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僕と黒井の、本気の「本番」
第78話:違和感の正体
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だから、ライトの光がそれを照らしたときも、ついぼうっとして見逃していた。首を振って現実に戻り、もう一度目をこらす。例の窓の、下。何かがある。ぶら下がっている?僕は脚立を抱えて、建物の中に取って返した。何でさっき窓を開けなかったんだろう。何で脚立を発見したときに見逃したんだろう。ここまで近づいていて、僕はどうしてこんなに鈍くて甘いんだろう。
さっきの踊り場で脚立に乗り、窓の取っ手をライトで照らす。黒い糸が巻き付いていた。取っ手をひねってぐいと外へ押すと、ぎぎぎ、と軋んで窓が開く。糸を手繰り寄せると、狼と、宝のカンがガリガリ壁にこすれながら上がってきた。
カンの上部の持ち手と、狼の胴体に黒い糸がぐるぐるに巻かれていた。はあ、こんなすぐそばにいたのか、お前。宝を回収し、七つ道具の小さなナイフで宝の持ち手の糸を切った。その糸をそのまま狼に巻いて、命綱を強化して外に放した。どっかに飛んでいくなよ?
窓を閉じて、勝負をかけることを決めた。
さっきの猫を取りに行き、メモ帳を破って<リスベット>と書き、輪ゴムで猫に巻いた。それは通用口に置くとして、さて、ハズレたときの保険のために、宝を隠さなくては。
結局脚立を使うことにして、入り口近くの廊下の天井に隠すことにした。
天井裏の配線をいじるため?の四角く開けられるところがあって、丸い服のボタンのようなものがついていた。その丸の真ん中がまっすぐ溝になっていて、そこに十円玉を当てて回したら、ぱたんとその四角い天井の板が降りてきた。中を覗くと何やらケーブルだか電線?なんかが見えた。あまり頭を突っ込みたいスペースでもなかったので、すぐそこにカンを置いて、蓋を閉じた。
バインダーにその天井裏の位置を書き込んで、脚立を片付けて帰ることにした。
帰る間じゅう、本当にリスベットだったのか、と考え続けた。タバコの灰一つで、安易過ぎないか?直感が告げたとはいえ、これで、本気を出し切ったといえるのか?勝ったという手応えはなかった。ないのに、勝って、しまうかな。七分の一なんて、当てずっぽうでも当たっちゃうか。脚立まで買って、ヘッドライトも注文したのに、終わりだろうか。引き返して勝負を延ばしたい気もするが、でもそれじゃ、それこそ全力を出してない。ポケットの中のしおりを出して眺める。やっぱり、<ミレニアム>に、付いてきたんじゃないのか、これ・・・。
帰宅して、何となく納得がいかないまま寝た。そして夢を見る間もなく起きて、また出社した。
四日目、水曜日。
会社に行って、雑用を片付けて、出て行って、帰ってきて、課長からノー残業デーだからと言われ、帰路に着いた。今日何をしていたのか、もう思い出せない。胸にひたすらわだかまりがあって、ずっと足が重かった。何かが違うし、このままじゃだめだ。でも、何が?
未だに工事中の狭い地下通路を歩く。ポケットに手を突っ込んで、あのしおりを出し、ふと見ればコクーンタワーのブックファーストがそこにあった。ちょっと、寄ってみるか。
文庫本の、海外ミステリコーナーへ足を運ぶ。小説なんか、しばらく読んでいないな。今の新刊には全然ついていってない。黒井に提示した七冊だって、今思えば古いものばっかりだ。わりと最近のものは、この<ミレニアム>と、<ロスト・シンボル>くらいだろう。ほんの二、三年前だと思っていたものが、四、五年になり、もしかしてほとんどが十年以上前のものか?
