最後に愛してくれる人を探したい

ミカン♬

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26 サウザー公爵家

私とアスラン様は馬車に乗せられてどこかに連行されている。

ロザリア様のお供のメイド達によって、私は手際良くドレスアップされた
着飾った私にアスラン様は「クレア凄く綺麗だ、このまま教会で式を挙げたいくらいだ」と言ってくれた。そして「お兄様、焦りすぎですわ!」と叱られていた。

ロザリア様が部屋に入って来た時は恐ろしく不機嫌だったアスラン様も今は平常心に戻り隣で私の手を握っている。

「どこに行くのかしら」

「心配ないよ。悪いようにはしないから」
彼はロザリア様から説明されているようなので黙って付いていくことにした。

到着したのは高級娼館だった────どういうこと?

案内された部屋の前には護衛騎士が数人ビシッ!と立っている。
極秘の会合場所、中には高位貴族がいるに違いない。
私はロザリア様とアスラン様にお任せして恥を欠かせないように黙っていようと決めた。

部屋に入ると男性が三人、見目麗しい男性達は男娼ではない、気品に溢れている。

「お待たせいたしました」
ロザリア様が見事なカーテシーを披露した。

一瞬で頭が混乱した。お一人は間違いなくエドガー王子殿下。
フワっと倒れそうになりアスラン様が支えてくれた。


ご無礼はなかっただろうか後で思い出しても定かではない。
「問題なかったよ」そうアスラン様は慰めてくれた。


部屋で話した内容は極秘だ。
殿下と従者のお二人はモートル伯爵令息とサウザー公爵令息だった。

「なるほど、これはお美しい。男たちが魅了されるのも理解できますね」
開口一番に失礼なセリフを吐いたのはをモートル卿。
殿下の許可なしで失礼だが殿下は気にしておられないようだった。

殿下は「無礼講だ自由に話していいよ」と仰せられた。

「ディーンが必死になるわけだな」

サウザー公爵令息様はマルク様、ディーンによく似ていた。

彼の言い分は私を襲った火事の事だった。
ディーンの屋敷にいたハリーとかいう執事が勝手にやったらしい。

公爵家は全く関係なくハリーは処分したと言ったが信用できない。
でも頷いておいた、ディーンに何かあったら嫌だもの。

つまりあの日は誰にも知られずに5人目がいたという事だ。
わざとテーブルのランプを落とし素早く火を付けた犯人、それが執事から送られた刺客。
想像して、思い返しただけで背筋が凍る。

「執事は少し驚かせるだけだったと言ったが結果はクレア嬢を危険な目に合わせてしまった。それについては心からお詫びする」

「俺が駆けつけたから無事だったものの、大怪我か最悪命を落としたかもしれない。謝罪だけでは済まないぞ」

「お詫びに貴方が侯爵夫人になる手伝いをしよう」
平民の私に何を言ってるんだろうこの人は?

「公爵家はクレア嬢を養女とする。これで王太子妃のご実家とも縁続きになれる」

「二度とクレアを危険な目に合わせないと約束頂けますか」
私の腰に手を当ててアスラン様がマルク様に詰め寄った。

「当然だろう、クレア嬢は義妹となるのだから。ノエルよりも余程役に立ってくれる」

「失礼ですわ。クレアは私の義姉になるのですよ」

「そうでした。申し訳ない」

何が起こっているの? 公爵家の養女ですって!
マルク様の義妹って嫌だ。この人好きになれないわ。

「クレア嬢、マルクは意地悪そうに見えるが中身はそんなに悪いヤツじゃないんだ」

モートル卿がフォローしたけど好感度は上がらないわよ。
家に火をつけられたのよ。なんて恐ろしい!


「どうだろう、受けるよう私は薦めたいがクレア嬢の気持ちを優先しよう」
殿下に『薦めたい』と言われたわ、困った。

「お受けするわよねクレア、貴方たちの幸せの為に」

アスラン様に顔を向けるときゅっと手を握られた。

「は・・・はい」
そういう前提なんでしょう?断れるはずもない。


学園の寮にいる間はディーンに協力する事。

「公爵は妹に甘くてね。馬鹿なことを考えたものだ。バレたら家の恥だからねしっかり頼むよ」
「はい」とマルク様に頭を下げた。

週末は公爵家で淑女の教育を受け、卒業後は続けて1年間教育を受ける事。

「ちょっと待ってくれ。卒業したら直ぐに式を挙げるつもりだ」

「公爵家から出すんだ、しっかり教育しないとね」

「お兄様その方が良いわ。クレアにいきなり侯爵夫人は無理よ」

「し、しかし」

「気持ちは分かりますが、後でクレア嬢が苦労するんじゃないですか?」
モートル卿にも言われてアスラン様は折れた。

ちなみにここまで私は『はい』と2度答えただけだ。

「ではそういうことでいいかな」
殿下のお言葉で話し合いは終わってお茶も勧められたが味が分からなかった。

私はバーンズ商店のクレアよね?

こんな嘘みたいな状況───今の私は誰なの?

ああ、夢なんだ。いつか覚める夢なんだわ。


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