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最終話 帰郷
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思い出した。
そういえばレラージェの減刑について陛下に口添えをする約束をしてたんだった。
あの人まだ処刑されてないよね?
またシルザー陛下の所へ行かなくちゃ。
謁見の前に向かう途中、衛兵とすれ違った。城内が慌ただしい。
「何かあったんですか?」
「聖女様、大変です。地下牢のレラージェが脱走しました!」
「えぇ……」
あの魔族のことだ、またどこかで死体を集めてひと暴れしようと企んでいるのかもしれない。
でもゾンビが苦手な私はともかく、今度はゾンビを浄化できるアイリーゼや、ゾンビでも平気で殴り倒すシャロッテが相手になると思うよ。
それにあの二人は私と違って敵に一切の情けを掛けない。
もしそれを知らずに脱走をしたのなら……私は少し彼に同情してしまった。
◇◇◇◇
また、その後の帝国についての情報も入ってきた。
帰国したアフォロートル都督は引き連れた兵で即座にクーデターを実行。
奸臣を粛清し、ゴルドラ皇帝を追放。そしてゴルドラの従弟にあたるブロンという若者を新皇帝として擁立した。
既に腐敗した国内を立て直す為の政策を次々と施行し、国民からの圧倒的支持を受けているそうだ。
帝国の治世が落ち着いたことで、アイリーゼの心境にも変化があったようだ。
王国の民の為に慈愛の聖女の力を貸してもいいという。
シャロッテの力の制御の特訓も無事に終わり、しばらくはアイリーゼを監視するという名目で行動を共にしてもらうことになった。
◇◇◇◇
気が付けば私がこの世界に来てからもう一ヶ月になる。
この国の目ぼしい観光名所巡りも終わり、ご当地グルメも堪能した。
クラウディア王国の平和はシャロッテとアイリーゼの二人の聖女が守ってくれることだろう。
名残惜しいけどそろそろ日本に帰る時かな。
私は騎士アスタリスに帰国の意思を伝えた。
「そうですか、承知いたしました。それでは帰還魔法の使い手を召集しましょう。セーナ様には二度も王国をお救いいただき、クラウディア王国民を代表してお礼を申し上げます」
「私の方こそいろいろと身の回りのお世話をしていただいてありがとうございました」
結局最後まで私の寝相の悪さは直らず、アスタリスには毎日礼拝堂の修理をしてもらっていた。
一方、シャロッテは私とは正反対で寝相が良く、私が寝所として使うはずだった東の塔にある部屋で寝泊まりをしていた。
侍女の話ではシャロッテが眠っている姿はまさに眠り姫のようだったそうな。
そしてついに私が日本に帰る準備が整った。
日本ではこの世界の服装はコスプレにしか見えないので、元々着ていた日本の服に着替える。
この世界のお菓子や工芸品など、お土産もたくさんもらった。
……家族や友達に何と言って渡せばいいのかはまだ考えていないけど。
まさか異世界のお土産とか言っても信じてもらえないよね。
「セーナ様、どうぞこちらへ」
アスタリスに連れられてやってきたのは床に魔方陣が描かれた薄暗い部屋、私が召喚された場所だ。
部屋の前にはリーデルやセレーネ、アムレットさんなど大勢の人が私を見送るために集まっていた。
「セーナ様の功績は、クラウディア王国史に永遠に刻まれるでしょう」
「これでこの国の皆さんともお別れですね」
「はい、寂しくなります。……もしよろしければ、また遊びに来てくれませんか?」
「え?また来れるんですか?」
「異世界から人間をひとり召喚するためには長い年月をかけて準備を行う必要がありますので、いつでも好きな時にという訳にはいきませんが。そうですね、5年もあればまたこの国にご招待させていただくことは可能です」
「でも、この世界を離れるともう聖女の力は無くなってしまうんですよね。その時は私は聖女ではなくただの人ですよ」
「そんなものどうだっていいんです。その時は予言の聖女としてではなく、大切な客人セーナ様として歓迎します」
そうだった。騎士アスタリスやリーデル、セレーネたちは私を聖女としてではなく、今川聖奈個人として接してくれていたんだった。
「それじゃあ、5年後の今日、また遊びに来させてください」
