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第五章 龍と游皇家
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南陽楼の葉華と言えば、当代一とも言われる妓女で、ひと晩彼女と過ごすのには下っ端官吏の給料ではとても追いつかないとさえ言われている。
そんな権利で動くなとも言いたいが、それは充分に手を貸す理由になり得ることも確かなのだ。
……とても「そんなので買収されるな」とは、言えない額になる筈だから。
丹劉帆自身、葉華に手が届かない身分ではないようだが、それでも決して安くはないのだから、提案に乗らない理由はないのだろう。
「丹様は葉華姐さんがお好きなんですね」
他に言いようもなく苦笑した珠葵に、劉帆も同じような笑みを返した。
「あれはいい女だ」
「はい」
「嬢ちゃんが10年たっても、ちょっと厳しいかもな」
「う……」
その通りなので、言葉もない。
「言っておくが、私はどこぞの店の若旦那とやらのように、妓女を利用して情報を得るようなことはせんからな。そんなことをすれば、葉華から生涯南陽楼出入り禁止を言われてしまいかねない」
「ああ……言いそうですね、すごく」
「上司やその上は勘違いをしているが、私は葉華だから良いのであって、妓女と遊べれば何でもいいというわけではない」
「……身代傾きますよ」
「言ってくれるな。だがまあ、葉華のためならそれも良かろうよ」
小道具屋にいれば、葉華目当てで南陽楼に来る客を見かけることはあるし、その入れ込み具合も様々だ。けれどこの丹劉帆は、その中でもかなり重い愛を葉華に捧げているように見える。
南陽楼に通うために身代を傾ける男は実際にいるため、珠葵もついそう声をかけてしまった。
余計なことかとは思ったけれど、劉帆は機嫌を損ねた風でもなく「分かっているとも」と、鷹揚に笑った。
「……じゃあ」
その劉帆の鷹揚さに甘えて、これならどうだと珠葵は切り札を出すことにする。
「ここから出してお店に帰らせてくれたら、私は葉華姐さんに『丹様が如何にいい人か』をたくさん説明してあげます。ご存知ですか? 今既に、私を牢に放り込んだことで北衙禁軍関係者は当面出入り禁止だと言われていることを」
「…………なに?」
さすがに、そうすぐには信じないかもと思いつつも口にしてみれば、実際には珠葵の想像以上に劉帆には刺さったらしく、驚愕に目を見開いていた。
「ご存じなかったんですね」
いくら游皐瑛がお代を支払うと言ったとて、相手はあの葉華。そうそう前言を翻すことはしないはずだ。
そう思いながら見ていると、劉帆は何やら呻きつつ胸に手を当てた。
「……馬鹿らしいと思うかも知れないが、存外それは私には有効な策だと言えような」
「じゃあ……!」
「まあ、でも、さすがに今すぐは無理だな、いくらなんでも」
珠葵が恨めしげにじっと劉帆を見れば、どう受け取ったのか「其方のその仕種では、まだまだ私は動けんぞ」と笑われてしまった。
「き、基準が葉華姐さんでは無理難題ですっ」
「くくくっ、怒るな怒るな。今すぐは無理だが、とりあえず食事は保証してやるし、私は、今は敵ではないと覚えておいてくれ。殿下もそうすぐに動ける立場の方ではないから、伝えたいことが出来れば私が都度間に入ることくらいは出来る」
それと、と劉帆がニヤリと口角を上げる。
「牢に来る人間は、ある程度は目を瞑ってやろう。さすがに凌北斗が来たらその限りではないがな。少なくとも拷問だなんだとやりかねない奴らは押さえておいてやるさ」
だから葉華にはちゃんと私のことをアピールしておいてくれ、とそこは真顔で劉帆は遥かに年下の珠葵に対して念押しして、引き上げて行った。
