従者と主

ピエロ

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いつも通りの朝。
いつも通り早瀬が俺のことを起こし、いつも通り早瀬が俺のスケジュールを読み上げている。
スーツをしっかり着こなし、やっと追いついたと思った背もまた高くなっていて、いつの間にやら敬語で話し、そのうちあいつはどんどん俺の知らないやつになるんじゃないだろうか、なんてどーでもいいことをぼーと考えていた。
「陸斗様、いかがなさいました?体調が優れませんか?」
「なぁ、お前は俺のものだよな?」
そう、こいつは俺の物だ。ほかの誰でもない。俺の物だ。
「はい。」
いつも通り。当たり前かのように答える。
こいつの心も体も思考も過去も未来も全て俺の物だ。
でもたまに思う。
「俺はお前が羨ましいよ」
そう、こいつに伝えると一瞬ぎょっとした顔をして困った顔で
「どうしてですか?」
と聞いてきた。
「俺はお前が好きだ。お前も俺のことが好きだ。
お前は俺の物だ。でも、お前は俺をお前の物にはしてくれない。それってお前だけずるくないか?」
別にお前が俺のことをどうせ好きじゃないんだろうとかそんなことを疑っているわけじゃない。ただ単純にお前のものになれないってのがなんか、なんか悲しいんだ。俺とお前はそもそも従者と主で、お前が俺の物なのは当然で、俺がお前の物じゃないのも当然で、そんな俺らの関係に少し、少しだけ物足りなさを感じたんだ。
「お前は俺を欲しいとは思わないのか?」
わかってる。ただ少しだけ聞いて見たくなっただけなんだ。
「陸斗様いかがなさいましたか?今日は少しご気分でもすぐれないのでは?医師のものを読んできます。」
そういい去っていく後ろ姿を見ながらどうしてこんなこといってしまったのだろうと後悔した。




昔からそうだった。あいつはこんな俺よりもずっとよく周りを見てて、先のことを考えていた。自分のことより俺のことを。主としても、恋人としても。あいつは忠実に仕え、愛してくれた。
だから俺に見えてないものもあいつには見えてしまっていたのだろう。
世間の目、親父の目、会社の将来、結婚、後継、俺らの邪魔をする全てのものが。愛していると伝えるには、守るには俺はまだ幼すぎた。大人だと勘違いをしあいつを困らせ、あいつだけに背負わせすぎた。
 
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