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第1章 エルフ国編

第11話 異変と普段の生活

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エルヴィーノが初めての体験をしてから3日後の朝の出来事。


朝、目をさまし身支度を終えた時点でエルヴィーノは全く気付かなかったが、着替えて二人で朝食を取ろうと居間に降りていくとメイド達が騒ぎだす。
メイド長のナタリーが騒ぐメイド達に問いただした。

「朝からどうしたのですか。みなさん落ち着きが無いですよ」

メイド達の視線がロザリーに集中し、ナタリーもその目線の先を見ると異変に気づき、近づいてじろじろ見回しとたずねた。
「・・・ロザリー様ですか?」
すると、おかしな質問にロザリーが応える。
「何を言っているのですかナタリー。早く食事の用意をしてください」

そう言い放つとナタリーはメイド達に食事の準備をさせ、エルヴィーノに朝食を食べるように指示していると「ロザリー様、2階で重要なお話しがあります」と告げ有無を言わさず手を引いて2階にかけ上がる。

ナタリーはロザリーを連れて執務室へ入り姿見の鏡の前に立たされた。
「ロザリー様鏡はご覧になられましたか?」

「!!、こ、これは!・・・何ですかコレは!」

ロザリーが驚きナタリーに問いただす。
「ロザリー様がご存知なのでは?」
「私は何もしていませんわ」


元々ロザリーは美しく300歳前後だが可愛くも麗しく淑女の鏡だったが、誰が見ても200歳位もしかすると190歳と言っても通用しそうな顔立ちに変わっていて、肌も髪も100歳代の潤いを取り戻していた。

「ロザリー様。ご説明を御願いします」
ナタリーにそう言われて考え込む。
思い当たる最近の事を話すロザリー。
何を食べ、飲み、魔法を使ったか?
ロザリーにも思い当たる事は無い・・・
とりあえず今は分からないので居間に戻り食事を始めた。

食事をしながら様々な事を考えていると、ハッと思い当たる事に気付き2階へかけ上がる。
その異変を察知して後を追って来たナタリーが見ると古い魔道書をめくっていた。
2000ページは有りそうな分厚い魔道書の仲程でロザリーが文章を読むと、ある一節を見つけた。
「コレよ!」
ナタリーに指で位置を教える。

その文章は、とある事件の説明だった。
今から1000年以上前の事件が記されて有った。


【ダークエルフの100歳前後の男の子が相次いで誘拐に会い、しばらくして無事に保護される。
事件の真相は高度に隠蔽されていたが、時のダークエルフ王からエルフ王に依頼が有りエルフ王が乗りだし究明にあたる。
結果、ダークエルフの男子で初めての精通した魔精はエルフの女性に肌や身体に若返りの効果となる薬になると。
これはダークエルフの男子からエルフの女性に対しての効果で逆の効果は無い。
ダークエルフ同士も効果無い。
そして裕福な女性がこぞって大金を闇業者に支払っていたのである。
エルフ王は事件解明の報告と今後の対策をダークエルフ王のもとへ向い話し合った。
説明を聞いてダークエルフ王は頭を抱えて悩みだす。
エルフ王も同様であった。
・・・追記。この事件は二人の王により事件の全容は隠ぺいされた】


と言う内容だった。
「ロザリー様!コレは!!」
ロザリーが震えてながら答える。
「ナタリー?私は若返ったの?」
「はい!丁度エミリアン様とご結婚されたお歳位ではないでしょうか?」
「そんな120年も若返ったと言うのですか?」
ロザリーが嬉しそうにナタリーに問いかける。

余りの変貌ぶりにナタリーが言い訳を考えた。
「ロザリー様、皆には食事による体重調節が成功したと誤魔化しましょう」
少しふっくらしていた頬や二の腕も細っそりと脂肪が無くなり、全身も同様だが胸部だけは以前よりも膨らんで見えた。
「そうね」と言って鏡を見るロザリーが満足そうにして居間に戻り、メイド達やグンデリックにはロザリー様は体重調節に成功されたと伝えて、皆から羨ましいとか、若返ったとか言われ上機嫌のロザリーだった。

勿論、上機嫌の本当の理由が3日前の”夜伽の事”と知らないとしても、エルヴィーノから貰った(無理矢理奪った)魔精で愛し合った結果だからである。

「はぁ~」
(エルヴィーノの一生に一度のモノを2つも一度に貰っちゃった・・・)

ロザリーは初めての時を何度も何度も脳内で思い出し「クスクス・・・やだモウ」とか1人の世界で妄想し違う次元に行くのがお気に入りになっている。
街や王宮でロザリーは暫くの間その事を思いだし嬉しそうにしていると、ロザリーと友好的なエルフから「何か良い事があったの?」と何度も聞かれ何度も答える事が面倒でもあり嬉しかった。

最近ロザリーは3~4日に一度王宮へ公爵としての内政の仕事におもむく。
たまに、グンデリックが代行する時もあるらしい。
エルヴィーノは朝起きるとロザリーから”戦い”を挑まれる。
戦った後にシャワーを浴びて身支度をする。

食事を済ませてロザリーを送り出した後は、運動を兼ねて屋敷に勤めている兵士達と剣術の相手をしてもらう。
剣は余り得意では無いので基本の型だけを習い、残りの時間は基礎体操や肉体強化の運動をして午前中を終える。

昼食後、自室にてロザリーに用意してもらった新しい魔道書を読んだり、溜まっている構想で生活魔道具の試作を作ったりして夕食の時間まで過ごす。

ロザリーが外出しない時も基本的同じだが、午前中はエルヴィーノの側を離れずに常に動体視力の中に入れているような身のこなしをしているロザリーだ。

昼も一緒に食事を取り、午後からは一緒に自室へ行き、ロザリーの雑務が終わると勝手にエルヴィーノの部屋に入ってくる。
魔道書を読んでいる時はベッタリとくっついてきて・・・熱い。

魔道具を作成している時は、流石に邪魔にならないように側でじっと見ているが、たまに「何を作っているの?」とか「こんなのが有ればいいのにぃ~」とか、紅茶を入れたり昼寝したりと可愛いい仕草をしてくる。

たまに、昼寝中を襲ってみたり、欲望に身を委せたり、変なスイッチの入ったロザリーに襲われたり・・・充実した毎日だった。










あとがき
次回、蜜月の2人だがロザリーに忍び寄る魔の手・・・
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