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1話 私は創設者なんだから
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今日も民の歓声が聞こえる
私の姿を見たことも無いのに、『基督』なんて言っちゃって。
でも悪くない…。この歓声は私のBGM、いやそれにしては質が悪いわね。
高い塔の上、広い1室に姫はベッドに横になっていた。
「サビエル、ちょっとこっちに来て」
そう言うとすぐに傍に人影が現れた
「なんでしょうか」
黒い服を着た男が六角形の窓の光を浴びて立っていた。
「あの民、少し黙らせといて」
天蓋付きのベッドから下を指差す、そこは雲が広がっていて見えないが、助手はすぐに理解した。
「御意」
すると耳に手を当て、誰かと話し始めた。その数秒後、歓声は止んだ
「音を止めました。ご安心を、殺したわけではありませんので」
「あー分かってる、魔法でしょ?いいわよ説明は」ベッドで転がる
「にしてもつっまんない世界よねー、私今まで何してたっけ?とりあえず魔法で山作って、洞窟に宝配置しちゃったりして…」
「私はこの世界の創設者なのよー?なんで退屈しなきゃなんないのよー!」
じたばたと暴れた
「退屈するかどうかは姫次第でしょう、少しは下に降りられてはどうなんですか?」
「面倒なのー!誰よこんな高い塔建てたの」
「姫でしょう」
「んなこと分かってんのよっ、全く…」
唇を尖らせて、赤髪をかきあげた
「ワガママな姫だ、なにかやりたい事でもないんですか?」「私は毎日毎日書類の整理に法の整備や管理…多忙過ぎるんですよ」助手が愚痴を言う
「んなん知らないわよ、私の想像ではそんな面倒事無い世界だったの、」
「天のお怒りとでも称して雷でも落とそうかしら?」
「やめてください」
助手がキッパリと言った
「なーんか理不尽よね、私が昔いた時代では、農作物がやられる度に『天のお怒りだ』なーんて言ってたんだから」
「誰かのせいにして、現実から逃れようとしてるわ、ほんと醜く醜く。」
赤毛をクルクルとひねりながら呟くと、ある事を閃いた
「あっ、そうだ!」
「変な事しないで下さいよ」
「変なことじゃないわよ、面白いこと!」
「もう一つの世界、支配しちゃおっか!早速魔術師読んできなさい!」
ベッドから飛び上がって姫は叫んだ。
「は?」助手が目を細めて姫を見た
「どこからそんな考えが浮かんだんですか、第一支配って…」
「こんな世界よりずーっと面白いでしょ、ほら早く日の丸輝くあの世界へ!」
ぴょんぴょんと床を跳ねた
床に散乱した本を踏んづけ、足を抱えて蹲った。
「魔術師…自分で出来ないんですか?」
姫が床で蹲っているのを気にも止めずに助手が聞く
「疲れるのよねー、それが1番疲れる魔法なのよ、1回使って往復したことあるけど、2日は疲れてた」
ベッドに腰掛け、窓を見る
青い空に霞がかかっていた
「そんな魔法、使ったらその魔術師は大変な事になるのでは…?」
「大丈夫大丈夫、蘇生の魔術師も呼んどきましょう、それでいける、なんとかなる」
うんうんと頷いた
「なんて浅い考えなんだ…姫は姫と言えるのか?」「まあ仕方ない、とりあえず集めてみます」そう言うと助手は耳に手を当て、また話し始めた
「そうだ、魔王のレベル上げとこっと」
姫が空中をなぞると大量の文が浮かび上がる。「うわぁ…今の所1人も辿り着けてないじゃない、勇者は勇気しかないのね…」
1文を変え、もう一度なぞるとそれは消えた。
「準備ができました、明日には行けるかと、他の者には姫は異世界へ遠征だと伝えておきます」
耳から手を離し、姫を見る
「おーやるじゃない、楽しみだわ」
「それで、早速なのですか」