年をとったのかなと思いながら棚をたどっていくと、<ミレニアム>が三冊あった。もう平積みじゃなくて、帯もない、棚の真ん中。ああ、もしかして、もう、ないのかな。これよりずっと古い他の本なんか、棚に並んで、ないかもしれない。
・・・。
気になって、他の棚を見て回った。ライム・シリーズの<コフィン・ダンサー>も抜けていて、<針の目>もなかった。<模倣犯>は巻数がとびとびで、<ロスト・シンボル>は上巻がなく、<ハンニバル>は下巻がなかった。<黄金を抱いて翔べ>はぎりぎり、とっくに終わった映画化の帯とともに並んでいた。
意外と、揃わないんだ。
新宿の、こんな大きな書店でも、どんどん棚は流れていくんだ。
・・・じゃあ、やっぱり、リスベットで正解?
つまり、しおりがあるってことは本屋で買ったってことで、本屋にないものはアマゾンか図書館じゃなきゃ入手できない。アマゾンってこんなしおりついてくるか?僕はつかつかとレジに歩いていって、「こういうの、つけてます?」と店員に訊いた。いつもなら手順をしっかり考えて、「つかぬ事を伺いますが」とか「営業の者なんですが」とか言い訳を考えるところだけど、もう、今は、いいやと思って。
「・・・はい?」
「こちらで本を買ったら、このしおり、つけてくれます?」
「しおりですか・・・」
レジのカウンターの下から底の浅い箱が出てきて、中身を見せられた。僕が渡したものと同じものが、百枚くらい入っていた。
「どうもありがとう」
僕は店員が何か言う前にきびすを返した。誰かの肩に当たったが、そちらを見もせず「失礼!」と外に出た。
電車でドア側に陣取り、外を見ながら考えた。
黒井はあそこで<ミレニアム>を買って、あの窓の桟で読んでいたのだろうか。
日曜日、あのファミレスで黒井が<ミレニアム>を引いていたとして。そして、本屋でそれを見つけて、すぐに買った・・・。
新宿のブックファーストで?
・・・。
<ミレニアム>だったら、新宿まで出なくても、街の書店だって、あるんじゃないか。文庫本だし、それこそ、うちの駅の小さな本屋だって。
腕時計を見た。八時十分。あの本屋が閉まるのは九時。ギリギリ間に合うか。
後は思考が散乱して、じりじりしながら駅を待った。焦りばかりがつのる。確信もないのに勝ってしまうのか。勝ってしまったら、こんなキリキリした寝不足の日々も終わるのか。
それで、いいのか。
電車のドアをコツコツと叩きながら駅を待った。心拍数が上がってくる。間に合ってくれ。何が?分からないけど、間に合え。俺だって本当の本気でやりたい。もうちょっとだ。
駅に着いて階段を駆け上がり、改札を抜けて駅前の信号を突っ切り、本屋に飛び込んだ。ためらわず店主のおじさんに「あの、ここでこのしおり、つけてます?」としおりを突き出した。何だ、僕は被害者の写真を見せて回る刑事か。
「ええ?」
店主はすっとぼけた顔で眼鏡をずり下げ、しおりから顔を離した。
「え、これ、何のしおりですか?」
見覚えがないなら、ブックファーストみたいにレジでつけてくれるんじゃないんだろう。
「あの、文庫本で、ミレニアムって置いてます?ハヤカワの」
「え?ハヤカワ?ああ、ミレニ、うむ、ね。ありますよ」
店主は海外ミステリの狭い棚を手で示した。礼も言わずそちらに向かい、<ミレニアム>を三冊引っ張り出して、ぱらぱらとめくった。はさまっていたのはハヤカワ文庫の案内ばかりだった。
「すいません、これ、最近出ました?」
「はい?」
「ミレニアム、最近まとめて買っていった人とか、います?」
「うーん・・・え、早川の方ですか?」
「いえ」
僕は、あの、屋上に行ったときの黒井みたいに「どうも!」と快活に言い捨て、足早に店を出た。
違う。
何かが違う。
歩きながら考える。どんどん足が早くなる。
本番を生ビールで乾杯して、その場で買わなくて何が本気だろう?いや、もちろんそうじゃない可能性もいくらだってあるが、とにかく何かが違うと思った。いや、たぶん、本の話じゃないんだ。入手元じゃなくて、そういうことじゃなくて・・・。
