TSサキュバス転生ほど残酷な物語はない!

オットセイ芳沢

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track2 種族:サキュバス

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「………」





体が……軽いというか感覚が無い。意識ははっきりとしているのだが……。



もしや、これはもう転生が完了しているのだろうか。新たな自分の体にまだリンクしきれていないとか。

取り敢えず、まずは状況確認だ。





「あ、起きたのかな?……ふふ、おはよう。シーラ」





目を開ける。すると視界に映ったのは………美女だった。死後の世界で見たあのハイテンション精神逆撫で女とはまた別の……こう、”妖艶な”美しさ。紫色の長髪に大きな瞳、高い鼻と整った睫毛。そして、目線を下げると、もはや7割型はみ出ているような豊満な胸が…胸が……む、む、胸があった。これはもしや抱かれているのか…?





「お、おおぅ……」





あまりの衝撃に、異世界での第一声が”お、おおぅ”になってしまったが……恐らく、俺はこの女性の子供として転生したのだろう。徐々に得ていく体の感覚も、死ぬ以前とは比べ物にならないほど小さい範囲、まさに赤子の身体だ。



”シーラ”とは、恐らく俺のことだろう。………異世界での命名水準は当然知る由もないが、何か女性らしい名前というか…いや、ちゃんと”漢らしく”という要望を伝えたのだ。しっかり男に違いない。

 と、その時、奥の方で木の扉をノックする音が室内に響いた。



「よろしいでしょうか、ヴィエラ様」



若々しい、と言うにはあまりに若い、少女の声がノック後に聞こえた。

ヴィエラ?これは今俺を抱いている女性、母親の名前か。



「あら、ハンス?いいわよ、入って」

「失礼致します」





ヴィエラが快い返答をすると、その少女は扉を開けて室内へと入った。

上手く動かない首を必死で下に曲げて足元の方を見ると、ヴィエラと同じ紫色の髪を後ろに束ねたポニーテールに、黒い執事服の様な装いの人物が現れた。………見た目や声は完全に女性なのだが、何故執事服を着ているのだろう。





「やはりヴィエラ様に似て、美しいお子様ですね………!」

「ふふ、そうかしら?でも目元は父親似ね」

「確かに。旦那様の面影もしっかりとございますね」







交互に俺の顔を覗き込む二人。こうも至近距離で女性の顔を拝んだことが無いため、もし前世での俺だったらあまりの衝撃と動揺で、トチ狂った念仏の様な悲鳴を上げて失神していただろう。







「………では、ヴィエラ様。次代の当主は」

「えぇ。勿論この子に決まりよ。私達”サキュバス”の未来を……いずれこの子に全て託すわ」







ん?……ん?……あ?今なんつったこの巨乳?…サキュバスとか言っていた様な気がしたが?







「シーラ様なら、立派な”サキュバス”に成長して下さる事でしょうね!」







やっぱりサキュバスって言ったよな!?え!?俺…少なくとも男に生まれたんじゃないのか?第二の人生は漢らしくと願ったんじゃなかったか!?







「そうね。これから宜しくね、愛しいシーラ………」







そんな露骨に良い雰囲気醸して顔覗いて微笑んでも全っ然納得いってないよ!?

おいおいマジかよ…第二の人生が……サ、サキュバスだと!?

……いや、ま、まだ絶望する段階ではない!!!!俺が思い描いているサキュバスと、実際のサキュバスの習性や特徴が必ずしも合致しているとは限らない。もしかしたら漢らしく雑草とか食って生活する種族かも知れないし!!



俺は諦めない…”漢”として生きる将来を…!諦めねぇからなああぁぁぁあああああああああ

























―――――八年後。









月日は流れ、俺はこの異世界について様々な事を知り、学んだ。



まず、この異世界には様々な種族が共存しており、数千年前に終結した世界規模の戦争以降、大きな混乱は起きていない比較的平和な世界だということ。そして次に、大体予想は出来ていたがここには”魔法”という概念が存在しているという事。他にも、食料は牛に似た”イム”という動物から肉が取れ、その他にも転生前の世界で食べていた動物や野菜に似たような物が生産されていた事。





そして何より…







「ではシーラ様。今日は私達夢魔の”食事”について詳しく説明させて頂きます」

「またか…!正直もう聞きたくないんだけど……」

「ダメです!精を貪る種族と呼ばれる我々が生存する為に必要不可欠な知識です!今はヴィエラ様が吸収した精力をシーラ様に分け与えてどうにかなっていますが、いつまでもこのままという訳にはいきません。……えー、では、まず”己の肉体を使った、対象の発情のさせ方についてですが………」







