15 / 34
15 言ってやったわ!
二人っきりで食事をして、私に薬を飲ませると母はアニーの様子を見てくると言ったのですが少し待ってもらいました。
「大事な話があるの。エドアルト様の事で『クライン伯爵家に抗議するのはやめて』って言いましたよね。なんで抗議したんですか」
「抗議? そんな大層なモノじゃないわ。手紙を伯爵夫人に出したのよ」
「夫人とは知り合いだったの?」
「フランツの仕事は経営のコンサルタントよ。クライン伯爵家のお店とも提携しているのよ」
「そうだったの。私は両親の仕事を何もわかってないのね」
「伯爵夫人は平民なの。だからウェンディが平民だから付き合いを反対するとは思えなくて、どういうつもりか手紙で尋ねたのよ」
「それで伯爵夫人からお返事はあったの?」
「・・・言いにくいんだけど、ディーと付き合ってたのをご両親は知らなかったそうよ」
「知らなかった?」
それはエドアルト様が私に嘘をついていたという事。
『君が平民なので両親に付き合いを反対された。でも卒業しても気持ちが変わらなければ君を紹介しても良いそうだ。大丈夫だよ、卒業したら結婚しよう』
どうしてそんな嘘を?
「本当に、もう彼の全てが信じられないわ」
「ディー、彼とはもう終わったんでしょう?」
「そうなの、なのに抗議を受けたから私と結婚するって『抗議されなかったら結婚なんて考えなかった』って言ったの」
「何て事を!」
「だから、もしもクライン伯爵家から婚約の申し込みが来たらお断りして欲しいの。本当に来るかどうか、またエドアルト様の嘘かもしれないけど・・・」
「これは一度話し合う必要があるわね。どこまで私のディーを愚弄するのかしら。許せないわ!」
母が部屋を出ると廊下から「フランツ! フランツーーーー!」と叫ぶ声が聞こえます。失恋した日も同じでした。あの時は悲しくて泣いたけどもう涙も出ません。彼の優しい言葉は全部嘘だったのです。
ちょっとだけ胸が痛みますが掌の方が痛いです。薬が効いてくるまではもう少し。
話し合う・・・エドアルト様をうちに呼んで話し合いをするつもりかしら。その前に自分で彼と決着をつければいいだけ。はっきり言ってやるわ「嘘つき、貴方のことはもう何も信じられない」って。
ナッシュはどうしているんだろう。アニーはショックだっただろうな・・・
薬が効いてきたみたい・・・
エドアルト様・・・夢の中であの綺麗な顔をぶん殴ってやりたい・・・
*
翌朝目覚めれば、とっくに遅刻の時間でした。
「利き手を怪我したんだから治るまでは学園をお休みしなさいね」
朝食と薬を持ってきた母にカミラはどうしているか聞くと「客室に居ますよ。ナッシュを訴えると騒いでるわ。もうすぐ自分が訴えられるのも知らないで」とのこと。
「アニーは大丈夫だった?」
「ナッシュを怖がって本宅に戻りたがっているの」
「無理もないわ。両親と一緒に彼を虐げてきたんだもの。自分も恨まれていると思うわよね」
「ええ、それからクライン伯爵令息の件ね、一度両家で話し合うことにしたわ。今朝連絡を出したからあちらの都合のいい日に話し合いましょう」
「自分で決着をつけようと思ってたのに」
「私が余計な事をしたせいよ。それに一度ちゃんと話し合う必要があるの。もう貴方達も大人ですものね」
「分かりました。正直、エドアルト様を一人で納得させる自信が無かったの。口では勝てなくて」
「相当拗れてるみたいね。これは・・・ええ・・・いい機会だわ」
母の口調から、何か私の知らない秘密がありそうです。
「はぁーー 結局親を頼ってしまうのね。私はまだまだ子どもだわ」
「頼って欲しいわ。私は困った時は何でもフランツに相談するの。二人で考えた方がいい案が出るのよ」
だからいつまでも仲良し夫婦なのね。
「伯爵夫妻はどんな方なのかしら」
「素敵なご夫婦よ。ご子息の育て方には問題があったみたいだけど」
エドアルト様を交えての話し合いは不安だけど伯爵夫妻には会ってみたいと思いました。
学園は三日休みましたがエドアルト様はお見舞いに来ませんでした。学園とは目と鼻の先なのに。
四日目に学園に到着すると不機嫌そうな顔で「怪我したのか」と言ってきました。
「両家で話し合いだって? 婚約についてだよな」
