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第二章 皇八咫烏 -すめらぎやたがらす-
6 う、動けないンゴ……
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「かなり体力も回復された御様子ですね。本日から、立って歩く練習、リハビリを始めましょうか」
「ンゴ」
あの日以来、僕の世話役は朱雀さんと眞代子さんの2人だけになった。佳久子さんに何かあったのだろうか? 少し気になったけど、プライベートな事かも知れないし、何となく聞きにくいンゴ。
「それでは肩を御貸ししますので、起き上がって下さいませ」
いつものように音もなく近付く朱雀さんと、対照的にハタハタと足音を立てて来る眞代子さん。左右から僕の腕を取ると、「せーの」一言、掛け声とともに、両脇から抱えるようにして立たせてくれたンゴ。膝も足首も、ある程度自力で曲げ伸ばし出来るようになった。だけどブタのような体型の僕は、自重が重すぎるので、起き上がる事は出来ても、歩くのには少し苦労したンゴ。
「右側から、前に出せますか? はい、イチ、ニィ、イチ、ニィ……」
「ちょ、ちょっと待ったンゴ。上手く、動か……ンゴォ~!」
2人に抱きかかえられたまま、僕は思いっきり転んでしまったンゴ。
「いたたぁ……」
「大変申し訳ありません。これ、眞代子! 急ぎ過ぎですよ。もっとゆっくり歩かなければなりません」
「はい、申し訳ありませんでした!」
悪いのは僕の方なのに……2人は僕の下敷きになりながら、謝ってくれたンゴ。
「今、起きるンゴ……」
右腕が朱雀さんを、左腕と左足が眞代子さんを、完全に押し潰すような恰好になってしまっている。しかも右足の上に朱雀さんが乗っていて、ものすごく……柔らかいですンゴォ!
……違った、3人が絡み合って。足腰もまだ思うように動かないし、起き上がれないンゴ。
「う、動けないンゴ……」
「お、重いィ……」
「ごめンゴ、起きたいンゴけど、起き上がれないンゴね……」
「私の方も、その、御腕が……」
「デスヨネー」
「少々、失礼させて頂いて……」
朱雀さんの肩の上に乗った、僕の右腕を外そうと試みる。サブミッションゴ!? 完全に極まっているンゴォ!
「イタタタ、痛いンゴォ~」
「あっ、申し訳ありません、御腕を外さないと起きようにも……」
「お、重いィ……」
「眞代子、何とかなりませんか」
「く、苦しィ……」
「ダメっぽいンゴ。眞代子さんは僕の腕と足で、完全にプレスしちゃってるンゴ」
「申し訳ありません、少しだけ我慢して下さい。何とか抜け出します……」
「肩があ! 肩が外れるンゴォ!」
「外れたら後で御治し致します」
外す気ンゴかあ~!
「イタタタタ! イッタイィンゴォオ~!」
朱雀さんは、僕の腕関節を極めたまま、それを逆に捻り上げるようにして無理矢理に脱出した。柔らかい朱雀さんの体があちこちに触れる感触、そんなラッキースケベを楽しむ余裕なんてなかった。それから素早く身を起こすと、僕を手前に引き摺って、眞代子さんも救出。ホッと一息吐いた時には、3人とも汗びっしょりになっていたンゴ。
「はぁはぁ、ほ、本日はこれで御終いにしておきましょう」
リハビリ初日の成果は、2人に支えられながら数歩、歩いただけで終わったンゴ。
翌日も、翌々日も、僕は右に朱雀さん、左に眞代子さんの柔らかい感触を楽しみつつ、リハビリに精を出した。リハビリと言っても、5分も歩けば汗だくブタだく。2人に脱がされて着替えをして、ついでに体も拭いて貰ったンゴ。
ブタだく汗だくの僕を支えていた2人も、見れば着物が湿ってしまっている。2人に脱がされるのに抵抗する意味も込めて、「早く着替えた方が良いンゴよ」と促し、その間に一人で着替えようと試みたものの、敢えなく撃沈ゴ。
「私どもは後で大丈夫です。さあ、万歳して下さい」
「その綺麗な着物が汚れちゃうンゴ! だから……」
「大事な御身なのですから、私どもなど御気になさらず」
「そ、その着物ンゴ、高そうンゴよ? 汗で汚れたら申し訳ないンゴ」
「はい、上は脱げましたね。それではゴローン、下も脱ぎましょう」
問答無用である。そう言えば、僕は薄手の着物1枚だけど、彼女たちは十二単のように何枚も重ね着している。暑くないンゴ?