何かもう、どうしようもないくらい”淫魔”だった。

しかも想像通り……いや、想像以上に生々しい種族だった。

当然、俺は女に転生していた。









……あまりに生々しいので要所要所を省いて説明するが…”サキュバス”というのは本来、雄の夢の中に現れ、性的なサービスいや違う、性的なアプローチ……?を仕掛けて精力を奪う。その為にはまず雄を発情させなければならない。それ故に、サキュバスにはその対象が思い描く理想の女性像をそのまま自身の体に投影する、つまり”変化”の能力があるのだ。



しかし、俺のようなまだ幼い、つまり…自分で言うのも嗚咽する程に気持ち悪いが”ロリ段階のサキュバス”はその変化能力が扱えず対象から十分に精力を奪えない。………そういった場合どうすればいいかと言うと…







「ロリコンを釣るしかありません」

「いっつも思うけど他にないのか方法は!!?」







言い忘れていたが、俺がいる場所は屋敷内の一室、古い骨董品や厳かな絵画等が所々に飾ってある広大な空間だ。そこの中央に一つだけある白い大理石の様な物で出来た座席に座り、正面に立つあの執事服の”ハンス”の講義を聞かされていた。…深い事情は知らないが、どうやらあのヴィエラとやらは、サキュバスという種族を取り仕切る長のような存在らしい。それ故に、かなりの豪邸だ。





「私は男……つまり”インキュバス”ですが、幼少期はそりゃもうあの手この手で女性を誑かしまくったものです」

「とんでもねぇ野郎だな!!」

「夢魔ですので」

「くっ……!でも、流石にこんなガキの体でそんなひ、卑猥な事させるのはどうなんだよ!!?モラル的に……」





ハンスは、未だに男とは思えない程美しい容姿のままだ。

一方俺は、ヴィエラが日替わりで購入してくる幼女用の服を音速が如く着せ替えられ、完全に”女”としての日常を余儀なくされていた。今はピンクの大きなリボンを頭に付け、黒のゴスロリのような服装を強いられている。









「ご安心ください。幼少期からそのようなハードなプレイを強要する訳ではありません。」

「”プレイ”はやめろ!」

「そもそも、幼少期の段階では摂取する精力は僅かなものでも構わないのです。直接貪るのはやはり、成体になってからでしょう」

「僅かって言ってもどうやって…」

「もう一度言います。”ロリコンを釣る”のです」

「それしか言えないのか!?もっと全年齢的に噛み砕いて仰って!?」





するとハンスは俺に近づき…いきなり体を触り始めた。





「ひゃっ!?お、おいハンス!?な、何を……」

「良い声でしたねシーラ様。サキュバスとしての才覚の片鱗が垣間見えました」





おいおい嘘だろ何だ今の声!?俺が出したのか!?こ、こんな気色悪い……嬌声の様な……!

初めは肩。そして二の腕。挙句の果てには胸部まで……入念に上半身を両手でゆっくり触り続ける。

それに呼応するかの様に、無意識に俺の口からは甲高い声が断続的にこぼれていた。





「んっ……!い、いい加減に…あっ、ぅ……おいハン……ス」

「………まぁ、この辺で良いでしょう」





そう言うと、彼は手を止めた。





「今ので再認識したでしょう?”女”としての自分自身を。体の柔らかさや、線の細さ。触られる事によって感じる甘い刺激。男には到底持ち得ないものを、あなた方は持っている。それが例え幼い姿だとしても」

「そ、それが何なんだよ!」

「ロリコンという一種の種族は、それらの艶めかしさを”幼女”という入れ物に収めた状態に性的興奮を抱くものです(知らんけど)。故に、そのような特異的な欲情は普通の雄よりも更に濃く、強い精力を作り出す……溢れてしまう程に」

「……つ、つまり……」

「はい。ロリコンの場合は、直接夢に介入して貪らなくても良いという事です。そのロリサキュバスの魅力を存分にアピールし…彼らの濁りきった油まみれの欲情と言う名の排気ガスを取り込むのです!」

「お前ロリコンに恨みでもあるのか!!?」









………案内人。お前は今の俺を見てどう思っているのだろう。”お似合いですねぇ!”とか思ってるのだろうか。







………もう一度言う。

俺は絶対に漢の道を諦めない。







例え…ロリサキュバスとしての心得を知ったとしてもだ!!!

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