違和感。
ろくに考えが進まないうちに、家に着いてしまった。思考が途切れるのが嫌で、そのまま通り過ぎ、歩き続けた。違う。全然、届いてない・・・。
脚立にまたがって、タバコ片手にロウソクの明かりで<ミレニアム>を読んでいたんじゃないのか。そのイメージは間違いなのか。窓の外に分身を吊り下げて、それってリスベットじゃないのか。
・・・。
ああ、もしかして。
本を読んでいた、というのが、違和感なんだ。
いや、ロウソクは読書のためじゃないとか、しおりもどこかから飛んできたものだ、とかじゃない。そうじゃなくて。
・・・本気で読めば、火曜の夜まで、かからないだろう、ってことだ。
もちろん、読み返していただけかもしれない。さすがに三冊は読破できなかったのかもしれない。でも。
少なくとも、最初に現場に来るまでに、大体の感じはつかんでいたはずだ。
だから、月曜の夜、そう、三階の廊下のつきあたり。そうだ、宝箱の上で悠然と眠っていた狼。逃げも隠れもせず最上階で、そこが王座だと言わんばかりに僕を待っていた。
それが、違和感だ。あんなのリスベットじゃない。
僕はそこでUターンし、もう走って家に帰った。もどかしく着替えてリュックを引っさげ、そのままの勢いで現場に走った。いても、立っても、いられない!
・・・・・・・・・・・・・・・
息せき切って駆けつけ、軍手をつけて門扉を乗り越える。ああ、アマゾンから何が届いたって受け取れやしない。今日も仕方なくペンライトをつけ、音を立てないように走る。つい時間が早いということを忘れそうになるが、まだ十時かそこらなのだ。丑三つ時ではないのだから、隣のビルだってちらほら明かりがついている。静かに行動しなければ。
まずは裏手に回り、脚立をチェックする。踊り場の窓を見上げ、ライトで照らすが狼がぶら下がっているかどうかは、よく見えなかった。
脚立はひとまず置いて、通用口へ向かう。リスベットは取り消しだ。うまく理屈はつけられないし、推理は穴だらけだけど、とにかく今のまま当てずっぽうみたいに勝つわけに行かない。
通用口の階段を駆け上り、入り口に置いた猫を回収すべく扉を開け、・・・。
・・・っ?
ノブに手を掛けたその瞬間、何かが見えて思わず手を引っ込めた。
体に緊張が走る。何だ?
見えたのは、扉のガラス窓に内側から貼られた紙だった。ライトを向ける。反射で光ってよく見えないが、小さな紙だ。僕は左右を見回して、扉を開けてさっとすべり込んだ。
セロテープで貼られたそれを剥がし、ライトを当てる。それは、僕が猫に持たせたあのメモだった。
<リスベット>の走り書きの上から、油性マジックで大きく × 印。やたら丁寧に、定規でも引いたかという、紙いっぱいのバツ。ハズレた。リスベットじゃ、なかったんだ。
・・・。
詰めていた息をようやく吐き出す。
・・・安堵した。
足元を見る。猫はいない。そして、狼と宝も揃っていない。負けたわけじゃない。
・・・生き延びた。
胸に手を当て、「はあ、はあ」と大きく息をした。遅れて冷や汗が出てくる。ああ、やっぱり、リスベットじゃなかった・・・。
・・・。
<リスベット>。ああ、<ミレニアム>って、書かなかった。
分かったかな。まあ、自分の引いた本に関係なさそうなら、バツにするか。スマホで調べれば他の本の主人公だということは分かるだろう。・・・ん?でも、黒井は他の、引かなかった六冊のタイトルも知らないはずか。じゃあ、そのまま<リスベット>って本があると思ったかな。まあ、どっちでもいいんだけど。
僕は軍手を取って脇にはさみ、両手でパン、と頬を叩いた。しゃっきりしろ、今度は絶対、確信を持って勝つんだ。
人質の駒が取られた場合。
駒なしで宝を動かすことは出来ないから、宝はあの天井裏のまま、見つからないよう祈るしかない。そして。
僕に出来ることは、猫の駒を探すことだけだ。見つけなければ次の勝負をかけることも出来ない。何が何でも見つける。そして、その状況で見極めなくては。リスベットでないなら、何者なんだ。
