を見た時だった。
あの容貌を見た瞬間、まるで鏡合わせかのような錯覚を覚えた。
――なぜなら、ベルの前世の姿は豚だったのだから。
悪魔とひとくくりにしても、その姿形は多種多様。人の形をした者はむしろ稀だった。
頭部は豚、身体は肥えた中年男の容姿をした『暴食』の悪魔――ベルゼブブ。
またの名は「蝿の王」。
この由来は、死体を貪るベルの周りには常に蝿が集っているという、侮蔑の意味合いが込められている。
醜い容貌、家畜同然の所業。同胞からもさげずまれてたベルは、地獄のように暗い最下層で孤独に生きていた。
――そんな時、魔王が現れた。
魔王は何をもってか、忌み嫌われていたベルを自分の配下に招き入れた。
だんだんベルは他者を惹き付ける魔王のカリスマ性、圧倒的な力に畏敬の念を抱き始めた。
それと同時に『食べる』という業を抱く彼女は、畏れ多くもある好奇心が芽生え始めた。
あの偉大なるお方の高貴な魂を食べてみたい、と。
――そろそろ頃合いかな。
ベルはそう判断すると、血のついた斧の切っ先を眞央の首に押し当てた。
自分の死を悟った眞央は泣きながら懇願する。
「こんなっ……ワケも分からず死にたくない……っ!」
「大丈夫だよ、まおー様。もう次(転生)がないように、ベルが髪の毛1本残さず食べてあげるから」
斧の切っ先が皮膚に食い込み、いよいよ眞央の首が掻き切られようとした。
――ピンポーン
緊迫した室内に響いたインターホン。
誰かがベルの家に訪れたのだ。
「たすけてっ!!!」
眞央は咄嗟に大声を発した。
しかしその口はギャグボールで塞がれてしまう。
「んぶっ…ンンン~~~~ッ!!!」
それでもあきらめない眞央。
ベルは内心舌打ちしながらも、このまままだ見ぬ訪問者が帰ってくれることを祈った。
3度インターホンが鳴った所で、また静けさが戻る。
ベルは安堵し、眞央の顔がまた絶望に染まる。
ガシャンッ!!!
ガラスが割れた音。
今度はベルも眞央も何事かと驚いた。
ちょうどリビングの方から聞こえたので、ベルは急いで様子を見に向かった。
そしてリビングで、幽霊でも見たかのように唖然とする。
庭に通じる窓が粉砕され、そこから侵入してきたであろう着物の男。
その手には一振りの日本刀。
「かつての盟友に居留守を使うとは、酷い仕打ちじゃのう。暴食の」
「ルシファー……」
予期しない訪問者にただただ驚くベルに、ルシファーはズバリ言った。
「ここにいるんだろう? あのお方が」
やや肋骨が浮きでた貧弱なカラダ。
――美味しそう
ベルは本能的にそう思った。
「あの老人に逃がしてもらうようお願いしたってのは嘘なのか?」
眞央は問いただす。平静を保っているようで、声は震えていた。
「うん♪ ウソ」とベルは平然と答える。
予想していた答えとはいえ、信じていた彼女に裏切られたことがよっぽどショックだったのだろう。眞央の顔が悲痛に歪む。
「でも、再会できたのが嬉しいってのはホント」
他の七つの大罪に邪魔されず、魔王を好きにできるから。
ベルはこの男の処女など、はなからどうでもよかった。
彼女にとって大事なことは、魔王の魂を宿すこの男を『食す』ことなのだから。
「--俺を、殺すのか?」
「そうなるねぇ」
少女は無機質に返答した。
微塵も罪悪感をもたず、さも当然のように。
ベルは斧で眞央の無防備な裸体を切りつけた。
紙一重の切り傷。
何度も何度も何度も。
無垢なカラダに無数の赤い線が刻まれる。
「やめて――ベルっ……!」
眞央は必死に声を振り絞る。
それでも少女は止めない。
ただ殺すだけではつまらない。
『恐怖』で熟したカラダこそが味わう絶好のタイミング。
だから痛みという名の恐怖を、眞央に刻みつける。
ショロショロショロ……
眞央のペニスから黄色がかった液体が放出される。
とうとう耐えきれず、失禁してしまったのだ。
「いやらしいなぁ、まおー様」
つんと鼻にくるアンモニア臭に、 ベルは全身の毛穴がブワッと逆立つような興奮を覚えた。
それは自分が主導権を握っているという優越感から。
ベルはパックリ開き、血が盛り上がった切り傷を舌で舐めとった。
口内に鉄の味が広がる。
それが少女には懐かしい味だった。
ベルが前世の記憶を思い出したのは、家族旅行で訪れた牧場の豚を見た時だった。
あの容貌を見た瞬間、まるで鏡合わせかのような錯覚を覚えた。
――なぜなら、ベルの前世の姿は豚だったのだから。
悪魔とひとくくりにしても、その姿形は多種多様。人の形をした者はむしろ稀だった。
頭部は豚、身体は肥えた中年男の容姿をした『暴食』の悪魔――ベルゼブブ。
またの名は「蝿の王」。
この由来は、死体を貪るベルの周りには常に蝿が集っているという、侮蔑の意味合いが込められている。
醜い容貌、家畜同然の所業。同胞からもさげずまれてたベルは、地獄のように暗い最下層で孤独に生きていた。
――そんな時、魔王が現れた。
魔王は何をもってか、忌み嫌われていたベルを自分の配下に招き入れた。
だんだんベルは他者を惹き付ける魔王のカリスマ性、圧倒的な力に畏敬の念を抱き始めた。
それと同時に『食べる』という業を抱く彼女は、畏れ多くもある好奇心が芽生え始めた。
あの偉大なるお方の高貴な魂を食べてみたい、と。
――そろそろ頃合いかな。
ベルはそう判断すると、血のついた斧の切っ先を眞央の首に押し当てた。
自分の死を悟った眞央は泣きながら懇願する。
「こんなっ……ワケも分からず死にたくない……っ!」
「大丈夫だよ、まおー様。もう次(転生)がないように、ベルが髪の毛1本残さず食べてあげるから」
斧の切っ先が皮膚に食い込み、いよいよ眞央の首が掻き切られようとした。
――ピンポーン
緊迫した室内に響いたインターホン。
誰かがベルの家に訪れたのだ。
「たすけてっ!!!」
眞央は咄嗟に大声を発した。
しかしその口はギャグボールで塞がれてしまう。
「んぶっ…ンンン~~~~ッ!!!」
それでもあきらめない眞央。
ベルは内心舌打ちしながらも、このまままだ見ぬ訪問者が帰ってくれることを祈った。
3度インターホンが鳴った所で、また静けさが戻る。
ベルは安堵し、眞央の顔がまた絶望に染まる。
ガシャンッ!!!
ガラスが割れた音。
今度はベルも眞央も何事かと驚いた。
ちょうどリビングの方から聞こえたので、ベルは急いで様子を見に向かった。
そしてリビングで、幽霊でも見たかのように唖然とする。
庭に通じる窓が粉砕され、そこから侵入してきたであろう着物の男。
その手には一振りの日本刀。
「かつての盟友に居留守を使うとは、酷い仕打ちじゃのう。暴食の」
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