「そうよ、きちんと話し合いましょう。嘘はもうバレてますから」
「どの嘘がバレたのかな」
「全部嘘でしょう? 貴方のことはもう何も信じられません!」
言ってやったわ! 胸がドキドキします。エドアルト様はどうでるかしら。
「大事な話があるの。エドアルト様の事で『クライン伯爵家に抗議するのはやめて』って言いましたよね。なんで抗議したんですか」
「抗議? そんな大層なモノじゃないわ。手紙を伯爵夫人に出したのよ」
「夫人とは知り合いだったの?」
「フランツの仕事は経営のコンサルタントよ。クライン伯爵家のお店とも提携しているのよ」
「そうだったの。私は両親の仕事を何もわかってないのね」
「伯爵夫人は平民なの。だからウェンディが平民だから付き合いを反対するとは思えなくて、どういうつもりか手紙で尋ねたのよ」
「それで伯爵夫人からお返事はあったの?」
「・・・言いにくいんだけど、ディーと付き合ってたのをご両親は知らなかったそうよ」
「知らなかった?」
それはエドアルト様が私に嘘をついていたという事。
『君が平民なので両親に付き合いを反対された。でも卒業しても気持ちが変わらなければ君を紹介しても良いそうだ。大丈夫だよ、卒業したら結婚しよう』
どうしてそんな嘘を?
「本当に、もう彼の全てが信じられないわ」
「ディー、彼とはもう終わったんでしょう?」
「そうなの、なのに抗議を受けたから私と結婚するって『抗議されなかったら結婚なんて考えなかった』って言ったの」
「何て事を!」
「だから、もしもクライン伯爵家から婚約の申し込みが来たらお断りして欲しいの。本当に来るかどうか、またエドアルト様の嘘かもしれないけど・・・」
「これは一度話し合う必要があるわね。どこまで私のディーを愚弄するのかしら。許せないわ!」
母が部屋を出ると廊下から「フランツ! フランツーーーー!」と叫ぶ声が聞こえます。失恋した日も同じでした。あの時は悲しくて泣いたけどもう涙も出ません。彼の優しい言葉は全部嘘だったのです。
ちょっとだけ胸が痛みますが掌の方が痛いです。薬が効いてくるまではもう少し。
話し合う・・・エドアルト様をうちに呼んで話し合いをするつもりかしら。その前に自分で彼と決着をつければいいだけ。はっきり言ってやるわ「嘘つき、貴方のことはもう何も信じられない」って。
ナッシュはどうしているんだろう。アニーはショックだっただろうな・・・
薬が効いてきたみたい・・・
エドアルト様・・・夢の中であの綺麗な顔をぶん殴ってやりたい・・・
*
翌朝目覚めれば、とっくに遅刻の時間でした。
「利き手を怪我したんだから治るまでは学園をお休みしなさいね」
朝食と薬を持ってきた母にカミラはどうしているか聞くと「客室に居ますよ。ナッシュを訴えると騒いでるわ。もうすぐ自分が訴えられるのも知らないで」とのこと。
「アニーは大丈夫だった?」
「ナッシュを怖がって本宅に戻りたがっているの」
「無理もないわ。両親と一緒に彼を虐げてきたんだもの。自分も恨まれていると思うわよね」
「ええ、それからクライン伯爵令息の件ね、一度両家で話し合うことにしたわ。今朝連絡を出したからあちらの都合のいい日に話し合いましょう」
「自分で決着をつけようと思ってたのに」
「私が余計な事をしたせいよ。それに一度ちゃんと話し合う必要があるの。もう貴方達も大人ですものね」
「分かりました。正直、エドアルト様を一人で納得させる自信が無かったの。口では勝てなくて」
「相当拗れてるみたいね。これは・・・ええ・・・いい機会だわ」
母の口調から、何か私の知らない秘密がありそうです。
「はぁーー 結局親を頼ってしまうのね。私はまだまだ子どもだわ」
「頼って欲しいわ。私は困った時は何でもフランツに相談するの。二人で考えた方がいい案が出るのよ」
だからいつまでも仲良し夫婦なのね。
「伯爵夫妻はどんな方なのかしら」
「素敵なご夫婦よ。ご子息の育て方には問題があったみたいだけど」
エドアルト様を交えての話し合いは不安だけど伯爵夫妻には会ってみたいと思いました。
学園は三日休みましたがエドアルト様はお見舞いに来ませんでした。学園とは目と鼻の先なのに。
四日目に学園に到着すると不機嫌そうな顔で「怪我したのか」と言ってきました。