バインダー片手に、怪しそうな場所を片っ端から見ていった。トイレ二箇所を総ざらいし、<非常口>もドライバーで開ける。廊下の天井裏も、宝の場所以外の三箇所全部を開けてみた。もう一度トイレに入り、個室の上にも扉があったので脚立を持ち込んでそこも開けた。その作業を、三階と、一階も、全く同じ手順でやった。一時間はかかっただろうか。
保守点検の作業員の気持ちでやった。一箇所やるたび、バインダーにチェックを入れた。少しずつ、レ点で埋まっていく。あとは、踊り場の窓。
あの、二階と三階の間の窓には何もなかった。ロウソクのしずくが少しこびりついているだけ。取っ手から黒い糸は消えていたし、開けてみても何もなかった。
そして。
二階から一階へ降りる途中の踊り場。
・・・まただ。
お前は、窓が好きなのか?桟に何かがある。今度は大量に何かが残されている。さっきもここを通ったはずなのに見てなかった。もどかしく脚立を立てて、ライトを当てる。え、何だこりゃ?
・・・なんだ。
ええと、言葉が出てこない。
・・・。
まず目に入ったのは、200ミリの細長い<おいしい牛乳>。その隣に、小さなプラスチックの容器。中には何だかごろっとした白米と、カラン?とかいう緑の草みたいなビニールのぺらぺら。
そして。
狼と猫が窓に寄りかかって仲良く座っていた。これ、どういうこと?
混乱した。<おいしい牛乳>を飲むリスベットなんていない。しかもこの容器、ご飯を少し残してるけど、何だったんだ?そっと持ち上げて、においをかぐ。…酢飯のにおい。容器の蓋を探したが、見当たらなかった。蓋にはタイトルっていうか、値札や成分表示が貼ってあるはずだけど、容器の裏を見ても分からなかった。
しかしまあとにかく、黒井はここで何かを食べ、牛乳を飲んだのだ。そういうことだ。それ以外にない。
・・・それは、何を意味するんだ!
分からない。分からない。その気持ちをぶつけるように、僕は容器のにおいを嗅いだ。何だろう、たぶん知っている。懐かしい感じ。もういい、手づかみで一口食べてみる。ああ、やっぱり酢飯。でも、寿司の<シャリ>じゃない?そして、カランを舐めまわしてこちらはピンと来た。つんとする感じ。ガリだ!
ガリがついてて、でもシャリじゃない・・・ちらし寿司?いや、でも、この大きさ・・・三つ入りのいなり寿司ってところ?そして、お揚げだけ食べて、ご飯を微妙に残したの?
っていうか、これもしかして、なぞなぞなのか?それとも何か、本になぞらえてるのか?
うん?っていうか、じゃあ、タバコとロウソクも、やっぱりヒントだった?タバコはともかく、ロウソクなんか出てきたかな。ロウソク・・・火・・・。<ミレニアム2~火と戯れる女~>?ちょっとこじつけか。どっちにしろリスベットじゃないし。
しかし、もしこれが演出というか、ヒントというか、見立て?だったとして・・・牛乳はともかく、寿司なんだから、和書だろう。そんなこともないか?<スシ>かもしれない?・・・ミルクと?
まあいい、和書だとしたら、<模倣犯>と<黄金を抱いて翔べ>。うん、何となく引っかかるような気もするが、思い出せなかった。仕方ない。読んだのはどちらも十年前なんだ。
とにかく、僕はリュックからビニール袋を出して牛乳パックとプラスチック容器を入れ、猫をそっと寝ている狼から取り上げた。
駒を奪還した以上、宝の場所を移すことも出来たが、あのままにしておくことにした。僕は猫を最初の寝床、つまり<非常口>の中に隠して、そそくさと建物を後にした。
さっきの踊り場で脚立に乗り、窓の取っ手をライトで照らす。黒い糸が巻き付いていた。取っ手をひねってぐいと外へ押すと、ぎぎぎ、と軋んで窓が開く。糸を手繰り寄せると、狼と、宝のカンがガリガリ壁にこすれながら上がってきた。
カンの上部の持ち手と、狼の胴体に黒い糸がぐるぐるに巻かれていた。はあ、こんなすぐそばにいたのか、お前。宝を回収し、七つ道具の小さなナイフで宝の持ち手の糸を切った。その糸をそのまま狼に巻いて、命綱を強化して外に放した。どっかに飛んでいくなよ?
