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第4章 獣王国編2
第112話 3回目の結婚式直前
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ロリとの結婚式前後から、ノチェ・デル・インペリオの設立に伴うゲレミオ関係の人材や、仕組みの設定に各部門の店を作り直したり、味見をしたり、カランバノ王国へ向けられたアベストロース帝國戦略戦争への参戦。
そして初めて行われた魔剣会(魔法剣技評価会)。
別荘の完成も有ったし妻達からの”仕打ち”と、いろいろあって一年などあっと言う間に過ぎ去ってしまった。
来週にはパウリナとの式典が控えているが、それぞれが忙しそうにしていた。
獣王国には聖魔法王国からも教会関係者が多数訪れ、今後の取り組みや種族が異なるので戒律の調整、教会の設置計画など多岐に渡る。
そんな中、”午後の運動”をしてベッドでくつろぎながら考え事をしていた。
(本来の目的はダークエルフの国を作る事で、築城する棘城は獣王国の第二都市になる予定だ。龍人達に頼んだが、どの程度の期間で出来るのか全く分からない状態で、一般的に築城は城下町を含めたら50年~100年、いや、もっとかかるだろうか? そんなに長い間この土地に留まっていては時間がもったいない。何か口実を作って旅立つ事は出来ないか考えるか)
エルヴィーノの胸で寝息を立てているパウリナを右手で髪を撫でながら、左手は臀部を揉んでいる。
それに棘城の図面もほとんど捗っていない。
知識の有る物は手一杯で、要望は出るが思いつきばかりだ。
自身にも知識が無かったのでお手上げ状態だった。
(困った。フィドキアに相談するか? いや、ラソンの方がいいな。良し、後で行ってみよう)
獣王国は畜産も盛ん(やはり肉食獣が多いからか)で、食用の肉も豊富な種類があり例によって”串”もある。
獣人は調理した物にこだわりが有り、肉の加工食材や料理が豊富だ。
それが獣との違いだと誇らしげにしているが、生の肉がおいしい食材の動物も居るらしい。
因みに魚派も存在する。
いつもの8本と肉の串を数種類大量に買い占めて監視室に転移した。
「フィドキア~、ラソン居るか~」
歩きながら声を掛けて居間に向った。
居間に入ると又1人増えて四人居た。
「ええっと、新しい龍人の方ですか?」
当たり前の様にそう聞くと、思ってもいなかった答えが帰って来た。
「前に話しただろう、成長したコラソンだ」
何故かフィドキアが照れくさそうに教えてくれた。
コラソンは立ち上がりエルヴィーノに近づくと以前と同じ緑色の髪の毛で黒い瞳だ。
「やぁ、モンドリアンさん。その節は本当にありがとう。私もこうして無事に成長しましたよ」
人族で例えると、以前合った時は10歳位だったのに20歳前後か? 青年になっていた。
しかもロン毛の優男だ。
「お前、本当にコラソンか?」
「いやだなぁ、疑っているのですか? では、貴男が初めて姫に問いかけた言葉を。(まずはパウリナの全てを・・・)」
「分かった!!! 認めよう、コラソン。俺も会えて嬉しいぞ」
全部言われると恥ずかしいので慌てて制止した。
「本当ですか?」
「ああ、この腕輪には随分助けられているからな。お前の無事を知ったらパウリナも喜ぶと思うぞ」
「ありがとうございます。その件ですが、どうせなら2人の結婚式にモンドリアンさんからのお土産としてパウリナ姫をビックリさせるのは如何ですか?」
「そうだなぁ。”アレ”の心の友だからな、お前は。分かった、そのようにしよう」
エルヴィーノとコラソンが仲良く話していたらフィドキアでは無くラソンが声をかける。
「まぁまぁ立ち話も何ですから、腰かけてください」
コラソンとフィドキアの間に新たに椅子を置き、そこに座れと言われラソンはそそくさと紅茶の準備をしている。