「姫の準備を始めます。まずはあっちでの名前、そして生きていく為の通貨の補充に言語等、やる事は沢山です」
「うっわ…面倒になってきた」
姫は嫌な顔をする
「今更キャンセルしないで下さいね?」
「もう動き出してます、さっさとやりますよ、やらないとあっちで大変になる」
ポケットからメモを取り出した
「さあ、姫も」
「名前?私は元の日本ではマツって名前だけど」姫もメモを覗き込む
「今の日本、そんな名前1人もいませんよ。苗字と名前、2つ改めます」
助手がメモに「苗字」と書き加えた
「なにか自分で決めますか?」
「うーん、マツは入れたいわね…」
「マツ…みら?」
「そんな苗字ありません、マツを入れたいなら松本や松下、松岡や松富など…」
どこからか本を取り出し、めくり始めた
「ちょっと見せて」
なにかいいのがあればいいのに、そう思ってページをめくる
「うーん…マツ…じゃあこれでいいわ」
「大切な苗字ですよ?ちゃんと決めましたか?」そう言って助手は覗き込む
「松坂…なんか姫らしくないですね」
「面倒なのよ、別に皆が皆自分で選んでるわけじゃないんでしょ?」
「まあそうですが…」
そう言ってメモに「松坂」と書いた
「名前は?」
「名前ね…こういうのはどうやって決めるのかしら?普通の人はどんな風なの?」
「最新ですと、きらきらネームとか言ったものがありますね、洋風の名前に漢字を無理矢理当てはめたものです」
本をなぞる
「それっていいものなの…?」
「悪いものです」
「ちゃんとした名前にしましょう」
「姫の名前はフィレイラミケなのですから、それを参考にしては?」
じっと考える。
ミケ…フィレイラ…
「みれい?」
「…、それでもいいですが、他には?」
何が不満なのか助手は首を傾げる
「…みすず…とか」
恥ずかしそうに俯いた。赤髪が揺れる
「すずはどこから来たんです…?」
「まあいいです、それでいきましょう」
「松坂…美鈴、と」
そう言ってメモに書き留めた
私の姿を見たことも無いのに、『基督』なんて言っちゃって。
でも悪くない…。この歓声は私のBGM、いやそれにしては質が悪いわね。
高い塔の上、広い1室に姫はベッドに横になっていた。
「サビエル、ちょっとこっちに来て」
そう言うとすぐに傍に人影が現れた
「なんでしょうか」
黒い服を着た男が六角形の窓の光を浴びて立っていた。
「あの民、少し黙らせといて」
天蓋付きのベッドから下を指差す、そこは雲が広がっていて見えないが、助手はすぐに理解した。
「御意」
すると耳に手を当て、誰かと話し始めた。その数秒後、歓声は止んだ
「音を止めました。ご安心を、殺したわけではありませんので」
「あー分かってる、魔法でしょ?いいわよ説明は」ベッドで転がる
「にしてもつっまんない世界よねー、私今まで何してたっけ?とりあえず魔法で山作って、洞窟に宝配置しちゃったりして…」
「私はこの世界の創設者なのよー?なんで退屈しなきゃなんないのよー!」
じたばたと暴れた
「退屈するかどうかは姫次第でしょう、少しは下に降りられてはどうなんですか?」
「面倒なのー!誰よこんな高い塔建てたの」
「姫でしょう」
「んなこと分かってんのよっ、全く…」
唇を尖らせて、赤髪をかきあげた
「ワガママな姫だ、なにかやりたい事でもないんですか?」「私は毎日毎日書類の整理に法の整備や管理…多忙過ぎるんですよ」助手が愚痴を言う
「んなん知らないわよ、私の想像ではそんな面倒事無い世界だったの、」
「天のお怒りとでも称して雷でも落とそうかしら?」
「やめてください」
助手がキッパリと言った
「なーんか理不尽よね、私が昔いた時代では、農作物がやられる度に『天のお怒りだ』なーんて言ってたんだから」
「誰かのせいにして、現実から逃れようとしてるわ、ほんと醜く醜く。」
