夫には言えない、俺と息子の危険な情事

あぐたまんづめ

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15話「αの男・続」

「――ッご、ぁ、ゔぶッ…ぁぐッ……」


 じゅぶ、じゅぶ、ぐちゅ。

 生々しい水音と、くぐもった呻き声が駐車場に反響する。
 鴉島は自分のを咥える鷲に、ため息まじりに言った。


「僕のそんなに大きくないと思うんだけど。達者なのは挑発だけ? このお口は」
「ン、ゔゔ!」
「……まだそんな目するんだ。ほんと生意気」


 手足を拘束され、口を犯されているにもかかわらず、鷲は睨み上げる。
 こんな状況でも屈しないことに苛立ちを覚えたのか、奴は両手で鷲の頭を固定し、力任せに腰を打ちつけた。


「ン゛! ン゛ン“ッ――――」


 喉奥に突きこまれたペニス。
 鷲の苦しそうな悲鳴が漏れる。

 もうやめてくれ、と何度叫んだだろうか。
 だけど俺の口は大きな掌で覆われ、言葉にさえならない。
 鴉島の部下の藤堂は、体重をかけて暴れる俺を押さえ込み、耳元で「お静かに」と囁く。


「貴方を守るために自分を犠牲にするなんて、勇気のある旦那さんですね。……頭とは大違いだ」


 強面の外見に似合わず、落ち着いた礼儀正しい口調に少し驚く。
 頭とはおそらくあの鴉島のことだろう。
 藤堂はこの状況を楽しんでいるかのように、声を弾ませて言った。


「ああ見えて頭、内心すごく動揺しているんですよ。自分がずっと気にしていたことを、よりにもよってβに見透かされてはね。――ほら、見てくださいよ。あんな必死に腰を振られて……ほんと憐れで可愛いお方だ」


 熱を孕んだ視線を上司に向ける藤堂に、恐怖を覚える。
 鴉島も狂っているが、この男も大概だ。


「鷲ちゃんが頑張って逞しくした僕の、ケツにぶち込んであげる。言っとくけど、慣らしてなんてあげないよ。苦悶する顔が見たくてたまらないんだ」


 唾液が混ざりあって、てらてらと光る勃起したぺニス。
 その先端が鷲の未開拓の場所を捉える。
 鷲は恐怖を押し殺すように、グッと歯を食いしばっていた。


「あれあれ~体が震えてるよぉ。まるで処女みたいな反応じゃないか。あ、それもそうか。βがココを使うことなんて、滅多にないもんねぇ」
「……っ、さっさと挿れろ、このゲス野郎」
「んじゃ、遠慮なく――」


 ズプリ、という音とともにペニスが容赦なく侵入した。
 まだ先端しか入ってはいないが、想像を絶する痛みだろう。
 その証拠に鷲の額には脂汗が浮かび、口からは呻き声を漏らしている。


「っぐ――――ぁぁあっ! うぐぅ……っ!」
「ハハ……きっつ。鷲ちゃんのナカ、僕のを押し出そうと必死に締めつけてくる。だけどそれ逆効果でしょ」


 奴と結合した鷲の後孔は、俺から見ても分かるくらい、はくはくと収縮を繰り返している。
 まるで意志を持った生き物のように、異物を外へ押し出そうとしているようだった。
 だけど鴉島はそれを承知で、ズンと腰を打ちつける。
 奴のものが一気に奥に押し入り、鷲は目を見開いて喘いだ。


「っ! かはっ――――――!」


 鴉島のペニスは鷲のナカにすっぽり収まり、完全に見えなくなった。
 結合部分からは血が滴り落ちていた。
 おそらく、鷲の肛門が裂けてしまったのだ。
 鴉島はそれを見て嘲笑い、腰を律動させる。


「あーらら、血ぃ出ちゃったね。痛い? ねぇ痛い? 横に奥さんいるんだから、泣いてないでカッコいい姿見せなきゃ」
「う……ぐ、ふっ――ううっ!」


 鴉島は本当に鷲の苦悶に歪んだ表情を見て、愉悦に浸っていた。
 俺はそんな奴の様子に、殺意を募らせる。
 鴉島を今すぐ殺してやりたい。
 怒りに支配された頭はそれで一杯だった。

 自分こそが強者。支配する立場と信じて疑わない。
 βやΩを弱者、格下と見下し、徹底的に虐げる。
 全てのαがそうではないが、少なくとも俺が接してきたαはそういう奴ばかりだった。
 この男も典型的なα。
 鵠だけは、こうならないで欲しいと心の底から祈るばかりだ。

 ……最後にあの子の笑顔を見たかったな。
 俺も鷲も、この後殺されるだろう。
 ヤクザの大元を見てしまったからには、生かして帰すはずがない。
 こんなクソッタレに殺されるのは、すごく不本意だが、鵠が巻き込まれなかったことが、不幸中の幸いだ。
 鵠は俺と鷲の希望だから。



「――っくぅ! ……やば。鷲ちゃんのナカ温かくてきもちぃ~」


 血と精液で滑りが良くなった鷲の中で、奴は二度目の射精を迎えた。
 臀部をこねくり回すように動かした後、自分のペニスを外へと引き抜く。
 奴の尿道口からは未練があるように、ダラリと精液が糸を引いていた。

 鷲は、一度もイけないままだった。
 息をつく間もない、レイプ。
 地獄を味わったような、真っ青な表情で荒い息を整えている。
 顔だけでなく、着ているTシャツまでも冷や汗でグッショリ濡れていた。

 鴉島はズボンを履き終えると、車から鷲のスマホを取り出して言った。


「鷲ちゃん、今サイッコーに良い表情してるから写メってあげる。そんで警察署に送り届けてやるよ。犯人に犯された部下の写真見たら、キミの上司はどんな反応するんだろうね~」


 こいつ……この期に及んでまだ鷲を嬲る気か?
 本当に人間のクズだ。

 「うーうー」と唸りながら、ジタバタと暴れるが、藤堂はロボットのように淡々と俺を制圧する。


 好奇心溢れる顔でスマホを操作する鴉島。
 その表情が、ふいにスッと消える。


「――――嘘でしょ? 何でこいつがいるの?」


 鴉島から意味深に放たれた発言。
 奴は鷲のスマホを凝視している。
 一体何を真剣に見ているんだ?

 鴉島は俺の目の前に来て、スマホを見せてくる。

 ――それは鵠の寝ている写真。鷲がこっそり隠し撮りしていた鵠の寝顔フォルダの一枚だ。


「この子の名前って、もしかして鵠?」


 鴉島の問いかけと同時に藤堂が俺から離れた。
 これでやっと喋られる。


「……そうだ。てか何でお前が知ってる」


 自分で言って、しまったと内心焦る。
 こいつらは、拉致する前から俺たちの情報を調べているんだ。だから息子である鵠の存在も知ってて当然。
 奴の質問に答えてしまったがために、あの子の危険が増してしまう。
 俺たちを殺した後に鵠も殺されるかもしれないのに。

 後悔していたところ、鴉島から発せられた言葉は予想の斜めをいくものだった。


「あ~やっぱり鵠かぁ。デカくなったけど寝顔は変わんないね。赤ん坊のころそっくり」
「……どういう意味だ」


 俺が言う前に先に鷲がたずねた。
 どうしてこの男が、さも鵠を昔から知っているような口振りなんだ。


「だって僕、鵠の父親だもん」


 鴉島は一言そう告げた。
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