「承知いたしました。それでは5年後の今日、セーナ様が再度ご来訪されるその日まで、セーナ様がお守り下さったこのクラウディア王国は我々ひとりひとりが全力を尽くして平和の維持に務めることをここに誓いましょう」
「はい、その日を楽しみにしています」
「しかしセーナさんが帰られるというのに、聖女二人は見送りにも来ないのか?」
リーデルは露骨に不満そうな態度をとる。
「シャロッテとアイリーゼなら北の村でゾンビを見たという噂の真相について、調査に行ったらしいよ」
セレーネがリーデルを宥めながら答える。
「今この場にいる私たちより、あの二人の方がよっぽど平和の維持のために動いていますね」
アムレットさんの言うとおりだと思う。
二度の戦乱により、クラウディア王国はまだ復興の途中だ。ここにいる皆にもやるべき仕事がたくさんある。
このままここでずるずると皆を引き止めていてもいけない。
私は話を切り上げ、帰還魔法使いたちに日本に送ってもらうよう要請した。
私が部屋の中心にある魔方陣の上に立つと魔法使いたちは呪文の詠唱を始める。
やがて魔方陣から放たれた光が私の身体を包み、何も見えなくなった。
そして、次に気が付いた時には私は自宅の前に戻っていた。
まるで長い夢をみていた気分だ。
しかし、両手に持った大量のお土産が現実だったことを裏付ける。
そしてそのお土産を持った両手に地球の重力が牙を剥いた。
「お、重っ……そうか、私にはもう聖女の力はないんだ」
私はお土産を一旦地面に置き、玄関の扉を開ける。
「ただいま!」
「あら、聖奈ちゃんお帰りなさい。旅行は楽しかった?」
「うん、最高だったよ。ところでお父さんいる?お土産いっぱいあるから家の中まで運んでもらいたいんだけど」
「おう、今行く。……ずいぶんとたくさんあるな。これを全部持って帰ってきたのか?」
「ああ、うん。家の前まで持ってきたところで腕が限界に来ちゃってね……」
「そうか、お前は体力がないからなあ。いっそこれを機に筋トレでもしてみたらどうだ?」
「間に合ってます!それよりもこのお菓子食べてみてよ。すっごく美味しいんだ」
「珍しいお菓子だな。どこの土産?」
「港の方とかいろいろ!」
「いろいろて……お前ちょっと性格が大雑把になってないか?」
「あはは、いろいろあったからね」
完
そういえばレラージェの減刑について陛下に口添えをする約束をしてたんだった。
あの人まだ処刑されてないよね?
またシルザー陛下の所へ行かなくちゃ。
謁見の前に向かう途中、衛兵とすれ違った。城内が慌ただしい。
「何かあったんですか?」
「聖女様、大変です。地下牢のレラージェが脱走しました!」
「えぇ……」
あの魔族のことだ、またどこかで死体を集めてひと暴れしようと企んでいるのかもしれない。
でもゾンビが苦手な私はともかく、今度はゾンビを浄化できるアイリーゼや、ゾンビでも平気で殴り倒すシャロッテが相手になると思うよ。
それにあの二人は私と違って敵に一切の情けを掛けない。
もしそれを知らずに脱走をしたのなら……私は少し彼に同情してしまった。
◇◇◇◇
また、その後の帝国についての情報も入ってきた。
帰国したアフォロートル都督は引き連れた兵で即座にクーデターを実行。
奸臣を粛清し、ゴルドラ皇帝を追放。そしてゴルドラの従弟にあたるブロンという若者を新皇帝として擁立した。
既に腐敗した国内を立て直す為の政策を次々と施行し、国民からの圧倒的支持を受けているそうだ。
帝国の治世が落ち着いたことで、アイリーゼの心境にも変化があったようだ。
王国の民の為に慈愛の聖女の力を貸してもいいという。
シャロッテの力の制御の特訓も無事に終わり、しばらくはアイリーゼを監視するという名目で行動を共にしてもらうことになった。
◇◇◇◇
気が付けば私がこの世界に来てからもう一ヶ月になる。
この国の目ぼしい観光名所巡りも終わり、ご当地グルメも堪能した。
クラウディア王国の平和はシャロッテとアイリーゼの二人の聖女が守ってくれることだろう。
名残惜しいけどそろそろ日本に帰る時かな。
私は騎士アスタリスに帰国の意思を伝えた。
「そうですか、承知いたしました。それでは帰還魔法の使い手を召集しましょう。セーナ様には二度も王国をお救いいただき、クラウディア王国民を代表してお礼を申し上げます」
「私の方こそいろいろと身の回りのお世話をしていただいてありがとうございました」
