転生を断ったら、日替わりでチートスキルを届けられる様になった

おもちさん

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第29話  あだ名を付けよう

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防壁がとうとう西側まで完成した。
これで町をグルリと囲んだ事になり、最低限の防備は用意できたと言える。
低くて薄い壁だが、無いよりはマシだろう。
万感の思いで完成品をアイリスと一緒に眺めていた。


「これだけの作業をお一人でされてしまうなんて、タクミ様すごいです!」
「そうかそうか、オレはすごいかね」
「はい! 歴代の王さまの中でも一番すごいです!」
「はっはっは、もっと褒めてくれて構わんぞ?」
「素敵! 最高! 一生付いていきます!」


オレはアイリスを抱き上げ壁の上に立ち、そこで駒のようにクルクルと回った。
キャアキャアとアイリスは騒ぐが、満面の笑顔で楽しそうだ。
やっぱり大仕事を終えたからなのか、オレもテンションがおかしい。


ひとしきりはしゃいだ後、オレたちは町を見渡した。
20人足らずだった人口も順調に増え、今では50人に迫るほどだ。
それに伴って家屋も随時建設して、町の規模も大きくなっている。
最初は東側の壁にひっつくように数軒しか建っていなかったが、今は東端から西端まで届くほどに広がった。
住居以外にも交易品の為の作業小屋、大浴場、昨日は食堂まで建てられた。

ガレキの山だった頃を思い出せなくなる程の復興を果たしている。
こうして町並みを眺めていると、自堕落なオレでさえやる気が湧いてくるから不思議だった。


それからアイリスを抱えたまま壁を降りると、いつの間にかイリアがただずんでいた。
何も言わずにじっとオレたちの事を観察してたのだろうか。
怖い。


「陛下、お食事の準備が整いました。どうぞこちらへ」
「わかった。そんで、いつから見てたんだ?」
「本日は旬の山菜炒めに、オオトンボの甘辛焼きでございます」
「おい、答えろよ」


無視かこの野郎。
制裁の意味を込めて小石を側頭部目掛けて投げつけてやった。
するとイリアは避ける動作をする所か、歩幅の調節だけでかわしやがった。
お前はマジで規格外だな。

食堂にたどり着くと、すでに何人かは昼食を食べていた。
オレたちを呼ぶ声がしたので向かってみると、レイラとシスティアが向かい合うようにして座り、一席間を空けてリョーガが座っていた。


「タクミたちもこれからご飯でしょ? 一緒に食べようよ」
「食堂ができたというから来てみましたが、立派ですねぇー。ここも大浴場も魔緑石で燃料を賄っているというんですから、とんでもない石ですよね」


説明どうも。
魔緑石は膨大な魔力エネルギーを秘めた天然の鉱石だ。
そのエネルギーを変換することで、熱を生み出すことができる。
日に日に力を失っていくが、魔力を再度込めることで半永久的に使い続けることが可能である。
まさに夢のような燃料なのだ。


「ねぇタクミ。そろそろ決めたほうがいいんじゃない?」
「あん? 何の話だよ」
「そりゃあ四天王よ! 人も増えてきたことだし、良い頃合いじゃない」


コイツまだそんな事言ってんのか。
肩書き大好きかよ。


「異名付きで呼ばれるなんてかっこいいじゃない。私はやっぱり魔導将軍がいいなぁ」
「なんだよそれ。お前はパンモロ将軍だ」
「笑い声でっかい将軍とかはどうですかーぁ?」
「これ以上タクミ様に近寄らないでください将軍」
「違う! そういうのじゃない!」


結局レイラは魔導将軍を自称する事に。
誰も呼ばないと思うがな。
それからは異名の名付け合いになった。

リョーガはクマ将軍、システィアはメガキンカ大臣とあだ名なのか陰口なのかわからない名称が飛び交った。


「イリアさんはどうしようかしらね?」


その名前を出すなんて、レイラは天然なんだな。
こんな人間兵器に凄みを与えるような真似すんな。


「私なら、完璧なメイドってつけるかな」
「危険物。それ以外あるか?」
「みんなの憧れってどうです? 私なんかそうですし」
「それでは、皆様のご意見を集約致します」


そうして生まれてしまったのがこちら。
『みんなも憧れる、完璧に危険なメイド』が爆誕。
何が集約だ、意味合いが変わってんじゃねぇか!

だがこれにツッコミをいれるのは癪だ。
チラチラとオレを見るイリアを無視して、オレは昼食を食べ続けた。
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