「今回はいつもと違うようだな」
エルヴィーノの行動を見ていたフィドキアが新しく買った物を食べたいらしく早速催促してきた。
「そんなにガッつくと食べる分が減るぞ、三人だと思って買って来たのに四人だからな」
1人分の量が減るのは仕方ないだろう。
監視室にはフィドキアとラソンに、前回から居るカマラダにコラソンが加わったのだ。
(これは今までの倍はお土産が必要かも)
と考えていたらラソンが大皿を持って来た。
「さぁさぁ、このお皿に入れてくださいな」
「デカッ!」
机の半分はある皿で思わず声が出てしまった。
まずは、いつもの様に小皿に甘いタレ、辛いタレ、甘辛酸っぱいタレ。
そして新しく塩と香辛料を混ぜた物をそれぞれに分けて出し教えた。
「では、取り合いしない様に食べてください。1人片手に一本だけ持つように」
そう、以前誰とは言わないが金髪と水色の髪が両手に数本持っていたのを思い出したからだ。
流石に四人いたらケンカになるかも知れないと思い事前に忠告したのだ。
エスパシオ・ボルサ(空間バック)からさっき買った串を大皿に出した途端一斉に両手を伸ばす龍人達。
(どんだけ好きなんだ)と思いながら、いつもの様にその食べっぷりを見ているエルヴィーノ。
結構おいしそうに食べるフィドキアに上品に召し上がるラソン。
カマラダも食べる速さがフィドキアと同じく競り合っている。
そしてコラソンだが、しげしげと串を見て匂いを嗅ぎ観察していたが、一口食べるとフィドキアを上回る速さで食べだす始末だ。
「ちゃんとタレを付けようなコラソン」
遅れた分を取り返すかのように無心に食べるコラソン。
大体いつも食べている時は話しかけても返事をしない龍人だが、今回はいつにも増して夢中だ。
(やはり肉か! 龍人も肉串の前には我を忘れるのか!)
と考えていたらコラソンが左手に肉串を三本も持っていた。
「コラソン、ダメだぞ! 左手は一本だけだぞ」そう言と
「良いのだモンドリアン。良いのだ」驚いた!
食べている時は全て無視するフィドキアが喋ったのだ。それもコラソンをかばっている。
(そう言えば棘王はフィドキアの親だったな。コラソンはその善良な心の化身。と言う事は、親の心。親だ。フ~ム。見た感じは逆だが・・・まぁ深く考えるのは止そう)
1人で自己完結していると大皿には何も無くなり龍人達の両手には串が一本づつ。
コラソンは両手に串を二本づつ持っていた。
「最後の串くらい味わって食べなよ」
龍人達に忠告すると
「そうよね。折角のお土産ですもの」
ラソンがそう言ったが、瞬きする間に一本分が口の中に消えた。
そして次の瞬間には全ての串が無くなっていた。
「「「「ご馳走様でした」」」」
「ああ、また買って来るよ」
いつもの掛け合いだ。
ラソンが片付けて紅茶だけが残るテーブルを前に予定していた事を話し出す。
「皆に相談したい事が有るのだが聞いてくれるか?」
うなずく龍人達に新しい棘城の図面が全く進んで無い事と、その理由を説明した。
「では、バレンティアを呼んで具体的に意見を聞いた方が良いのではないか?」
「では呼びますか?」
コラソンとフィドキアの会話だ。
「ちょっ、ちょっと待った。バレンティアって誰?」
知らない人? の名が出たので聞いてみた。
「大地を司る龍人よ。棘城を作ってくれるのよ」
優しく教えてくれたラソンだ。
「ええっ龍人が城を作るの?!」
想像が出来なかったのだ。
石を1つ1つ積み上げて行く過程が。
「大丈夫だよ。バレンティアだったら獣王の城程度ならばアッと言う間に出来るさ」
凄い事をサラッと言うカマラダ。
理解出来ない事を悩んでも仕方ないので、おぼろげながら考えていた構想を伝えた。
「城は地下二階、地上五階分を予定。東西南北に守護する龍人を司る塔を配置(どの塔にどの龍人かは未定)、中心の最上階には棘城と城下町を守護する棘を司る塔を作る。近隣の川から水を引き城と街に円となるように水路を築き、そのまま別の川か海へと水路を築く。城の内部は未定だ。城壁は高く幅広で東西南北に城門が有り街の外まで続いている。