結局最後まで私の寝相の悪さは直らず、アスタリスには毎日礼拝堂の修理をしてもらっていた。
一方、シャロッテは私とは正反対で寝相が良く、私が寝所として使うはずだった東の塔にある部屋で寝泊まりをしていた。
侍女の話ではシャロッテが眠っている姿はまさに眠り姫のようだったそうな。
そしてついに私が日本に帰る準備が整った。
日本ではこの世界の服装はコスプレにしか見えないので、元々着ていた日本の服に着替える。
この世界のお菓子や工芸品など、お土産もたくさんもらった。
……家族や友達に何と言って渡せばいいのかはまだ考えていないけど。
まさか異世界のお土産とか言っても信じてもらえないよね。
「セーナ様、どうぞこちらへ」
アスタリスに連れられてやってきたのは床に魔方陣が描かれた薄暗い部屋、私が召喚された場所だ。
部屋の前にはリーデルやセレーネ、アムレットさんなど大勢の人が私を見送るために集まっていた。
「セーナ様の功績は、クラウディア王国史に永遠に刻まれるでしょう」
「これでこの国の皆さんともお別れですね」
「はい、寂しくなります。……もしよろしければ、また遊びに来てくれませんか?」
「え?また来れるんですか?」
「異世界から人間をひとり召喚するためには長い年月をかけて準備を行う必要がありますので、いつでも好きな時にという訳にはいきませんが。そうですね、5年もあればまたこの国にご招待させていただくことは可能です」
「でも、この世界を離れるともう聖女の力は無くなってしまうんですよね。その時は私は聖女ではなくただの人ですよ」
「そんなものどうだっていいんです。その時は予言の聖女としてではなく、大切な客人セーナ様として歓迎します」
そうだった。騎士アスタリスやリーデル、セレーネたちは私を聖女としてではなく、今川聖奈個人として接してくれていたんだった。
「それじゃあ、5年後の今日、また遊びに来させてください」
「承知いたしました。それでは5年後の今日、セーナ様が再度ご来訪されるその日まで、セーナ様がお守り下さったこのクラウディア王国は我々ひとりひとりが全力を尽くして平和の維持に務めることをここに誓いましょう」
「はい、その日を楽しみにしています」
「しかしセーナさんが帰られるというのに、聖女二人は見送りにも来ないのか?」
リーデルは露骨に不満そうな態度をとる。
「シャロッテとアイリーゼなら北の村でゾンビを見たという噂の真相について、調査に行ったらしいよ」
セレーネがリーデルを宥めながら答える。
「今この場にいる私たちより、あの二人の方がよっぽど平和の維持のために動いていますね」
アムレットさんの言うとおりだと思う。
二度の戦乱により、クラウディア王国はまだ復興の途中だ。ここにいる皆にもやるべき仕事がたくさんある。
このままここでずるずると皆を引き止めていてもいけない。
私は話を切り上げ、帰還魔法使いたちに日本に送ってもらうよう要請した。
私が部屋の中心にある魔方陣の上に立つと魔法使いたちは呪文の詠唱を始める。
やがて魔方陣から放たれた光が私の身体を包み、何も見えなくなった。
そして、次に気が付いた時には私は自宅の前に戻っていた。
まるで長い夢をみていた気分だ。
しかし、両手に持った大量のお土産が現実だったことを裏付ける。
そしてそのお土産を持った両手に地球の重力が牙を剥いた。
「お、重っ……そうか、私にはもう聖女の力はないんだ」
私はお土産を一旦地面に置き、玄関の扉を開ける。
「ただいま!」
「あら、聖奈ちゃんお帰りなさい。旅行は楽しかった?」
「うん、最高だったよ。ところでお父さんいる?お土産いっぱいあるから家の中まで運んでもらいたいんだけど」
「おう、今行く。……ずいぶんとたくさんあるな。これを全部持って帰ってきたのか?」
「ああ、うん。家の前まで持ってきたところで腕が限界に来ちゃってね……」
「そうか、お前は体力がないからなあ。いっそこれを機に筋トレでもしてみたらどうだ?」
「間に合ってます!それよりもこのお菓子食べてみてよ。すっごく美味しいんだ」
「珍しいお菓子だな。どこの土産?」
「港の方とかいろいろ!」
「いろいろて……お前ちょっと性格が大雑把になってないか?」
「あはは、いろいろあったからね」
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