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28 波紋を呼ぶ会話
病院のベッドの中、思い返す度に申し訳なくて胸が痛む。ウェンディお嬢様のグリーンのドレスは血で真っ黒に染まっていた。私はまたお嬢様を傷つけてしまった。
『ネッドがディーに悪意を持っていると情報があった。ヤツは現在行方が不明になっている。ナッシュ、ディーを見張っていて欲しい』
お嬢様を怖がらせないように極秘で見張り、ネッドが現れたら安全にお嬢様を逃がすのが旦那様から課せられた仕事でした。
エドアルト様にもお願いしてあったので学園内は安全だと思っていたら、まさかネッドがとっくに潜伏していたなんて。そうとも知らず学園の門前にネッドが現れないか何日も警戒していたのです。
学園は高い塀で囲まれており、出入りできるのは表の校門と裏門のみ。裏門は別の者が見張っていました。
日中は門扉にはカギは掛かっておらず関係者は誰でも自由に出入りできる。日没に門扉が施錠されるのを確かめてから屋敷に戻り、夜はマックさんに護身術を習っていました。
学園祭典の日、お嬢様が私の色を纏って現れた時は体が熱くなりました。でも門を潜ればきっとエドアルト様が待っていてお嬢様をエスコートする。悔しいけどお嬢様に相応しいのは私ではない、全てを兼ね添えた彼のような人物なのだ。
昼下がり、辺りを警戒している中を遠くからダンスの曲が流れ、きっとお嬢様はエドアルト様と楽しい時間を過ごしているだろうと想いを馳せていると突然お嬢様の声が・・・
確かにお嬢様の声が私を呼んだのです。急いで門を潜ると石畳が奥まで一直線に伸びて、そこにお嬢様の姿はありませんでした。
しかし嫌な予感がして進んでいくと脇の茂みに大きな男が屈んでいるのが見えました。その男の下にパステルグリーンの・・今朝見たお嬢様のドレスが見えて・・・『ネッド!』後ろから腕で首を締めると奴は『グゥゥッ』と仰け反り・・・眼下に傷ついたお嬢様が見えて、私の体は怒りで震えました。
お嬢様から引き離したネッドはナイフを振り回して激しく抵抗し体格差で私は苦戦を強いられました。そこにエドアルト様が駆け付けたのです。
一刻も早くお嬢様を安全な場所に運んでもらおうと逃げるよう叫びました。しかしエドアルト様は私を押さえつけているネッドを蹴り上げて私を救ってくれたのです。
ネッドを生かしておけない! 私の中に殺意が沸いたのですがエドアルト様にお嬢様の尊厳を守るよう言われて動けなくなりました。
『ウェンディの刺された傷は浅いようだ。脳震盪を起こしているかもしれない』
そう言ってエドアルト様は事件の後始末を引き受けてくれました。
屋敷に戻りお嬢様の惨状を見て気絶しそうな奥様に詳細を話すとそのまま私は倒れました。
結構深い刺し傷もあり肋骨も痛めて現在はクライン伯爵オーナーの病院に入院、今日で1週間目です。
マックさんの話ではネッドもこの病院に入院中。エドアルト様に刺されましたが急所は外れていたのでそろそろ退院して自宅療養になるそうです。
「よう! 具合はどうだ?」
毎日マックさんと彼の娘のミエサさんが私の様子を見に来てくれます。寡婦のミエサさんは本邸のメイドさんでアニーの世話もしています。
「悪くないです。早く退院できると良いのですが」
「まぁゆっくり休め。肉を食え、肉を! そんな薄っぺらな体では女にモテないぞ」
「父さん! 少しは反省してよね。ナッシュさんにこんな大怪我をさせて本来なら懲罰モノなのよ!」
「分かってるよ・・・うるせーな」
私はマックさんとの訓練中に怪我した事になっています。
「着替えを持って来たのよ。他に必要な物はないかしら?」
「大丈夫です。有難うございます」
「ほれ、用事が済んだら帰れ帰れ。ご苦労だった」
「もぉ!」と言いながらミエサさんは帰って行きました。
二人っきりになるとマックさんは真剣な顔で「なぁ、ナッシュはウェンディお嬢さんをどう思う? 結婚したいか?」と言い出しました。
「突然何を言うんですか。考えたことも無いです」
「やはりクライン家の坊ちゃんが相応しいと思うか?」
「ええ、彼のような人ならきっとお嬢様を幸せにすると思います」
「だよなー」
「どうして急にそんな話を?」
「いやぁ・・・ナッシュにミエサを貰ってくれないかと思ってな」
「マックさんが義父になるのは嬉しいけど今は結婚は考えられません。なんせ甲斐性がないので」
「そうか、でもよく考えてくれ。俺はお前さんを気に入ってるんだ」
「あ、はい」