赤毛をクルクルとひねりながら呟くと、ある事を閃いた
「あっ、そうだ!」
「変な事しないで下さいよ」
「変なことじゃないわよ、面白いこと!」
「もう一つの世界、支配しちゃおっか!早速魔術師読んできなさい!」
ベッドから飛び上がって姫は叫んだ。
「は?」助手が目を細めて姫を見た
「どこからそんな考えが浮かんだんですか、第一支配って…」
「こんな世界よりずーっと面白いでしょ、ほら早く日の丸輝くあの世界へ!」
ぴょんぴょんと床を跳ねた
床に散乱した本を踏んづけ、足を抱えて蹲った。
「魔術師…自分で出来ないんですか?」
姫が床で蹲っているのを気にも止めずに助手が聞く
「疲れるのよねー、それが1番疲れる魔法なのよ、1回使って往復したことあるけど、2日は疲れてた」
ベッドに腰掛け、窓を見る
青い空に霞がかかっていた
「そんな魔法、使ったらその魔術師は大変な事になるのでは…?」
「大丈夫大丈夫、蘇生の魔術師も呼んどきましょう、それでいける、なんとかなる」
うんうんと頷いた
「なんて浅い考えなんだ…姫は姫と言えるのか?」「まあ仕方ない、とりあえず集めてみます」そう言うと助手は耳に手を当て、また話し始めた
「そうだ、魔王のレベル上げとこっと」
姫が空中をなぞると大量の文が浮かび上がる。「うわぁ…今の所1人も辿り着けてないじゃない、勇者は勇気しかないのね…」
1文を変え、もう一度なぞるとそれは消えた。
「準備ができました、明日には行けるかと、他の者には姫は異世界へ遠征だと伝えておきます」
耳から手を離し、姫を見る
「おーやるじゃない、楽しみだわ」
「それで、早速なのですか」
「姫の準備を始めます。まずはあっちでの名前、そして生きていく為の通貨の補充に言語等、やる事は沢山です」
「うっわ…面倒になってきた」
姫は嫌な顔をする
「今更キャンセルしないで下さいね?」
「もう動き出してます、さっさとやりますよ、やらないとあっちで大変になる」
ポケットからメモを取り出した
「さあ、姫も」
「名前?私は元の日本ではマツって名前だけど」姫もメモを覗き込む
「今の日本、そんな名前1人もいませんよ。苗字と名前、2つ改めます」
助手がメモに「苗字」と書き加えた
「なにか自分で決めますか?」
「うーん、マツは入れたいわね…」
「マツ…みら?」
「そんな苗字ありません、マツを入れたいなら松本や松下、松岡や松富など…」
どこからか本を取り出し、めくり始めた
「ちょっと見せて」
なにかいいのがあればいいのに、そう思ってページをめくる
「うーん…マツ…じゃあこれでいいわ」
「大切な苗字ですよ?ちゃんと決めましたか?」そう言って助手は覗き込む
「松坂…なんか姫らしくないですね」
「面倒なのよ、別に皆が皆自分で選んでるわけじゃないんでしょ?」
「まあそうですが…」
そう言ってメモに「松坂」と書いた
「名前は?」
「名前ね…こういうのはどうやって決めるのかしら?普通の人はどんな風なの?」
「最新ですと、きらきらネームとか言ったものがありますね、洋風の名前に漢字を無理矢理当てはめたものです」
本をなぞる
「それっていいものなの…?」
「悪いものです」
「ちゃんとした名前にしましょう」
「姫の名前はフィレイラミケなのですから、それを参考にしては?」
じっと考える。
ミケ…フィレイラ…
「みれい?」
「…、それでもいいですが、他には?」
何が不満なのか助手は首を傾げる
「…みすず…とか」
恥ずかしそうに俯いた。赤髪が揺れる
「すずはどこから来たんです…?」
「まあいいです、それでいきましょう」
「松坂…美鈴、と」
そう言ってメモに書き留めた
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