窓を閉じて、勝負をかけることを決めた。
さっきの猫を取りに行き、メモ帳を破って<リスベット>と書き、輪ゴムで猫に巻いた。それは通用口に置くとして、さて、ハズレたときの保険のために、宝を隠さなくては。
結局脚立を使うことにして、入り口近くの廊下の天井に隠すことにした。
天井裏の配線をいじるため?の四角く開けられるところがあって、丸い服のボタンのようなものがついていた。その丸の真ん中がまっすぐ溝になっていて、そこに十円玉を当てて回したら、ぱたんとその四角い天井の板が降りてきた。中を覗くと何やらケーブルだか電線?なんかが見えた。あまり頭を突っ込みたいスペースでもなかったので、すぐそこにカンを置いて、蓋を閉じた。
バインダーにその天井裏の位置を書き込んで、脚立を片付けて帰ることにした。
帰る間じゅう、本当にリスベットだったのか、と考え続けた。タバコの灰一つで、安易過ぎないか?直感が告げたとはいえ、これで、本気を出し切ったといえるのか?勝ったという手応えはなかった。ないのに、勝って、しまうかな。七分の一なんて、当てずっぽうでも当たっちゃうか。脚立まで買って、ヘッドライトも注文したのに、終わりだろうか。引き返して勝負を延ばしたい気もするが、でもそれじゃ、それこそ全力を出してない。ポケットの中のしおりを出して眺める。やっぱり、<ミレニアム>に、付いてきたんじゃないのか、これ・・・。
帰宅して、何となく納得がいかないまま寝た。そして夢を見る間もなく起きて、また出社した。
四日目、水曜日。
会社に行って、雑用を片付けて、出て行って、帰ってきて、課長からノー残業デーだからと言われ、帰路に着いた。今日何をしていたのか、もう思い出せない。胸にひたすらわだかまりがあって、ずっと足が重かった。何かが違うし、このままじゃだめだ。でも、何が?
未だに工事中の狭い地下通路を歩く。ポケットに手を突っ込んで、あのしおりを出し、ふと見ればコクーンタワーのブックファーストがそこにあった。ちょっと、寄ってみるか。
文庫本の、海外ミステリコーナーへ足を運ぶ。小説なんか、しばらく読んでいないな。今の新刊には全然ついていってない。黒井に提示した七冊だって、今思えば古いものばっかりだ。わりと最近のものは、この<ミレニアム>と、<ロスト・シンボル>くらいだろう。ほんの二、三年前だと思っていたものが、四、五年になり、もしかしてほとんどが十年以上前のものか?
年をとったのかなと思いながら棚をたどっていくと、<ミレニアム>が三冊あった。もう平積みじゃなくて、帯もない、棚の真ん中。ああ、もしかして、もう、ないのかな。これよりずっと古い他の本なんか、棚に並んで、ないかもしれない。
・・・。
気になって、他の棚を見て回った。ライム・シリーズの<コフィン・ダンサー>も抜けていて、<針の目>もなかった。<模倣犯>は巻数がとびとびで、<ロスト・シンボル>は上巻がなく、<ハンニバル>は下巻がなかった。<黄金を抱いて翔べ>はぎりぎり、とっくに終わった映画化の帯とともに並んでいた。
意外と、揃わないんだ。
新宿の、こんな大きな書店でも、どんどん棚は流れていくんだ。
・・・じゃあ、やっぱり、リスベットで正解?