「その着物って、十二単ンゴ?」
「いいえ、普通の御着物で御座います」
「そういう、いっぱい重ね着するのが十二単なンゴじゃないンゴ?」
「十二単には決まった形式があります。これは寒いので重ね着をしているだけで御座います」
「そうなンゴね。って、寒い!?」
「はい。本日の気温は、12、3度ほどでしょうか。一年の中では暖かい方です。冬になればもっと冷え込みますから、あと2枚は重ね着しますわ」
「あの~ンゴ。僕は寒くないンゴけど?」
「その御体ですもの」
そう言って、軽く笑われてしまったンゴ。
「じょ、冗談ゴ?」
「あら。私が冗談を申してはいけませんでしたか」
「えっとンゴ……」
「もし不快な思いをさせてしまっていたら、大変申し訳御座いません」
「違うンゴ! 冗談を言うの初めて聞いた気がしたンゴから、ちょっとビックリしただけンゴ」
深々と頭を下げるので、僕の方が慌ててしまったンゴ。
「ンゴ」
あの日以来、僕の世話役は朱雀さんと眞代子さんの2人だけになった。佳久子さんに何かあったのだろうか? 少し気になったけど、プライベートな事かも知れないし、何となく聞きにくいンゴ。
「それでは肩を御貸ししますので、起き上がって下さいませ」
いつものように音もなく近付く朱雀さんと、対照的にハタハタと足音を立てて来る眞代子さん。左右から僕の腕を取ると、「せーの」一言、掛け声とともに、両脇から抱えるようにして立たせてくれたンゴ。膝も足首も、ある程度自力で曲げ伸ばし出来るようになった。だけどブタのような体型の僕は、自重が重すぎるので、起き上がる事は出来ても、歩くのには少し苦労したンゴ。
「右側から、前に出せますか? はい、イチ、ニィ、イチ、ニィ……」
「ちょ、ちょっと待ったンゴ。上手く、動か……ンゴォ~!」
2人に抱きかかえられたまま、僕は思いっきり転んでしまったンゴ。
「いたたぁ……」
「大変申し訳ありません。これ、眞代子! 急ぎ過ぎですよ。もっとゆっくり歩かなければなりません」
「はい、申し訳ありませんでした!」
悪いのは僕の方なのに……2人は僕の下敷きになりながら、謝ってくれたンゴ。
「今、起きるンゴ……」
右腕が朱雀さんを、左腕と左足が眞代子さんを、完全に押し潰すような恰好になってしまっている。しかも右足の上に朱雀さんが乗っていて、ものすごく……柔らかいですンゴォ!
……違った、3人が絡み合って。足腰もまだ思うように動かないし、起き上がれないンゴ。
「う、動けないンゴ……」
「お、重いィ……」
「ごめンゴ、起きたいンゴけど、起き上がれないンゴね……」
「私の方も、その、御腕が……」
「デスヨネー」
「少々、失礼させて頂いて……」
朱雀さんの肩の上に乗った、僕の右腕を外そうと試みる。サブミッションゴ!? 完全に極まっているンゴォ!
「イタタタ、痛いンゴォ~」
「あっ、申し訳ありません、御腕を外さないと起きようにも……」
「お、重いィ……」
「眞代子、何とかなりませんか」
「く、苦しィ……」
「ダメっぽいンゴ。眞代子さんは僕の腕と足で、完全にプレスしちゃってるンゴ」
「申し訳ありません、少しだけ我慢して下さい。何とか抜け出します……」
「肩があ! 肩が外れるンゴォ!」
「外れたら後で御治し致します」
外す気ンゴかあ~!
「イタタタタ! イッタイィンゴォオ~!」
朱雀さんは、僕の腕関節を極めたまま、それを逆に捻り上げるようにして無理矢理に脱出した。柔らかい朱雀さんの体があちこちに触れる感触、そんなラッキースケベを楽しむ余裕なんてなかった。それから素早く身を起こすと、僕を手前に引き摺って、眞代子さんも救出。ホッと一息吐いた時には、3人とも汗びっしょりになっていたンゴ。
「はぁはぁ、ほ、本日はこれで御終いにしておきましょう」
リハビリ初日の成果は、2人に支えられながら数歩、歩いただけで終わったンゴ。
翌日も、翌々日も、僕は右に朱雀さん、左に眞代子さんの柔らかい感触を楽しみつつ、リハビリに精を出した。リハビリと言っても、5分も歩けば汗だくブタだく。2人に脱がされて着替えをして、ついでに体も拭いて貰ったンゴ。
ブタだく汗だくの僕を支えていた2人も、見れば着物が湿ってしまっている。2人に脱がされるのに抵抗する意味も込めて、「早く着替えた方が良いンゴよ」と促し、その間に一人で着替えようと試みたものの、敢えなく撃沈ゴ。
「私どもは後で大丈夫です。さあ、万歳して下さい」
「その綺麗な着物が汚れちゃうンゴ! だから……」
「大事な御身なのですから、私どもなど御気になさらず」
「そ、その着物ンゴ、高そうンゴよ? 汗で汚れたら申し訳ないンゴ」
「はい、上は脱げましたね。それではゴローン、下も脱ぎましょう」
問答無用である。そう言えば、僕は薄手の着物1枚だけど、彼女たちは十二単のように何枚も重ね着している。暑くないンゴ?
「その着物って、十二単ンゴ?」
「いいえ、普通の御着物で御座います」
「そういう、いっぱい重ね着するのが十二単なンゴじゃないンゴ?」
「十二単には決まった形式があります。これは寒いので重ね着をしているだけで御座います」
「そうなンゴね。って、寒い!?」
「はい。本日の気温は、12、3度ほどでしょうか。一年の中では暖かい方です。冬になればもっと冷え込みますから、あと2枚は重ね着しますわ」
「あの~ンゴ。僕は寒くないンゴけど?」
「その御体ですもの」
そう言って、軽く笑われてしまったンゴ。
「じょ、冗談ゴ?」
「あら。私が冗談を申してはいけませんでしたか」
「えっとンゴ……」
「もし不快な思いをさせてしまっていたら、大変申し訳御座いません」
「違うンゴ! 冗談を言うの初めて聞いた気がしたンゴから、ちょっとビックリしただけンゴ」
深々と頭を下げるので、僕の方が慌ててしまったンゴ。
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