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序章 転生から眷族創生
第5話 暗黒龍は成龍になる
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以前にテネブリスは母である始祖龍スプレムスから聞いていた。
それは自分たち龍の存在意義だ。
「テネブリス。良く聞きなさい」
「はい」
「我らの使命はこの星を見守る事です」
「見守る・・・」
既に大地は固まり火山活動もかなり少なくなっていて、気候の温度差で地上が凍っている場所もあるほどだ。草木が生い茂り小さな生命体も多種多様に見かける様になっている。少しずつ分裂する大地を眺めながら、娘によって母親と自覚させられたスプレムスが2人の娘に念話していた。テネブリスは女の思考が有る為、姉の真似をするアルブマは、いつの間にか妹になっていたのだ。
「この星が成長する過程において、いろんな種族が産まれて来るでしょう。その者たちに、ある時は手を差し伸べて、ある時は滅ぼし、繁栄と衰退を見届ける事です。そして、やがて来る魔素の枯渇への対策を考える事・・・」
「えっ! 魔素が無くなると言われるのですか? お母様!」
「ずっと未来だけどね。これは私の能力の1つ、予知夢で知ったのよ」
サラッと受け流すテネブリス。
(お母様の能力を今更とやかく言っても仕方ないし・・・)
「それでは私達の食糧が無くなれば私達は死んでしまう訳ですか?」
「いいえ。ちゃんと考えてあります。ただ、それはもう少し仲間を増やしてからでないと出来ない事なの。その為にもテネブリス、あなたはそろそろ最終進化の次期では無いですか?」
これまでに数回有った成長の進化。長い睡眠の後に身体の変化と、その都度様々な能力が開眼していたテネブリスだ。その中で、前世で覚えていた魔法も自然に覚えたフリをして使っていた。
「ハイ。次の眠りにつけば最後の進化が始まると思います。・・・アルブマ」
「ハイ、お姉様」
「あなたが私を見守っていてくださいね」
「お任せください、お姉様」
テネブリスとアルブマは交互に進化の眠りにつき長い時をかけて成長していた。
そしていつもの様に巨大な洞窟でテネブリスが最後だと思われる長い深い眠りに着いた。
その寝姿にアルブマが寄り添うように横になり見守っていた。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
どれだけの時が経ったか、ある時テネブリスの身体が発光し膨張していく姿に驚くアルブマだ。成長進化で全身が輝き巨大化する姿をアルブマが離れて見ていた。
眩い光が収縮し、大気中の魔素が吸い込まれるように黒い鱗が輝き出し、洞窟の暗闇の中で輝くテネブリスの姿が確認できた。
とても威厳のある巨大な角と雄姿、黒光りした鱗の輝き、優しい瞳に”姉”を見つめる妹が歓喜に震えながら側に居た。進化が終わった事を確認するように咆哮を放ったテネブリス。だがその咆哮は破壊と恐怖を暗示し、アルブマでさえ身震いするような力強さを秘めていた。
そんな暗黒龍テネブリス・アダマスに飛び付く聖白龍アルブマ・クリスタ。
「凄い! 大きくなった! お姉様カッコイイ! 」と言いながら騒いでいる。
母のスプレムス程では無いがかなりの大きさとなり、ずっと暮らして居た洞窟が随分と狭く感じるほどの成長だった。
「お母様。最後の成長が終わりました」
「立派になったわ。あなたもこれで成体ね。私と同じ・・・導く存在として、この星を育てていくのよ」
導く存在がどのような意味か直ぐには理解出来なかったが、続けて念話するスプレムスの言葉で理解した。
「私達はこの大地に時に恵みを、時には破壊を齎すのよ。あなたの場合は破壊が主な役目ですが、あなたの知識を知性ある生命体に助言として与えると良いでしょう」
(だよねぇ暗黒だもんなぁ。破壊かぁ別に壊すのは好きじゃないけど、それが使命なら仕方ないよね。私、龍だもん)