はっきりと断るのはなんだか気が引けて遠回しに断ったつもりでした。後にこの会話が波紋を呼ぶとは・・・この時は想像もしていませんでした。
『ネッドがディーに悪意を持っていると情報があった。ヤツは現在行方が不明になっている。ナッシュ、ディーを見張っていて欲しい』
お嬢様を怖がらせないように極秘で見張り、ネッドが現れたら安全にお嬢様を逃がすのが旦那様から課せられた仕事でした。
エドアルト様にもお願いしてあったので学園内は安全だと思っていたら、まさかネッドがとっくに潜伏していたなんて。そうとも知らず学園の門前にネッドが現れないか何日も警戒していたのです。
学園は高い塀で囲まれており、出入りできるのは表の校門と裏門のみ。裏門は別の者が見張っていました。
日中は門扉にはカギは掛かっておらず関係者は誰でも自由に出入りできる。日没に門扉が施錠されるのを確かめてから屋敷に戻り、夜はマックさんに護身術を習っていました。
学園祭典の日、お嬢様が私の色を纏って現れた時は体が熱くなりました。でも門を潜ればきっとエドアルト様が待っていてお嬢様をエスコートする。悔しいけどお嬢様に相応しいのは私ではない、全てを兼ね添えた彼のような人物なのだ。
昼下がり、辺りを警戒している中を遠くからダンスの曲が流れ、きっとお嬢様はエドアルト様と楽しい時間を過ごしているだろうと想いを馳せていると突然お嬢様の声が・・・
確かにお嬢様の声が私を呼んだのです。急いで門を潜ると石畳が奥まで一直線に伸びて、そこにお嬢様の姿はありませんでした。
しかし嫌な予感がして進んでいくと脇の茂みに大きな男が屈んでいるのが見えました。その男の下にパステルグリーンの・・今朝見たお嬢様のドレスが見えて・・・『ネッド!』後ろから腕で首を締めると奴は『グゥゥッ』と仰け反り・・・眼下に傷ついたお嬢様が見えて、私の体は怒りで震えました。
お嬢様から引き離したネッドはナイフを振り回して激しく抵抗し体格差で私は苦戦を強いられました。そこにエドアルト様が駆け付けたのです。
一刻も早くお嬢様を安全な場所に運んでもらおうと逃げるよう叫びました。しかしエドアルト様は私を押さえつけているネッドを蹴り上げて私を救ってくれたのです。
ネッドを生かしておけない! 私の中に殺意が沸いたのですがエドアルト様にお嬢様の尊厳を守るよう言われて動けなくなりました。
『ウェンディの刺された傷は浅いようだ。脳震盪を起こしているかもしれない』
そう言ってエドアルト様は事件の後始末を引き受けてくれました。
屋敷に戻りお嬢様の惨状を見て気絶しそうな奥様に詳細を話すとそのまま私は倒れました。
結構深い刺し傷もあり肋骨も痛めて現在はクライン伯爵オーナーの病院に入院、今日で1週間目です。
マックさんの話ではネッドもこの病院に入院中。エドアルト様に刺されましたが急所は外れていたのでそろそろ退院して自宅療養になるそうです。
「よう! 具合はどうだ?」
毎日マックさんと彼の娘のミエサさんが私の様子を見に来てくれます。寡婦のミエサさんは本邸のメイドさんでアニーの世話もしています。
「悪くないです。早く退院できると良いのですが」
「まぁゆっくり休め。肉を食え、肉を! そんな薄っぺらな体では女にモテないぞ」
「父さん! 少しは反省してよね。ナッシュさんにこんな大怪我をさせて本来なら懲罰モノなのよ!」
「分かってるよ・・・うるせーな」
私はマックさんとの訓練中に怪我した事になっています。
「着替えを持って来たのよ。他に必要な物はないかしら?」
「大丈夫です。有難うございます」
「ほれ、用事が済んだら帰れ帰れ。ご苦労だった」
「もぉ!」と言いながらミエサさんは帰って行きました。
二人っきりになるとマックさんは真剣な顔で「なぁ、ナッシュはウェンディお嬢さんをどう思う? 結婚したいか?」と言い出しました。
「突然何を言うんですか。考えたことも無いです」
「やはりクライン家の坊ちゃんが相応しいと思うか?」
「ええ、彼のような人ならきっとお嬢様を幸せにすると思います」
「だよなー」
「どうして急にそんな話を?」
「いやぁ・・・ナッシュにミエサを貰ってくれないかと思ってな」
「マックさんが義父になるのは嬉しいけど今は結婚は考えられません。なんせ甲斐性がないので」
「そうか、でもよく考えてくれ。俺はお前さんを気に入ってるんだ」
「あ、はい」
はっきりと断るのはなんだか気が引けて遠回しに断ったつもりでした。後にこの会話が波紋を呼ぶとは・・・この時は想像もしていませんでした。
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