つまり、しおりがあるってことは本屋で買ったってことで、本屋にないものはアマゾンか図書館じゃなきゃ入手できない。アマゾンってこんなしおりついてくるか?僕はつかつかとレジに歩いていって、「こういうの、つけてます?」と店員に訊いた。いつもなら手順をしっかり考えて、「つかぬ事を伺いますが」とか「営業の者なんですが」とか言い訳を考えるところだけど、もう、今は、いいやと思って。
「・・・はい?」
「こちらで本を買ったら、このしおり、つけてくれます?」
「しおりですか・・・」
レジのカウンターの下から底の浅い箱が出てきて、中身を見せられた。僕が渡したものと同じものが、百枚くらい入っていた。
「どうもありがとう」
僕は店員が何か言う前にきびすを返した。誰かの肩に当たったが、そちらを見もせず「失礼!」と外に出た。
電車でドア側に陣取り、外を見ながら考えた。
黒井はあそこで<ミレニアム>を買って、あの窓の桟で読んでいたのだろうか。
日曜日、あのファミレスで黒井が<ミレニアム>を引いていたとして。そして、本屋でそれを見つけて、すぐに買った・・・。
新宿のブックファーストで?
・・・。
<ミレニアム>だったら、新宿まで出なくても、街の書店だって、あるんじゃないか。文庫本だし、それこそ、うちの駅の小さな本屋だって。
腕時計を見た。八時十分。あの本屋が閉まるのは九時。ギリギリ間に合うか。
後は思考が散乱して、じりじりしながら駅を待った。焦りばかりがつのる。確信もないのに勝ってしまうのか。勝ってしまったら、こんなキリキリした寝不足の日々も終わるのか。
それで、いいのか。
電車のドアをコツコツと叩きながら駅を待った。心拍数が上がってくる。間に合ってくれ。何が?分からないけど、間に合え。俺だって本当の本気でやりたい。もうちょっとだ。
駅に着いて階段を駆け上がり、改札を抜けて駅前の信号を突っ切り、本屋に飛び込んだ。ためらわず店主のおじさんに「あの、ここでこのしおり、つけてます?」としおりを突き出した。何だ、僕は被害者の写真を見せて回る刑事か。
「ええ?」
店主はすっとぼけた顔で眼鏡をずり下げ、しおりから顔を離した。
「え、これ、何のしおりですか?」
見覚えがないなら、ブックファーストみたいにレジでつけてくれるんじゃないんだろう。
「あの、文庫本で、ミレニアムって置いてます?ハヤカワの」
「え?ハヤカワ?ああ、ミレニ、うむ、ね。ありますよ」
店主は海外ミステリの狭い棚を手で示した。礼も言わずそちらに向かい、<ミレニアム>を三冊引っ張り出して、ぱらぱらとめくった。はさまっていたのはハヤカワ文庫の案内ばかりだった。
「すいません、これ、最近出ました?」
「はい?」
「ミレニアム、最近まとめて買っていった人とか、います?」
「うーん・・・え、早川の方ですか?」
「いえ」
僕は、あの、屋上に行ったときの黒井みたいに「どうも!」と快活に言い捨て、足早に店を出た。
違う。
何かが違う。
歩きながら考える。どんどん足が早くなる。
本番を生ビールで乾杯して、その場で買わなくて何が本気だろう?いや、もちろんそうじゃない可能性もいくらだってあるが、とにかく何かが違うと思った。いや、たぶん、本の話じゃないんだ。入手元じゃなくて、そういうことじゃなくて・・・。
違和感。
ろくに考えが進まないうちに、家に着いてしまった。思考が途切れるのが嫌で、そのまま通り過ぎ、歩き続けた。違う。全然、届いてない・・・。
脚立にまたがって、タバコ片手にロウソクの明かりで<ミレニアム>を読んでいたんじゃないのか。そのイメージは間違いなのか。窓の外に分身を吊り下げて、それってリスベットじゃないのか。
・・・。
ああ、もしかして。
本を読んでいた、というのが、違和感なんだ。
いや、ロウソクは読書のためじゃないとか、しおりもどこかから飛んできたものだ、とかじゃない。そうじゃなくて。
・・・本気で読めば、火曜の夜まで、かからないだろう、ってことだ。
もちろん、読み返していただけかもしれない。さすがに三冊は読破できなかったのかもしれない。でも。
少なくとも、最初に現場に来るまでに、大体の感じはつかんでいたはずだ。
だから、月曜の夜、そう、三階の廊下のつきあたり。そうだ、宝箱の上で悠然と眠っていた狼。逃げも隠れもせず最上階で、そこが王座だと言わんばかりに僕を待っていた。
それが、違和感だ。あんなのリスベットじゃない。
僕はそこでUターンし、もう走って家に帰った。もどかしく着替えてリュックを引っさげ、そのままの勢いで現場に走った。いても、立っても、いられない!