城下町にも北東、北西、南西、南東に龍人を司る塔を作る。塔の形状は未定だ。街は城から続く東西南北に大通りが有り、賽の目に道が細かく入る。北東、北西、南西、南東に業種などを分けて街を作る予定で、半分は道路だけで未開地にして欲しい。
城や街の移動はブエロ・マシルベーゴォ (飛行魔導具)を使った物を予定している。これは既に聖魔法王国のクラベルと言う街で実施済だがエスピナ(棘)城と城下町にも採用したい。
城下街の周りには巨大な城壁と城門が有り、その周りには棘の森があったら良いなぁって思っている。細部は何も考えていないし、装飾はやっぱり棘かな? 名前もエスピナ城と決めているし」
コラソンが立ちあがりエルヴィーノの側に来て思いを告げる。
「嬉しいよ、モンドリアンさん。みんな! 築城後も彼に協力を惜しまないで欲しい」
「「「ハイ」」」
(すっげぇ龍人達がしたがったよ)
「ところでモンドリアンさん、なぜそこまで棘城にこだわるのですか?」
疑問に思っていたコラソンが投げかけた質問だ。
「あそこはパウリナにとって良くも悪くも想い出の場所だろ。あの土地をそのままにしておくよりも以前のような小さな城でも作って、新しく綺麗な棘城と城下町にすればパウリナも喜ぶし、亡くなったコラソンも喜んでくれるかと思っていたのさ。実際は死んで無かったけどな」
エルヴィーノの手を両手で掴んでブンブンと振るコラソンは目をキラキラさせていた。
「みんな! 決めたぞ! モンドリアンさんとパウリナ姫の為に世界一の城を作るぞぉー!」
「「「パチパチパチ」」」
なんかコラソンが1人で盛り上がっているような気がするが有り難い事なので、そのままにしておこう。
それよりもフィドキアが一緒に手を叩いているのが不気味だ。
「モンドリアンさんの構想は分かったから後は任せてください。世界一の棘城に作り替えますよ」
ヤル気に満ちたコラソンの顔を見て多少不安はあるが、やり過ぎなんて事は無いだろうと高をくくっていた。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
式典前々日にはロザリーとナタリーにグンデリックのエルフ一行と、ロリやプリマベラ、アヴリルにマルソ殿が親衛隊とやって来た。
(御忍びで観光もしたいのだろう)
リアム殿は既にこちらで仕事をしながら待機していた。
因みに今回の神父はマルソ殿だ。
フェブレロ殿はロリとの婚姻の時に誓っているから不味いだろうと判断した結果の配慮だ。
教祖エネロと大司教ファブレロは獣王国の大聖堂が完成した時に来るらしい。
何年先かは知らないけどね。
そして親族となる者たちの挨拶だ。
リカルドは聖魔法王国を任せてリリオと御留守番だ。
まずはロザリーを初めとする第一夫人一行の挨拶。
「初めまして獣王ライオネル・モンドラゴン様にアンドレア王妃様。わたくしはエルヴィーノの第一夫人でロザリー・ファン・デ・ブリンクスと申します。この度はパウリナ姫のご結婚、心よりお喜び申し上げます」
丁寧な挨拶と連れの紹介をすると
「よくぞ参られた、第一夫人。しかし噂以上の美しさたなぁ。モンドリアンが羨ましいな、ガハハハッ。グゥッ」
アンドレアの肘鉄が獣王の脇に入る。
「ようこそいらっしゃいました。ブリンクス伯爵様。むさ苦しい所ですが、我が家だと思ってくつろいでください」
「王妃様、私の事はロザリーとお呼びください」
「そんな無礼な事は出来ませんわ。エルフ国の内政を司る美の化身と、この土地まで噂が轟いていますわよ。私も是非、その美しさの秘訣を教えて頂きたいわ」
「大した事ではありませんが、後ほど」
「ええ、お願いします」
おとなの女の会話だと感心していたエルヴィーノ。
そして