「人のいない牢ではあるけど、入口とかにはちゃんと監視がいるってことかな……?」
雑居房でもないし、独居房がいくつかあるものの、今、他に誰かがいる風じゃない。
犯罪者がいないということは、まあないだろうから、何かしらの目的で隔離したい時に使われる牢なのかも知れない。
珠葵を無理やりここに放り込んだ連中が、再びここへ戻って来ないよう、そこは丹劉帆の権限と采配に期待するしかなさそうだった。
.゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚.゚*。:゚ .゚*。:゚ .゚*。:゚
「――君が、柳珠葵?」
けれど一応石造りの、鉄格子で逃亡を阻んでいるはずの牢で、小道具店にいる時以上に、外からあれこれと人がやって来るのはどうしたことか。
「……どちらさまですか」
今度は誰だ。
思い切り「不審人物に思ってます」オーラを出しながら珠葵が尋ねた。
「ああ、失礼。私は御史台付の中丞職を賜っている高冲鋒と言う。更夜部中丞・鄭圭琪――と言えば分かるのかな。彼からの依頼で顔を出させて貰った」
「鄭様ですか? と言うか、中丞って……」
怪しまれないように適当に名乗ったんだろうか……などと内心で首を傾げていた間に、灯りに照らし出されたのは丹劉帆よりは若いと思われる青年だった。
そしてこちらはこちらで、御史台付中丞などと名乗っている。
それは鄭圭琪と同じ役職ではなかったか。
御史大夫、つまりは朱雪娜の副官職。
ぐるぐると考えこむ珠葵に、高冲鋒は「ああ」と、軽く手を叩いた。
「鄭圭琪は御史台更夜部の中丞で、私は本店側の中丞だ。当代御史大夫である雪娜様には二人の中丞、つまり副官が付いていてね」
「それは知りませんでした」
人ならざるモノを取り締まるのが御史台更夜部の仕事だが、本来の御史台は、王宮官吏の犯罪取り締まりや王都内商業店舗の行政監察を行うのが仕事だ。
御史台と聞けば、普通は行政監察の部署の方を人は思い浮かべる。
ただ、後発で更夜部が設立されて以降、そちら側の部署との区別の意味もこめて、近頃は「本店」と呼ばれることも多いらしいのだ。
朱雪娜は、結界を張ると言う業務の特殊性から、更夜部にいることがほとんどだと聞く。
と言うことは、昼間の御史台はこの高冲鋒が事実上の御史台の長として公務の多くをこなしていると言うことなのかも知れない。
鄭圭琪が声をかけて、ここまで来させたとは言うものの、更夜部ではなく「本店」所属の人間となれば、本気の味方なのかがやや判断しにくい。
珠葵がじっと見つめていると、高冲鋒は困った様に肩をすくめた。
「実は私は地方の監察から戻ってきたばかりでね。そうしたら、何故か更夜部に入れず締め出しを喰らっている官吏があちらこちらにいて」
「え」
「ただ文箱だけは行き来可能という、非常に面倒くさい状態になっているんだ。つまり公務は通常通りにこなせるから、皆、表立って文句を言いづらい」
「…………」
珠葵の脳裏を一瞬、春宮在住皇太子・游皐瑛の姿がよぎる。
なるほど、桜泉経由で龍泉が言っていたのはそういうことかと得心する。
「まあ、原因が何らかの術式であるならば私には通用しないから、実質私一人が出入り自由な状態になってしまってね。それで早々に、鄭中丞に声をかけられた。自分と、南陽楼の柳珠葵と言う小道具店の店主との間に入って動いてくれないか……ってね」
圭琪と桜泉が接触した故のことなのか。それとも圭琪の独断か。
判断がつかずに眉根を寄せたのが見えたのか、高冲鋒は苦笑を閃かせていた。
「なぜ、初対面の高冲鋒かと思っているようだが……恐らくは、更夜部所属組の様な『力』が私には全くないのを知っているからだろう。あらゆる『術』に引っかからないと言うのは、逆に特性だと」
そう言って、暗闇でよく見えていなかっただけで、実は手に提げていた袋包みを取り出して軽く掲げてみせた。
「⁉」
まさか、と目を見開いた珠葵を見て、高冲鋒の笑みは悪戯が成功した子供の様なそれに変わった。
「どうやら正攻法で許可を取っていては、誰かに証拠隠滅を図られてしまうと思ったらしい。自分が御史大夫の許可を取りに行くから、先にこれらを君に渡して欲しい、と押し付けられてね」
「鄭様……」
何て無茶を、と思ったものの、それだけ圭琪も余裕がなかったのかとすぐさま思い直す。
あるいは『力』を押さえる布をかぶせてあるとは言え、見るからに呪われていそうな禍々しい短剣に、自分が触りたくなかったのか。
「ええっと……高様は、それを持っていても何ともない……?」
「何ともない、とは?」
「気分が悪くなったりとか……」
珠葵から見れば、短剣なんかは黒い禍々しい靄で覆われているのが見えるくらいなのに、高冲鋒はまったくそれを感じないと言うのだろうか。
じっと手提げの荷物と自分を見比べる珠葵の言いたいことに、どうやら高冲鋒自身が先に気が付いたらしい。
「言ったろう?私はそう言った『力』を一切持っていないのだ、と」
もう言い慣れているのか、特にやさぐれた雰囲気はそこからは感じなかった。
珠葵の様に自分の意志で『力』を扱える者はそう多くないとしても、誰しも大なり小なりの『力』はあって、何かしら悪意のある術にかけられると、身体に影響はあるのだと、前に聞いた気がしたのに。
どうやら何事にも例外というものはあるらしい。
「少ない人はいても、まったく持たない人と言うのは初めてかも……」
「まあ、おかげで悪意のある術にはかかりづらいらしく、御史台の中で異様に重宝されていてね。問題の有りそうな領地の監察には、必ずと言って良いほど行かされる。――今日は何故か、戻るなり荷物運びを依頼されたわけだが」
はい、と鉄格子の隙間から風呂敷包みごと荷物を差し出され、珠葵はおずおずとそれを受け取った。
そんな権利で動くなとも言いたいが、それは充分に手を貸す理由になり得ることも確かなのだ。
……とても「そんなので買収されるな」とは、言えない額になる筈だから。
丹劉帆自身、葉華に手が届かない身分ではないようだが、それでも決して安くはないのだから、提案に乗らない理由はないのだろう。
「丹様は葉華姐さんがお好きなんですね」
他に言いようもなく苦笑した珠葵に、劉帆も同じような笑みを返した。
「あれはいい女だ」
「はい」
「嬢ちゃんが10年たっても、ちょっと厳しいかもな」
「う……」
その通りなので、言葉もない。
「言っておくが、私はどこぞの店の若旦那とやらのように、妓女を利用して情報を得るようなことはせんからな。そんなことをすれば、葉華から生涯南陽楼出入り禁止を言われてしまいかねない」
「ああ……言いそうですね、すごく」
「上司やその上は勘違いをしているが、私は葉華だから良いのであって、妓女と遊べれば何でもいいというわけではない」
「……身代傾きますよ」
「言ってくれるな。だがまあ、葉華のためならそれも良かろうよ」
小道具屋にいれば、葉華目当てで南陽楼に来る客を見かけることはあるし、その入れ込み具合も様々だ。けれどこの丹劉帆は、その中でもかなり重い愛を葉華に捧げているように見える。
南陽楼に通うために身代を傾ける男は実際にいるため、珠葵もついそう声をかけてしまった。
余計なことかとは思ったけれど、劉帆は機嫌を損ねた風でもなく「分かっているとも」と、鷹揚に笑った。
「……じゃあ」
その劉帆の鷹揚さに甘えて、これならどうだと珠葵は切り札を出すことにする。
「ここから出してお店に帰らせてくれたら、私は葉華姐さんに『丹様が如何にいい人か』をたくさん説明してあげます。ご存知ですか? 今既に、私を牢に放り込んだことで北衙禁軍関係者は当面出入り禁止だと言われていることを」
「…………なに?」
さすがに、そうすぐには信じないかもと思いつつも口にしてみれば、実際には珠葵の想像以上に劉帆には刺さったらしく、驚愕に目を見開いていた。
「ご存じなかったんですね」
いくら游皐瑛がお代を支払うと言ったとて、相手はあの葉華。そうそう前言を翻すことはしないはずだ。
そう思いながら見ていると、劉帆は何やら呻きつつ胸に手を当てた。
「……馬鹿らしいと思うかも知れないが、存外それは私には有効な策だと言えような」
「じゃあ……!」
「まあ、でも、さすがに今すぐは無理だな、いくらなんでも」
珠葵が恨めしげにじっと劉帆を見れば、どう受け取ったのか「其方のその仕種では、まだまだ私は動けんぞ」と笑われてしまった。
「き、基準が葉華姐さんでは無理難題ですっ」
「くくくっ、怒るな怒るな。今すぐは無理だが、とりあえず食事は保証してやるし、私は、今は敵ではないと覚えておいてくれ。殿下もそうすぐに動ける立場の方ではないから、伝えたいことが出来れば私が都度間に入ることくらいは出来る」
それと、と劉帆がニヤリと口角を上げる。
「牢に来る人間は、ある程度は目を瞑ってやろう。さすがに凌北斗が来たらその限りではないがな。少なくとも拷問だなんだとやりかねない奴らは押さえておいてやるさ」
だから葉華にはちゃんと私のことをアピールしておいてくれ、とそこは真顔で劉帆は遥かに年下の珠葵に対して念押しして、引き上げて行った。
「人のいない牢ではあるけど、入口とかにはちゃんと監視がいるってことかな……?」
雑居房でもないし、独居房がいくつかあるものの、今、他に誰かがいる風じゃない。
犯罪者がいないということは、まあないだろうから、何かしらの目的で隔離したい時に使われる牢なのかも知れない。
珠葵を無理やりここに放り込んだ連中が、再びここへ戻って来ないよう、そこは丹劉帆の権限と采配に期待するしかなさそうだった。
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「――君が、柳珠葵?」
けれど一応石造りの、鉄格子で逃亡を阻んでいるはずの牢で、小道具店にいる時以上に、外からあれこれと人がやって来るのはどうしたことか。
「……どちらさまですか」
今度は誰だ。
思い切り「不審人物に思ってます」オーラを出しながら珠葵が尋ねた。
「ああ、失礼。私は御史台付の中丞職を賜っている高冲鋒と言う。更夜部中丞・鄭圭琪――と言えば分かるのかな。彼からの依頼で顔を出させて貰った」
「鄭様ですか? と言うか、中丞って……」
怪しまれないように適当に名乗ったんだろうか……などと内心で首を傾げていた間に、灯りに照らし出されたのは丹劉帆よりは若いと思われる青年だった。
そしてこちらはこちらで、御史台付中丞などと名乗っている。
それは鄭圭琪と同じ役職ではなかったか。
御史大夫、つまりは朱雪娜の副官職。
ぐるぐると考えこむ珠葵に、高冲鋒は「ああ」と、軽く手を叩いた。
「鄭圭琪は御史台更夜部の中丞で、私は本店側の中丞だ。当代御史大夫である雪娜様には二人の中丞、つまり副官が付いていてね」
「それは知りませんでした」
人ならざるモノを取り締まるのが御史台更夜部の仕事だが、本来の御史台は、王宮官吏の犯罪取り締まりや王都内商業店舗の行政監察を行うのが仕事だ。
御史台と聞けば、普通は行政監察の部署の方を人は思い浮かべる。
ただ、後発で更夜部が設立されて以降、そちら側の部署との区別の意味もこめて、近頃は「本店」と呼ばれることも多いらしいのだ。
朱雪娜は、結界を張ると言う業務の特殊性から、更夜部にいることがほとんどだと聞く。
と言うことは、昼間の御史台はこの高冲鋒が事実上の御史台の長として公務の多くをこなしていると言うことなのかも知れない。
鄭圭琪が声をかけて、ここまで来させたとは言うものの、更夜部ではなく「本店」所属の人間となれば、本気の味方なのかがやや判断しにくい。
珠葵がじっと見つめていると、高冲鋒は困った様に肩をすくめた。
「実は私は地方の監察から戻ってきたばかりでね。そうしたら、何故か更夜部に入れず締め出しを喰らっている官吏があちらこちらにいて」
「え」
「ただ文箱だけは行き来可能という、非常に面倒くさい状態になっているんだ。つまり公務は通常通りにこなせるから、皆、表立って文句を言いづらい」
「…………」
珠葵の脳裏を一瞬、春宮在住皇太子・游皐瑛の姿がよぎる。
なるほど、桜泉経由で龍泉が言っていたのはそういうことかと得心する。
「まあ、原因が何らかの術式であるならば私には通用しないから、実質私一人が出入り自由な状態になってしまってね。それで早々に、鄭中丞に声をかけられた。自分と、南陽楼の柳珠葵と言う小道具店の店主との間に入って動いてくれないか……ってね」
圭琪と桜泉が接触した故のことなのか。それとも圭琪の独断か。
判断がつかずに眉根を寄せたのが見えたのか、高冲鋒は苦笑を閃かせていた。
「なぜ、初対面の高冲鋒かと思っているようだが……恐らくは、更夜部所属組の様な『力』が私には全くないのを知っているからだろう。あらゆる『術』に引っかからないと言うのは、逆に特性だと」
そう言って、暗闇でよく見えていなかっただけで、実は手に提げていた袋包みを取り出して軽く掲げてみせた。
「⁉」
まさか、と目を見開いた珠葵を見て、高冲鋒の笑みは悪戯が成功した子供の様なそれに変わった。
「どうやら正攻法で許可を取っていては、誰かに証拠隠滅を図られてしまうと思ったらしい。自分が御史大夫の許可を取りに行くから、先にこれらを君に渡して欲しい、と押し付けられてね」
「鄭様……」
何て無茶を、と思ったものの、それだけ圭琪も余裕がなかったのかとすぐさま思い直す。
あるいは『力』を押さえる布をかぶせてあるとは言え、見るからに呪われていそうな禍々しい短剣に、自分が触りたくなかったのか。
「ええっと……高様は、それを持っていても何ともない……?」
「何ともない、とは?」
「気分が悪くなったりとか……」
珠葵から見れば、短剣なんかは黒い禍々しい靄で覆われているのが見えるくらいなのに、高冲鋒はまったくそれを感じないと言うのだろうか。
じっと手提げの荷物と自分を見比べる珠葵の言いたいことに、どうやら高冲鋒自身が先に気が付いたらしい。
「言ったろう?私はそう言った『力』を一切持っていないのだ、と」
もう言い慣れているのか、特にやさぐれた雰囲気はそこからは感じなかった。
珠葵の様に自分の意志で『力』を扱える者はそう多くないとしても、誰しも大なり小なりの『力』はあって、何かしら悪意のある術にかけられると、身体に影響はあるのだと、前に聞いた気がしたのに。
どうやら何事にも例外というものはあるらしい。
「少ない人はいても、まったく持たない人と言うのは初めてかも……」
「まあ、おかげで悪意のある術にはかかりづらいらしく、御史台の中で異様に重宝されていてね。問題の有りそうな領地の監察には、必ずと言って良いほど行かされる。――今日は何故か、戻るなり荷物運びを依頼されたわけだが」
はい、と鉄格子の隙間から風呂敷包みごと荷物を差し出され、珠葵はおずおずとそれを受け取った。
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