「両家で話し合いだって? 婚約についてだよな」
「そうよ、きちんと話し合いましょう。嘘はもうバレてますから」
「どの嘘がバレたのかな」
「全部嘘でしょう? 貴方のことはもう何も信じられません!」
言ってやったわ! 胸がドキドキします。エドアルト様はどうでるかしら。
あなたにおすすめの小説
もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない
もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。
……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。
※AI学習禁止・無断転載禁止・無断翻訳禁止・無断朗読禁止
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
【完結】ロザリンダ嬢の憂鬱~手紙も来ない 婚約者 vs シスコン 熾烈な争い
buchi
恋愛
後ろ盾となる両親の死後、婚約者が冷たい……ロザリンダは婚約者の王太子殿下フィリップの変容に悩んでいた。手紙もプレゼントも来ない上、夜会に出れば、他の令嬢たちに取り囲まれている。弟からはもう、婚約など止めてはどうかと助言され……
視点が話ごとに変わります。タイトルに誰の視点なのか入っています(入ってない場合もある)。話ごとの文字数が違うのは、場面が変わるから(言い訳)
【完結】嘘も恋も、甘くて苦い毒だった
綾取
恋愛
伯爵令嬢エリシアは、幼いころに出会った優しい王子様との再会を夢見て、名門学園へと入学する。
しかし待ち受けていたのは、冷たくなった彼──レオンハルトと、策略を巡らせる令嬢メリッサ。
周囲に広がる噂、揺れる友情、すれ違う想い。
エリシアは、信じていた人たちから少しずつ距離を置かれていく。
ただ一人、彼女を信じて寄り添ったのは、親友リリィ。
貴族の学園は、恋と野心が交錯する舞台。
甘い言葉の裏に、罠と裏切りが潜んでいた。
奪われたのは心か、未来か、それとも──名前のない毒。
クリスティーヌの本当の幸せ
宝月 蓮
恋愛
ニサップ王国での王太子誕生祭にて、前代未聞の事件が起こった。王太子が婚約者である公爵令嬢に婚約破棄を突き付けたのだ。そして新たに男爵令嬢と婚約する目論見だ。しかし、そう上手くはいかなかった。
この事件はナルフェック王国でも話題になった。ナルフェック王国の男爵令嬢クリスティーヌはこの事件を知り、自分は絶対に身分不相応の相手との結婚を夢見たりしないと決心する。タルド家の為、領民の為に行動するクリスティーヌ。そんな彼女が、自分にとっての本当の幸せを見つける物語。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
もう一度、君を好きになる時間
なべぞう
恋愛
結婚後、夫とのすれ違いと孤独な生活の中で心身を壊し、若くして病死した女性・相沢美月。
後悔だけを残して人生を終えたはずの彼女は、目を覚ますと――大学時代へと時間が巻き戻っていた。
二度目の人生を得た美月は決意する。
「今度こそ、自分を大切にして生きる」と。
前の人生で結婚した元恋人・恒一との再会。
しかし、同じ未来を辿るつもりはない。
そんな中、前の人生では出会うことのなかった青年・三浦との出会いが、彼女の未来を少しずつ変えていく。
「我慢すること」が正解だと思っていた彼女は、二度目の人生で初めて自分の幸せを選び取る勇気を学んでいく。
――人は、やり直せたなら本当に幸せになれるのか?
失敗した人生をもう一度歩き直す、一人の女性の再生と恋、そして本当の愛を見つける物語
【追加】アラマーのざまぁ
ジュレヌク
恋愛
幼い頃から愛を誓う人がいた。
周りも、家族も、2人が結ばれるのだと信じていた。
しかし、王命で運命は引き離され、彼女は第二王子の婚約者となる。
アラマーの死を覚悟した抗議に、王は、言った。
『一つだけ、何でも叶えよう』
彼女は、ある事を願った。
彼女は、一矢報いるために、大きな杭を打ち込んだのだ。
そして、月日が経ち、運命が再び動き出す。