・・・・・・・・・・・・・・・
息せき切って駆けつけ、軍手をつけて門扉を乗り越える。ああ、アマゾンから何が届いたって受け取れやしない。今日も仕方なくペンライトをつけ、音を立てないように走る。つい時間が早いということを忘れそうになるが、まだ十時かそこらなのだ。丑三つ時ではないのだから、隣のビルだってちらほら明かりがついている。静かに行動しなければ。
まずは裏手に回り、脚立をチェックする。踊り場の窓を見上げ、ライトで照らすが狼がぶら下がっているかどうかは、よく見えなかった。
脚立はひとまず置いて、通用口へ向かう。リスベットは取り消しだ。うまく理屈はつけられないし、推理は穴だらけだけど、とにかく今のまま当てずっぽうみたいに勝つわけに行かない。
通用口の階段を駆け上り、入り口に置いた猫を回収すべく扉を開け、・・・。
・・・っ?
ノブに手を掛けたその瞬間、何かが見えて思わず手を引っ込めた。
体に緊張が走る。何だ?
見えたのは、扉のガラス窓に内側から貼られた紙だった。ライトを向ける。反射で光ってよく見えないが、小さな紙だ。僕は左右を見回して、扉を開けてさっとすべり込んだ。
セロテープで貼られたそれを剥がし、ライトを当てる。それは、僕が猫に持たせたあのメモだった。
<リスベット>の走り書きの上から、油性マジックで大きく × 印。やたら丁寧に、定規でも引いたかという、紙いっぱいのバツ。ハズレた。リスベットじゃ、なかったんだ。
・・・。
詰めていた息をようやく吐き出す。
・・・安堵した。
足元を見る。猫はいない。そして、狼と宝も揃っていない。負けたわけじゃない。
・・・生き延びた。
胸に手を当て、「はあ、はあ」と大きく息をした。遅れて冷や汗が出てくる。ああ、やっぱり、リスベットじゃなかった・・・。
・・・。
<リスベット>。ああ、<ミレニアム>って、書かなかった。
分かったかな。まあ、自分の引いた本に関係なさそうなら、バツにするか。スマホで調べれば他の本の主人公だということは分かるだろう。・・・ん?でも、黒井は他の、引かなかった六冊のタイトルも知らないはずか。じゃあ、そのまま<リスベット>って本があると思ったかな。まあ、どっちでもいいんだけど。
僕は軍手を取って脇にはさみ、両手でパン、と頬を叩いた。しゃっきりしろ、今度は絶対、確信を持って勝つんだ。
人質の駒が取られた場合。
駒なしで宝を動かすことは出来ないから、宝はあの天井裏のまま、見つからないよう祈るしかない。そして。
僕に出来ることは、猫の駒を探すことだけだ。見つけなければ次の勝負をかけることも出来ない。何が何でも見つける。そして、その状況で見極めなくては。リスベットでないなら、何者なんだ。
バインダー片手に、怪しそうな場所を片っ端から見ていった。トイレ二箇所を総ざらいし、<非常口>もドライバーで開ける。廊下の天井裏も、宝の場所以外の三箇所全部を開けてみた。もう一度トイレに入り、個室の上にも扉があったので脚立を持ち込んでそこも開けた。その作業を、三階と、一階も、全く同じ手順でやった。一時間はかかっただろうか。
保守点検の作業員の気持ちでやった。一箇所やるたび、バインダーにチェックを入れた。少しずつ、レ点で埋まっていく。あとは、踊り場の窓。
あの、二階と三階の間の窓には何もなかった。ロウソクのしずくが少しこびりついているだけ。取っ手から黒い糸は消えていたし、開けてみても何もなかった。
そして。
二階から一階へ降りる途中の踊り場。
・・・まただ。
お前は、窓が好きなのか?桟に何かがある。今度は大量に何かが残されている。さっきもここを通ったはずなのに見てなかった。もどかしく脚立を立てて、ライトを当てる。え、何だこりゃ?