今の自分の存在意義に自問自答した時期も有ったが、この姿で長い時を過ごす事により目に映る状況が諦めざるを得ない事を認識させ、気持ちは吹っ切れていたテネブリスだった。
転生前とは全く違う場所と自分の存在。最終進化前でもかなりの大きさだった為、飛翔して空を駆ける事を楽しんでいた時期もあった。もっとも、速さを求めてしまう為に星を一回りする事など、さして時間の掛らないテネブリス。飛翔の度に大地の形が変わり、噴火が少なくなって水面が多くなっていた事も気づいていた。
親であるスプレムスと”姉”のテネブリスに妹のアルブマ三体が飛翔する姿は雄大だが、この時期発生した小さな生命体にとっては死活問題で、三体の姿が見えると物陰に隠れたりする行動が見て取れた。その小さな生命体が何で有るかはテネブリスには解らなかったが、特に気にする存在では無かった。
始めは昆虫かと思っていた存在が群れを成し、巣を作り大群を作るような行動をとりだすと流石にアルブマからも、”面白いモノが居る”と観察の対象となっていた。だが、テネブリスの期待する生命体では無く、転生前に本で読んだ食用生物に似ていた。
瞼を閉じて、開けると気候が変わっていたり、生命体の種類も変わっていたりする時の流れを間近に見る事ができると、多少の期待を持つようになる。それは進化だ。眼下の生命体が進化する過程を断片的に垣間見る事で、エルフ的な存在が産まれる可能性に淡い期待を持つテネブリス。
だがそれは時の向こう側の出来事と、考えを改めた。今自分が取る行動は母であるスプレムスの考えの元、自らの一族を増やす事だ。
「はい、解りました、お母様。以前お話しした件ですが、さっそく初めてもよろしいですか?」
「えぇ初めて頂戴」
それはアルブマが初めて行う創生だ。
Epílogo
成長日記
暗黒龍・・・テネブリス・アダマス・・・生後100,000年、体長70km、成体。
聖白龍・・・アルブマ・クリスタ・・・・生後30,000年、体長31km
転生前から90万年前の出来事。
話し方が丁寧になって行くのはテネブリスが念話での言語教育した賜物です。
それは自分たち龍の存在意義だ。
「テネブリス。良く聞きなさい」
「はい」
「我らの使命はこの星を見守る事です」
「見守る・・・」
既に大地は固まり火山活動もかなり少なくなっていて、気候の温度差で地上が凍っている場所もあるほどだ。草木が生い茂り小さな生命体も多種多様に見かける様になっている。少しずつ分裂する大地を眺めながら、娘によって母親と自覚させられたスプレムスが2人の娘に念話していた。テネブリスは女の思考が有る為、姉の真似をするアルブマは、いつの間にか妹になっていたのだ。
「この星が成長する過程において、いろんな種族が産まれて来るでしょう。その者たちに、ある時は手を差し伸べて、ある時は滅ぼし、繁栄と衰退を見届ける事です。そして、やがて来る魔素の枯渇への対策を考える事・・・」
「えっ! 魔素が無くなると言われるのですか? お母様!」
「ずっと未来だけどね。これは私の能力の1つ、予知夢で知ったのよ」
サラッと受け流すテネブリス。
(お母様の能力を今更とやかく言っても仕方ないし・・・)
「それでは私達の食糧が無くなれば私達は死んでしまう訳ですか?」
「いいえ。ちゃんと考えてあります。ただ、それはもう少し仲間を増やしてからでないと出来ない事なの。その為にもテネブリス、あなたはそろそろ最終進化の次期では無いですか?」
これまでに数回有った成長の進化。長い睡眠の後に身体の変化と、その都度様々な能力が開眼していたテネブリスだ。その中で、前世で覚えていた魔法も自然に覚えたフリをして使っていた。
「ハイ。次の眠りにつけば最後の進化が始まると思います。・・・アルブマ」
「ハイ、お姉様」
「あなたが私を見守っていてくださいね」
「お任せください、お姉様」