「獣王ライオネル・モンドラゴン様にアンドレア王妃様、御久し振りです。”その節”は、ありがとうございました。改めまして、エルヴィーノの第二夫人でロリ・ヴァネッサ・シャイニングです。この度はパウリナ姫のご結婚、心よりお喜び申し上げます」
再会の挨拶をして
「よくぞ参られた、サンクタ・フェミナ様。やはり何度拝見しても本当に可愛いいなぁ。モンドリアンが羨ましい、ガハハハッ。ウグッ」
同じような事を言って二回目の肘鉄を食らう獣王。
「ようこそいらっしゃいました。サンクタ・フェミナ様。御父上のリアム様には本当にお世話になっております。新しく黒龍の信仰と、この国への配慮も頂き教会には本当に感謝していますわ」
「滅相もございません。アルモニア教を受け入れて下さって感謝していているのはこちらの方ですわ。それと王妃様。公式で無い時はロリと呼んで頂いて構いませんわ」
「そんな無礼な事は出来ません。貴女様は聖女の頂点に立つお方です。他の者にも示しがつきません」
「では女同士の時くらいは構いませんわ」
「お心遣い感謝致します」
(ふ~む。ロリも大人の対応をしている・・・)
なんか自分が小さくなっている感覚がする。
獣王夫婦はマルソ殿とは既に会っているのでプリマベラとアヴリルに挨拶を交わし全員で昼食を始めた。
明日から始まる結婚式の予定は、朝王都から移動して仮設の教会に行って誓いの儀式を行ない、街中をゆっくりと回り午後から神龍降臨の儀式を行って夕食会だ。
翌日から国の内外の、重鎮、貴族、使者や王族などと謁見があるが、聖魔法王国の倍以上の件数だ。
流石に大陸自体が大きいからか、黒龍効果なのかは分からないが、考えただけでもウンザリだった。
その次にはアレだ。
龍王杯闘技大会だ。
約11年ぶりの大闘技大会にするらしく、既に応募が始まっているらしい。
開催と閉幕の挨拶を頼まれたが、途中は抜け出すつもりだ。
まぁ決勝戦位は見ても良いけどな。
それよりも棘城の方が気になって仕方がない。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
「しかし、現代の食べ物があんなに美味しいとは思わなかったなぁ。あれっぽっちじゃ少なすぎるぞ。”おやつ”には最低三倍は必要だな。今度は来る前にモンドリアンさんに連絡してお願いしよう」
コラソンが楽しそうに話すと同意してうなずく龍人達だった。
あとがき
明日は三度目の結婚式か・・・
そして初めて行われた魔剣会(魔法剣技評価会)。
別荘の完成も有ったし妻達からの”仕打ち”と、いろいろあって一年などあっと言う間に過ぎ去ってしまった。
来週にはパウリナとの式典が控えているが、それぞれが忙しそうにしていた。
獣王国には聖魔法王国からも教会関係者が多数訪れ、今後の取り組みや種族が異なるので戒律の調整、教会の設置計画など多岐に渡る。
そんな中、”午後の運動”をしてベッドでくつろぎながら考え事をしていた。
(本来の目的はダークエルフの国を作る事で、築城する棘城は獣王国の第二都市になる予定だ。龍人達に頼んだが、どの程度の期間で出来るのか全く分からない状態で、一般的に築城は城下町を含めたら50年~100年、いや、もっとかかるだろうか? そんなに長い間この土地に留まっていては時間がもったいない。何か口実を作って旅立つ事は出来ないか考えるか)
エルヴィーノの胸で寝息を立てているパウリナを右手で髪を撫でながら、左手は臀部を揉んでいる。
それに棘城の図面もほとんど捗っていない。
知識の有る物は手一杯で、要望は出るが思いつきばかりだ。
自身にも知識が無かったのでお手上げ状態だった。
(困った。フィドキアに相談するか? いや、ラソンの方がいいな。良し、後で行ってみよう)
獣王国は畜産も盛ん(やはり肉食獣が多いからか)で、食用の肉も豊富な種類があり例によって”串”もある。
