短編物語パンドラ 【百合】

わまり

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弁明 17(回想)

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タンクの裏に2人は寄り添って座った
「エミ、皆を助けてね」
カノは私の手を握った

「当たり前でしょ、カノが命をかけてくれたんだから」私も握り返した

カノが私の前に座り、見つめてきた
「今回、失敗したら私の記憶も無くなるよね、カノも忘れちゃうのかな」

もう一度救う時はまた初めからだろう。ならば忘れてしまう。しかし、私が次見る未来では今のカノがいる。
「私は忘れないよ、忘れても夢で思い出す。警察が来たら次の私は苦しむだろうね、きっとカノを殺した事で罪悪感におし潰されるよ」
「それでも言えるのは、私は諦めない、きっと皆を救ってから次の未来へ進むよ」

「そっか、良かった…」
カノは私の首に手を回し、抱き着いた
「冷たいね、あはは…」

私もカノの背中に手を回す
「ほんとだ、冷たい」
強く抱きしめた。互いの体温を確かめ合うように、長い間そうしていた。


差し込む光が赤くなってきた。
「そろそろだね」
カノが頬から顔を離し、窓を見た

「うん…」
心臓が早鐘を打ち、目眩がした
もう…やらなきゃ…

タンクの下で2人は立った
他の生徒は蹲ったままで、私達を見る人は誰もいなかった。もしかしたらもう…

繋いだ手から体温を感じる。
地面に置いたバールを見る。
「ねえ、怖くないの…?」
恐る恐るカノを見た

「本音を言ったらエミ、できなくなっちゃうよ」「大丈夫、地震で死ぬよりも怖くないから」カノはもう片方の手で私の頬を撫でる。

小さな揺れがした。初期微動だ
やらないと…やらないと…!
震源からの距離は近い、数秒後に主要動が来る。
「カノ…」

「またいつか、会える日までさよならだね、頑張ってエミ」
カノが私の目を見た
笑ってはいたが、寂しそうに見えた

バールを持つ手が震える
今になって躊躇してしまう。だめだ、私…やっぱりできないよ…
「できない…」

ドオッと大きな揺れがした
主要動が始まる、時間が無い…
手に力が入らない。今にも倒れてしまいそうだった。

「エミ!」「待ってるから、ううん、迎えにいくからね、ドアを叩くから!」
私の前でカノが叫ぶ

「…ごめん、本当に…!」
バールを手に持ち、振りかざした。

鈍い音と悲鳴がするが、すぐに消えてしまった。その直後、もう一度大きな揺れが起き、それとともに音を立てて天井が崩れた。タンクがグラッと傾き、低い音を立てた。数人、悲鳴が聞こえたがすぐに止んでしまった。

私は闇の中で動けなくなり、両足に激痛が走った。その後メキメキという音がした。

白い光が私達を照らす
しかしそれは一瞬で、すぐ闇に包まれた。
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