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第十章 ~破滅~
10-8.埋伏の牙
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ロイクは落ちていた仮面を修に投げ渡すと、ザウリムをの胸ぐらを掴んだ。
「話せ。これまでの全てを」
「……狂言病に罹った団長を粛清した後、俺は各地を放浪していた。そこである者と出会い、仮面とウェンガルを授かった」
ロイクが手を離す。ザウリムは体を起こし、更に続けた。
「そいつは俺に全てを話した。自分の名前と目的、各仮面の能力。それと……狂言病の正体。俺はまた各地を巡り、仮面をばら撒いた。エモ・コーブルは着けた者に強い力を与え、周りの人間から感情と魔力を吸い取る。魔力はメオルブの力になるか「そいつ」の元に送られる。それでも余った場合は、あぶれた感情と混ざり合って、魔物になる」
「ロウは仮面を通して、各地から魔力を吸い取っていたわけか」
「あの二人はなんだ? お前の手下なのは知っていたが、どうやって出会った?」
「ばら撒いた仮面が巡り巡って、クリマの手に渡ったらしくてな、気まぐれで助けた。そこからの付き合いだ。最も、ロウのことだけは伏せていたがな」
能力だけを知っていたザウリムは、メオルブが負けた場合どうなるかを確かめるため、当時怠惰の仮面を着けていたクリマを倒し、助けた。
命を救われたクリマは、ザウリムに協力することを選んだ。コルオと二人で作業を分担し、メオルブの監視や、メオルブが倒れた場合の、新たな候補探しなどを行っていた。
「お前らが黒幕に協力したのはわかった。なら、なぜこの剣を渡し、俺に仮面を集めろと言った?」
手駒として動きながら、ロイクを焚き付ける。それは、ロウの邪魔をするのと同じ。矛盾した行動が不可解だった。
「お前に……きっかけになってもらいたかった。お前にメオルブの存在を教え、戦わせる。それを見た誰かや、仮面を知った誰かが立ち上がってくれることを願った」
ロウを目の当たりにしたザウリムは、自分以外の力が現れることを願った。その一人として、親友のロイクを選び、ウェンガルを託したのだ。
「俺は仮面の誘惑に負ける奴ではなく、仮面の力に打ち勝つ者が現れて欲しかった。いずれ、俺をも越えてくれるような強者をな」
「……こんな方法しか選べなかったのか」
ただの外道に堕ちたと思っていた親友の目的を聞き、言葉を吐き出すロイク。
「奴は魔力が集まった時にまた現れると言いのこし、姿を消した。どこに行ったのかもわからない。あいつにまた出てきてもらうには、忠犬を演じるしかない。メオルブを放置し、倒してくれる者が現れるのを待つ。ロウとの繋がりを絶たず、強者を選別するには、この方法しかなかった」
押し黙るロイク。一緒に戦えと言わなかったのは、二人でも勝てないとザウリムが判断したからだ。ロイクもそれに気付いたからこそ、それは聞かなかった。
「多くの人間を巻き込み、苦しませ、死なせた。だが、その役目ももう終わる」
自分の行いを思い返しながら、ザウリムは天井に目を向ける。
「空が黒くなったのは、ようやく異変に気付いたからだ。魔力を吸い取る仮面がなくなれば、あいつは嫌でも現れるだろう」
選ばれた強者に真実を話し、ロウを自分のところへ召喚するには、自分が十二番目にならなければいけない。そうザウリムは考えた。
「そして最後の仮面が破れた今、あいつは現れる」
ザウリムの言葉に呼応するように、天井から柱のような光が伸びる。
「そいつの目的こそが」
「この世界の消滅だ」
修の言葉に続いて、別の声が聞こえてくる。宙から降りてきたのは、一人の……仮面を被った男。ザウリムが顔をこわばらせ、修達も身構える。すぐに分かった。こいつこそが、全ての元凶。
「話せ。これまでの全てを」
「……狂言病に罹った団長を粛清した後、俺は各地を放浪していた。そこである者と出会い、仮面とウェンガルを授かった」
ロイクが手を離す。ザウリムは体を起こし、更に続けた。
「そいつは俺に全てを話した。自分の名前と目的、各仮面の能力。それと……狂言病の正体。俺はまた各地を巡り、仮面をばら撒いた。エモ・コーブルは着けた者に強い力を与え、周りの人間から感情と魔力を吸い取る。魔力はメオルブの力になるか「そいつ」の元に送られる。それでも余った場合は、あぶれた感情と混ざり合って、魔物になる」
「ロウは仮面を通して、各地から魔力を吸い取っていたわけか」
「あの二人はなんだ? お前の手下なのは知っていたが、どうやって出会った?」
「ばら撒いた仮面が巡り巡って、クリマの手に渡ったらしくてな、気まぐれで助けた。そこからの付き合いだ。最も、ロウのことだけは伏せていたがな」
能力だけを知っていたザウリムは、メオルブが負けた場合どうなるかを確かめるため、当時怠惰の仮面を着けていたクリマを倒し、助けた。
命を救われたクリマは、ザウリムに協力することを選んだ。コルオと二人で作業を分担し、メオルブの監視や、メオルブが倒れた場合の、新たな候補探しなどを行っていた。
「お前らが黒幕に協力したのはわかった。なら、なぜこの剣を渡し、俺に仮面を集めろと言った?」
手駒として動きながら、ロイクを焚き付ける。それは、ロウの邪魔をするのと同じ。矛盾した行動が不可解だった。
「お前に……きっかけになってもらいたかった。お前にメオルブの存在を教え、戦わせる。それを見た誰かや、仮面を知った誰かが立ち上がってくれることを願った」
ロウを目の当たりにしたザウリムは、自分以外の力が現れることを願った。その一人として、親友のロイクを選び、ウェンガルを託したのだ。
「俺は仮面の誘惑に負ける奴ではなく、仮面の力に打ち勝つ者が現れて欲しかった。いずれ、俺をも越えてくれるような強者をな」
「……こんな方法しか選べなかったのか」
ただの外道に堕ちたと思っていた親友の目的を聞き、言葉を吐き出すロイク。
「奴は魔力が集まった時にまた現れると言いのこし、姿を消した。どこに行ったのかもわからない。あいつにまた出てきてもらうには、忠犬を演じるしかない。メオルブを放置し、倒してくれる者が現れるのを待つ。ロウとの繋がりを絶たず、強者を選別するには、この方法しかなかった」
押し黙るロイク。一緒に戦えと言わなかったのは、二人でも勝てないとザウリムが判断したからだ。ロイクもそれに気付いたからこそ、それは聞かなかった。
「多くの人間を巻き込み、苦しませ、死なせた。だが、その役目ももう終わる」
自分の行いを思い返しながら、ザウリムは天井に目を向ける。
「空が黒くなったのは、ようやく異変に気付いたからだ。魔力を吸い取る仮面がなくなれば、あいつは嫌でも現れるだろう」
選ばれた強者に真実を話し、ロウを自分のところへ召喚するには、自分が十二番目にならなければいけない。そうザウリムは考えた。
「そして最後の仮面が破れた今、あいつは現れる」
ザウリムの言葉に呼応するように、天井から柱のような光が伸びる。
「そいつの目的こそが」
「この世界の消滅だ」
修の言葉に続いて、別の声が聞こえてくる。宙から降りてきたのは、一人の……仮面を被った男。ザウリムが顔をこわばらせ、修達も身構える。すぐに分かった。こいつこそが、全ての元凶。
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