獣人は調理した物にこだわりが有り、肉の加工食材や料理が豊富だ。
それが獣との違いだと誇らしげにしているが、生の肉がおいしい食材の動物も居るらしい。
因みに魚派も存在する。
いつもの8本と肉の串を数種類大量に買い占めて監視室に転移した。
「フィドキア~、ラソン居るか~」
歩きながら声を掛けて居間に向った。
居間に入ると又1人増えて四人居た。
「ええっと、新しい龍人の方ですか?」
当たり前の様にそう聞くと、思ってもいなかった答えが帰って来た。
「前に話しただろう、成長したコラソンだ」
何故かフィドキアが照れくさそうに教えてくれた。
コラソンは立ち上がりエルヴィーノに近づくと以前と同じ緑色の髪の毛で黒い瞳だ。
「やぁ、モンドリアンさん。その節は本当にありがとう。私もこうして無事に成長しましたよ」
人族で例えると、以前合った時は10歳位だったのに20歳前後か? 青年になっていた。
しかもロン毛の優男だ。
「お前、本当にコラソンか?」
「いやだなぁ、疑っているのですか? では、貴男が初めて姫に問いかけた言葉を。(まずはパウリナの全てを・・・)」
「分かった!!! 認めよう、コラソン。俺も会えて嬉しいぞ」
全部言われると恥ずかしいので慌てて制止した。
「本当ですか?」
「ああ、この腕輪には随分助けられているからな。お前の無事を知ったらパウリナも喜ぶと思うぞ」
「ありがとうございます。その件ですが、どうせなら2人の結婚式にモンドリアンさんからのお土産としてパウリナ姫をビックリさせるのは如何ですか?」
「そうだなぁ。”アレ”の心の友だからな、お前は。分かった、そのようにしよう」
エルヴィーノとコラソンが仲良く話していたらフィドキアでは無くラソンが声をかける。
「まぁまぁ立ち話も何ですから、腰かけてください」
コラソンとフィドキアの間に新たに椅子を置き、そこに座れと言われラソンはそそくさと紅茶の準備をしている。
「今回はいつもと違うようだな」
エルヴィーノの行動を見ていたフィドキアが新しく買った物を食べたいらしく早速催促してきた。
「そんなにガッつくと食べる分が減るぞ、三人だと思って買って来たのに四人だからな」
1人分の量が減るのは仕方ないだろう。
監視室にはフィドキアとラソンに、前回から居るカマラダにコラソンが加わったのだ。
(これは今までの倍はお土産が必要かも)
と考えていたらラソンが大皿を持って来た。
「さぁさぁ、このお皿に入れてくださいな」
「デカッ!」
机の半分はある皿で思わず声が出てしまった。
まずは、いつもの様に小皿に甘いタレ、辛いタレ、甘辛酸っぱいタレ。
そして新しく塩と香辛料を混ぜた物をそれぞれに分けて出し教えた。
「では、取り合いしない様に食べてください。1人片手に一本だけ持つように」
そう、以前誰とは言わないが金髪と水色の髪が両手に数本持っていたのを思い出したからだ。
流石に四人いたらケンカになるかも知れないと思い事前に忠告したのだ。
エスパシオ・ボルサ(空間バック)からさっき買った串を大皿に出した途端一斉に両手を伸ばす龍人達。
(どんだけ好きなんだ)と思いながら、いつもの様にその食べっぷりを見ているエルヴィーノ。
結構おいしそうに食べるフィドキアに上品に召し上がるラソン。
カマラダも食べる速さがフィドキアと同じく競り合っている。
そしてコラソンだが、しげしげと串を見て匂いを嗅ぎ観察していたが、一口食べるとフィドキアを上回る速さで食べだす始末だ。
「ちゃんとタレを付けようなコラソン」
遅れた分を取り返すかのように無心に食べるコラソン。
大体いつも食べている時は話しかけても返事をしない龍人だが、今回はいつにも増して夢中だ。
(やはり肉か! 龍人も肉串の前には我を忘れるのか!)
と考えていたらコラソンが左手に肉串を三本も持っていた。
「コラソン、ダメだぞ! 左手は一本だけだぞ」そう言と
「良いのだモンドリアン。良いのだ」驚いた!
