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第10話 聖女が見た流星
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聖女である私が魔王の討伐にやって来たという情報は敵に筒抜けだった。
でもまあそれは何百年も前から言い伝えられている予言だから当たり前か。
先程撤退したレラージェとかいう魔族は私の事を魔王に報告をするだろう。
しかし「聖女に体当たりで撥ね飛ばされました。聖女の肉体はめちゃくちゃ強固です」、と報告をされたところで私にとっては何の不利益にもならない。
問題は、それ以外の情報だ。
正直なところ、レラージェ自体はそんなに強いとは感じなかった。
魔王軍の他の将もレラージェと同じくらいの強さならば何人束になってかかってこようが問題はない。
でも、ゾンビのように生理的に苦手な魔物をぶつけられると話は変わる。
どうか私の弱点に気づかれていませんように、と私は神に祈った。
祈りは聖女の専売特許だ。きっと神様も願いを聞き届けてくれるはず。
私は再び魔王を目指して霧の濃い方向へ進む。
さらに進むこと半日、ついに魔王の居城に到着した。
途中、オークやコボルトのような魔物と遭遇したが、軽く力の差を見せつけたら我先にと逃げて行ってしまった。
紫の霧はこの城の中から噴き出している。魔王は必ずこの中にいる。
それにしても、どうして魔王の城ってこう……見た目が禍々しいのは当たり前として、全然機能的に見えないんだよね。
城の上の方の橋から生えてる変な塔とか、耐久性大丈夫なのかな。
地震が起きたら簡単に崩れそうだ。
日本だったら間違いなく建築基準法に引っ掛かりそうだよね。
「さて、入り口はどこかな?」
城の周囲をぐるっと回ってみたが、入り口らしきものは見当たらない。
ゲームだと隠し扉や隠し階段があったりするんだけど、そんなものを探している時間がもったいない。
入り口がないなら、作ってしまえばいい。物理的に。簡単な話だ。
私は城の前に立ち、拳を握りしめて、城の外壁に渾身のストレートを……お見舞いしようとした刹那、足元が崩れ落ちる。
「しまった、落とし穴だ!」
私は10m程の深さの穴の底で仰向けに倒れていた。
でもこんなトラップでは私の身体は傷一つ付かない。
こんな穴なら簡単に脱出できる。
私は穴の中で身を起こし、脱出するために軽くジャンプをした。
ガンッ
突然頭に強い衝撃を感じる。
(え、何かにぶつかった?)
そして激しい激突音が幾度となく鳴り響き、視界が真っ暗になった。
(何が起きたの?)
程なくして男女の笑い声が聞こえてくる。
「流石は魔王セロキート様、いつ見てもお見事でございます。これで邪魔者は片付きましたね」
「ははは、予言の聖女など私にかかればこんなものだ。自分の身に何が起きたのかも分らぬまま死におったわ」
「天空の遥か上より隕石群を呼び寄せ、対象の頭上にまるで豪雨のように降らせる古の禁呪魔法流星豪雨の直撃を受けた以上、もはや原型すらとどめていないでしょう」
「これでたった一つの懸念材料はなくなった。サーキュバル、貴様に我が軍勢を預ける。直ちにクラウディア王国を攻略しろ」
「は、仰せのままに。お前たち出陣するよ!最初の目標はイーストラ要塞だ!」
「ははっ」
隕石の下敷きとなり、生き埋めになった私の頭上に、魔王軍の兵士の足音が響いた。
でもまあそれは何百年も前から言い伝えられている予言だから当たり前か。
先程撤退したレラージェとかいう魔族は私の事を魔王に報告をするだろう。
しかし「聖女に体当たりで撥ね飛ばされました。聖女の肉体はめちゃくちゃ強固です」、と報告をされたところで私にとっては何の不利益にもならない。
問題は、それ以外の情報だ。
正直なところ、レラージェ自体はそんなに強いとは感じなかった。
魔王軍の他の将もレラージェと同じくらいの強さならば何人束になってかかってこようが問題はない。
でも、ゾンビのように生理的に苦手な魔物をぶつけられると話は変わる。
どうか私の弱点に気づかれていませんように、と私は神に祈った。
祈りは聖女の専売特許だ。きっと神様も願いを聞き届けてくれるはず。
私は再び魔王を目指して霧の濃い方向へ進む。
さらに進むこと半日、ついに魔王の居城に到着した。
途中、オークやコボルトのような魔物と遭遇したが、軽く力の差を見せつけたら我先にと逃げて行ってしまった。
紫の霧はこの城の中から噴き出している。魔王は必ずこの中にいる。
それにしても、どうして魔王の城ってこう……見た目が禍々しいのは当たり前として、全然機能的に見えないんだよね。
城の上の方の橋から生えてる変な塔とか、耐久性大丈夫なのかな。
地震が起きたら簡単に崩れそうだ。
日本だったら間違いなく建築基準法に引っ掛かりそうだよね。
「さて、入り口はどこかな?」
城の周囲をぐるっと回ってみたが、入り口らしきものは見当たらない。
ゲームだと隠し扉や隠し階段があったりするんだけど、そんなものを探している時間がもったいない。
入り口がないなら、作ってしまえばいい。物理的に。簡単な話だ。
私は城の前に立ち、拳を握りしめて、城の外壁に渾身のストレートを……お見舞いしようとした刹那、足元が崩れ落ちる。
「しまった、落とし穴だ!」
私は10m程の深さの穴の底で仰向けに倒れていた。
でもこんなトラップでは私の身体は傷一つ付かない。
こんな穴なら簡単に脱出できる。
私は穴の中で身を起こし、脱出するために軽くジャンプをした。
ガンッ
突然頭に強い衝撃を感じる。
(え、何かにぶつかった?)
そして激しい激突音が幾度となく鳴り響き、視界が真っ暗になった。
(何が起きたの?)
程なくして男女の笑い声が聞こえてくる。
「流石は魔王セロキート様、いつ見てもお見事でございます。これで邪魔者は片付きましたね」
「ははは、予言の聖女など私にかかればこんなものだ。自分の身に何が起きたのかも分らぬまま死におったわ」
「天空の遥か上より隕石群を呼び寄せ、対象の頭上にまるで豪雨のように降らせる古の禁呪魔法流星豪雨の直撃を受けた以上、もはや原型すらとどめていないでしょう」
「これでたった一つの懸念材料はなくなった。サーキュバル、貴様に我が軍勢を預ける。直ちにクラウディア王国を攻略しろ」
「は、仰せのままに。お前たち出陣するよ!最初の目標はイーストラ要塞だ!」
「ははっ」
隕石の下敷きとなり、生き埋めになった私の頭上に、魔王軍の兵士の足音が響いた。
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