ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり

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第11話 魔族の集落2

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 レミュウと入れ替わる様に今度は大人の魔族の女性が料理を手にやってきた。

「ルシフェルトさん、夫と娘がお世話になりました。ハッサムの妻のエンペルと申します」

「あ、これはご丁寧に」

「お食事をお持ちしました。お口に合えば宜しいのですが……」

 エンペルさんが俺に差し出したのは透明なお湯の中に野菜かどうかも分からない謎の草が入っている鍋と、王都では犬や豚の餌として使われていた味も名前のない穀物が盛りつけられたお皿だ。

 俺は思わず二度見をしてしまった。
 とても人間が食べるような物ではない。
 かといって俺に対する嫌がらせという訳でもなさそうだ。

「……皆さんはいつもこのようなものを食べているんですか?」

「はい、モロクのお陰でまともな食材は全て税として徴収されて残っているのはこのような物ばかり……」

 彼らにとってはこれが精いっぱいのおもてなしなのだろう。
 俺も元々は王国内の領地を与えられ、民衆を治めていた侯爵家の人間だ。
 領民にこんな暮らしを強いるだなんて領主として失格だ。
 俺は無性にモロクとかいう魔族の事が腹立たしくなったと同時に、この村の人たちの事を何とかしてあげようと思った。

「それならば俺に考えがあります」

 俺は出された料理を部屋の中に残してエンペルさんと建物の外に出た。

「あの……申し訳ありませんルシフェルトさん、やはりあのような物はお召し上がりになれませんか……」

「いや、ありがたく頂きますよ。但し少し味付けをしてからですけどね。ちょっと失礼しますよ」

 オロオロとするエンペルさんを横目に、俺は建物に向かって手を翳して魔力を解き放つ。

「崩壊魔法、ブレイクダウン!」

 次の瞬間、今まで俺が寛いでいた物置のような建物は大量の砂埃をまき散らしながら崩壊した。
 その様子を見て村中の魔族が血相を変えながら駆け寄ってきた。

「ルシフェルトさん、私どもが何かお気に障るような事をいたしましたでしょうか……」

 少し驚かせてしまったようだ。
 俺は笑顔で答えた。

「いえ、良くして頂いて感謝の言葉しかありません。まあ見ていて下さい」

 俺はつい此間まで住んでいたエバートン侯爵家の屋敷と、そこでいつも食べていた料理を強くイメージした。

 時間差で崩壊した建物の残骸が光り輝き、次の瞬間には豪邸とはいえないまでも王都の平均的な民衆が暮らしている程度にはまともな住宅に創り変えられていた。

「あれ?」

 俺がイメージしていた物と比べると明らかにランクダウンしている。
 【破壊の後の創造】スキルにも限界があるのか、となった物に合わせて振れ幅が決まるのか、まだまだ検証の余地はありそうだ。

 しかしそれでも元の建物と比べれば大幅なグレードアップをしている。

「おお、奇跡だ……」
「これがルシフェルトさんの【破壊の後の創造】のお力なのですね」

 俺の力を目の当たりにした村人たちは手を合わせながら俺の事をまるで神様のように崇める。
 俺ははにかんだ笑みを浮かべながら入口の扉を空けて中に入った。
 玄関から家の奥へ廊下が続き、その左右には新たに寝室やお風呂、トイレなどの部屋が創られている。
 廊下を進んだ先の部屋の中央にはテーブルがあり、その上には先程エンペルさんから頂いた料理が置かれていた。

 もちろんその料理も【破壊の後の創造】のスキルによって創り変えられている。
 透明な液体は高級食堂で出されるような濃厚なスープに、味のない穀物も東国より伝わる高級食材である銀シャリへと生まれ変わっていた。

 まずはスプーンで鍋の中のスープを掬い口まで運ぶ。

「……うまい!」

 味も完璧だ。

 余程お腹が空いていたのだろう、気が付いた時にはスープと銀シャリは全て俺の胃袋の中に移動していた。

「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」

 俺は空になった鍋とお皿を家の中に新たに創られた台所で綺麗に洗い、エンペルさんに返却をした。

 そして俺がこの村でやるべき事も分かった。

「さて、お腹も膨れた事だし今からこの村の皆さんのお住まいもリフォームしちゃいましょう。あとこの村にある食料もついでにアップグレードしますので全部出して下さい」

「ええ、本当に宜しいのですか?」
「私の家も是非ともお願いします!」
「食料は全て村の中央にある食糧庫の中に保管してあります」

「そうですか。それでは食糧庫から食料を出すのも面倒なので食糧庫ごと吹き飛ばしますね」

 俺はまず村の中央にある食糧庫に向けて黒魔法を放った。
 粉々に吹き飛んだ倉庫とその中身は【破壊の後の創造】スキルによって少し時間をおいた後に再構築された。
 食糧庫は長期保存が可能な冷蔵機能を兼ね備えた王国でも最先端の魔道技術が搭載された大型の冷蔵庫に生まれ変わり、その中身は採れたばかりのような新鮮な高級食材に生まれ変わっていた。

 この後俺はここノースバウムの村を徹底的に破壊し尽くし、頑強な城壁に囲まれ立派な家屋が並ぶ、城塞都市のような村に創り変えた。

 村全体を創り変えるに当たって、俺は自分の黒魔法の威力の確認や【破壊の後の創造】のスキルの実験をさせて貰った。

 俺の黒魔法の一撃で一度に破壊できるのは住宅一つ分程度だ。
 そして村全体を破壊し尽くしたところで黒魔力が枯渇した。
 これが今の俺の限界だ。
 一晩睡眠をとれば俺の中の黒魔力は元通りに回復するだろう。

 俺は今まで黒魔法の修行をした事はないので、鍛錬を積めばまだまだ成長の余地はありそうだ。
 俺はしばらくこの村で黒魔法の修練を積む事にした。

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