食べている時は全て無視するフィドキアが喋ったのだ。それもコラソンをかばっている。
(そう言えば棘王はフィドキアの親だったな。コラソンはその善良な心の化身。と言う事は、親の心。親だ。フ~ム。見た感じは逆だが・・・まぁ深く考えるのは止そう)
1人で自己完結していると大皿には何も無くなり龍人達の両手には串が一本づつ。
コラソンは両手に串を二本づつ持っていた。
「最後の串くらい味わって食べなよ」
龍人達に忠告すると
「そうよね。折角のお土産ですもの」
ラソンがそう言ったが、瞬きする間に一本分が口の中に消えた。
そして次の瞬間には全ての串が無くなっていた。
「「「「ご馳走様でした」」」」
「ああ、また買って来るよ」
いつもの掛け合いだ。
ラソンが片付けて紅茶だけが残るテーブルを前に予定していた事を話し出す。
「皆に相談したい事が有るのだが聞いてくれるか?」
うなずく龍人達に新しい棘城の図面が全く進んで無い事と、その理由を説明した。
「では、バレンティアを呼んで具体的に意見を聞いた方が良いのではないか?」
「では呼びますか?」
コラソンとフィドキアの会話だ。
「ちょっ、ちょっと待った。バレンティアって誰?」
知らない人? の名が出たので聞いてみた。
「大地を司る龍人よ。棘城を作ってくれるのよ」
優しく教えてくれたラソンだ。
「ええっ龍人が城を作るの?!」
想像が出来なかったのだ。
石を1つ1つ積み上げて行く過程が。
「大丈夫だよ。バレンティアだったら獣王の城程度ならばアッと言う間に出来るさ」
凄い事をサラッと言うカマラダ。
理解出来ない事を悩んでも仕方ないので、おぼろげながら考えていた構想を伝えた。
「城は地下二階、地上五階分を予定。東西南北に守護する龍人を司る塔を配置(どの塔にどの龍人かは未定)、中心の最上階には棘城と城下町を守護する棘を司る塔を作る。近隣の川から水を引き城と街に円となるように水路を築き、そのまま別の川か海へと水路を築く。城の内部は未定だ。城壁は高く幅広で東西南北に城門が有り街の外まで続いている。
城下町にも北東、北西、南西、南東に龍人を司る塔を作る。塔の形状は未定だ。街は城から続く東西南北に大通りが有り、賽の目に道が細かく入る。北東、北西、南西、南東に業種などを分けて街を作る予定で、半分は道路だけで未開地にして欲しい。
城や街の移動はブエロ・マシルベーゴォ (飛行魔導具)を使った物を予定している。これは既に聖魔法王国のクラベルと言う街で実施済だがエスピナ(棘)城と城下町にも採用したい。
城下街の周りには巨大な城壁と城門が有り、その周りには棘の森があったら良いなぁって思っている。細部は何も考えていないし、装飾はやっぱり棘かな? 名前もエスピナ城と決めているし」
コラソンが立ちあがりエルヴィーノの側に来て思いを告げる。
「嬉しいよ、モンドリアンさん。みんな! 築城後も彼に協力を惜しまないで欲しい」
「「「ハイ」」」
(すっげぇ龍人達がしたがったよ)
「ところでモンドリアンさん、なぜそこまで棘城にこだわるのですか?」
疑問に思っていたコラソンが投げかけた質問だ。
「あそこはパウリナにとって良くも悪くも想い出の場所だろ。あの土地をそのままにしておくよりも以前のような小さな城でも作って、新しく綺麗な棘城と城下町にすればパウリナも喜ぶし、亡くなったコラソンも喜んでくれるかと思っていたのさ。実際は死んで無かったけどな」
エルヴィーノの手を両手で掴んでブンブンと振るコラソンは目をキラキラさせていた。
「みんな! 決めたぞ! モンドリアンさんとパウリナ姫の為に世界一の城を作るぞぉー!」
「「「パチパチパチ」」」
なんかコラソンが1人で盛り上がっているような気がするが有り難い事なので、そのままにしておこう。
それよりもフィドキアが一緒に手を叩いているのが不気味だ。
「モンドリアンさんの構想は分かったから後は任せてください。世界一の棘城に作り替えますよ」
ヤル気に満ちたコラソンの顔を見て多少不安はあるが、やり過ぎなんて事は無いだろうと高をくくっていた。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
式典前々日にはロザリーとナタリーにグンデリックのエルフ一行と、ロリやプリマベラ、アヴリルにマルソ殿が親衛隊とやって来た。
(御忍びで観光もしたいのだろう)
リアム殿は既にこちらで仕事をしながら待機していた。
因みに今回の神父はマルソ殿だ。
フェブレロ殿はロリとの婚姻の時に誓っているから不味いだろうと判断した結果の配慮だ。
教祖エネロと大司教ファブレロは獣王国の大聖堂が完成した時に来るらしい。
何年先かは知らないけどね。
そして親族となる者たちの挨拶だ。
リカルドは聖魔法王国を任せてリリオと御留守番だ。
まずはロザリーを初めとする第一夫人一行の挨拶。
「初めまして獣王ライオネル・モンドラゴン様にアンドレア王妃様。わたくしはエルヴィーノの第一夫人でロザリー・ファン・デ・ブリンクスと申します。この度はパウリナ姫のご結婚、心よりお喜び申し上げます」
