異世界転生先は鏡の妖精だった⁉ちょっぴりハードモードです

ミカン♬

文字の大きさ
9 / 42

9 素行不良・再審査  

しおりを挟む
「え、不合格ですか?」
パーフェクトだと思い込んでいただけにショックが大きい。体が膝から崩れた。

「結果だけでは分からないな、何がいけなかったのか知りたいものだ」

「公爵家の妨害は考えられませんか? シアさんが落ちるなんて信じられないです」
「私を世間に出したくないとか?でも実力で落ちたのかもしれませんね」

「ふぅむ、伝手を当たって調べてみよう。筆記の結果は申請すれば教えてもらえるはずだ」

「シアさん、また来年も受ければ良いじゃないですか。試験は18歳まで受けられますよ」
「これ以上頑張れないです・・・もう、どうやって勉強すればいいのか、ショック!」

どんな慰めの言葉も私には浸透せず、ただただ虚しくて、後でちょっと泣けた。



     ***



「素行不良? なんですかそれ・・・」
私は試験結果はトップ合格だった。でもマイナスが増えて、落ちたのだという。

なんとヘレンが校長に手紙を出して直談判していたのだ。

ハサウェイ公爵家からの申し込み用紙が破棄された事も大きなマイナスらしい。
世話係の叔母のヘレンの主張も大きく響いて、由緒正しき魔法学校に、私は相応しくないと判断された。

「合格ラインは280点、バレンシアは277点で失格だそうだ」
「まさかの聞き取り調査、公爵家への忖度。面接で私の事は分かってもらえなかったのね」

「聞き取り調査なら後見人の師匠に聞きに来るべきだと思いますが」
「あちらは長年一緒に暮らしてきたからだろう」

いいよ、構わない、逃げ出したくて寮を選んだ。一人で生きて行ければどこでもいい。
ただヘレンに阻止されたのは悔しくてたまらない。
そんなに私・・・バレンシアが憎いのか!

よし!鏡の世界でヘレンの全財産奪って、それで生活する!
私の中に悪魔が宿った。悪意には悪意だ。100倍にして返す!



だけど後日、魔法学校から連絡があって私はオーハン先生と共に再び学校を訪れた。

校長室を訪れると校長先生、女性の副校長先生、偉そうな紳士、ヘレン、アーヴィング殿下、教師らしき3名が待っていた。

副校長に促されて部屋の真ん中に置かれた椅子に座ると副校長が口火を切った。

「受験者シアさんには不合格通知を届けましたが、アーヴィング第二王子殿下より再審査の要望を承りましたので、本日シアさんの再審査を行います。宜しいでしょうか殿下?」

「ああ、公平に判断するべきだ。調査ではヘレン・マーゴット夫人の主張ばかり取り上げられている」
アーヴィング第二王子殿下──私を助けてくれるの?なんていい人!

「私は事実を述べたまでです!バレンシアは男を追って家出した不良娘です。日常の生活の態度も悪く品位に欠けます!由緒正しき当校に相応しくございません。」

男を追う、なんだそれは?ミリアンのこと?水をかけられて恨んでるのか。

「その娘は書斎に忍び込み、入学申し込み用紙と公爵印を盗んだ。許しがたい行いだ」
偉そうな紳士は公爵、バレンシアの父親か。

「シアさんに尋ねます。なぜそのような事をしましたか?」
質問するのは副校長だ。
「はい、叔母の残酷な虐待に耐えかねて学園の寮に逃げ込みたかったのです」
「嘘です!こうやって嘘ばかり・・・私は一生懸命この子を矯正しようとしたのですが、残念ながら無理でした」

「オーハン卿はシアさんをどのような娘だと思われますか?」
「非常に頭の良い、魔力に優れた娘です。魔法学校に通わせるべきです。性格はしっかりとした優しい娘ですな。冬は冷えるからと私にセーターとベストを編んでくれました」

「シアは本当に公爵印を盗んだのか?ハサウェイ公爵。そもそもバレンシアは公爵の娘ではないのか」
「殿下、この娘は忌み子です。娘とは認めておりません」
「ならば養女に出せ」
「それも考えています。今は公爵家で大人しくしておけば安全なんだ、それを勝手な事をして!」

「私は自分で自分を守れますわ、お父様。どうぞ縁を切って下さい」
お父様と呼ばれたのに腹を立てたのか公爵は初めて私と目を合わせた。
「魔道具か、そんな物はまやかしだ」

「話を戻しましょう。今はシアさんの特待生試験の話し合いが優先ですわ」

「試験結果は申し分なかった。問題はマーゴット夫人の申し立てです」
年配の校長先生がそう言うと、全員がヘレンに顔を向けた。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さくら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さくら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

処理中です...