・・・なんだ。
ええと、言葉が出てこない。
・・・。
まず目に入ったのは、200ミリの細長い<おいしい牛乳>。その隣に、小さなプラスチックの容器。中には何だかごろっとした白米と、カラン?とかいう緑の草みたいなビニールのぺらぺら。
そして。
狼と猫が窓に寄りかかって仲良く座っていた。これ、どういうこと?
混乱した。<おいしい牛乳>を飲むリスベットなんていない。しかもこの容器、ご飯を少し残してるけど、何だったんだ?そっと持ち上げて、においをかぐ。…酢飯のにおい。容器の蓋を探したが、見当たらなかった。蓋にはタイトルっていうか、値札や成分表示が貼ってあるはずだけど、容器の裏を見ても分からなかった。
しかしまあとにかく、黒井はここで何かを食べ、牛乳を飲んだのだ。そういうことだ。それ以外にない。
・・・それは、何を意味するんだ!
分からない。分からない。その気持ちをぶつけるように、僕は容器のにおいを嗅いだ。何だろう、たぶん知っている。懐かしい感じ。もういい、手づかみで一口食べてみる。ああ、やっぱり酢飯。でも、寿司の<シャリ>じゃない?そして、カランを舐めまわしてこちらはピンと来た。つんとする感じ。ガリだ!
ガリがついてて、でもシャリじゃない・・・ちらし寿司?いや、でも、この大きさ・・・三つ入りのいなり寿司ってところ?そして、お揚げだけ食べて、ご飯を微妙に残したの?
っていうか、これもしかして、なぞなぞなのか?それとも何か、本になぞらえてるのか?
うん?っていうか、じゃあ、タバコとロウソクも、やっぱりヒントだった?タバコはともかく、ロウソクなんか出てきたかな。ロウソク・・・火・・・。<ミレニアム2~火と戯れる女~>?ちょっとこじつけか。どっちにしろリスベットじゃないし。
しかし、もしこれが演出というか、ヒントというか、見立て?だったとして・・・牛乳はともかく、寿司なんだから、和書だろう。そんなこともないか?<スシ>かもしれない?・・・ミルクと?
まあいい、和書だとしたら、<模倣犯>と<黄金を抱いて翔べ>。うん、何となく引っかかるような気もするが、思い出せなかった。仕方ない。読んだのはどちらも十年前なんだ。
とにかく、僕はリュックからビニール袋を出して牛乳パックとプラスチック容器を入れ、猫をそっと寝ている狼から取り上げた。
駒を奪還した以上、宝の場所を移すことも出来たが、あのままにしておくことにした。僕は猫を最初の寝床、つまり<非常口>の中に隠して、そそくさと建物を後にした。
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地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】君の穿ったインソムニア
古都まとい
BL
建設会社の事務として働く佐野純平(さの じゅんぺい)は、上司のパワハラによって眠れない日々を過ごしていた。後輩の勧めで病院を受診した純平は不眠症の診断を受け、処方された薬を受け取りに薬局を訪れる。
純平が訪れた薬局には担当薬剤師制度があり、純平の担当薬剤師となったのは水瀬隼人(みなせ はやと)という茶髪の明るい青年だった。
「佐野さんの全部、俺が支えてあげますよ?」
陽キャ薬剤師×不眠症会社員の社会人BL。
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
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