丁寧な挨拶と連れの紹介をすると
「よくぞ参られた、第一夫人。しかし噂以上の美しさたなぁ。モンドリアンが羨ましいな、ガハハハッ。グゥッ」
アンドレアの肘鉄が獣王の脇に入る。
「ようこそいらっしゃいました。ブリンクス伯爵様。むさ苦しい所ですが、我が家だと思ってくつろいでください」
「王妃様、私の事はロザリーとお呼びください」
「そんな無礼な事は出来ませんわ。エルフ国の内政を司る美の化身と、この土地まで噂が轟いていますわよ。私も是非、その美しさの秘訣を教えて頂きたいわ」
「大した事ではありませんが、後ほど」
「ええ、お願いします」
おとなの女の会話だと感心していたエルヴィーノ。
そして
「獣王ライオネル・モンドラゴン様にアンドレア王妃様、御久し振りです。”その節”は、ありがとうございました。改めまして、エルヴィーノの第二夫人でロリ・ヴァネッサ・シャイニングです。この度はパウリナ姫のご結婚、心よりお喜び申し上げます」
再会の挨拶をして
「よくぞ参られた、サンクタ・フェミナ様。やはり何度拝見しても本当に可愛いいなぁ。モンドリアンが羨ましい、ガハハハッ。ウグッ」
同じような事を言って二回目の肘鉄を食らう獣王。
「ようこそいらっしゃいました。サンクタ・フェミナ様。御父上のリアム様には本当にお世話になっております。新しく黒龍の信仰と、この国への配慮も頂き教会には本当に感謝していますわ」
「滅相もございません。アルモニア教を受け入れて下さって感謝していているのはこちらの方ですわ。それと王妃様。公式で無い時はロリと呼んで頂いて構いませんわ」
「そんな無礼な事は出来ません。貴女様は聖女の頂点に立つお方です。他の者にも示しがつきません」
「では女同士の時くらいは構いませんわ」
「お心遣い感謝致します」
(ふ~む。ロリも大人の対応をしている・・・)
なんか自分が小さくなっている感覚がする。
獣王夫婦はマルソ殿とは既に会っているのでプリマベラとアヴリルに挨拶を交わし全員で昼食を始めた。
明日から始まる結婚式の予定は、朝王都から移動して仮設の教会に行って誓いの儀式を行ない、街中をゆっくりと回り午後から神龍降臨の儀式を行って夕食会だ。
翌日から国の内外の、重鎮、貴族、使者や王族などと謁見があるが、聖魔法王国の倍以上の件数だ。
流石に大陸自体が大きいからか、黒龍効果なのかは分からないが、考えただけでもウンザリだった。
その次にはアレだ。
龍王杯闘技大会だ。
約11年ぶりの大闘技大会にするらしく、既に応募が始まっているらしい。
開催と閉幕の挨拶を頼まれたが、途中は抜け出すつもりだ。
まぁ決勝戦位は見ても良いけどな。
それよりも棘城の方が気になって仕方がない。
※Cerounodostrescuatrocincoseissieteochonuevediez
「しかし、現代の食べ物があんなに美味しいとは思わなかったなぁ。あれっぽっちじゃ少なすぎるぞ。”おやつ”には最低三倍は必要だな。今度は来る前にモンドリアンさんに連絡してお願いしよう」
コラソンが楽しそうに話すと同意してうなずく龍人達だった。
あとがき
明日は三度目の結婚式か・・・
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王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
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最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
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セクスカリバーをヌキました!
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とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
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【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
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【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
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世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
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