2 / 58
2
しおりを挟む
「なんかさっきから身体が熱い……」
何とかカレーを食べ終えてから、僕はスプーンを置いた。
「というか、瑞希、濃いフェロモンが出てるよ? もしかして発情のサインなんじゃ?」
「先月発情期来たばっかりだよ?」
「最初のうちは安定しないものだし、他の要因もあるのかもよ?」
「他の要因?」
「取り敢えず、保健室に行こっか」
「う、うん」
那月に肩を叩かれて、僕は立ち上がった。
「急ご」
「え、あ、うん」
三人で食べ終わった食器を下げて、出口へ向かう。
その間にも熱は上がり、息切れまでしだした。
下腹部に違和感があって、後孔がむずむずする。
「はぁ、はぁ……」
「瑞希、発情してるな」
「緊急用の抑制剤持ってる? 打っといた方がいいかも」
「う、うん」
制服の胸ポケットに入れた針を刺すタイプの抑制剤を取り出す。
「待って!」
「え?」
「君、待って。俺の番……」
「え? え!?」
抑制剤を打とうとしたところで、突然誰かに抱き締められた。
「渚様……!?」
「え!?」
詩の驚く声と、打つ前に止まってしまった右腕と、大きな男性に抱き締められる感触と、上がり続ける熱に参った僕は、そのまま意識を手放した。
◇
「起きた? はじめまして、俺は門脇渚。成瀬瑞希さんだよね。瑞希って呼んでもいい?」
「え、あ、は、はい……」
起き抜けには眩し過ぎる輝き具合に僕は混乱して、思わず頷いてしまった。
美しい人の笑顔は攻撃力満点だ。
「体調はどう? あ、抑制剤は打ったし、俺も抑制剤を飲んだから安心して」
「そ、そうですか……」
「まさか、運命の番と会えるなんてね」
「う、運命……?」
「薬が効いててもお互いのフェロモンが嗅ぎ取れるなんてまさしく運命じゃないかな」
「フェロモン……」
この清涼感があるのにどこか甘い香りは、目の前の人のフェロモン……??
その香りを嗅ぐと身体の力が抜けて、そんな僕を門脇さんが抱きとめた。
「す、すみません。門脇さんの香りを嗅ぐと力が抜けてしまって……」
「渚」
「え?」
「渚って呼んで欲しい」
「え、でも、いや……」
「嫌?」
「あ、嫌なんじゃなくて、僕なんかが呼んでいいのかなって」
「僕なんか、なんて言わないで。俺の大切な番だ」
「な、渚さん……」
「呼び捨てでいいよ」
展開の早さについていけてないけど、僕は小さく「渚……」と呟く。
すると、渚がこれ以上ないというくらいに嬉しそうに微笑む。
……鼻血出そう。
「恋人いたりとか……する?」
「え、い、いないです! 渚こそ、その……付き合ってる人とか……」
「いないよ。これでもモデルで人に注目されるから、身辺には気を使ってる。でもたった一人のかけがえのない人を愛することは許されるんじゃないだろうか。……もし誰かに何か言われても譲る気はないけどね」
何とかカレーを食べ終えてから、僕はスプーンを置いた。
「というか、瑞希、濃いフェロモンが出てるよ? もしかして発情のサインなんじゃ?」
「先月発情期来たばっかりだよ?」
「最初のうちは安定しないものだし、他の要因もあるのかもよ?」
「他の要因?」
「取り敢えず、保健室に行こっか」
「う、うん」
那月に肩を叩かれて、僕は立ち上がった。
「急ご」
「え、あ、うん」
三人で食べ終わった食器を下げて、出口へ向かう。
その間にも熱は上がり、息切れまでしだした。
下腹部に違和感があって、後孔がむずむずする。
「はぁ、はぁ……」
「瑞希、発情してるな」
「緊急用の抑制剤持ってる? 打っといた方がいいかも」
「う、うん」
制服の胸ポケットに入れた針を刺すタイプの抑制剤を取り出す。
「待って!」
「え?」
「君、待って。俺の番……」
「え? え!?」
抑制剤を打とうとしたところで、突然誰かに抱き締められた。
「渚様……!?」
「え!?」
詩の驚く声と、打つ前に止まってしまった右腕と、大きな男性に抱き締められる感触と、上がり続ける熱に参った僕は、そのまま意識を手放した。
◇
「起きた? はじめまして、俺は門脇渚。成瀬瑞希さんだよね。瑞希って呼んでもいい?」
「え、あ、は、はい……」
起き抜けには眩し過ぎる輝き具合に僕は混乱して、思わず頷いてしまった。
美しい人の笑顔は攻撃力満点だ。
「体調はどう? あ、抑制剤は打ったし、俺も抑制剤を飲んだから安心して」
「そ、そうですか……」
「まさか、運命の番と会えるなんてね」
「う、運命……?」
「薬が効いててもお互いのフェロモンが嗅ぎ取れるなんてまさしく運命じゃないかな」
「フェロモン……」
この清涼感があるのにどこか甘い香りは、目の前の人のフェロモン……??
その香りを嗅ぐと身体の力が抜けて、そんな僕を門脇さんが抱きとめた。
「す、すみません。門脇さんの香りを嗅ぐと力が抜けてしまって……」
「渚」
「え?」
「渚って呼んで欲しい」
「え、でも、いや……」
「嫌?」
「あ、嫌なんじゃなくて、僕なんかが呼んでいいのかなって」
「僕なんか、なんて言わないで。俺の大切な番だ」
「な、渚さん……」
「呼び捨てでいいよ」
展開の早さについていけてないけど、僕は小さく「渚……」と呟く。
すると、渚がこれ以上ないというくらいに嬉しそうに微笑む。
……鼻血出そう。
「恋人いたりとか……する?」
「え、い、いないです! 渚こそ、その……付き合ってる人とか……」
「いないよ。これでもモデルで人に注目されるから、身辺には気を使ってる。でもたった一人のかけがえのない人を愛することは許されるんじゃないだろうか。……もし誰かに何か言われても譲る気はないけどね」
75
あなたにおすすめの小説
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果
SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。
そこで雪政がひらめいたのは
「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」
アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈
ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ!
※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。
片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
起きたらオメガバースの世界になっていました
さくら優
BL
眞野新はテレビのニュースを見て驚愕する。当たり前のように報道される同性同士の芸能人の結婚。飛び交うα、Ωといった言葉。どうして、なんで急にオメガバースの世界になってしまったのか。
しかもその夜、誘われていた合コンに行くと、そこにいたのは女の子ではなくイケメンαのグループで――。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる