もう何も信じられない

ミカン♬

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10 くだらない話

 俺は家から手紙が届いていたのを忘れていた。今朝になって開けてみるといつもは執事からなのに、今回は父の直筆だった。

 1枚目にソーニアの事が書いてあった。確かに『誕生日にリングを買ってやる』と言ったがソーニアは5個も購入していた。

 しかもクライン高級宝石店で高価なリングを選び、家が買える値段を俺の実家に請求したそうだ。店長は彼女の父親で『買ってくれるとエドアルト様と約束したから大丈夫』と聞いて娘を信用したらしい。

『やってくれるなぁ』
 強欲そうなソーニアらしいと俺は大笑いした。

 父は俺から話を聞くまで支払いは拒否、事の説明をしろという内容だ。

 俺としては小遣い程度のプレゼントのつもりだったのでソーニアには高価なリングは諦めるよう話そうと学園に向かった。するとソーニアはもう侯爵令息のゲイルと腕を組んで注目を浴びていた。

 俺を見つけて駆け寄ると彼女は怒りをぶつけてきた。

『店をクビになるからって、パパにリングは没収されたわよ! 嘘つき!』

『欲張るからだ。せめて1個ならプレゼントしたのに』

『もういいわ。何もかも、ぜーーんぶ私の物にはならないってパパに聞いたから』

『リングの事か??? それでゲイルに乗り換えたのか?』

『だってエドアルト先輩は私を愛してくれないもの、恋人ごっこは終わり。でもウェンディ先輩と元さやを狙っても無駄だと思いますよ。あんなに冷たくされたら誰だってド~~ン引き~~』


(くだらないわ・・・・)
 黙ってエドアルト様のどうでもいい話を聞いていると門前の噴水広場に到着していました。

「こうして恋人ごっこは終わったんだ」
「どこが面白い話ですか? 寧ろ不快です」
 アクセサリーの中でも指輪には特別な意味があるのに、その指輪をプレゼントするなんて彼は本当にソーニア様を愛していたんだわ、お気の毒様。

「まだ続きがあるんだ。手紙の2枚目を読むとウェンディの家族から抗議を受けたと書いてあった」
「あ、もしかしたらお母さんが・・・」

「父から『一体お前の女性関係はどうなっているんだ』と叱責を受けた。だから俺は粛々と反省してウェンディと結婚しようと思う」
 この人は何を言ってるの? ド~ン引きです。

「結婚はもう望んでいません。お母さんは謝罪して欲しいだけだと思います」
「謝罪はしない。約束は守るから」

「冗談ですよね? ソーニア様の身代わりなんてごめんです」
 こんな浮気者と結婚したら一生泣かされるわ。絶対にお断り。

「もう遅い。父には君と婚約するから話を進めるよう返事を出した」
「そんな勝手な!」

「どうして? 君との約束を守るだけだ」
「彼女に振られて頭がおかしくなったんですか? 私達はもう愛し合って無いじゃないですか」

「そうだな、抗議されなかったら結婚なんて考えなかったかもな」

「嫌がらせですか? こんなの誰も幸せにならないわ」

「俺は幸せだよ? …あの使用人は初恋の彼?」

 ナッシュが走って来るのが見えます。

「そうよ、父も彼を気に入って私の婿にと考えているの」
「それは浮気じゃないか? 今度はこっちが抗議する必要があるな」

「父が考えているだけです! ・・・嫌い、もう貴方なんて大嫌い!」
「覚悟しておいてくれウェンディ、俺は絶対に君を離さないから」

(こんな人だったの?)彼が怖いと思ったのは初めてです。エドアルト様は到着したナッシュを一瞥すると学園に戻っていきました。

「お嬢様? 泣いてるんですか?」
「何でもないわ。気分が悪いだけよ」
「奥様がお待ちです。ちょっと問題が起こって・・・本当に大丈夫ですか?」

 ハンカチで涙を拭いて顔を上げるとナッシュと目が合いました。以前より顔色も良くなって目の下の隈も消えています。いつも淡々としている彼から心配そうな顔を向けられるのは悪い気がしません。

「大丈夫よ。何かあったの?」
「子爵夫妻が本宅に現れたそうです」
「叔父が? アニーに会いに来たのかしら」

「また多額の借金をしたみたいです」

「え? え? えっと・・・アニーが来て1か月・・・お爺さんが家を訪ねて1か月で・・・逃げたのがその1か月前の・・・たった3か月の間にまた借金ですって?」

「賭博にでも手を出したのでしょう。最低な夫婦ですから」

 次から次へと問題ばかり・・・またポロリと涙が零れてしまいました。



 
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