テネブリスとアルブマは交互に進化の眠りにつき長い時をかけて成長していた。
そしていつもの様に巨大な洞窟でテネブリスが最後だと思われる長い深い眠りに着いた。
その寝姿にアルブマが寄り添うように横になり見守っていた。
※Dieznueveochosietecincocuatrotresdosunocero
どれだけの時が経ったか、ある時テネブリスの身体が発光し膨張していく姿に驚くアルブマだ。成長進化で全身が輝き巨大化する姿をアルブマが離れて見ていた。
眩い光が収縮し、大気中の魔素が吸い込まれるように黒い鱗が輝き出し、洞窟の暗闇の中で輝くテネブリスの姿が確認できた。
とても威厳のある巨大な角と雄姿、黒光りした鱗の輝き、優しい瞳に”姉”を見つめる妹が歓喜に震えながら側に居た。進化が終わった事を確認するように咆哮を放ったテネブリス。だがその咆哮は破壊と恐怖を暗示し、アルブマでさえ身震いするような力強さを秘めていた。
そんな暗黒龍テネブリス・アダマスに飛び付く聖白龍アルブマ・クリスタ。
「凄い! 大きくなった! お姉様カッコイイ! 」と言いながら騒いでいる。
母のスプレムス程では無いがかなりの大きさとなり、ずっと暮らして居た洞窟が随分と狭く感じるほどの成長だった。
「お母様。最後の成長が終わりました」
「立派になったわ。あなたもこれで成体ね。私と同じ・・・導く存在として、この星を育てていくのよ」
導く存在がどのような意味か直ぐには理解出来なかったが、続けて念話するスプレムスの言葉で理解した。
「私達はこの大地に時に恵みを、時には破壊を齎すのよ。あなたの場合は破壊が主な役目ですが、あなたの知識を知性ある生命体に助言として与えると良いでしょう」
(だよねぇ暗黒だもんなぁ。破壊かぁ別に壊すのは好きじゃないけど、それが使命なら仕方ないよね。私、龍だもん)
今の自分の存在意義に自問自答した時期も有ったが、この姿で長い時を過ごす事により目に映る状況が諦めざるを得ない事を認識させ、気持ちは吹っ切れていたテネブリスだった。
転生前とは全く違う場所と自分の存在。最終進化前でもかなりの大きさだった為、飛翔して空を駆ける事を楽しんでいた時期もあった。もっとも、速さを求めてしまう為に星を一回りする事など、さして時間の掛らないテネブリス。飛翔の度に大地の形が変わり、噴火が少なくなって水面が多くなっていた事も気づいていた。
親であるスプレムスと”姉”のテネブリスに妹のアルブマ三体が飛翔する姿は雄大だが、この時期発生した小さな生命体にとっては死活問題で、三体の姿が見えると物陰に隠れたりする行動が見て取れた。その小さな生命体が何で有るかはテネブリスには解らなかったが、特に気にする存在では無かった。
始めは昆虫かと思っていた存在が群れを成し、巣を作り大群を作るような行動をとりだすと流石にアルブマからも、”面白いモノが居る”と観察の対象となっていた。だが、テネブリスの期待する生命体では無く、転生前に本で読んだ食用生物に似ていた。
瞼を閉じて、開けると気候が変わっていたり、生命体の種類も変わっていたりする時の流れを間近に見る事ができると、多少の期待を持つようになる。それは進化だ。眼下の生命体が進化する過程を断片的に垣間見る事で、エルフ的な存在が産まれる可能性に淡い期待を持つテネブリス。
だがそれは時の向こう側の出来事と、考えを改めた。今自分が取る行動は母であるスプレムスの考えの元、自らの一族を増やす事だ。
「はい、解りました、お母様。以前お話しした件ですが、さっそく初めてもよろしいですか?」
「えぇ初めて頂戴」
それはアルブマが初めて行う創生だ。
Epílogo
成長日記
暗黒龍・・・テネブリス・アダマス・・・生後100,000年、体長70km、成体。
聖白龍・・・アルブマ・クリスタ・・・・生後30,000年、体長31km
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