防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり

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第37話 反攻の準備

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 捕縛されたタカミ王子は暴れて手が付けられなかったので已む無くアンドーゼが調合した睡眠薬で眠らせていた。

「アンドーゼ、タカミ殿下の容態はどうだ? 何故あそこまで人が変わってしまった?」

「はい、これは何かの薬物の作用でございましょう」

「薬物か……」

 ひとり心当たりがある。
 先代国王ラマロ陛下の病を診る為にムスヒが連れてきたという王宮の典医ゲンパクだ。

「何とかなりそうか?」

「薬物を体内から取り除く事ができればあるいは……」

「そうか、分かった。アンドーゼは引き続きタカミ殿下の治療に専念してくれ」

「はい、全力を尽くします」

 俺はアンドーゼにタカミ殿下を任せると、降伏した討伐軍の士官を集めて話をする事にした。

 日頃からムスヒの事をよく思っていない彼らは、タカミ王子の身の安全と引き換えに俺達に協力してくれる事を約束してくれた。

 俺の村には降伏した一万人の兵士を養うだけの蓄えはない。
 着替えの用意ができた兵士から順番に王都へ帰らせる事にした。
 元仕立て屋のコーケン達はほぼ徹夜で衣服を作っていたが、とても間に合わないので俺は手下を使って交易都市ワークスで衣服を買い占める事にした。
 その日からワークスの町中の服屋から衣服が消えて割と騒動になっていたが、俺は領主ヤマツミ伯爵に事情を話して他の町からも衣服を回してもらうよう手配してもらう事でなんとかやり過ごした。



◇◇◇◇



 討伐軍との戦いから三日後、王宮に潜伏していたエキゾチックスのメンバーが火焔山に帰ってきた。


「クサナギ、元気でやってるかニャ? 討伐軍が敗れ帰ったおかげで王宮内は大騒ぎになってるミャ」

「マドウカさん王宮の調査ご苦労様です。何か分ったかい?」

「色々とんでもない事が分かったミャ。ここにまとめてあるから読んでくれミャ」

 俺はマドウカが取り出した報告書に目を通す。

 ・クシナダは魔族で人間への復讐を企んでいる黒幕である。
 ・ムスヒはただの傀儡。
 ・先代国王ラマロを毒殺したのは王宮の典医ゲンパク。
 ・タカミ王子を洗脳したのもゲンパク。
 ・ムスヒは第二次火焔山の山賊の討伐軍の派遣を準備中。
 ・イザナミはクシナダの手下であるヨイヤミという刺客に捕らえられていた。

「ふむふむ、短期間でよくこれだけ調べ上げたね」

 マドウカは得意そうにフフンと鼻を鳴らす。

「それからお土産もあるミャ」

 そう言ってエキゾチックスの戦士ミケが肩に担いでいた大きな袋を乱雑に投げつける。

「ぐへぁっ」

 悲鳴と共に袋の口が開き、中から白髪の老人が這い出てきた。

「貴様ら、この私にこんな事をしてただで済むと思うな!」

 まさか中に人が入っているとは思わなかった俺は一瞬驚いたが、すぐに落ち着いてマドウカに問う。

「こいつはゲンパクじゃないか? どうしてここに?」

「この爺さん、イザナミを薬漬けにして玩具にしようとしてたから、ちょっと懲らしめてやったミャ。ああ、イザナミの事は心配しなくていいミャ。王都で信用できる冒険者に保護しておらってるミャ」

「そうか、こいつがイザナミさんを。これはこのまま無事に帰す訳にはいかないな」

「き、貴様……私に何をするつもりだ……私に手を出したらムスヒ陛下が黙っていないぞ!」

 俺は見苦しく喚き散らすゲンパクを憐みの目で見下ろしながらトモエに指示を出す。

「トモエ、こいつを拷問にかけて知ってる事を全て吐かせろ」

「あいよ。老人をいたぶるのは趣味じゃないけど、こいつのやってきた事を考えると全く同情する気が起きないね」

「は、離せ……私をどこへ連れていくのじゃ……あああああああああああ!」

 ゲンパクはトモエに引き摺られていった。
 それが俺が彼を見た最後の姿だった。


「それでクサナギ、この後はどうするつもりミャ?」

「そうだな、まずはタカミ王子の回復を待とうと思う。そしてその後は……」



◇◇◇◇



 一方、王宮のクシナダはゲンパクとイザナミが行方をくらませている事に気付いた。

「クシナダ様、恐らくクサナギの手の者がこの王宮に潜んでいたのではないかと思われます」

「おのれクサナギめ、この私を出し抜くとは……! ヨイヤミよ、お前に次の任務を与える。火焔山へ向かい、クサナギの首を取ってきなさい」

「はっ……しかし……」

 ヨイヤミはクサナギの暗殺の命令に対して躊躇する。
 クサナギが恐ろしいからではない。
 イザナミですら凌駕するその魔力はクサナギにも引けは取らないだろう。

 彼女が躊躇したのは、女性だけの戦闘部族アマゾネスの生き残りであるヨイヤミは男性に対しての免疫がないからだ。

 しかもクサナギの使うクロースレスは衣服を全て剥がすというとんでもない魔法だ。
 もし殿方の前で身包みを剥がされるような事があればヨイヤミは完全に戦闘不能になるだろう。
 ある意味クサナギはヨイヤミの天敵ともいえた。

 しかしクシナダもそれを知らないはずはない。
 彼女には勝算があった。

「大丈夫、お前の闇の力を持ってすれば絶対にしくじる事はないわ」

「はっ、クシナダ様のご命令のままに……」

 ヨイヤミの身体は闇夜に溶けるように消えていった。

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